精神障害者雇用で急な欠勤が起きる理由|体調不良のサインと職場対応

精神障害者雇用で急な欠勤が起きる理由|体調不良のサインと職場対応

2025年07月6日 | 障害別の特性・配慮

担当者が頑張るほど、 組織が止まる

 

障害者雇用を組織の力に変える5日間

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「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2026年7月7日更新

「昨日まで普通に働いていたのに、急に休んだ」

「体調不良と連絡が来たけれど、職場では元気そうに見えていた」

「また急に休まれるのではないかと思うと、仕事を任せるのが不安になる」

精神障害のある社員と一緒に働く職場では、このような相談を受けることがあります。現場から見ると、欠勤は突然起きたように見えるかもしれません。

しかし、本人の中では、疲労、不安、緊張、睡眠の乱れ、対人ストレスなどが少しずつ積み重なり、限界を超えた結果として欠勤になっていることがあります。
大切なのは、「なぜ急に休むのか」と本人を責めることではありません。

急な欠勤が起きる前に、どのようなサインがあったのか。本人は不調を言葉にできていたのか。職場に相談しやすい基準があったのか。業務量や勤務時間に無理はなかったのか。

精神障害者雇用で健康管理に迷うときは、本人の自己管理だけに任せず、職場として確認できる仕組みを整えることが必要です。

この記事でわかること

精神障害者雇用で急な欠勤が起きるとき、それは本人の気分やわがままだけで起きているとは限りません。本人の中では、不調や疲労が少しずつ積み重なっていても、職場には見えにくいことがあります。
この記事では、体調不良のサイン、職場が確認すべきポイント、本人任せにしない健康管理の考え方、現場と人事で整える相談基準について解説します。

精神障害者雇用で「急に休む」と感じる理由

精神障害のある社員の欠勤は、職場から見ると突然に見えることがあります。

前日まで普通に働いていた。特に相談もなかった。大きなトラブルも見当たらなかった。それなのに、翌朝「体調不良のため休みます」と連絡が来る。

このようなことが続くと、現場は不安になります。

「本当に体調不良なのか」「事前に言ってくれれば対応できたのに」「また同じことが起きるのではないか」そう感じるのは自然なことです。

ただし、本人にとっても欠勤は突然ではないことがあります。

眠れない日が続いていた。出勤前の不安が強くなっていた。職場で普通に振る舞うだけで疲れていた。仕事のミスを気にして、気持ちが張りつめていた。人間関係の小さなストレスをため込んでいた。本人の中では少しずつ不調が進んでいても、それが職場には見えにくいことがあります。

そのため、職場が見るべきなのは、欠勤という結果だけではありません。欠勤に至る前の小さな変化や、相談できなかった構造に目を向けることが大切です。

精神障害の不調は、見えにくいことがある

精神障害のある人の不調は、外から見えにくいことがあります。

発熱やけがのように、見た目でわかるとは限りません。本人が笑顔で対応していても、内側ではかなり無理をしていることがあります。「大丈夫です」と言っていても、本当に大丈夫とは限りません。

精神障害のある社員が不調を伝えにくい背景には、いくつかの理由があります。

  • 自分の疲労や不調に気づきにくい
  • 限界が来るまで無理をしてしまう
  • 迷惑をかけたくないと思い、相談をためらう
  • 「また休むのか」と思われることを恐れる
  • 不調をどう説明すればよいかわからない
  • 周囲の期待に応えようとして、平気そうに振る舞う

特にまじめで責任感のある人ほど、不調を早めに伝えられないことがあります。

本人の中では「休みたい」のではなく、「休まないように頑張らなければ」と思っている場合もあります。その結果、限界まで頑張り、ある日出勤できなくなる。

職場から見ると急な欠勤に見えますが、本人の中では限界に近づいていた可能性があります。

急な欠勤の前に出やすいサイン

精神障害のある社員が不調に向かっているとき、はっきりと「体調が悪い」と言わないことがあります。

その代わり、日常の小さな変化としてサインが出ることがあります。

見えやすい変化 背景にある可能性 職場で確認したいこと
挨拶や返事がいつもより短い 疲労や緊張が強くなっている 最近の業務量や睡眠状況に無理がないか
作業ペースが乱れる 集中力の低下や焦りが出ている 優先順位や作業量が明確か
ミスや確認漏れが増える 注意力が落ちている可能性がある チェック方法や作業手順を見直せるか
休憩の取り方が変わる 疲れを調整しようとしている 休憩や勤務時間の調整が必要か
「大丈夫です」を繰り返す 困っていることを言い出せない 相談しやすい聞き方や場があるか

