発達障害のある人と接するときに心にとめておきたい点

発達障害のある人と接していると、時として周囲の人たちが不快に感じてしまうことを見たり、聞いたりすることがあるでしょう。実際に、このような状況に直面すると、怒りや叱責をしてしまうことがあるかもしれません。しかし、そのように怒りをぶつけたり、叱責したとしても、こちらが伝えたいと思ったことは伝わりません。

では、どのように接したらよいのでしょうか。ここでは、発達障害のある人にどのような考え方をして、望ましい接し方をすることができるのかについて考えていきます。

発達障害のある人と接するときにもっておくとよい考え方

「普通」が伝わらないことを理解しておく

能力のバランスが整って、普通に生活できる人たちからすると、発達機能に偏りを持つ人たちが普通の生活に困難を生じていることは、不思議なこと、信じられないこと、ありえないことに感じられることがあります。あなたができるからと言って、これくらい普通にできるだろうと接していると、非常に高いハードルを設定している可能性もあります。

得意・不得意があることを理解する

臨機応変な態度は不得意

発達障害の人がよく指摘される問題の1つに、挨拶やお礼の言葉を返さないということがあります。例えば、道ですれ違ったのに声をかけても素通りしていったとか、せっかく手伝ったのにありがとうを言わない、迷惑をかけたのにお詫びの一言もないなどのことです。本人に悪気はないのですが、相手を不快な思いにさせて対人関係が悪くなることがあります。

発達障害の人が挨拶やお礼を言わない理由には2つのことが考えられます。1つは必要性を感じていないということです。他者への関心が出ことから自分の言動によって相手がどのような影響受けるのかについて無頓着な場合があります。そのため挨拶やお礼など、人との受け答えを軽視しがちです。

もう1つは臨機応変に反応することができないという特性によるものです。道ですれ違ったときに急に声をかけられるなど、いきなり想定外の出来事に直面すると、混乱してとっさの一言を返すことができず、そのまま素通りしてしまうことがあります。とっさの判断は難しいかもしれませんが、それでもどんな場面でどう対応するかは想定しておけば対応が可能になります。そのためSST(ソーシャルスキルトレーニング)などで、あらかじめ練習しておくことによって、とっさのときに適切な挨拶をすることができるようになります。

立場や年齢に合わせた言葉づかいが苦手

相手の立場に合わせて敬語を使うなど、言葉を使い分けるのが苦手です。
上司に「頑張っていますね」と声をかけて周りにいる人がびっくりしたり、初めて会った取引先の人にいきなり「元気ですか」などと親しげに話かけたりするなど、適切な言葉遣いができないことがあります。

こうしたことが起こるのも、挨拶と同様に他人への興味が薄いこと、人づき合いの経験が少なく、社会的なスキルが身についていないことが原因です。相手に対して用いる言葉を変えなければならないというマナーを知らないばかりでなく、その必要性を感じない人もいます。

また、年下の人や親しくなった人など、誰に対しても「~ございます」「させていただきます」などの丁寧すぎる言葉を使い、かえって親密な人間関係が築けないこともあります。これは何度も言葉遣いで失敗した経験から、丁寧な言葉を使っておけば誰も怒らせないし、大丈夫だという誤った考えを持つようになったためと思われます。しかし、このような言葉遣いが、ときには「丁寧すぎる」と不評を買うこともあります。

発達障害の人は、敬語が日常生活や社会生活を送る上で必要であることを論理的に説明し、納得すれば習得しようと考えるようになります。また、「敬語使うとと、人づき合いも楽になるよ」などと言われ、実際に試した結果、コミュニケーションがスムーズに図れることを体感し、自ら敬語を習得するようになる人もいます。

言葉の意味を文字通りに受け取る

人から言われた言葉の意味をそのまま文字どおりに受け取ることがあります。また、会話でも言葉の正確さのみを重視するため、冗談を理解することが苦手です。例えば、「あなたほどできる人はいない」と言われてお世辞をそのまま受取り、「私もそう思います」と、まじめに答えたりします。

また、冗談や比喩、慣用句、ことわざなどは、言葉そのものの意味はわかりますが、その言葉が指し示す意味を理解することができません。なぜ、その言葉が使われたのかということに意識が向き、その後の会話についていけなくなることもあります。

ことわざに「猫に小判」というものがありますが、「猫に小判あげたからどうなのか」とその言葉が意味することまでは理解できません。「無意味なことを意味することわざだ」と説明しても、その言葉を使う必要性を感じません。また、知識として知っていても適切な使い方がわからないため、場違いな場面で使う人もいます。

言葉を使うときの判断基準が狭い

言葉を使うときの判断基準が狭いこともお世辞や冗談などが通じにくい原因となっているようです。発達障害の人は言葉を用いるとき、その言葉が会話を進める上で正しいか正しくないかという限られた判断基準で考えます。その結果、会話にそった正確な意味の伝達はできますが、相手を楽しませるための表現をしようという選択肢はありません。

また、その言葉が相手にどんな影響与えるかがわからず、意味としての正確さだけで言葉を選ぶため、失礼な言葉や会話の雰囲気を壊すような言葉を使ってしまうことも少なくありません。

発達障害のある人への望ましい接し方

可能な限りほめる

発達障害の人にとって自尊感情を一度喪失すると、回復するのが難しいことがあります。成功体験を積み、自信をもてるような働きかけをすることが大切です。

注意する必要があるときでも、人格を否定しないように気をつけます。間違った言葉や行動を伝えることは大切ですが、「ダメな人だ」など、本人の人格を否定するような言葉は避けます。あくまでも言動が良くなかったことを伝え、修正を求めるようにします。

失敗しても叱ったり、怒鳴ったりしない

相手の感情が高ぶったり、混乱しているときに、話をしても、指摘されている問題や言っている内容を聞くことができなくなります。穏やかに落ち着いて話をすることが大切です。

論理的に説明する

発達障害の人は、説明されれば納得し、理解することができます。不快な行動に対して、態度で示しても伝わりません。「なぜ不快に思ったのか」を言葉できちんと説明します。

例えば、発達障害の人は、思ったことをそのままストレートにして言葉にしがちです。誰かに対して「太っている」「趣味が悪い」など、悪気はないものの失礼な言葉を使う時があります。そのような時には、その言葉で相手がどんな不快な気持ちになるかを説明し、言い方が失礼であることを理解させる必要があります。

伝え方を工夫する

否定形で伝えない

「そんなことするからダメなんだ」ではなく、「こういう風にする方が良い」と間違った言動に対して改善策を示すなどして、否定形で伝えないようにします。間違った言動に対しては怒るよりも「そんなことをすると、私たちが悲しくなる」など、本人の行動が不快であることを告げ、「こうしてくれると私たちは嬉しい」など、どのような言動が望ましいかを伝えます。

文字や図で伝える

話を聞き取るのが苦手で、文字で読むほうが理解しやすい人には、伝えたいことを箇条書きにしたり、図を添えたりして伝えるようにします。

簡潔に伝える

理解させようとしてくどくどと説明すると、かえって理解しづらくなります。伝えたいことは簡潔に繰り返し話すようにします。

まとめ

発達障害のある人と接するときに心にとめておきたい点について見てきました。発達障害のある人と接していると、時として周囲の人たちが不快に感じてしまうことは、よくあることです。そのようなときに怒りをぶつけたり、叱責したとしても、伝えたいと思ったことは伝わりません。

発達障害のある人がどのような考え方をして、こちらからはどのように望ましい接し方をすることができるのかについて理解し、実践することによって、良い人間関係を築いていきましょう。

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