今後、障害者の除外率制度はどうなるのか?除外率制度の背景を解説

今後、障害者の除外率制度はどうなるのか?除外率制度の背景を解説

2022年05月13日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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企業では、障害者を雇用する障害者雇用率が定められています。しかし、業種によっては障害者雇用が難しいこともあり、除外率制度が設けられていました。

除外率制度は、平成14年の障害者雇用促進法改正により廃止する方向性が示されましたが、特例措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされてきました。それに伴い、平成16年4月と平成22年7月にそれぞれ一律に10ポイントの引下げが実施されています。

ここでは除外率制度とはどのようなものなのか、また除外率制度の背景などについて見ていきます。

除外率制度が一律10%引き下げになる見込み

除外率制度は、平成16年に障害者雇用を促進するために廃止する方向性が示されましたが、経過措置として一部の業種で特例的に残っています。厚生労働省では、除外率の段階的な引き下げを今後も進める方針を示しています。

厚生労働省は10日、障害者の雇用が一般的に難しいとされる業種を対象に、雇用義務の軽減を認める「除外率制度」について、一律10%引き下げる案を労働政策審議会で示した。

障害者雇用促進法は43.5人以上を雇用する企業に対し、従業員数の2.3%以上の障害者を雇うよう義務付けている。しかし船舶の運航や幼稚園・小学校など、障害者を雇用しにくいとされる一部の業種では除外率(5~80%)に応じ、義務が軽減される。

出典:障害者雇用の除外率、一律10%引き下げ 厚労省が案提示(毎日新聞、2022.5.10)

除外率制度とは?

障害者雇用促進法では、障害者の職業の安定のために法定雇用率を設定しています。現在の民間事業主の法定雇用率は2.3%です。

しかし、機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種については、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(障害者の雇用義務を軽減)を設けていました。除外率は、それぞれの業種における障害者の就業が一般的に困難であると認められる職務の割合に応じて決められています。

しかし、この除外率制度はノーマライゼーションの観点から、平成14年法改正が行われ、平成16年4月に廃止されています。しかし、経過措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされてきました。

そして、平成16年4月と平成22年7月に、除外率が設定されている業種では、それぞれ一律に10ポイントの引下げを実施しています。

そのため、現在の除外率設定業種とその除外率は、次のようになっています。

なお、除外率設定業種別の変遷は、次のように変化してきました。

出典:労働政策審議会障害者雇用分科会(厚生労働省)

今後の除外率設定業種企業における障害者雇用の取り組みについて

ここまでの流れを見てきたように、障害者雇用率制度における除外率制度は平成16年に廃止し、経過措置として設定した除外率は段階的に引き下げ、縮小されることになっています。しかし、除外率設定業種においては「障害者雇用は難しい」という声が聞かれています。

このような状況から、取組企業が、経営改善に役立つ形で組織的に障害者雇用を進めることができるような伴走型の障害者雇用コンサルティングを実施することにしています。

また、支援事例のポイント(障害者雇用の課題・有効な支援)を分析し、同業他社はもちろん、他業種においても参考にできるような事例集を作成することが盛り込まれています。

取組企業となるのは、除外率設定業種の企業 5~6社程度です。除外率設定業種としては、貨物運送取扱業、道路貨物運送業、道路旅客運送業、建設業・湾港運送業、医療業、高等教育機関、非鉄金属第1次精錬・精製業、鉄鋼業、金属鉱業、特別支援学校、小学校、幼稚園、幼保連携型認定こども園等があります。

次のようなステップが考えられています。

経営戦略 への位置づけ

→ 推進体制構築

→ 社内理解促進

→ 業務洗い出し

→ 環境整備

→ 障害者採用

→ 雇用管理、定着支援

また、除外率制度に関する対応については、次のような意見も出されています。

除外率については、廃止の方向で段階的に引き下げ、縮小することとされている。また、企業全体の実雇用率が上昇する中で、除外率設定業種の実雇用率についても上昇傾向にある。これらを踏まえ、除外率を一律に10ポイント引き下げることとしてはどうか。

除外率の引下げに当たっては、除外率設定業種がそれぞれ余裕を持って対応できるよう十分な準備期間を設けるとともに、当該業種における障害者雇用の促進に向けた取組を支援することとしてはどうか。

除外率がすでに廃止された制度であることを踏まえ、5年ごととされている法定雇用率の設定のタイミングにおいて、除外率についても段階的に引き下げていくこととしてはどうか。

出典:労働政策審議会障害者雇用分科会(厚生労働省)

このような流れや意見が出されていることからも、除外率制度が一律10%引き下げになる見込みとなっています。

動画の解説はこちらから

まとめ

障害者雇用促進法では、障害者の職業の安定のために法定雇用率を設定しています。しかし、一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種については、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(障害者の雇用義務を軽減)を設けていました。

除外率制度は、平成14年の障害者雇用促進法改正により廃止する方向性が示されましたが、特例措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされてきました。それに伴い、平成16年4月と平成22年7月にそれぞれ一律に10ポイントの引下げが実施されています。

しかし、それ以降は引き下げや縮小の具体的な動きがありませんでした。今回、このような議論が再び行われていることや、企業全体の実雇用率 が上昇する中で除外率設定業種の実雇用率についても上昇傾向にあることを踏まえ、除外率が再び一律に10ポイント引き下げる見込みがでてきています。

最近の障害者雇用の状況や施策を見ても、厳しくなることはあっても、緩和されることはありません。雇用率を達成することも大切ですが、企業に貢献する障害者雇用を進めることができないと、企業としては雇用することへの負担を一層感じるようになってしまうでしょう。

ピーター・ドラッカーは、組織の目的は人の強みを活かすものだと述べています。障害者雇用でもこの視点を持ち、能力を活かすことができる業務を創出することを考えていくことが、今まで以上に求められています。

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参考

【初めての人でもわかる】障害者雇用促進法の概要をわかりやすく解説

令和3年の障害者雇用未達成の企業名が6社公表されました

障害者雇用の企業名公表はどのようにリスクになるのか

企業が障害者雇用を行う理由~担当者がおそれる企業名公表とは~

障害者雇用納付金制度とは?~理念や活用方法を解説~

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