はじめて障害者雇用担当者になったら知る基本

はじめて障害者雇用担当者になったら|迷わないための基本ガイド

2020年04月8日 | よくある悩みと対応ヒント, 障害者雇用に関する法律・制度

担当者が頑張るほど、 組織が止まる

 

障害者雇用を組織の力に変える5日間

登録者限定レポート
「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2026年7月3日更新

この記事で整理すること

はじめて障害者雇用の担当者になると、法定雇用率、障害者雇用促進法、障害者手帳、合理的配慮、助成金、支援機関など、学ぶべきことが一気に増えます。
しかし、最初からすべてを完璧に理解する必要はありません。 まず大切なのは、障害者雇用の全体像をつかみ、制度として知っておくこと、職場で整えること、社内外で相談できる先を分けて考えることです。
この記事では、はじめて障害者雇用担当者になった方に向けて、最初に知っておきたい基本を整理します。

はじめて障害者雇用担当者になったら、まず全体像をつかむ

はじめて障害者雇用の担当者になると、覚えることが一気に増えます。

法定雇用率、障害者雇用促進法、障害者手帳、合理的配慮、助成金、支援機関、職場定着、現場への説明。調べれば調べるほど情報が出てきて、「結局、何から学べばよいのか」と戸惑う方も少なくありません。

しかし、はじめて担当者になったときに大切なのは、最初からすべてを完璧に理解することではありません。まず必要なのは、障害者雇用の全体像をつかむことです。

障害者雇用は、単に法定雇用率を達成するために採用する取り組みではありません。採用、配置、業務設計、合理的配慮、現場マネジメント、定着支援、評価、社内連携まで含めて、組織として進めていく取り組みです。

そのため、担当者が最初に押さえるべきことは、大きく分けると次の5つです。

  • 障害者雇用の制度と法定雇用率の基本
  • 雇用率にカウントされる障害者手帳の考え方
  • 採用・配置・定着までの流れ
  • 合理的配慮と職場づくりの考え方
  • 社内外の支援機関や相談先の活用方法

この記事では、はじめて障害者雇用の担当者になった方に向けて、最初に知っておきたい基本を整理します。

障害者雇用はなぜ企業に求められているのか

日本の障害者雇用は、障害者雇用促進法に基づいて進められています。この法律では、一定規模以上の事業主に対して、常時雇用する労働者の一定割合以上の障害者を雇用することが義務づけられています。

この割合が、法定雇用率です。障害者雇用というと、「法律で決まっているから対応しなければならないもの」と捉えられがちです。もちろん、法定雇用率を満たすことは企業の義務です。

しかし、それだけで障害者雇用を考えると、どうしても「人数を満たす」「不足分を埋める」という発想になりやすくなります。

本来、障害者雇用で大切なのは、障害のある人が企業の中で力を発揮できるように、仕事の設計や職場の関わり方を整えることです。障害者雇用は、単なる法対応ではありません。

人材をどのように活かすか、現場でどう働ける形をつくるか、組織としてどう支えるかを考える取り組みです。

法定雇用率の基本を確認する

障害者雇用担当者が最初に確認しておきたい制度の一つが、法定雇用率です。

法定雇用率とは、企業が常時雇用する労働者数に対して、一定割合以上の障害者を雇用することを求める制度です。現在の民間企業の法定雇用率は2.7%です(2026年7月現在)。また、障害者雇用義務の対象となる事業主の範囲は、常時雇用する労働者が37.5人以上の企業です。

つまり、対象となる企業では、一定数以上の障害者を雇用する必要があります。ただし、担当者がここで注意したいのは、法定雇用率は「人数を満たせば終わり」ではないということです。

採用しても定着しなければ、また採用を繰り返すことになります。現場で働きにくさが生じれば、本人も現場も疲弊します。そのため、法定雇用率を確認するときには、同時に次のことも考える必要があります。

  • 現在の雇用人数は足りているのか
  • 今後の雇用率引き上げに対応できるのか
  • 採用した人が働き続けられる職場になっているのか
  • 現場に受け入れ体制があるのか
  • 定着支援や相談体制が整っているのか

障害者雇用の担当者は、雇用率の数字だけを見るのではなく、その数字を支える職場の状態もあわせて確認することが大切です。

障害者雇用納付金制度と企業名公表の仕組み

障害者雇用には、障害者雇用納付金制度があります。これは、障害者雇用に伴う企業間の経済的負担を調整するための制度です。

障害者を雇用するには、職場環境の整備、設備の改善、雇用管理、定着支援など、企業側にも一定の負担が生じます。そのため、法定雇用率を達成していない企業から納付金を徴収し、その財源を障害者を多く雇用している企業への調整金や助成金などに活用する仕組みになっています。

