障害がある子ども、就職に向けてパソコンはやっておいたほうがいいのか

障害がある子ども、就職に向けてパソコンはやっておいたほうがいいのか

2021年08月26日 | 障害関連の情報

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近年、障害のある人の進路の幅は、以前よりも増えてきています。特に、高校では就職に向けた職業訓練に力をいれるところも多くなってきています。

就職では、パソコンを使う仕事も増えてきているため、それに備えて学校や放課後デイサービスでもパソコンを扱う場面が増えていきています。

就職に向けてどんな準備ができるのか、パソコンはやっておいたほうがいいのかについて、考えてみたいと思います。

特別支援学校卒業時に考えられる進路先とは

まず、特別支援学校を卒業した生徒は、どのような進路先があるのか、またその割合について、把握しておきたいと思います。厚生労働省の示している「就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ」から見ていきましょう。

出典:就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ(厚生労働省) 

特別支援学校の卒業生は約2万2,500人。このうち学校卒業後に就職するのは、約7,000人。つまり約3割の学生が就職していることになります。

大学、専門学校などへの進学は約700人、こちらは割合からすると3%になります。

そして、一番多いのは、障害福祉サービスです。約6割を占めています。障害福祉サービスには、就労系障害福祉サービスと呼ばれる、将来的に就労を目指す就労移行支援や、福祉サービスの枠の中で働く体験から就職を目指すA型事業所、B型事業所などがあります。障害福祉サービスの中で、この就労系福祉サービスに進む割合は5割強となっています。

割合的に言うと、障害福祉サービスに進む人が一番多く、次に就労、進学に関しては3%と少ないことがわかります。

特別支援学校の就職に向けた準備

最近は、特別支援学校でも就労支援が充実してきており、高等部では職業訓練に力をいれるところも増えてきています。例えば、特別支援学校高等部では、企業等と連携して現場実習等の就業体験の機会を広げたり、校内実習の改善や企業関係者を講師とした授業の実施などのキャリア教育・職業教育を行っています。

特別支援学校で実施されているキャリア教育の取り組み例としては、次のようなものがあります。
・現場実習等の就業体験の機会の拡大等
・地域の小・中学校等での、パソコン入力、印刷等の学校事務の補助や校内の清掃や花壇の手入れなどの実習
・高齢者施設(特別養護老人ホーム等)と連携した就業体験実習
・あん摩・マッサージ・指圧関係の就業体験(訪問介護の一環としての訪問マッサージ体験・実習、ヘルスキーパー(企業内理療士)体験・実習等)
・小学部での近隣の商店での校外学習、中学部での地域の施設での就労準備体験、高等部での現場実習を組み合わせた系統的な体験活動の実施
・事前事後指導の一環として、自己評価と他者評価を記入する就業体験の記録シートの作成
・実習先の機関等と連携した就業体験の評価規準の作成

企業実習は就労につながる大きな機会になるため、高校1年や2年から取り組んでいる学校も増えています。学校が企業等の協力を得て実施する現場実習は、直接就職に結びつく機会にもなりやすく、生徒自身が自己の職業に関する興味、適性、能力等を理解し、仕事を行う上で必要となる知識・技能の向上を図ることができます。

また、現場実習における企業等からの評価や助言を活かし、あいさつや言葉遣いなどの社会人としてのマナーやルールを習得していくための場となることが多くあります。

パソコンができると、可能性は広がってくる

「パソコンができると就職に有利か」という質問をいただくことがあります。障害者の仕事内容としては、直接パソコンを使う機会はないこともありますが、できていて損になることはありません。

コロナになってからは、障害者雇用でもテレワークを取り入れたり、検討する企業も増えています。職場に行かなければできない仕事だけでなく、自宅でも働ける体制を取ろうとしている社会の動きが進む中で、パソコンが使えなければテレワークすることも難しくなります。

