職場のすれ違いはなぜ起きる?配慮が伝わらない理由

職場のすれ違いはなぜ起きる?「配慮したつもり」が伝わらない理由

2026年05月7日 | チームで進める障害者雇用

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2026年8月29日更新

「本人の負担を減らした方がよいと思って、仕事を少し減らした」管理職としては、本人のことを考えて行った対応だったかもしれません。

ところが本人は、「仕事を任せてもらえなくなった」「期待されていないのかもしれない」と受け取ることがあります。

管理職には悪意がない。本人も、わざと悪く受け取ろうとしているわけではない。それでも、職場ではすれ違いが起こります。

職場のすれ違いは、どちらかが間違っているから起きるとは限りません。同じ出来事を、それぞれが違う前提・期待・意味で捉えていることで起きることがあります。

「もっとコミュニケーションを取ろう」とする前に、何が起きたのか、なぜその対応をしたのか、相手はどう受け取ったのかを分けて考えることが重要です。

この記事でわかること
  • 悪意がなくても職場ですれ違いが起きる理由
  • 「配慮した」「仕事を外された」など意味づけが違うことで起きるズレ
  • 相手の状態を「察する」ことだけで対応を決めるリスク
  • 上司と本人の期待が言葉になっていないときに起こること
  • すれ違いが起きたときに確認したい4つの視点

誰も悪くないのに、職場ですれ違いが起きる理由

職場ですれ違いが起きると、「もっと相手のことを理解した方がよい」「本人にも職場の事情を理解してもらう必要がある」と考えることがあります。

もちろん、お互いの状況を知ることは重要です。しかし、すれ違いは単純な「理解不足」だけで起きるわけではありません。

例えば、管理職が本人の仕事を減らしたとします。

管理職にとっては、「無理をさせないための配慮」かもしれません。

一方、本人にとっては、「自分には仕事を任せられないと判断された」という意味になるかもしれません。起きている出来事は同じです。しかし、その出来事に付けている意味が違います。

ほかにも、「声をかけなかった」という同じ行動が、管理職には「集中を邪魔しないため」、本人には「放置された」と受け取られることがあります。

「細かく確認した」という行動も、上司には「困らないように支援した」、本人には「信用されていない」という意味になることがあります。

すれ違いを見るときには、何が起きたかだけでなく、「その出来事を双方がどう意味づけているか」を確認する必要があります。

すれ違いの原因1|「きっとこうだろう」と相手の状態を推測する

職場では、相手を思いやるために、その人の状態を察して行動することがあります。

「今日は疲れていそうだ」「この仕事は負担が大きそうだ」「本人からは言いにくいのかもしれない」こうした推測そのものが悪いわけではありません。

問題になるのは、推測した内容を本人に確認しないまま、仕事や対応を変えてしまうことです。

例えば、「疲れていそうだから今日は仕事を減らしておこう」と管理職が判断したとします。本人が実際に負担を感じていれば、助かるかもしれません。
しかし本人が、「少し疲れているけれど、この仕事は最後まで担当したかった」と考えていたのであれば、同じ対応でも受け取り方は変わります。

