特別支援学校と特別支援学級の違いとは?特別支援教育を解説します

特別支援学校と特別支援学級の違いとは?特別支援教育を解説します

2020年01月10日 | 採用活動

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特別支援教育は子ども一人一人の教育的ニーズに応じて、多様な教育の場が確保されるものとして、2007年4月にスタートしました。障害の状態に応じて、特別支援学校や小学校・中学校の特別支援学級などにおいて、きめ細かい教育を受けることができます。

また、通常の学級に在籍している言語障害や発達障害などのある子どものためには「通級による指導」の制度があり、必要に応じて障害に配慮した指導を受けることができます。

ここでは、特別支援教育の就学を決めるプロセスや、特別支援教育の特徴、特別支援学校や特別支援学級で行われている教育の違いなどについて見ていきます。

特別支援教育はどのようにして受けられるのか

障害のある子どもの教育については、その障害の状態等に応じて、可能性を最大限に発揮させ、将来の自立や社会参加のために必要な力を培うという視点に立って、一人一人の教育的ニーズに応じた指導を行うことが大切です。

障害のある子どもの就学先については、本人・保護者の意見を可能な限り尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、障害の状態や必要となる支援の内容、教育学等の専門的見地といった総合的な点から検討して、市町村教育委員会が決定することとされています。

障害のある子どもの就学先の選び方は、次のようになっています。

出所:障害のある子供の就学先決定のプロセス(文部科学省)

ただし、本人や親の意向が重要視されるものの、希望通りの就学先に入学できるとは限りません。特別支援学級や特別支援学校へ就学するには、市町村教育委員会からの判定が必要となっているからです。

障害のある子どもの就学先決定には、地域の教育相談や就学相談に参加して、専門の職員と面談を行います。そして、医師・幼稚園・保育園等からの情報や、知能検査や発達検査、就学時健康診断の結果を元に、区市町村教育委員会が審査・判定を行い、就学先を決定することになります。障害のある子どもの就学先決定の手続きの流れは、次のようになっています。

【障害のある児童生徒の就学先決定の手続き】

出所:障害のある児童生徒の就学先決定について(手続きの流れ)(文部科学省)

特別支援教育の特徴

特別支援教育は、障害のある全ての子どもを対象とするものです。従来の「特殊教育」が障害の種類や程度に応じて特別な場で手厚い教育を行うことに重点が置かれていたことに対し、「特別支援教育」は障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じた支援を行うことに重点が置かれています。

そのため、特別支援学校だけでなく、小学校・中学校の通常の学級に在籍することも含めて、より多くの子どもたちの教育的ニーズに対応した教育を行っています。特別支援学校と特別支援学級の違いについて、簡単に見ていきたいと思います。

特別支援学校

特別支援学校とは、心身に障害を持っていたり、大きな病気を患う子どもが通う学校のことです。幼稚部、小学部、中学部、高等部があり、それぞれに準じた教育を受けながら、生活上の自立を図るための知識や能力を身につけることを目的としています。

特別支援学級

障害のある子どものために、通常の小学校や中学校内に置かれている学級のことです。通常学級での学習指導が難しい児童生徒を対象に、少人数制のクラスで授業を行い、一人一人に合わせた適切な学習を行うことを目的としています。

幼稚園、小・中学校、高等学校の通常の学級においても、発達障害のある幼児・児童・生徒 に対する支援などが進んでおり、特別な教育ニー ズについて検討する校内委員会や、保護者や関係機関と連携を行う特別支援教育コーディネー ターの指名、巡回相談等の相談機能の充実、個別の教育支援計画・個別指導計画の作成等の校内体制を整備しています。

なお、高等学校の場合は、高等学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育モデル事業などが行われているものの、学習指導要領に特別支援学級についての具体的な記述がないことなどから、特別支援教育に対する体制づくりは遅れています。

出所:高等学校における特別支援教育の現状と課題について(文部科学省)

特別支援教育コーディネーターとは

特別支援教育コーディネーターは、 保護者や関係機関に対する学校の窓口や学校内の関係者や福祉、医療等の関係機関との連絡調整の役割を担う教員のことを指します。

個別の教育支援計画・個別指導計画とは

個別の教育支援計画とは、障害のある子ども一人一人の教育的ニーズを把握し、乳幼児期から学校卒業後までを通じて一貫して的確な支援を行うことを目的として、特別支援教育学校コーディネーター、学級担任、保護者、各関係機関(教育・医療・福祉・労働等)、場合によっては本人等が参加して、支援会議で協議の上作成されるものです。