一方、就職や仕事をする上で有利なことは多いものの、誰にとっても得意なことやあまり得意ではないものもあります。もし、仮に子どもさんが、パソコンがあまり好きではないのであれば、無理やりさせないほうがよいこともあります。苦手なことを強制させられたら、誰でもストレスを感じるものです。

また、今は興味がなくても、もしかしたらどこかの場面で興味や関心をもつこともあるかもしれません。障害のある子どもの多くは、ゆっくり成長していくことが多く、それはこちらが期待しているような時期やタイミングではないこともあります。でも、人それぞれのペースで成長していくので、それを見守り、待つことも大切だと感じます。

スキルや能力が高くて就職が決まることもありますが、安定的に働き続けるためには、スキルや能力が高いこと以外のことも大切です。

企業が求める安定的に働くために必要なこと

働き続けるには、さまざまな力を身に付けることが必要です。例えば、毎日体調を崩さず通勤できること、薬を医療機関に指示された通りにしっかり服薬できることなどです。

こうした「就労するために必要なこと」は『職業準備性』と表現され、働くことについての理解・生活習慣・作業遂行能力や対人関係のスキルなど基礎的な能力のことを指します。これは、職種、障害の有無を問わず、働く上で必要とされます。

職業準備性には5つの能力に分類されます。その5つは「健康管理」「日常生活管理」「対人スキル」「基本的労働習慣」「職業適性」です。この求める能力をピラミッド図で表したものが「職業準備性ピラミッド」と言われるものです。

出典:障害者職業センター

大事な点は、これが【ピラミッド】になっているということです。下から順に積み上がっていくことに意味があります。どれかが欠けていると、一時的には大丈夫そうに見えてもどこかで就労に影響が出てしまいます。もし、適性のある職業に就いたとしても、どんなに作業能力が高くても、ピラミッドの底辺から順にしっかりと備わっていないと働き続けることは難しくなります。

特に、安定的に 働き続けるには、健康管理と日常生活を自分で管理することは欠かせません。生活のリズムを自分でコントロールできること、また自分で健康管理できるようなことは、就労する上では求められることです。

障害者雇用をする企業の中では、資格やスキルよりも、このような自己管理ができることを重視するところが多くなっています。それは、いくら働く意欲や気持ちがあったとしても、またスキルや資格を持っていたとしても働くための基本的な自己管理ができていないと、働き続けることは難しくなるからです。

まとめ

障害があるお子さんの就労や進路先について見てきました。就労するための支援や支援機関は近年大きく整備されてきています。それぞれ学校や支援機関の特徴を理解し、活用することができるでしょう。

一方で、当然ながらお子さんの発達状況は一人ひとり異なります。周囲が就職に向けた準備を進めると焦ってしまいがちですが、就職には適切なタイミングも必要です。これには、就職環境も含まれますが、なんと言っても本人の気持ちが「就職したい」「働きたい」というものになっていなければ、たとえ就職できても長続きしません。「適した職場は見つかる」ということを信じて、焦りすぎないことも大事です。

ご家庭でできることとしては、お子さんがご家族の中で必要とされること、感謝されることの何らかの役割をお手伝いなどで担ってもらうとよいでしょう。はじめはうまくできないかもしれませんが(周囲のほうが教えることを途中で挫折してしまうことも多い)、そのことをしてくれて助かったと伝えることで、お子さんも自信がつきますし、自分の役割を果たす責任感も培われてきます。

また、お手伝いをする中で、得意なこと、好きなことをたくさん見つけていくことができるかもしれません。例えば、小さな汚れに気がつけることや、丁寧にできること、毎日同じ時間に続けられることなどは、そのきっかけになるかもしれません。

参考

特別支援学校と特別支援学級の違いとは?

特別支援学校が取り組む就労にむけたキャリア教育とは

就労継続支援A型についてわかりやすく解説します

キャリア・パスポートの知っておきたい基礎知識~背景、様式、運用について~

障害者の採用面接で必ず確認しておきたい職業準備性ピラミッドとは?

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