こうしたサインは、必ず不調を意味するわけではありません。

ただし、普段と違う状態が続く場合は、「本人がだらけている」と見る前に、何か負荷がかかっていないかを確認する視点が必要です。

「何も言わない」は、大丈夫という意味ではない

精神障害者雇用でよく起きる誤解のひとつに、「本人が何も言ってこないから大丈夫だろう」というものがあります。

しかし、何も言わないことが、必ずしも大丈夫という意味とは限りません。相談すること自体にエネルギーが必要な人もいます。何をどう伝えればよいかわからない人もいます。「体調が悪い」と言うことで、評価が下がるのではないかと不安になる人もいます。

また、過去に不調を伝えたときに十分に受け止めてもらえなかった経験があると、次から相談しにくくなることもあります。そのため、職場では「何かあれば言ってください」だけでは足りない場合があります。

本人が言えることを待つだけでなく、言いやすい仕組みやタイミングを用意することが大切です。

健康管理を本人任せにしない

精神障害者雇用では、健康管理をどこまで会社が関わるべきか迷うことがあります。

もちろん、体調管理のすべてを会社が担うことはできません。医療的な判断は、主治医や医療機関の領域です。

ただし、職場で働くうえで必要な確認を、すべて本人任せにしてしまうと、急な欠勤や不調の悪化につながりやすくなります。

会社が確認すべきなのは、病気の詳しい内容ではありません。働くうえで、どのような条件なら安定しやすいかです。

たとえば、次のようなことです。

  • 勤務時間や勤務日数に無理がないか
  • 業務量が本人の状態に合っているか
  • 相談する相手が決まっているか
  • 不調のサインを本人と共有できているか
  • 欠勤や遅刻が続く場合の相談基準があるか
  • 現場だけで判断せず、人事に共有する流れがあるか

精神障害者雇用の健康管理は、本人の自己管理だけでも、会社の抱え込みだけでもうまくいきません。

本人、人事、管理職、現場が、それぞれの役割を整理することが必要です。

職場でできる基本対応

急な欠勤を完全になくすことはできません。

誰にでも体調の波はあります。

大切なのは、休まないことだけを目標にするのではなく、休む前に相談できる状態をつくることです。

1. 体調を言葉にする仕組みをつくる

精神障害のある社員の中には、自分の状態を言葉にすることが苦手な人もいます。

その場合、「調子はどうですか」と聞かれても、「大丈夫です」と答えてしまうことがあります。そこで、体調を簡単に共有できる仕組みをつくると、相談のハードルが下がります。

たとえば、出勤時に3段階で体調を確認する、ミニ日報に疲労度を書く欄をつくる、1on1で業務の話の前に体調を確認するなどの方法があります。

ただし、体調チェックや面談を入れれば、それだけで解決するわけではありません。本人の状態、業務内容、現場の受け入れ体制によって、必要な確認方法は変わります。

2. 欠勤・遅刻の前に相談できる基準を決める

急な欠勤が続く職場では、本人も現場も「どの段階で相談すればよいのか」が曖昧になっていることがあります。

本人は「まだ大丈夫」と思って無理をする。現場は「本人から言ってこないから大丈夫」と考える。その結果、限界を超えて欠勤になることがあります。そのため、あらかじめ相談基準を決めておくことが大切です。

たとえば、「睡眠不足が続いたら相談する」「出勤前に不安が強い場合は連絡する」「作業中に集中できない状態が続く場合は担当者に伝える」などです。相談基準があると、本人も「この状態なら相談してよい」と判断しやすくなります。

