色覚異常は就職に影響する?採用・配置・職場の対応

色覚異常・色覚特性は就職に影響する?企業が確認したい採用・配置・職場の対応

2019年07月31日 | 障害別の特性・配慮

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2026年7月23日更新
色覚異常、いわゆる色盲・色弱があると、就職で不利になるのでしょうか。

就職を考える本人からは、「希望する仕事に就けるのか」「採用時に伝える必要があるのか」という不安が聞かれます。企業側も、「安全上の問題はないか」「採用時に確認してよいのか」「配属後に何を工夫すればよいのか」と迷うことがあります。

結論から言えば、色覚特性があることだけを理由に、就職や採用が一律に制限されるわけではありません。

必要なのは、色覚特性の有無だけを見ることではなく、実際の仕事で何を色によって判断しているのか、色以外の情報を併用できないのかを確認することです。

企業に求められるのは、「色覚特性がある人を採用できるか」という一括した判断ではありません。仕事、表示、指示、確認、安全管理のうち、色だけに依存している部分を見つけ、誰にとっても間違いにくい方法へ変えることです。

この記事でわかること

  • 色覚異常・色覚特性が就職に与える影響
  • 仕事で色を見分けにくいと困りやすい場面
  • 採用・配置の前に企業が確認したいこと
  • 色だけに頼らない指示・表示・確認方法
  • 管理職や現場リーダーに必要なマネジメント

色覚異常・色覚特性とは

色の見え方や感じ方には個人差があります。その個人差が多数の人と比べて大きく、色覚検査で異なる結果を示す状態が、医学的には「色覚異常」と呼ばれています。以前は「色盲」「色弱」という言葉が広く使われていました。

しかし、「色盲」という言葉は、色がまったく見えない、すべてが白黒に見えると誤解されやすいため、近年では「色覚特性」という表現も使われています。本記事では、検索で使われることの多い「色覚異常」「色盲」「色弱」にも触れながら、基本的には「色覚特性」と表記します。

先天赤緑色覚異常は、日本人男性では約20人に1人、女性では約500人に1人の割合とされ、珍しい特性ではありません。ただし、同じ色覚特性があっても、区別しにくい色、程度、困りやすい環境は人によって異なります。

赤と緑だけでなく、茶色と緑、青と紫、ピンクと灰色、赤と黒などが似て見える場合があります。暗い場所、小さな表示、鮮やかでない色は、特に見分けにくくなることがあります。

学校で色覚検査を受けていない人もいる

学校の健康診断では、2003年度から色覚検査が必須項目から外れ、希望者に対して個別に実施する形になりました。そのため、自分の色覚特性を知らないまま進学や就職を迎え、仕事の中で初めて色の見分けにくさに気づく場合があります。

検査を受けていないこと自体が問題なのではありません。大切なのは、色覚特性の有無だけで将来を制限するのではなく、自分がどのような条件で色を間違えやすいのかを知り、必要な場面で確認方法を持つことです。

見え方について気になることがある場合は、自己判断だけで決めず、眼科で相談することができます。

色覚特性は就職に影響するのか

多くの仕事では、色覚特性があることだけで業務ができなくなるわけではありません。

実際に重要なのは、職種名ではなく、その仕事の中で、

  • 何を色で見分ける必要があるのか
  • どの程度の正確さや速さが必要なのか
  • 色の判断を間違えた場合に、どのような影響があるのか
  • 文字、形、位置、番号など、ほかの情報で確認できるのか

を具体的に確認することです。

一方で、安全上の理由などから、色の識別に関する基準が設けられている資格や職種もあります。希望する職業に個別の基準がある場合は、古い体験談や一覧だけで判断せず、募集要項、資格試験の実施機関、官公庁などの最新の公式情報を確認してください。

企業は「色覚異常は不可」と一律に判断しない

雇入時健康診断では、2001年10月から色覚検査が必須項目ではなくなっています。色覚検査で異なる結果が出ても、大半の人は仕事に特別な支障がないにもかかわらず、一律に採用を制限する事例があったためです。

企業が採用を行うときは、「色覚異常は不可」といった条件を先に設けるのではなく、色を使用する仕事内容を具体的に整理する必要があります。

採用選考で色覚検査を行う必要があると考える場合も、

  • その検査が実際の職務とどのように関係するのか
  • 色の識別が本当に職務上の必須要件なのか
  • 応募者に検査の目的を十分説明しているか
  • 本人の同意を得ているか

を慎重に確認することが必要です。

色覚検査の結果だけで適性を判断するのではなく、実際の作業内容や確認方法から、仕事を遂行できるかを見ることが重要です。

色覚特性があると仕事で困りやすい4つの場面

色覚特性のある人が困りやすい場面は、業種や仕事内容によって異なります。職場で確認したい場面は、大きく次の4つに整理できます。

色だけで情報を区別している

  • Excelのセルを赤・緑・黄色だけで分類している
  • グラフや分布図を色だけで区別している
  • 修正箇所を赤字だけで示している
  • カレンダーの休日を赤色だけで示している
  • 配線、容器、ファイルを色だけで分類している

