「なぜ、障害者雇用が難しいのか?」を20年にわたり、教育、企業、研究者の視点から研究し続けてきました。
障害者雇用にはじめて関わったのは、民間の教育機関で知的障害や発達障害の学生の進路を担当したときでした。当時、教員として接していた不登校経験のある学生の不登校の原因は、一見しただけではわからない知的な遅れや発達障害でした。理解ある環境で学ぶと、学生たちは元気になり、学校に来れるようになります。
そして、次のステップとなる進学や就職。しかし、ここには大きな壁が立ちはだかっていました。一般の就職活動が難しい学生には障害者枠での進路をサポートしていきます。多くの企業では、障害者雇用率が達成できていないこともあり、「うちの会社では、障害者雇用を積極的にするから。」と言ってもらうのですが、実際に就職してもしばらくするとすぐに退職する学生が続出・・・。
何が原因なのかを観察すると、面接などで話をしていた役員やマネジメント層の人は障害者雇用をしたいと思っていましたが、障害者と直接一緒に働く職場の人にそれが全く伝わっていなかったのです。中には、担当者に採用の直前や実習の当日に知らせていることもありました。担当者と紹介された社員の方が、困惑や戸惑ってしまっているのが手に取るようにわかりました。
障害者が働くというと、障害者本人がスキルや資格を取ることをイメージする人は多いと思います。もちろんこれらも大事ですが、障害者雇用を組織で進めるためには、受け入れる企業側の理解が欠かせません。そして、職場で理解ある環境を整えていくためには、組織としてどのような障害者雇用をしていくのかという方針が明確になっており、体制づくりをしていくことが必要です。
200社以上の障害者雇用の企業のコンサルや研修に携わり、障害者雇用でうまくいっている企業の特徴や事例などを実践レベルで教えてきました。一言で「障害者雇用」と言っても、組織の障害者雇用の考えはさまざまで、雇用される障害者の障害種別や背景、能力もいろいろです。特に業種や社風に合わせた雇用を進めていかないと、一緒に働く社員も雇用される障害者も不幸になってしまうことが少なくありません。
組織に合わせた障害者雇用を実現する伴走型コンサルをしています。
教員、企業、研究者、企業を支援するコンサルタントといろいろな視点から障害者雇用や取り巻く企業、行政、福祉機関、当事者、当事者の家族と接してきました。次のような点を中立的な立場からお話できます。
・障害者雇用の動向と変化
・障害者雇用の取り組みや成功している企業の特徴
・障害者枠で就職を希望する人材の特徴や動向
・障害者雇用を取り巻く就労系福祉サービスの動向と変化
・雇用する障害者向けの合理的配慮(障害者雇用促進法)
・一般的な障害者向けの合理的配慮(障害者差別解消法)
障害者雇用を社内で進めるのが難しいと、障害者雇用に代行ビジネスを活用していました。しかし、コストがかさむことや、上がり続ける障害者雇用率に備えて、自社内での障害者雇用に取り組むことにしました。
障害者の職務分析を行い、IT企業としての強みを活かした職務を創出。
適性の合う人材を採用できる企業実習体制の構築と研修プログラムの開発。
職場のバリアフリー化やITツールのアクセシビリティ改善など、環境整備を実施。
自社採用への切り替えにより、障害者の職場定着率が向上し、業務効率も改善。
社員の障害者に対する理解と協力意識が向上し、社内のダイバーシティ推進に寄与。
取り組み方や教育により、適性のある人材を育成しようとする風土が高まった。
社内で障害者雇用はしていたものの、上がり続ける障害者雇用率に対応するため障害者雇用全体の見直しを図ったところ、障害者法定雇用率の達成と、企業の社会的責任を果たすために、特例子会社の設立を決定しました。特例子会社の設立により、障害者の雇用機会を拡大し、より多様な人材を活用することを目指しました。
特例子会社の設立にあたり、障害者が活躍できる職務を創出。
特例子会社と本体の障害者雇用の役割や仕事内容を明確化。
障害者の採用ルートを複数確保、採用までのプロセスづくり。
職場環境を整備し、専門職を配置して、障害者のサポート体制を強化。
特例子会社の設立により、法定雇用率を達成するとともに、障害者が安心して働ける環境を提供。
親会社も含めた障害理解に関する研修を複数回実施し、社内全体で障害者に対する理解が進んだ。
・ABEMA Prime「障害者と仕事」(2020.11.19)
・DIAMOND online「障がい者解雇」の過酷な実態、コロナ禍で深刻化(2021.3.4)
・indeed「障害者の法定雇用率引き上げとは? 障害者雇用の基礎知識と注意点」(2021.6)
・indeed「BCP(事業復旧計画)を障害者雇用に対応させる際のポイント」(2021.7)
・The Human Story
・WelSearch【中小企業向け】障害者雇用でうまくマネジメントする秘訣(2021.7)
・indeed「企業在籍型ジョブコーチとは?概要や助成金について」(2021.12)
・経営と人材をつなげるビジネスメディア マイナビサポネット「新卒で障がい者雇用を行う企業側のメリットと、その導入方法(2022.2)
・弁護士ドットコム「障害者雇用「代行ビジネス」と呼ばないで 受け皿の農園を展開する業者の本音」(2023.2)
・NHK ニュースウオッチ9「働きたい障害者と企業をつなぐためには」(2023.6)