どのような基準にするかは、本人の状態や職場の業務内容によって変わります。一律のルールにするのではなく、自社の業務に合わせて調整することが必要です。

3. 業務量や勤務時間を見直す

体調不良や急な欠勤が続く場合、本人の努力だけで解決しようとしないことが大切です。

勤務時間が長すぎるのかもしれません。業務量が多すぎるのかもしれません。急な変更が多い業務が負担になっているのかもしれません。複数の人から指示が出ることで混乱しているのかもしれません。その場合は、本人への声かけだけでなく、業務や勤務条件を見直す必要があります。

短時間勤務から始める、勤務日数を段階的に増やす、優先順位の高い業務に絞る、指示者を一人にするなどの調整が考えられます。

調整の方法は会社ごとに異なります。大切なのは、「どこまで配慮するか」ではなく、「本人が働き続けるために何を調整し、現場が無理なく支えられる範囲はどこか」を整理することです。

「休まないこと」だけを目標にしない

企業としては、安定して出勤してほしいと考えるのは当然です。急な欠勤が続くと、業務調整や周囲の負担が発生します。そのため、「できるだけ休まないでほしい」と思うこともあるでしょう。

ただし、精神障害者雇用では、「休まないこと」だけを目標にすると逆効果になることがあります。

体調が悪くても我慢して出勤する。相談できずに無理を続ける。限界を超えて、長期欠勤や離職につながる。このような流れになることがあるからです。

大切なのは、休まないことだけではありません。

無理なときに早めに相談できること。休む必要があるときに、状況を共有できること。戻るときに、職場に戻りやすい関係があること。これらが、長く働き続けるためには重要です。

現場だけで抱え込まない

急な欠勤や体調不良への対応を、現場だけで抱えると負担が大きくなります。

本人への声かけ、業務調整、周囲への説明、欠勤時のフォロー。これらを現場管理職や一部の社員だけが担うと、対応が属人的になります。

また、現場だけで判断していると、配慮の範囲が曖昧になりやすくなります。

ある日は勤務時間を短くする。別の日は通常どおり求める。ある管理職は声をかける。別の管理職は何も言わない。このように対応が変わると、本人も現場も混乱します。

そのため、体調不良や欠勤が続く場合は、人事、管理職、現場で情報を整理する必要があります。

確認したいのは、次のような点です。

  • 欠勤や遅刻の頻度はどの程度か
  • 欠勤前にどのようなサインがあったか
  • 業務量や勤務時間に無理はないか
  • 本人が相談できる相手はいるか
  • 現場がどこまで対応するか決まっているか
  • 人事が関わるタイミングは決まっているか
  • 支援機関や医療機関との連携が必要か

職場の健康管理は、現場の善意だけで続けるものではありません。組織として、誰が何を判断するのかを整えることが大切です。

自社の場合、どこで判断が止まっているかを確認する

急な欠勤への対応では、「本人が休まないようにする」ことだけを考えると、現場が苦しくなります。

大切なのは、欠勤が起きたときに、本人、現場、人事がどこで判断に迷っているのかを確認することです。

確認したいこと よくある状態 見直すべき判断
相談基準 本人が限界まで言い出せない どの状態なら相談するか
現場の役割 管理職や同僚が善意で抱えている 現場が対応する範囲はどこまでか
人事の関与 欠勤が続いてから人事に共有される どの段階で人事が入るか
業務量 本人の努力で何とか続けている 業務量や勤務時間に無理がないか
欠勤後の戻り方 休んだ後に戻りづらくなる 復帰時の声かけや業務調整をどうするか

この表のどこかに当てはまる場合、急な欠勤は本人の体調だけの問題ではなく、組織の判断基準が曖昧になっている可能性があります。

人事・現場・本人で共有したい判断基準

精神障害者雇用で健康管理を安定させるには、人事、現場、本人の間で判断基準を共有することが必要です。

判断すること 確認したい内容 決めておきたいこと
体調不良の相談 どの状態なら相談するか 相談のタイミングと相談先
欠勤・遅刻の連絡 いつ、誰に、どう連絡するか 連絡ルールと業務引き継ぎ方法
業務量の調整 どの業務が負担になっているか 調整できる業務と調整できない業務
勤務時間の見直し 勤務継続に無理がないか 短時間勤務や段階的な増減の基準
人事への共有 現場だけでは判断が難しい状態か 人事が関わるタイミング

