特別支援学校が取り組む就労にむけたキャリア教育とは

障害者雇用で採用するときに、どのように採用することが多いでしょうか。ハローワークや就労移行支援事業所、障害者職業センターなどを活用するところは多いと思いますが、職種によっては特別支援学校からの採用を考える企業も増えています。特に最近では、特別支援学校でも卒業後の就労を意識した取り組みが行われています。

特別支援学校とは、どのような学校で、就労にむけた準備をどのようにしているのかについて見ていきたいと思います。

特別支援学校とは

学校教育法の改正によって、2007年3月まで盲学校、聾学校、養護学校に区分されていた制度が、2007年4月から特別支援学校に一本化されました。また、同時に特別支援教育がスタートしています。

特別支援学校は、幼稚部、小学部、中学部、高等部、高等部の専攻科が設けられています。入学資格はそれぞれ幼稚園、小学校、中学校、高等学校、高等学校の専攻科に準じており、クラスは、単一の障害の子どもで構成される一般学級と、複数の障害を有する子どもたちで構成される重複障害学級があります。

一般的には、1学級の定員は15名となっていますが、自治体によっては定員を少なくしているところもあります。少人数の生徒を教員が見ることができるため、目が行き届きやすいというメリットもありますが、就職や自立を意識したときには過保護になりすぎているのではないかという指摘がされることもあります。

特別支援教育は、障害のある子どもたちの自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点から、子どもたち一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服することを目的として、適切な指導および必要な支援を行う教育のことで、2007年からスタートしています。

これにより、特別支援学校に限らず、すべての学校において障害のある子どもたちの支援をさらに充実していくことになりました。そのため、特別支援教育は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校の一般の学級に在籍している障害のある子どもたちにも適応されています。

特別支援学校の就職率

特別支援学校に通う子どもたちは、日々学習しながら、将来に対する準備をおこなっていくことになります。障害の有無にかかわらず、自立した生活を送って社会参加していくためには、企業などへの就労や経済活動を行うことが必要になってくるからです。

しかし、特別支援学校高等部卒業者のうち就職者の割合は約25%(H24)となっています。特に知的障害のある生徒が在籍する高等学校では、キャリア教育や職業教育に力をいれているところも少なくありませんが、全体的な数字からみると、さらに自立と社会参加を意識した取り組みが必要となっていると言えるでしょう。

特別支援学校高等部(本科)卒業後の状況

出所:卒業者の進路状況(平成24年3月卒業者)(文部科学省)

2020年に導入予定のキャリア・パスポートについては、こちらも参考にしてください。

「キャリア・パスポート」が2020年4月から導入 特別支援教育ではどうなる?

特別支援学校のキャリア教育

特別支援学校では、障害のある子どもたちのキャリア教育、職業教育、就労準備をどのように行っているのでしょうか。例えば、特別支援学校高等部では、企業等と連携して現場実習等の就業体験の機会を広げたり、校内実習の改善や企業関係者を講師とした授業の実施などのキャリア教育・職業教育を行っているところが増えています。

特別支援学校で実施されているキャリア教育の取り組み例としては、次のようなものがあります。

・現場実習等の就業体験の機会の拡大等
・学校での授業を事業所での長期の実習で行う「デュアルシステム」の実施
・地域の小・中学校等での、パソコン入力、印刷等の学校事務の補助や校内の清掃や花壇の手入れなどの実習
・高齢者施設(特別養護老人ホーム等)と連携した就業体験実習
・あん摩・マッサージ・指圧関係の就業体験(訪問介護の一環としての訪問マッサージ体験・実習、ヘルスキーパー(企業内理療士)体験・実習等)
・小学部での近隣の商店での校外学習、中学部での地域の施設での就労準備体験、高等部での現場実習を組み合わせた系統的な体験活動の実施
・事前事後指導の一環として、自己評価と他者評価を記入する就業体験の記録シートの作成
・実習先の機関等と連携した就業体験の評価規準の作成

特に実習には力を入れる学校が増えています。学校が企業等の協力を得て実施する現場実習は、直接就職に結びつく機会にもなりますし、生徒自身が自己の職業に関する興味、適性、能力等を理解し、仕事を行う上で必要となる知識・技能の向上を図ることができます。また、現場実習における企業等からの評価や助言を活かし、あいさつや言葉遣いなどの社会人としてのマナーやルールを習得していくための場となることが多くあります。

学校での授業に企業の長期実習を行うデュアルシステムを取り入れている京都の白河総合支援学校の取り組みは、全国的にも有名です。
取り組みについては、こちらから詳細について見ることができます。

デュアルシステムや地域協働活動を通し各自の歩調で自分軸をもつ社会人へ(Career Guidbce 2018 JUL.Vol.423)

特別支援学校と大手企業のキャリア教育連携

企業でも特別支援学校との連携を深めているところが増えています。例えば、東京では特別支援学校と大手企業のキャリア教育連携が行われています。

知的障害がある生徒が通う東京都立港特別支援学校(港区)が、ソニーなどの大手企業やユニクロの店舗などと協力し、キャリア教育に取り組んでいる。生徒たちは職場体験や社員との交流によって卒業後の働き方を学び、企業側も障害への理解を深める機会になっている。

出所:東京)特別支援学校と大手企業のキャリア教育連携広がる(朝日新聞 2019年12月24日)

企業側からもキャリア教育連携を行う機会も増えています。このような学校と企業のキャリア教育の連携は、子どもたちが実習を通して学ぶこととしてとても意義があることですし、このような機会を通して就労につながることも増えるでしょう。

実習についてのメリットについては、こちらも参考にしてください。

障害者雇用で現場実習を行うメリット

まとめ

障害者雇用をするときの採用方法として、特別支援学校から採用を考える企業も増えています。ここでは、特別支援学校とは、どのような学校で、就労にむけた準備をどのようにしているのかについて見てきました。

最近は、企業からもキャリア教育連携を行う機会が増えています。このような学校と企業のキャリア教育の連携は、子どもたちが実習を通して学ぶこととしてとても意義があることですし、就職の機会が増えていく機会にもつながると思います。しかし、気をつけなければいけないのは、本人の希望を本当に汲み取っているかということです。キャリアを考えていくときに大切なのは、本人がどんなことを仕事にしたいのか、特性や職場の雰囲気が合っているかなどの点です。いくら大企業でも本人にあっていない企業では、長続きしません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です