2024年障害者支援の報酬改定、障害当事者にどんな影響がある?

2024年障害者支援の報酬改定、障害当事者にどんな影響がある?

2024年04月17日 | 障害関連の情報

障害者雇用にすぐに役立つ無料動画をプレゼント!

期間限定で障害者雇用にすぐに役立つ無料講義をプレゼントしています。ぜひお役立てください。※こちらは、無料講義となっています。料金は必要ありません。

令和6年度から就労系障害福祉サービス報酬改定が変更されます。福祉事業者の変更に関わることですが、この変更は障害当事者の方にも大きな影響があります。サービス報酬改定が福祉事業所を利用している人の働き方や支援にどのように影響するのかについて見ていきます。

令和6年度就労系障害福祉サービスの報酬改定の変更

就労系障害福祉サービスには、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業、就労定着支援事業があります。これらの福祉サービスは、障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)の施行からサービスが提供されてきましたが、17 年が経過し見直しが図られています。今回の主な変更点について見ていきます。

出典:厚生労働省

就労移行支援事業の変更点

就労移行支援事業所が定員10名以上から実施可能となる。変更以前は定員20名以上で事業を開始可能だったが、今後は10名からでも開業可能となった。これにより事業所の規模縮小が可能になり、運営が柔軟に行えるようになった。

就労継続支援A型とB型の報酬改定

・A型は生産活動に基づくスコアリングシステムが導入され、赤字続きの事業所は大幅なマイナス点が適用される。

・B型は支援の必要性に応じて人数比が調整され、生産性が高い場所ほど報酬が高く設定される。平均工賃月額に応じたメリハリをつけた報酬体系になる。

・新たな支援制度の導入として就労選択支援が令和7年10月から始まる予定。就労選択支援とは、働く意志のある障害者の意欲や能力、適性などをアセスメントし、適性に合った選択をサポートするサービス。

予想される利用者への影響

A型事業所は、事業者の経営改善への取り組みを一層評価するため、「生産活動」のスコア項目の点数配分を高くするなど、各評価項目の得点配分が見直されることになりました。また、「経営改善計画」「利用者の知識・能力の向上」の項目が新たに加わり、A型事業所としての経営状況を明確に評価することになっています。

平均労働時間の評価の見直しも行われます。平均労働時間が長い事業所の点数が評価されることになります。そのため短時間利用をしていると事業所の報酬が減少することになるため、長時間の利用を勧められることがあるかもしれません。

今回の改定においてはA型事業所の変更点が経営や運営に大きく影響を与えることから、経営状況が思わしくない事業所は、経営的な面がシビアに評価されることになるためA型事業所としての運営が難しくなり、B型事業所への移行や事業所閉鎖などの可能性が考えられます。

過去に問題となっていた就労A型に関する課題

就労継続支援事業A型事業所の目的は、「企業等の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等の支援を行う」ものとなっています。

つまり、就労継続支援A型事業所では、雇用契約を結んで働くため、障害福祉サービスの1つではありますが、一般就労と同じく最低賃金額以上の給料が保障されることになります。また、雇用契約を結んで働くので、労働基準法などの労働関係法規等の適用を受ける「労働者」として扱われることになります。

A型事務所が抱える課題として挙げられるのが、事業を継続する難しさです。A型事業所は福祉サービスではあるものの障害者雇用という面も担っています。そのため事業に利用者がかかわり、収益を上げていく必要があります。

A型でおこなう仕事内容はそれぞれの事業所によって異なりますが、清掃や農作業、袋詰めやシール貼り、封入、ピッキング、梱包・出荷、仕分け・梱包、部品加工などの軽作業、喫茶店などの飲食関連、クリーニングなどが多くなっています。一見すると、B型事業所とあまり変わらない仕事内容をしているところも見られます。

そのため事業所の約半数ほどは実質的に赤字となっており、賃金に見合う収益が出せていない状況でした。また給付金を当てにした設立も増えたことも、このようなずさんな経営状態の事業所を増やした原因の一つとなっています。

「悪しきA型」という言葉が広がった2010年頃には、福祉コンサルによって悪質なA型事業所を設立するモデルが全国に普及したことがありました。これは短時間雇用で簡単な作業を提供し、補助金の一部で障害者の最低賃金を払い、経費をできるだけ切り詰めるビジネス方法が提案され、事業所にとって仕事のできる障害者以外は切り捨てられて問題となりました。

就労継続支援A型事業所の大量解雇問題については、2017年に全国6ヶ所に事業所を構えていた福祉事業所が突然閉鎖され、154人の利用者がいっせいに解雇されたケースは大きくニュースで取り上げられましたが、就労継続支援A型事業所の閉鎖・大量解雇はその頃から問題しされていました。このような背景には、A型事業所としての経営状態がよくなかったことが考えられます。

例えば、ニュースで確認されるものだけでも、次のような閉鎖や大量解雇がありました。
・一般社団法人あじさいの輪が2017年7月末に事業所を閉鎖し、220人の利用者を解雇。
・一般社団法人しあわせの庭が、事業不振で破産を申請。利用者112名を解雇。
・(株)障がい者支援機構が、事業拡大に伴う資金繰りが伴わず事業所を閉鎖、破産申請。利用者154人を解雇。
・フィルが、事業不振で倉敷市以外の事業所を2月末、3月に入り倉敷市の3事業所を閉鎖して破産を申請。利用者約170人を解雇。

2017年にはこのような就労継続支援A型事業所の閉鎖・大量解雇が相次いだため、公益社団法人日本精神保健福祉士協会が「就労継続支援A型事業所の閉鎖等の問題に関する緊急調査」を実施しています。なお、回答者は、就労系事業所勤務構成員795人となっており、有効回答数209人、回答率26.3%となっています。

