双極性障害の治療に有効な精神療法とは~認知療法と対人関係・社会リズム療法

双極性障害では薬物療法が必要ですが、精神療法を合わせて行なうことによってその効果をさらに高め、病気の経過や周りの人との関係を改善することができます。

双極性障害の治療には薬物療法が一般的ですが、薬物療法とともに精神療法を行なうことによって、治療の効果を高めることがわかっています。病気の経過や周りの人との関係を改善することができる可能性について、ここでは紹介していきます。

双極性障害はどのようなものなのか、精神療法がどうして有効的なのかについて説明していきたいと思います。

双極性障害の治療方法

双極性障害は、これまで躁うつ病と呼ばれてきた気分障害の1つです。双極性障害の双極というのは、2つの極端な状態にぶれるという意味があります。

気分爽快、元気いっぱい、意欲満々の【躁状態】と、憂うつ、意欲がない、おっくうで仕方がない【うつ状態】という正反対の状態を繰り返す心の病気です。

日本では、これまで躁うつ病と呼ばれていましたが、世界的に用語を統一しようという流れの中で、名称が変更されました。うつ病も双極性障害も、気分障害に含まれています。双極性障害はうつ病と比べて患者数が少ないと考えられてきましたが、意外に多いことがわかっています。

双極性障害は増えているのか

うつ病や双極性障害(躁うつ病)を含む気分障害にかかる人がすべてのライフステージにわたって増加しています。特に、就業世代については、長引く不況や経済状況の悪化、失業率の上昇など、うつ病のきっかけになる種々の社会・心理的要因が増えていることが背景にあると考えられています。

また、高齢社会が進むにつれて、高齢者層の人口が増えていますし、若年者層のうつ病有病率の増加もみられています。若年層におけるうつ病患者は、以前から一定の有病率があったと推測されますが、近年の多様化するうつ病概念のなかで再認識、理解されていることも、人数が増加してきている要因と考えられています。

また、うつ病についての啓発活動が進むことにより、自らうつ病を疑って受診する人の数が増えています。このような啓発活動とともに、「うつ病」や「精神科」に対する敷居は以前から比べると低くなっています。それにより比較的軽度のうつ病の人や、多様な病型の人が受診するケースも増えているようです。

双極性障害の精神療法

双極性障害では薬物療法が必要ですが、精神療法を合わせて行なうことによってその効果をさらに高め、病気の経過や周りの人との関係を改善することができます。本人が日々の生活の中で気をつけるべきポイントは、生活のリズムを整えること、ストレスとの付き合い方を学ぶことです。この2点は精神療法によって身につけることができます。

双極性障害の薬物治療については、こちらから
↓  ↓  ↓
双極性障害の治療が難しい理由と薬物治療について

認知療法

認知療法はすでに現場の精神科医の精神療法の中に広く取り込まれており、一般的な治療法となっています。認知療法は精神療法の1つであり、有効な精神療法として広く行われています。

認知療法も含めた精神療法は、薬物療法と同時並行的に行われることが精神科治療の基本となっています。ですから、精神療法が薬物療法に代わる治療法という見方はまちがっています。薬物療法と精神療法(認知療法を含めて)を比較したり、どちらが優れていると判断することが重要なのではなく、精神療法も薬物療法もどちらも意義があるとともに、限界もあることを理解しながら、治療していくことが大切です。

対人関係・社会リズム療法(IPSRT)

生活のリズムを整えること、ストレスとの付き合い方において、効果が検証されている精神療法の1つに、対人関係・社会リズム療法(interpersonal and social rhythm therapy: IPSRT)があります。

双極性障害の治療法として米国で開発され、対人関係療法(IPT)と社会リズム療法(SRT)を組み合わせたものになります。薬物療法と併用することによって、躁状態やうつ状態の予防効果、うつ状態の治療効果、うつ状態から回復する際の心理社会機能の改善効果が示されています。

気分安定薬を服用中の当事者が、躁状態やうつ状態になってしまう主なパターンとしては、次のようなものがあります。
・薬を決められた通りにのまなくなる
・ストレスを伴うような生活上の出来事(特に対人関係上の嫌な出来事)
・社会リズム(生活の時間と社会的な刺激の規則正しさ)の乱れ

対人関係・社会リズム療法では、「ソーシャル・リズム・メトリック(SRM)」という表を用いて、社会リズムを規則正しくすると共に、対人関係療法によって、対人関係ストレスを減らし、生活上の変化への適応をスムーズにしていきます。

ソーシャル・リズム・メトリック(SRM)

出所:日本うつ病学会

また、双極性障害では、症状のために対人関係がうまくいかなくなることがありますが、対人関係療法はその点にも働きかけ、対人関係を円滑にし、ストレスを減らしていきます。

双極性障害という診断を受け入れて、治療をしていくという覚悟を決めるのは、時として困難さをともないます。しかし、対人関係療法では、双極性障害になることで失われたものもよく振り返っていくことによって、病気と共に生きる人生をより前向きに考えられるようになることを目指しますし、実際にそれで成果が上がっています。

日本においては、対人関係・社会リズム療法は、まだ普及していない現状もあり、この治療をしっかりと専門的に受けられる施設は少ないのが現状のようです。そのため書籍などを用いて自ら学ぶと共に、役に立ちそうな要素を、主治医と相談して活用していくことがすすめられています。

まとめ

双極性障害はどのようなものなのか、精神療法がどうして有効的なのかについて説明してきました。

双極性障害では薬物療法とともに、精神療法を合わせて行なうことによってその効果をさらに高め、病気の経過や周りの人との関係を改善することができます。ここでは、精神療法の認知療法や対人関係・社会リズム療法(IPSRT)を中心に解説をしてきました。

薬物療法と精神療法を比較したり、どちらが優れていると判断することは重要ではありません。それよりも精神療法も薬物療法もどちらも意義があるとともに、限界もあることを理解しながら、治療していくことが大切です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です