現在、障害者雇用納付金制度は、常用労働者数が100人を超える事業主が対象です。法定雇用率を達成していない場合、不足する障害者数に応じて、1人あたり月額50,000円の納付金が必要になります。ここで注意したいのは、納付金を支払えばそれで終わりではないということです。

実雇用率が低い企業には、行政から指導が行われることがあります。状況によっては、雇入れ計画の作成命令や、計画の適正実施の勧告、さらに改善が見られない場合には企業名公表に進むこともあります。

そのため、障害者雇用は「未達なら納付金を払えばよい」というものではありません。企業として、どのように雇用を進め、働き続けられる職場をつくるのかが問われます。

障害者雇用でカウントされる障害者手帳とは

法定雇用率の算定で対象となる障害者は、原則として障害者手帳を保有している人です。

障害者手帳には、主に次の3つがあります。

  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳

企業の担当者としては、障害名だけで判断するのではなく、雇用率算定上どの手帳が対象になるのかを確認することが大切です。

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、身体に一定の障害がある人に交付される手帳です。視覚障害、聴覚障害、音声・言語機能障害、肢体不自由、内部障害などが含まれます。

職場では、移動、情報共有、作業姿勢、通院、設備環境などについて、本人の状況に応じた配慮が必要になることがあります。

療育手帳

療育手帳は、知的障害のある人に交付される手帳です。名称や判定区分は自治体によって異なります。

知的障害のある人と働く場合には、説明の仕方、作業手順の見える化、確認の頻度、ミスが起きたときの伝え方などを工夫することで、力を発揮しやすくなることがあります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患や発達障害などにより、日常生活や社会生活に一定の制約がある人に交付される手帳です。

精神障害者保健福祉手帳には有効期限があります。そのため、担当者は本人の同意とプライバシーに十分配慮しながら、手帳の有効期限や更新状況を確認する必要があります。

ここで大切なのは、手帳の有無や障害名だけで、その人の働き方を決めつけないことです。同じ障害名でも、必要な配慮や得意なこと、苦手なことは一人ひとり異なります。

手帳は制度上の確認に必要なものですが、職場での支援や配慮は、本人の業務上の困りごとを確認しながら考えることが大切です。

特例子会社とは何か

障害者雇用を進める方法の一つに、特例子会社があります。特例子会社とは、障害者の雇用に特別な配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たすことで、その子会社で雇用している障害者を親会社などの実雇用率に算定できる制度です。

大企業グループなどでは、障害者雇用を安定的に進めるために特例子会社を設立することがあります。

特例子会社には、障害特性に応じた業務設計や支援体制を整えやすいというメリットがあります。一方で、特例子会社をつくれば自動的に障害者雇用がうまくいくわけではありません。

親会社やグループ全体との関係、業務の質、キャリア形成、処遇、本人の成長機会などをどう設計するかが重要になります。

また、特例子会社を設立しなくても、企業グループ算定特例など、一定の条件を満たすことでグループ全体で実雇用率を算定できる仕組みもあります。

担当者としては、自社がどの制度を使っているのか、今後どのような雇用方針を持っているのかを確認しておくとよいでしょう。

障害者雇用に関する助成金の考え方

障害者雇用には、採用や職場定着、職場環境整備などを支援するための助成金があります。

助成金には、障害者を新たに雇用する際に活用できるもの、職場環境を整えるためのもの、職場適応援助者や定着支援に関わるものなどがあります。

ただし、はじめて担当者になった段階で、すべての助成金を暗記する必要はありません。助成金は、制度の名称や要件、申請時期が変わることがあります。そのため、必要になったときに、最新情報をハローワークや関係機関に確認することが大切です。

特に注意したいのは、助成金には申請できるタイミングがあるということです。採用後に確認しても、申請時期を過ぎている場合があります。そのため、採用活動や職場環境整備を進める前に、利用できる制度があるかどうかを早めに確認しておくとよいでしょう。

助成金は、障害者雇用を進めるための支援策です。しかし、助成金を受けること自体が目的ではありません。大切なのは、採用した人が働き続けられる職場をつくることです。

障害者と一緒に働くときに大切な視点

障害者雇用で担当者が押さえておきたいのは、制度だけではありません。実際に大切になるのは、職場でどう一緒に働くかです。

障害のある人と働くときには、障害への配慮が必要です。ただし、配慮とは、本人を特別扱いすることでも、仕事を与えないことでもありません。配慮とは、その人が仕事をするうえで障壁になっていることを整理し、仕事が成立するように調整することです。