この調査によると「周辺でA型事業の問題が起こっているか?」という問いに対して、半数が「ある」と回答しています。

問1 周辺でA型事業の問題が起こっているか?
ある 50%
ない 26%
知らない 24% 

また、問題が「ある」と回答した内訳を見ると、次のようになっています。

問2 ある

1.看板の付け替えがあった 7(5%)
2.B型事業への変更 37(27%)
3.多くの利用者について最賃除外申請 18(13%)
4.その他 73(54%)
その他の内訳 72
・突然の解雇 
・助成金期間終了後の解雇
・不正請求
・スタッフの支援力不足/不適切な対応
・他事業への変更強要 
・解雇なのに自己都合で退職に
・作業能力が低いことを理由に解雇通告 など

これらの課題としてあげられた点は、以下のとおりです。

問8 A型事業の課題130
1.事業運営の困難さ 
・上がり続ける最賃を払えるだけの仕事を作り出すことが困難
・福祉のプロは多いが商売のプロがいない
・支援と経営のバランスをとることが困難
・内職仕事で最賃が払えるはずがない

2.支援面での専門性の欠如
・生産活動に埋没し、支援としての専門性が欠けている
・職員も支援より、収益UPに駆り出されてしまう
・障害の理解のない職員が多く、他機関との連携もできていない
・適切なアセスメントや障害特性に配慮した作業の提供が行われているとはいえない
・利益優先で福祉の視点がない営利企業が運営しているところが少なくない

3.制度設計の問題
・一般企業に就職することが難しい利用者に最低賃金を支払うことが根本的に間違い
・営利企業が軽装備で開始できるなど障害者福祉事業を市場化する総合支援法が問題
・賃金保証の方策、制度設計を見直す必要あり
・賃金を払うこと、利用者を確保することにエネルギーが注がれ、個別支援が欠落。

4.行政の指導・監査 
・開設認可の際に厳正にチェックされていない
・実地指導が適正に行われていれば問題に気付いたり、早めに対処できたはず
・ハローワークが安易に問題のあるA型でも利用を勧めている  

出典:就労継続支援A型事業所の閉鎖等の問題に関する緊急調査(公益社団法人日本精神保健福祉士協会)

全てのA型事業所に問題があるわけではありませんが、課題のあるA型事業所が存在することは確かです。また、A型事業所の利用者がノルマを達成できないという理由で早帰りさせられたり、実際の仕事内容と異なるサービス提供実績記録票が記載されていたりする事例もあったようです。

以下で、より詳細に見ることができます。

労働者を搾取する「A型事業所」のあきれた実態(東洋経済ONLINE)

「ウソばかり」障害者を支援するA型事業所の実態(東洋経済ONLINE)

厳しくなったのではなく、あるべき姿になりつつある

A型事業所で働いている人にとっては、制度が厳しくなったためにA型からB型になってしまい収入が減る、事業所が閉鎖になり働く場所がなくなる・・・と心配になるかもしれません。しかし、これらは今までに課題が放置されていたものが、本来のあるべき姿になっているということだと、まず認識することが大切です。

今回の報酬改定で急に事業所の経営が変化したわけではなく、そもそもの事業所運営に課題があったところが多くありました。ここまでも見てきたように、報酬を効率よく上げるために勤務時間が短時間の事業所がありました(精神の方の体調面で短時間にしている事業所もありますが、そういう目的ではなく報酬を上げるための目的として短時間利用者にしていることを指します)。

また、障害者福祉の事業は、利用者を集めるととりあえず運用としては回るビジネスモデルだったことから安易に立ち上げる事業所も多く(それを支援するコンサルもいる)、これらも以前から問題となっていたことです。

本来、就労継続A型事業所は障害福祉サービスとは言え、雇用契約を結ぶことや、雇用の助成金が受けられることもあり、そもそもある程度事業性が見込める事業がないとできないものです。しかし、単純作業や収益性の乏しいものをおこなっている事業所も多く、それらは中長期的に見れば、やはり運営することは難しかったと言えるでしょう。

福祉事業所にしても、働く企業にしてもそこを選ぶのは、自分自身です。活用できるサポートは十分に受ければよいですが、ハローワークで勧められたから、誰かに言われたからと、他人任せにしていたのでは自分のキャリアは築けません。実際に課題のあるA型を公的機関で勧められた人も少なくありません。集めた情報から、それが正確なものなのか、自分に本当に合っているのかを、実際に自分の目で見て、自分で決めることが大切です。他の人がいいと思う事業所や企業の基準が自分にとって最適とは限らないのです。

また、どんな働き方をしたいのか、どんな仕事内容ができるのか、勤務時間をクリアできる体力があるのか、必要な合理的配慮とその伝え方などを自分の視点から見直すことも必要です。自分のキャリアについては、自分で決めていくことが求められています。

動画で解説

参考

就労継続支援A型についてわかりやすく解説します

スポンサードリンク

障害者雇用にすぐに役立つ無料動画をプレゼント!

期間限定で障害者雇用にすぐに役立つ無料講義をプレゼントしています。ぜひお役立てください。

障害者雇用オンライン講座

今までなかった障害者雇用をゼロから学べるオンライン講座の内容を是非ご覧ください。

0コメント

コメントを提出

メールアドレスが公開されることはありません。

障害者雇用支援サービス

お客様の声

YouTube

Podcast 障害者雇用相談室

書籍

無料メルマガ【企業向け】

無料メルマガ【障害者枠で働く】