障害者雇用の担当になったが、何をすればいいかわからない、そんな方のために書きました。一人で抱え込む前に知っておいてほしいことです。
「突然、障害者雇用の担当になった」
「前任者から引き継いだが、何も整理されていない」
「人事の専門家でもないのに、なぜ自分が?」
こうした状況に置かれた人は、決して少なくありません。
障害者雇用の担当者は、専任の人事部門ではなく、総務・庶務・現場の管理職が「兼務」で担うケースが多い。しかも、明確なマニュアルも、相談できる上司も、十分な時間も与えられないまま「とりあえずよろしく」と任されることがほとんどです。
この記事は、そういった状況にいる人のために書きました。 何から始めるべきかではなく、なぜ一人で抱え込みやすくなるのか、そしてそこからどう抜け出すかを整理します。
なぜ担当者は孤立するのか
障害者雇用の担当になったとき、多くの人が最初にぶつかる壁は「情報不足」ではありません。
「誰に相談すればいいかわからない」という孤立感です。
上司に相談しても「うまくやって」で終わる
現場に話しても「人事の仕事でしょ」と一線を引かれる
障害のある社員本人には、どこまで聞いていいかわからない
社外の支援機関とどう連携すればいいかも不明
こうして担当者は、誰にも頼れないまま「自分が何とかしなければ」という状態に入っていきます。
しかし、ここで立ち止まって考えてほしいのは、これはあなたの能力の問題ではないということです。
孤立するのは、担当者が弱いからではありません。障害者雇用を「担当者一人の仕事」として設計してしまっている組織の構造の問題です。
「まず何をすればいいか」よりも先に確認すること
担当になったとき、多くの人は「まず何をすればいいか」を調べ始めます。法定雇用率、合理的配慮、就労支援機関との連携……。
しかし、その前に確認すべきことがあります。
① 自分の役割の範囲を決める
障害者雇用の担当者に求められることは、会社によって大きく異なります。採用だけなのか、定着支援まで含むのか、現場への研修も担うのか。これが曖昧なまま動き始めると、気づけばすべてを一人で引き受けている状態になります。
まず「自分はどこまでを担う担当者なのか」を、上司と言語化することが最初の仕事です。
② 社内に巻き込むべき人を特定する
障害者雇用は、担当者一人では回りません。人事、現場の管理職、経営層、場合によっては外部の就労支援機関。それぞれがどの役割を担うのかを整理しないと、担当者にすべてが集中します。
「誰を巻き込むべきか」を考えることが、担当者の最初の設計仕事です。
③ 「正解を出す人」ではなく「整理する人」になる
担当者がやるべきことは、すべての問題を解決することではありません。何が問題で、誰が判断すべきで、どこに相談すべきかを整理することです。
この視点の転換だけで、担当者の負荷は大きく変わります。
担当者が疲弊する本当の理由
障害者雇用の担当者が疲弊するとき、よく言われるのは「配慮が大変だから」「障害のある社員の対応が難しいから」です。
しかし、実際に担当者が消耗している原因のほとんどは、配慮そのものではなく、社内を巻き込めていないことにあります。
現場が協力してくれないため、自分が調整役になり続ける
上司が関与しないため、判断をすべて自分が引き受ける
「障害者雇用=担当者の仕事」という空気が変わらない
この状態が続くと、担当者はどれだけ頑張っても報われない感覚に陥ります。
問題の根っこは、社内を動かす方法を知らないことです。
制度の知識よりも、法律の理解よりも、社内を巻き込む技術の方が、担当者の現場では何倍も重要です。
社内が動かない理由は「無関心」ではない
「上司が動いてくれない」「現場が協力してくれない」という状況に置かれると、担当者はつい「社内の理解がない」と感じてしまいます。
しかし、多くの場合、問題は無関心ではなく「自分ゴト化されていない」ことにあります。
現場の管理職には、現場の管理職なりの優先順位があります。 上司には、上司なりの評価軸があります。 経営層には、経営層が関心を持つ言語があります。
それぞれの「自分ゴト」に翻訳せずに、「障害者雇用が大事だから協力してほしい」と訴えても、動きません。
相手の立場で意味を持つ言葉に変換すること。 これが、社内巻き込みの本質です。
「巻き込み」は才能ではなく、技術
社内を動かすことを「コミュニケーション能力」や「人脈」の問題として捉えている人は多いです。
しかし実際には、巻き込みには再現性のある技術があります。
・無関心な上司に「聞く耳」を持ってもらう話の構成
・現場の管理職が「自分ごと」として捉えてくれる伝え方
・決裁権がなくても協力者を増やしていく関わり方
・小さな成功を社内に広げるフィードバックの方法
これらは、特別なカリスマ性がなくても、実務担当者が身につけられるスキルです。
一人で抱え込まず、社内を動かしながら障害者雇用を進めていくために何が必要か。その具体的な手順と実例を、このnoteにまとめています。
社内を一人で抱えている担当者へ
「正論では動かない社内で、どうやって協力者を作るか」
特例子会社の立ち上げを任され、本社に知り合いがゼロの状態から社内を動かしてきた実体験をもとに、巻き込みの技術を再現可能な形で解説しています。
プレゼンの構成、無関心層へのアプローチ、日常の関わり方、社内が変わった3つのリアルな事例まで、実務レベルで使える内容です。
▶ 社内を味方につけるための巻き込みテンプレ完全解説【実話ベース】
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