個別指導計画とは、学校生活において、障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応してきめ細かな指導や支援を行うことを目的として、特別支援教育学校コーディネータ ー、学級担任、教科担任、養護教諭等が参加して、校内委員会で協議の上作成されるものです。

特別支援教育の種類

特別支援教育には、特別支援学校と特別支援学級がありますが、それぞれの特別支援学校がどのような障害を対象とするかについては、地域の実情などを踏まえて、設置者(都道府県など)が判断して決められています。そのため一つの障害種に対応する学校が設置されていることもありますし、複数の障害種に対応する特別支援学校が設置されていることもあります。

それぞれの障害種別ごとの学校と学級にの特徴を見ていきます。

視覚障害教育

視覚障害とは、視機能の低下により、学習や生活に支障がある状態を指します。 視覚障害があると、学習面では動作の模倣、文字の読み書き、事物の確認などでの困難が生じます。 また、生活面では、移動の困難、相手の表情等が分からないことからのコミュニケーションな どでの困難が生じます。

視覚障害特別支援学校

視覚障害特別支援学校では、子ども一人一人の視力 や見え方の状態を的確に把握し、身辺処理能力の向上、点字指導 や歩行指導、補助具の活用など自立活動の充実を図り、学力の定着を図るよう指導します。 高等部では、卒業後の進路に役立つようにあん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師 の資格取得を含めて、自立を目指した職業教育を行っています。

弱視通級指導学級

弱視通級指導学級では、一人一人の見え方の状態に応じて、弱視レンズ・拡大テレビ型読書器・タブレット端末等の視覚補助具の活用及び視覚認知や目と手の協応動作を高める自立活動の指導を行います。また、在籍学級や家庭と連携して、子どもが保有する視機能や他の感覚を最大限に活用して学習できるよう、拡大教材・教具の開発や指導方法の工夫などを行います。

聴覚障害教育

聴覚障害とは、身の周りの音や話し言葉が聞こえにくかったり、ほとんど聞こえなかったりする状態を指します。聴覚障害がある子どもたちは、早期から適切な対応を行い、音声言語をはじめ、その他の多様なコミュニケーション手段を活用するなどして、子どもたちの可能性を最大限に伸ばすことが求められています。

聴覚障害特別支援学校

聴覚障害特別支援学校では、補聴器等の活用により、保有する聴力 の活用、言語の理解及び表現の指導を行います。 また、子どもたち一人一人の状態等に応じて音声、文字、手話、指文字等のコミュニケーション手段の活用を図り、視覚的に捉え やすい教材・教具やコンピュータや大型ディスプレイ等を活用するこ とにより、言語力や学力の伸長に重点を置いた指導を行います。 高等部では、自立した生活を目指した能力を育成するために、大学進学や就労など、それぞれの進路に向けた指導を行います。

難聴通級指導学級

難聴通級指導学級では、子ども一人一人の聴力レベルや言語能力の実態に即した発音指導や言語指導、保有する聴覚や補聴器及び人口内耳を活用した指導並びに社会生活への適応のためのコミュニケーション指導を行います。また、在籍学級や家庭と連携して個別指導計画に 基づいた指導を行っています。

肢体不自由教育

肢体不自由とは、身体の動きに関する器官が、病気やけがで損なわれ、歩行や筆記などの日常生活動作が困難な状態を指します。肢体不自由のある子ども一人一人の状態等は異なっているため、学習上又は生活上どのような困難があるのか、補助的手段の活用によってどの程度軽減されるのかといった観点からその状態等を把握し、指導・支援を行うことが求められています。

肢体不自由特別支援学校

肢体不自由特別支援学校では、身体の動きの状態や生活経験の程度等を考慮して、各教科等の指導内容を健闘するとともに、支援機器等を活用して、基礎的・基本的な学力の定着を図っていきます。 また、子ども一人一人の健康を保持できるように努め、身体の動きやコミュニケーション等に関する自立活動の指導内容から必要な項目を選んで、各教科等と相互に関連付けて指導していきます。

中学部・高等部においては、自立と社会参加に向けて、労働・福祉・医 療等の関係機関との連携を図り、進路指導を行っていきます。 施設や病院に設置された分教室では、施設や病院と連携をとりながら、子ども一人一人の障害の状態や病状等に応じて、自立活動の指導や学力の定着が図れるように指導していきます。

肢体不自由特別支援学級

肢体不自由特別支援学級では、子ども一人一人の身体の動きの状態や発達段階等を考慮して、各教科や自立活動の指導内容・方法を工夫・改善し、指導をしていきます。 また、交流及び共同学習により、通常の学級の子どもたちと共に学習する機会などを設けています。