・NHK おはよう日本「障害者雇用率引き上げへ “活躍の場広げたい”企業の模索」(2023.7)
・indeed「障害は、社会が生み出している?「社会モデル」の考え方」(2024.3)
・産経新聞「障害者に「活躍の場」で雇用拡大 コーヒーチェーンが新規商品用の焙煎所立ち上げ」(2024.6.26)
・「障がい者雇用で輝く会社」『りそなーれ』りそな総合研究所(2024.7)
・「障害者雇用の実務ポイント」『BUSINESS TOPICS NO.256』みずほリサーチ&テクノロジーズ(2024.1)
・「Q&Aで理解!障害者差別解消法と合理的配慮に関する基礎知識」バンクビジネス 2023年9月号
・「障がい者雇用の質を高める」月刊総務(2023年10月号)
・「合理的配慮がカギ 障害者差別解消法の改正について理解しよう」バンクビジネス 2023年3月号
・「精神障がいのある人と一緒に気持ちよく働くためにできる職場づくり」『地方自治みえ』第363号(2022年9月)
・「手にとるように障害者雇用がわかる本 コレを読めばたった2時間で基礎基本が理解できる」(2022.9)
月刊誌「改革者」2022年12月号の短評で紹介されました。
・「障害者雇用は企業にとって負担なのか? 新たな視点から考えてみる」(2022) WEB労政時報Point of view – 第205回
・「障害者の就労支援体系の在り方~特別支援教育と障害者手帳を持たない生徒・学生の進路に関する現状と支援課題~」(2022) 職業リハビリテーションvol35 No.2
・「コロナ禍における障害者雇用の現状と課題~企業に求められるこれからの障害者雇用とは~」働く広場(2022年4月号)
・「障害者雇用に与えたコロナ禍の影響と今後の障害者雇用に期待されること」月刊統計(2022年1月号)
・「合理的配慮の提供促進等に活用できる助成金・補助金」ビジネスガイド(2021年10月号)
・「Withコロナ、Afterコロナにおける障がい者雇用」(月刊総務2021年9月号)
・「中小企業の経営者が知っておくべき障害者雇用」(2021.8)【Amazonランキング 人事・労務管理1位】
・「障害者雇用をめぐる現状と今後の展望」(都市問題2021年7月号)
・「これからの時代、障害者枠で働くために求められること」(2021.5)【Amazonランキング 人事・労務管理1位】
・「これからの障害者雇用はどうなるのか コロナ禍の影響と今後に向けて企業が行なうべき事」(2021.1)【Amazonランキング 企業倫理1位】
・「よくわかる障害者福祉[第7版]」(2020)、小澤温編、ミネルヴァ書房、(「ジョブコーチの活動と役割」について執筆)
・「今知っておきたい障害者雇用 サテライトオフィスサービス」ビジネスガイド(2020.2)
・「最前線で働く特別支援教育のプロが教えます! みつめる つたえる ふりかえる キャリア・パスポート」福安 彬・松井優子(2019.12)【Amazonランキング 学習指導1位】
・「特例子会社の設立を考えたら必ず読む本」(2019.10)、【Amazonランキング 労働政策1位】
・「障害者雇用アドバイザーが教える障害者枠で働きたい人が知っておくべき就活の基本」(2019.9)、【Amazonランキング 人事・労務管理1位】
・「はじめての企業でもできる障害者雇用を成功させるための5つのステップ」(2019.8)、【Amazonランキング 労働政策1位】
・「特例子会社における知的障害者とともに働く企業内ジョブコーチのコンピテンシーの構成要素の解明」(2019)、発達障害研究第40巻4号(2)
・「特例子会社における知的障害者とともに働く同僚・上司に求められるコンピテンシーに関する研究」(2018)、発達障害研究第40巻3号
・「精神障害者が職場定着するために必要なポイント:企業、支援機関の視点から」(2018)、リハビリテーション連携科学第19巻1号
・「日本における知的障害者の就労の動向と課題に関する文献研究」(2018)、国立特別支援教育総合研究所研究紀要第45巻
・「タイ教育省主催「特別支援教育に関する国際シンポジウム」の報告 障害児教育と障害者就労の現状と今後の課題」(2018)、国立特別支援教育総合研究所ジャーナル 第7号
・「特例子会社における知的障害者とともに働く同僚・上司の職務満足感に関する研究」(2018)、発達障害研究40巻1号
・「米国における通常の学校での多層的な支援の実際」(2017)、特別支援教育No67
・「特例子会社における組織運営」(2017)、発達障害研究39巻4号
・「特例子会社における知的障害者と働く従業員の職務に関する研究」(2016)、筑波大学大学院生涯発達科学博士論文
・「よくわかる障害者福祉[第6版]」(2016)、小澤温編、ミネルヴァ書房、(「ジョブコーチの活動と役割」について執筆)
・「知的障害者を雇用する特例子会社で働く雇用管理者の意識変容課程」(2015)、リハビリテーション連携科学16巻1号
・「知的障害者を雇用する特例子会社の現状と課題」(2011)、発達障害研究33巻4号
・「企業の障害者雇用を促進するための戦略的研究」第3章「大企業における障害者雇用 -特例子会社をめぐって-」
(2007)、横浜市立大学平成18年度地域貢献促進費課題採択研究
・「ヒトがいきる経営」第8章「企業における障害者雇用の現状と推移 モジュール化による業務設計をめぐって」(2008)、学文社