相手を思う気持ちがあるほど、「きっとこうした方がよいだろう」と先回りしてしまうことがあります。

だからこそ、「そう見えたこと」と「本人が実際にどう考えているか」を分けることが重要です。

すれ違いの原因2|お互いの「期待」が言葉になっていない

職場では、明文化されていない期待がたくさんあります。

例えば上司は、「困ったときには自分から相談してほしい」と思っている。一方、本人は、「できるだけ自分で解決しないと評価が下がる」と考えているかもしれません。

その場合、本人が相談しないことを上司は、「なぜ早く相談しなかったのか」と受け取ります。本人は、「自分で何とかしようとしていた」という認識かもしれません。

ほかにも、上司は「少しずつ仕事を増やしていく予定」と考えている。本人は「今担当している範囲が、自分に期待されている正式な仕事」だと思っている。

こうした期待が共有されていないと、しばらく問題が起きなくても、ある時点ですれ違いとして表面化します。

「普通なら分かるだろう」と思っていることほど、実は言葉になっていないことがあります。

何を期待しているのか。
どこまで任せたいのか。
いつ相談してほしいのか。
今後どうしていきたいのか。

必要なことは、期待として言葉にしておくことが重要です。

すれ違いの原因3|同じ行動でも、相手によって意味が変わる

職場ですれ違いを減らすには、「何をしたか」だけを見るのでは不十分です。同じ行動でも、その背景や受け取り方によって意味が変わるからです。

例えば、

仕事を減らす

管理職:「負担を軽減した」

本人:「仕事を任せてもらえなくなった」

細かく声をかける

管理職:「困らないように支援している」

本人:「監視されているように感じる」

本人に任せる

管理職:「信頼して任せている」

本人:「何も教えてもらえず放置された」

手順を細かく伝える

管理職:「分かりやすく伝えている」

本人:「自分には判断能力がないと思われている」

どちらかが間違っているとは限りません。

問題は、それぞれが自分の意味づけを当然のものとしていると、相手の受け取り方に気づきにくいことです。

自分の意図と、相手が受け取った意味は同じとは限りません。ここを分けて考えることが、すれ違いを整理する第一歩になります。

「良かれと思って」が一方向になると、すれ違いやすい

障害者雇用では、「本人に無理をさせないようにしたい」「困らないようにサポートしたい」「できるだけ働きやすくしてあげたい」という善意から対応することがあります。

その気持ち自体が問題なのではありません。

ただし、本人に確認せず、「この人にはこれは大変だろう」「これはやらせない方がよいだろう」と会社側だけで決めてしまうと、本人が求めていたこととズレる可能性があります。

そして、善意で始まった対応であるほど、「本人のためにやっているのに、なぜうまくいかないのか」と原因が見えにくくなることがあります。

配慮や支援をするときには、会社側の意図だけでなく、本人がその対応をどう受け取っているかも確認することが重要です。

また、支援する人が仕事を引き取りすぎたり、本人の代わりに判断し続けたりすると、別の問題につながることもあります。

すれ違いを減らすには、「本人に聞く」だけでも足りない

では、本人に確認すればすべて解決するのでしょうか。

「どうしたいですか」「何か困っていますか」と聞くことは大切です。しかし、それだけでは十分でない場合があります。

本人の希望だけを聞いても、管理職がなぜその対応をしたのか。会社として何を期待しているのか。仕事として何が必要なのか。が共有されなければ、別のすれ違いが起きるからです。