色が見えないのではなく、組み合わせや環境によって色の差を小さく感じるため、色だけに意味を持たせると情報を見落とす可能性があります。

状態や品質を色で判断している

  • 製品の変色や汚れを確認する
  • 食品の加熱状態や鮮度を判断する
  • 液体や薬品の色の変化を確認する
  • 植物や材料の状態を色で判定する
  • 顔色の変化から体調を推測する

このような業務では、「色を見ればわかる」と考えず、判断基準を具体的にする必要があります。

安全に関する表示を色だけで示している

  • 赤と緑に点灯する警告ランプ
  • 小さなLEDによる状態表示
  • 色分けされたスイッチやボタン
  • 色だけで区別された危険区域
  • 薄暗い場所にある注意表示

安全に関する情報は、色だけでなく、文字、形、点滅、位置、音などを組み合わせることが重要です。

指示や会話が色に依存している

  • 「赤いファイルを取ってください」
  • 「緑になったら作業を始めてください」
  • 「青い線の方を確認してください」
  • 「顔色を見れば体調がわかるでしょう」

このような指示は、話している側にはわかりやすくても、受け手に同じように伝わるとは限りません。色名に加えて、ファイル名、番号、場所、形、文字などを伝えることで、指示は具体的になります。

就職を考える本人が確認したいこと

色覚特性があるからといって、必要以上に仕事の選択肢を狭める必要はありません。ただし、希望する仕事について、次の点を具体的に確認しておくと安心です。

仕事のどこで色を使うのか

求人票の職種名だけでは、実際に色をどの程度使うのかはわかりません。

業務内容を確認し、

  • 色の識別が中心となる仕事なのか
  • 補助的に色を使うだけなのか
  • 色以外の情報でも確認できるのか

を整理します。

自分が困りやすい条件を知る

単に「赤と緑が苦手」と伝えるよりも、

  • 小さなランプは見分けにくい
  • 暗い場所では色を間違えやすい
  • Excelの淡い色分けは判断しにくい
  • 番号や文字があれば確認できる

のように、具体的な場面と対応方法を説明できると、職場でも調整しやすくなります。

困ったときに相談できる人を確認する

入社前にすべての問題を予測することはできません。働き始めてから色の見分けにくさに気づいた場合に、誰へ相談できるのかを確認しておくことも大切です。

企業が採用・配置の前に確認したいこと

企業側は、色覚特性について詳しい医学知識を身につけることだけを目標にする必要はありません。

確認すべきなのは、自社の仕事と管理方法です。

色の識別は、本当に必須要件なのか

「この仕事では色を使う」というだけでは、採用や配置を制限する理由にはなりません。

  • 何を識別する必要があるのか
  • 識別する頻度はどの程度か
  • 時間的な余裕はあるのか
  • 間違えた場合の影響は何か
  • 別の方法で確認できないのか

まで分解して考えます。

色以外の情報を併用できないか

色分けを完全になくす必要はありません。

色に加えて、次の情報を併用します。

  • 文字や色名
  • 番号
  • 形や模様
  • 配置や順番
  • 太線、下線、枠線
  • 音や振動
  • チェックリスト

例えば、赤と緑のランプだけで状態を示すのではなく、「運転」「停止」という文字や異なる形を加えます。Excelでは、色を塗るだけでなく、記号、項目名、フィルター、セル内の文字を併用します。

実際の作業環境を確認する

見え方は、照明、画面の明るさ、対象物の大きさ、色の鮮やかさ、作業速度によっても変わります。明るい会議室では見分けられても、暗い作業場や小さなLEDでは見分けにくいことがあります。

机上の説明だけで決めず、実際の作業環境で、どの方法なら確実に確認できるのかを一緒に検討します。

誰が相談を受け、誰が判断するのか

本人から「この表示が見分けにくい」と相談があったとき、現場リーダーだけに対応を任せると、判断が属人化します。

企業では、

  • 誰が相談を受けるのか
  • 誰が業務上の影響を確認するのか
  • 誰が表示や手順の変更を判断するのか
  • 安全担当や人事へ戻す条件は何か
  • 変更後の方法をいつ見直すのか

を整理しておくことが重要です。

色覚特性への対応は、本人だけの配慮ではない

色覚特性への対応というと、「本人が色を間違えないように注意する」「わからないときは周囲に聞く」という方法が考えられがちです。しかし、本人の注意力だけに頼る方法では、急いでいるとき、疲れているとき、担当者が変わったときに、同じ問題が繰り返されます。