たとえば、口頭だけの指示では理解しにくい人には、手順を紙や図で示す。音や人の動きに影響を受けやすい人には、作業場所や休憩の取り方を調整する。体調に波がある人には、報告のタイミングや業務量の調整方法を決めておく。このように、配慮は「甘やかすこと」ではなく、仕事を成立させるための工夫です。

障害があるから仕事ができない、と決めつけるのではなく、どうすれば力を発揮できるかを考える。この視点が、障害者雇用を単なる法対応で終わらせないために重要です。

合理的配慮は、仕事を成立させるための調整

障害者雇用の担当者になると、「合理的配慮」という言葉をよく聞くようになります。

合理的配慮とは、障害のある人が職場で働くうえで生じる困りごとに対して、企業が過重な負担にならない範囲で必要な調整を行うことです。

ここで大切なのは、合理的配慮を本人の希望だけで判断しないことです。本人が何に困っているのか。その困りごとは、業務上どの場面で起きているのか。どのような調整をすれば仕事が成立するのか。現場で実施可能な方法は何か。会社としてどこまで対応できるのか。これらを整理しながら考える必要があります。

担当者が一人で答えを出すのではなく、本人、現場管理職、人事、必要に応じて支援機関と確認しながら進めることが大切です。

合理的配慮は、担当者だけの判断ではなく、組織としての判断です。

障害者雇用をサポートする支援機関

障害者雇用は、企業だけで進める必要はありません。社外には、障害者雇用を支援するさまざまな機関があります。

はじめて担当者になった方は、どの機関に何を相談できるのかを知っておくと、一人で抱え込みにくくなります。

ハローワーク

ハローワークは、障害者雇用に関する求人、紹介、雇用率制度、助成金などについて相談できる機関です。

障害者求人の出し方、合同面接会、雇用率に関する相談など、企業にとって身近な相談先になります。

はじめて障害者雇用を進める場合には、まずハローワークに相談する企業も多いです。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す障害のある人に対して、職業訓練や就職活動の支援を行う事業所です。

企業にとっては、求職者との接点になるだけでなく、採用後の定着支援や本人理解に関する相談先になることもあります。

障害者職業センター

障害者職業センターは、障害者の職業的自立を支援する専門機関です。

本人への職業評価や職業リハビリテーション、企業への雇用管理に関する助言、ジョブコーチ支援などを行っています。

個別の職場適応や雇用管理で専門的な相談が必要なときに活用できます。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、就業面と生活面の両方から障害のある人を支援する機関です。通称「ナカポツ」と呼ばれることもあります。

働き続けるうえでは、職場だけでなく生活面の安定も関係します。そのため、就業と生活の両面から支援が必要な場合には、重要な連携先になります。

特別支援学校・職業能力開発校

特別支援学校や障害者職業能力開発校も、障害者雇用に関わる大切な機関です。

特別支援学校では、企業実習や進路指導を通じて、卒業後の就労につなげる取り組みが行われています。

障害者職業能力開発校では、障害の状況や適性に応じた職業訓練が行われています。

採用ルートを広げたい場合や、実習から受け入れを検討したい場合には、こうした機関との連携も選択肢になります。

担当者が学べる研修・講座

障害者雇用を担当することになったら、研修や講座を活用して基本を学ぶことも有効です。

代表的なものに、障害者職業生活相談員資格認定講習があります。一定数以上の障害者を雇用する事業所では、障害者職業生活相談員を選任する必要があります。

この講習では、障害者雇用の理念、関係法令、障害特性、雇用管理、職場適応など、障害者雇用に関する基本を学ぶことができます。

また、精神障害や発達障害について職場全体で理解を深めたい場合には、精神・発達障害者しごとサポーター養成講座などもあります。

ただし、研修を受けるだけで障害者雇用がうまくいくわけではありません。研修で学んだことを、自社の仕事や現場の状況に合わせて整理することが必要です。

そして、担当者が学んだ内容を、上司や現場管理職と共有し、社内の判断や対応に活かしていきます。

はじめて担当者が最初に確認したいこと

ここまで、障害者雇用の制度や支援機関、職場での考え方を整理してきました。

はじめて担当者になった方は、まず次のことを確認してみてください。

  • 自社の法定雇用率と現在の雇用状況
  • 障害者雇用の担当範囲と自分の役割
  • 前任者から引き継がれている資料や手続き
  • 社内で相談できる上司・人事責任者・現場管理職
  • 現在雇用している障害のある社員の状況
  • 配慮や相談の記録がどのように管理されているか
  • ハローワークや支援機関とのつながり
  • 今後の採用・定着・職場づくりの課題