知的障害教育

知的障害とは、年齢の子どもと比べて、認知や言語などに関わる知的機能が劣り、他人との意思の交換、日常生活や社会生活、安全、仕事、余暇利用などについての適応能力が十分でないところがあり、特別な支援や配慮が必要な状態にあることを指します。しかし、その状態は、環境的・社会的条件で変わり得る可能性があるといわれており、どのような教育を受けるのかの影響は大きいと言えます。

知的障害特別支援学校

知的障害特別支援学校では、将来の社会的な自立や社会参加を目指して、各教科の他、各教科等を合わせた指導(日常生活の指導、遊 びの指導、生活単元学習、作業学習)の指導を行います。自閉症の子どもの障害特性に応じた指導の工夫も行われており、 高等部では、卒業後の進路に向けて、企業等での現場実習に力が入れられています。

知的障害特別支援学級

小学校の知的障害特別支援学級では、社会生活に必要な言語や数量の理解、表現力の向上、基本的生活習慣の習得が行われています。 また、交流及び共同学習の機会を多く設け、集団生活への参加が円滑に行われるよう配慮しています。 中学校の知的障害特別支援学級では、対人関係や集団への参加を円滑にするための指導に重点をおかれ、作業学習を通して、働くことの意義を理解し、将来の職業生活へつなげるものとなっています。

言語障害教育

言語障害とは、発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったり、語彙が不足したりしている状態や、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況を指します。また、それらが影響して、本人が話すことに困難を感じるなど、社会生活上不都合な状態であることも含まれます。

言語障害通級指導学級

言語障害通級指導学級では、子どもの構音、吃音、言語発達等 の状態に応じて、正しい発音を習得する、楽な話し方を身につける、言語力を高めるなどの指導を行います。個別指導を中心として小集団指導を取り入れる場合もあり、必要に応じて各教科等の内容を取り扱った自立活動の指導を行ないます。

情緒障害等の教育

情緒障害等は、状況に合わない感情・気分が持続し、感情の現れ方が偏っていたり、その現れ方が激しかったりし、それらを自分の意思ではコントロールできないことが継続して、学校生活や社会生活に適応できなくなる状態のことを指します。多くの場合、自閉症、学習障害(LD)及び、注意欠陥多動性障害(ADHD) 等があり、学習や生活の中で、様々な困難に直面していることが見られます。

特別支援教室・情緒障害等通級指導学級、自閉症・情緒障害特別支援学級

特別支援教室・情緒障害等通級指導学級では、自閉症、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)等の発達の偏りや、かん黙等の心理的不適応に起因する状態を改善するための指導 を行います。 自閉症・情緒障害特別支援学級では、各教科等の指導のほか、 基本的生活習慣を確立することや正しい言葉のやりとりを身に付けること、自分の意思を適切に伝えることなどの指導を個別や集団で指導していきます。

病弱教育

病弱とは、心身の病気のため継続的又は繰り返し、医療又は生活規制(生活の管理)を必要とする状態を指します。

病弱特別支援学校

病弱特別支援学校では、寄宿舎と連携しながら健康の回復・改善を図り、生活の自己管理ができるようにする自立活動の指導とともに、各教科等の基礎的・基本的な内容の定着に努めています。 病院内の分教室では、病院内に設置している教室やベッドサイドでの授業が行われています。

病弱学級

病院内の病弱学級では、病院と連携しながら一人一人の 病状を考慮して、各教科等の指導を行います。

訪問教育

通学が困難な子どものために、肢体不自由特別支援学校から教員を派遣し、一人一人の障害の状態や病状に応じた自立活動の指導や各教科等の指導等、多様な指導を行っています。

動画の解説はこちらから

まとめ

特別支援教育は子ども一人一人の教育的ニーズに応じて、多様な教育の場が確保されるものとして、2007年にスタートしました。ここでは、特別支援教育の就学を決めるプロセスや、特別支援教育の特徴、特別支援学校や特別支援学級で行われている教育の違いなどについて見てきました。

特別支援教育は、特別支援学校か特別支援学級のどちらかで受けることができます。一般的に特別支援学校は、生活上の自立を図ることに重点がおかれており、特別支援学級は個々に合わせた学習教育を行うことに重点がおかれています。

また、就学先については、本人・保護者の意見を可能な限り尊重するものの、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことが原則とされており、障害の状態や必要となる支援の内容、教育学等の専門的見地といった総合的な点から検討して、市町村教育委員会が決定しています。

参考

障害がある子ども、就職に向けてパソコンはやっておいたほうがいいのか

特別支援学校が取り組む就労にむけたキャリア教育とは

障害者の採用面接で必ず確認しておきたい職業準備性ピラミッドとは?

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