必要なのは、本人に気をつけてもらうことだけではありません。色だけに依存した仕事の設計を見直し、誰が見ても確認しやすい方法へ変えることです。

これは、色覚特性のある社員だけに役立つ対応ではありません。画面の見え方、照明、加齢、疲労、印刷状態、外国人社員への伝達など、さまざまな違いがある職場で、ミスを減らすことにつながります。

管理職や現場リーダーに必要なのは、特性の暗記ではない

管理職や現場リーダーに必要なのは、色覚特性の分類や、見分けにくい色の組み合わせをすべて暗記することではありません。

必要なのは、部下やメンバーから「見分けにくい」「判断しにくい」と相談があったときに、

  • どの仕事で困っているのか
  • 期待する成果は何か
  • どの情報が色だけで示されているのか
  • 別の確認方法に変えられるのか
  • 現場で判断してよい範囲はどこまでか
  • どの条件で人事や安全担当へ相談するのか

を整理することです。

特性を理解することは大切です。しかし、知識を得ただけでは、仕事の指示や確認方法は変わりません。特性理解を、仕事、役割、判断、運用の設計へつなげることが必要です。

多様な人が働く現場のマネジメント研修

障害特性を知るだけで終わらず、仕事の指示、確認方法、役割分担、判断範囲、相談の戻し方を、実際の職場のケースから整理します。色覚特性に限らず、見え方や理解の仕方、伝わり方が異なるメンバーと働く管理職・現場リーダーのための研修です。

色覚特性を補う方法

色を見分けるためのスマートフォンアプリ、色名が表示された文具、画面設定、フィルターなどが、確認を助ける場合があります。

ただし、先天性の色覚異常を治療して、一般的な色覚と同じ見え方に変える科学的に確立された治療法があるわけではありません。補助ツールは、色の識別や確認を助けるものとして、自分の見え方や仕事内容に合わせて使用します。

職場では、個人のツールだけに頼るのではなく、文字、形、番号、位置、チェック方法を併用することが重要です。

よくある質問

Q:色覚特性があることを、採用面接で伝える必要がありますか

すべての仕事について、一律に伝えなければならないとは言えません。ただし、希望する仕事で色の識別が安全や品質に大きく関係し、自分が困る可能性がわかっている場合は、具体的な業務と確認方法について相談することが役立つ場合があります。

「色覚異常があります」とだけ伝えるよりも、「小さな赤と緑のランプは見分けにくいですが、文字表示があれば確認できます」のように、仕事との関係から伝える方が調整しやすくなります。

Q:企業は採用時に色覚検査を行えますか

色覚検査は、雇入時健康診断の必須項目ではありません。業務との関連を確認せず、すべての応募者へ一律に検査を行うことは適切ではありません。

業務上、検査が必要だと判断する場合は、職務との関連性を明確にし、応募者や労働者へ目的を説明したうえで、本人の同意に基づいて実施することが望まれます。

Q:色覚特性があると、身体障害者手帳の対象になりますか

先天性の色覚特性があることだけで、身体障害者手帳の対象になるわけではありません。身体障害者手帳における視覚障害は、主に視力や視野の認定基準に基づいて判断されます。

ほかの眼疾患や視力・視野の障害がある場合は、眼科や自治体の窓口へ確認してください。

Q:色覚特性があると就けない職業がありますか

一部の資格や職種では、安全上の理由などから色の識別に関する基準が設けられている場合があります。ただし、基準は職種、資格、採用区分などによって異なり、変更されることもあります。

希望する職業の最新の募集要項や資格基準を、実施機関の公式情報で確認してください。

Q:色覚特性用の眼鏡を使えば、問題はなくなりますか

レンズやフィルターによって、特定の色の区別を助けられる場合はあります。ただし、すべての人が同じ効果を得られるわけではなく、先天性の色覚特性そのものを治療するものではありません。

安全や品質に関わる仕事では、補助具だけに依存せず、文字、形、番号、手順、複数人での確認などを組み合わせてください。

まとめ

色覚特性があることだけを理由に、就職や採用が一律に制限されるものではありません。大切なのは、「色覚異常があるか、ないか」だけを見ることではなく、実際の仕事で何を色によって判断しているのかを確認することです。

企業は、色覚特性のある人を採用できるかという一括した判断をするのではなく、

  • 色の識別は本当に職務上の必須要件か
  • 色以外の情報を併用できないか
  • 実際の作業環境ではどのように見えるのか
  • 誰が相談を受け、誰が変更を判断するのか
  • 変更した方法をいつ見直すのか

を整理する必要があります。

色覚特性への対応は、本人だけに注意を求めることではありません。色だけに依存した指示、表示、確認、安全管理を見直し、誰にとっても判断しやすい仕事へ変えることです。

それは、色覚特性のある社員への個別対応にとどまらず、多様な人が間違いにくく、働きやすい組織をつくることにつながります。

参考資料

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