最初からすべてを整える必要はありません。大切なのは、どこが整理されていて、どこが曖昧なままになっているのかを把握することです。

障害者雇用で問題が起きるとき、多くの場合、担当者の知識不足だけが原因ではありません。役割分担が曖昧だったり、現場との情報共有が不足していたり、相談先が決まっていなかったりすることが背景にあります。

だからこそ、はじめて担当者になったときは、知識を増やすことと同時に、社内の進め方を整理することが重要です。

障害者雇用は、制度理解と職場づくりの両方が必要

障害者雇用の担当者になると、制度や手続きに目が向きやすくなります。

・法定雇用率を満たしているか。
・手帳の確認はできているか。
・納付金や助成金はどうなっているか。
・支援機関と連携できているか。

これらは、担当者として知っておくべき大切な基本です。

しかし、障害者雇用は制度だけでは進みません。実際に働く場所は、現場です。

現場でどのような仕事を任せるのか。どのように指示を出すのか。困ったときに誰が相談を受けるのか。どこまで配慮し、どこから本人の力を活かしていくのか。

こうした職場づくりの視点がなければ、採用しても定着しない状態になりやすくなります。

はじめて障害者雇用の担当者になったら、まずは制度の基本を押さえる。そのうえで、自社の現場でどう働ける形をつくるかを考える。この両方が、障害者雇用を続けられる取り組みにしていくために必要です。

よくある質問

Q1. はじめて障害者雇用担当者になったら、まず何を学べばよいですか?

まずは、障害者雇用の全体像をつかむことが大切です。

法定雇用率や障害者雇用促進法などの制度、障害者手帳の考え方、合理的配慮、採用から定着までの流れ、支援機関の活用方法を大まかに理解しておくと、何を確認すべきかが見えやすくなります。

最初からすべてを完璧に覚える必要はありません。

Q2. 障害者雇用担当者は、制度をどこまで理解しておく必要がありますか?

担当者としては、法定雇用率、障害者雇用納付金制度、雇用率にカウントされる障害者手帳、合理的配慮の基本は理解しておきたいところです。

ただし、制度の細かな要件や助成金の最新情報は変わることがあります。

必要に応じて、ハローワークや関係機関に確認しながら進めることが大切です。

Q3. 障害者手帳があれば、すべて障害者雇用としてカウントできますか?

障害者雇用率の算定では、原則として身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などを保有している方が対象になります。

ただし、勤務時間や雇用形態、手帳の有効期限などによってカウント方法が変わる場合があります。

特に精神障害者保健福祉手帳には有効期限があるため、本人の同意とプライバシーに配慮しながら確認することが必要です。

Q4. 合理的配慮とは、どのように考えればよいですか?

合理的配慮は、障害のある人が仕事をするうえで生じる困りごとに対して、企業が過重な負担にならない範囲で必要な調整を行うことです。

本人の希望をそのまま受け入れることではなく、業務上どの場面で困りごとが起きているのか、どのような調整をすれば仕事が成立するのかを整理して考えます。

担当者一人で判断せず、本人、現場管理職、人事、必要に応じて支援機関と確認しながら進めることが大切です。

Q5. 障害者雇用を進めるとき、どの支援機関に相談すればよいですか?

求人や雇用率、助成金についてはハローワークが身近な相談先になります。

職場定着や本人理解については、就労移行支援事業所、障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどが相談先になります。

どの機関に相談するかは、採用したい段階なのか、職場定着で困っているのか、本人理解や職場適応を相談したいのかによって変わります。

Q6. 障害者雇用は、人事担当者だけで進められますか?

人事担当者だけで進めるのは難しいことが多いです。

障害者雇用は、採用だけでなく、配置、業務設計、合理的配慮、現場マネジメント、定着支援まで関わります。

そのため、人事、現場管理職、上司、支援機関が役割を分けて関わることが重要です。

Q7. はじめて担当者になったとき、社内で最初に確認すべきことは何ですか?

自社の法定雇用率と現在の雇用状況、担当者としての役割範囲、前任者からの引き継ぎ資料、現在雇用している障害のある社員の状況、社内の相談ルートを確認するとよいです。

制度だけでなく、社内で誰が何を判断するのかを整理しておくことが、担当者が一人で抱え込まないために大切です。

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