確認したいのは、

  • 実際に何が起きたのか
  • 管理職はなぜその対応をしたのか
  • 本人はその対応をどう受け取ったのか
  • 双方は今後どのような状態を期待しているのか

です。

つまり、一方だけの気持ちを確認するのではなく、「意図」と「受け取り」の両方を見ることが必要です。

「配慮した・された」の話だけにせず、仕事と役割に戻す

すれ違いが起きたとき、「もっと配慮した方がよいのか」「そこまで配慮する必要はないのではないか」という話になりやすいことがあります。

しかし、「配慮する・しない」だけで考えると、本来の仕事の話から離れてしまうことがあります。

例えば仕事を減らすのであれば、何の仕事を担当するのか。どこまで本人に任せるのか。何を成果として期待するのか。一時的な変更なのか。いつ見直すのか。まで確認します。

本人への配慮を考えることと、仕事の期待を曖昧にすることは同じではありません。

むしろ、本人に何を期待しているのかを明確にすることは、「あなたにこの役割を担ってほしい」と伝えることでもあります。

すれ違いが続くときには、人間関係の問題だけを見るのではなく、仕事・役割・期待が共有されているかへ戻ることが重要です。

すれ違いが起きたときに確認したい4つの視点

上司と本人の話が噛み合わないと感じたときは、次の4つに分けてみると整理しやすくなります。

1.事実|何が起きたのか

印象や評価ではなく、実際にどのような出来事があったのかを確認します。

2.意図|なぜその対応をしたのか

管理職や職場側が何を考えて、その行動を選んだのかを確認します。

3.受け取り|相手はどう理解したのか

会社側の意図とは別に、本人がどのような意味として受け取ったのかを確認します。

4.期待|これから何を求めているのか

仕事、役割、相談、配慮などについて、今後それぞれが何を期待しているのかを整理します。

この4つを分けることで、「配慮したのに分かってもらえない」「会社は自分を理解してくれない」という対立だけで終わらず、どこにズレがあるのかを見つけやすくなります。

自社では、こんなすれ違いが起きていませんか
  • 本人に確認する前に「きっとこうだろう」と推測して対応を変えていませんか
  • 会社側が配慮した意図を本人に伝えていますか
  • 本人がその対応をどう受け取ったか確認していますか
  • 仕事や役割について、何を期待しているのか言葉にしていますか
  • 一度決めた対応を、状況が変わってもそのまま続けていませんか
複数の項目で迷う場合は、コミュニケーション量を増やすだけでなく、事実・意図・受け取り・期待のどこでズレが生じているかを確認してみるとよいでしょう。
配慮しているのに、なぜか現場が噛み合わない方へ
障害者雇用の現場では、管理職が本人のためを思って行った対応が、本人には違う意味で受け取られることがあります。
そのたびに個人のコミュニケーション力だけで対応すると、管理職によって対応が変わったり、特定の人が抱え込んだりすることがあります。
マネジメント研修では、障害特性の知識だけでなく、実際の職場ケースをもとに、本人との認識のズレ、仕事や役割の確認、管理職が対応することと会社へ判断をつなぐことなどを整理します。

職場のすれ違いについてよくある質問

Q:すれ違いが起きるのは、コミュニケーション不足だからですか

必ずしも会話の量だけが原因ではありません。

十分に話していても、同じ言葉や出来事をそれぞれが違う意味で受け取っていれば、すれ違いは起こります。

何を話したかだけでなく、双方がどのように理解したのかを確認することが重要です。

Q:本人に確認すれば、すれ違いは防げますか

本人へ確認することは重要ですが、それだけで十分とは限りません。

本人の受け取り方だけでなく、会社側が何を意図していたのか、仕事として何を期待しているのかも共有する必要があります。

Q:「良かれと思って」配慮することは避けた方がよいですか

善意そのものが問題なのではありません。

問題になりやすいのは、本人の状況や希望を確認せず、「本人のため」と会社側だけで対応を決めてしまうことです。

配慮の意図と本人の受け取り方の両方を確認します。

Q:本人が自分から希望を言わない場合は、どうすればよいですか

本人の状態を推測だけで判断するのではなく、仕事上で実際に起きていることをもとに確認します。

「困っていることはありますか」だけでなく、「この仕事ではどこが進めにくいですか」など、仕事との関係から確認すると状況を整理しやすくなります。

Q:一度決めた配慮は、そのまま続けた方がよいですか

状況によって見直すことが必要です。

本人の状態、仕事内容、職場環境は変わることがあります。

何のためにその対応を始めたのかを確認し、現在も同じ対応が必要なのかを一定のタイミングで見直します。

まとめ|すれ違いは、「意図」と「受け取り」の間で起きる

職場のすれ違いは、誰かに悪意があるから起きるとは限りません。

むしろ、本人を思って仕事を減らした。困らないように細かく確認した。信頼して仕事を任せた。という善意や期待のある行動が、相手には違う意味で受け取られることがあります。

そのとき、「せっかく配慮したのに」「会社は分かってくれない」という双方の評価だけで話を進めると、すれ違いは深くなります。

確認したいのは、何が起きたのか。なぜその対応をしたのか。相手はどう受け取ったのか。今後、何を期待しているのか。ということです。

職場のすれ違いを減らすために必要なのは、相手の気持ちをすべて察することではありません。事実・意図・受け取り・期待を言葉にして確認することです。

そして、配慮の話だけで終わらせず、何の仕事を任せ、どのような役割を期待しているのかへ戻る。そうすることで、「誰が悪いか」を探すのではなく、どこにズレがあり、何を調整すればよいのかを考えやすくなります。

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今回の記事では、同じ出来事でも意図と受け取り方が違うことで、誰も悪くないのに職場のすれ違いが生まれる構造を整理しました。認識の合わせ方や、善意の配慮が別の問題につながるケースまで考えたい方は、次の記事もご覧ください。
話しているのに認識が揃わないとき、事実・言葉の意味・期待・合意のどこにズレがあるのかを整理しています。

本人のために仕事を引き取る、代わりに判断するといった善意の支援が、抱え込みや役割の曖昧さにつながる理由を考えます。

すれ違いが職場トラブルとして表面化したとき、本人や障害特性だけを原因にせず、事実・仕事・情報共有・判断・役割から確認する考え方を整理しています。

配慮や支援の前に、本人に何の仕事を任せ、どこまでの役割や成果を期待するのか。雇用の入口から仕事を整理するための視点です。

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