このような基準があると、急な欠勤が起きたときにも、場当たり的な対応になりにくくなります。

本人も、「どの状態なら相談してよいのか」がわかりやすくなります。現場も、「どこまで自分たちで対応し、どこから人事に共有するか」を判断しやすくなります。ただし、どの基準をどう設けるかは、会社ごとに異なります。

業務内容、勤務時間、現場の人員体制、本人の状態、支援機関との関係によって、必要な設計は変わります。一般的な対応方法をそのまま当てはめるのではなく、自社の状況に合わせて判断基準を整えることが大切です。

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まとめ

精神障害のある社員の急な欠勤は、職場から見ると突然に見えることがあります。

しかし、本人の中では、疲労、不安、緊張、睡眠の乱れ、業務負荷などが少しずつ積み重なっていた可能性があります。

大切なのは、「なぜ急に休むのか」と責めることではありません。

欠勤に至る前に、どのようなサインがあったのか。本人は不調を言葉にできていたのか。職場に相談しやすい基準があったのか。業務量や勤務時間に無理はなかったのか。こうした点を確認することです。

急な欠勤への対応で難しいのは、本人に声をかけることだけではありません。

どの状態なら本人から相談してもらうのか。どこまでを現場で対応し、どこから人事が関わるのか。業務量や勤務時間を見直す判断は誰が行うのか。この基準が曖昧なままだと、本人も現場も不安を抱えたまま働き続けることになります。

精神障害者雇用の健康管理は、本人任せにも、現場の善意任せにもできません。本人、人事、管理職、現場が同じ基準を持ち、相談しやすい仕組みをつくることが必要です。

急な欠勤をゼロにすることだけを目指すのではなく、休む前に相談できる職場をつくる。そのために、自社ではどのサインを見ればよいのか、どのタイミングで相談につなげるのかを整理しておくことが大切です。

よくある質問

Q1. 精神障害のある社員が急に休むのは、本人の自己管理不足ですか?

必ずしもそうとは限りません。

本人の中では疲労や不安が少しずつ積み重なっていても、職場には見えにくいことがあります。

もちろん、勤務上必要な連絡や相談のルールは大切です。ただし、本人の自己管理だけに任せず、早めに相談できる基準や仕組みを整えることも必要です。

Q2. 体調不良のサインにはどのようなものがありますか?

挨拶や返事が短くなる、作業ペースが乱れる、ミスが増える、休憩の取り方が変わる、「大丈夫です」を繰り返すなどの変化が見られることがあります。

ただし、これらだけで体調不良と決めつけるのではなく、普段との違いとして確認することが大切です。

Q3. 会社はどこまで健康管理に関わればよいですか?

会社が医療的な判断をする必要はありません。

確認するのは、勤務時間、業務量、休憩、相談先、欠勤時の連絡方法など、仕事を続けるうえで必要な条件です。

必要に応じて、本人の同意を得たうえで支援機関や医療機関と連携することもあります。

Q4. 急な欠勤を減らすにはどうすればよいですか?

欠勤を完全になくすことは難しい場合があります。

大切なのは、欠勤する前に相談できる状態をつくることです。

体調チェック、定期面談、相談基準、業務量の見直しなどを通して、不調を早めに共有できる仕組みを整えることが有効です。

Q5. 現場だけで対応するのが難しい場合はどうすればよいですか?

人事や管理職に早めに共有し、対応基準をそろえることが大切です。

欠勤や遅刻の頻度、業務量、本人の状態、これまでの対応、現場で判断に迷っている点を整理して共有すると、組織として対応しやすくなります。

精神障害者雇用の健康管理を、現場だけで抱えていませんか
精神障害のある社員の急な欠勤や体調不良は、本人の自己管理だけでは整理しきれないことがあります。大切なのは、勤務時間、業務量、相談基準、現場と人事の役割分担を整理し、早めに相談できる仕組みをつくることです。
30分相談では、現在の状況を伺いながら、自社の場合はどこに判断の迷いが生じているのか、どの基準から整えるとよいのかを一緒に確認します。

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