統合失調症にかかわる専門スタッフと支援の内容

統合失調症にかかわる専門スタッフと支援の内容

2018年03月9日 | 障害関連の情報

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統合失調症は、およそ100人に1人がかかる頻度の高い病気です。統合失調症は、幻覚や妄想という特徴的な症状があります。それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能に障害を受けるため生活において障害がでたり、感覚・思考・行動が病気のために歪んでしまうことがあり、自分のことを振り返って考えることが難しくなりやすいという特徴を併せもっています。

多くの精神疾患と同じように慢性の経過をたどりやすく、その間に幻覚や妄想が強くなる急性期があります。新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、統合失調症の方のほぼ半数は、完全かつ長期的な回復を期待できるようになっています。

回復した後には、さまざまな専門スタッフとかかわりながら、地域生活や社会生活に復帰していくことになります。その中でかかわる専門スタッフとその支援の内容について見ていきたいと思います。

地域ごとにさまざまな分野の専門スタッフがいる

統合失調症の方が地域で暮らしながら療養を続けるためには、家族や医療スタッフだけでなく、さまざまな分野の専門スタッフの支援を受けることが大切です。統合失調症の方やその家族の中には、病気のことを他人には知られたくないという思いから、外部に助けを求めることをせず、家族の中だけで問題に対処しようとするケースが見受けられます。

しかし、統合失調症の方が地域で自立した生活を送るためには、外部との関わりが欠かせません。家族とともに積極的に地域の専門スタッフの力を借り、社会的なつながりを広げていくことが大事です。

ここでいう専門スタッフとは、いわば精神保健と福祉のプロといわれる人たちのことで、社会福祉士(ソーシャルワーカー)や精神保健福祉士(PSW、精神科ソーシャルワーカー)、作業療法士、障害者職業カウンセラーなど、地域ごとにさまざまな分野の専門スタッフがいます。

中でも統合失調症の方の療養生活を支えるにあたって中心的役割を担うのが、精神保健福祉士です。社会福祉士が障害者全般のソーシャルワーカーであるのに対して、精神保健福祉士は、精神疾患を抱える統合失調症の方に限定したソーシャルワーカーといえます。

精神保健福祉士は、統合失調症の方が地域で安心してその人らしい生活を送るため、療養上の問題、医療費や生活費などの経済問題、復学、復職、家族関係など、統合失調症の方が直面するさまざまな問題について、統合失調症の方自らが解決に向けて取り組めるよう支援してくれます。いろいろな制度もありますので、利用についてわからないことがあれば相談してみるとよいでしょう。

統合失調症の方を支えるさまざまな分野の専門スタッフ

社会福祉士(ソーシャルワーカー)

医療と生活が橋渡しを行う福祉のプロフェッショナルです。障害者全般を対象としており、障害のある人が日常生活で直面する諸問題の相談、助言、指導、援助などを行います。

保健師

保健所や医療機関、精神保健福祉センターなどに所属し、統合失調症の方が自宅療養を続けるための相談、援助、助言などを行います。

精神保健福祉士(PSW、精神科ソーシャルワーカー)

精神疾患を抱える人を専門にするソーシャルワーカーです。精神障害のある人が地域で安心して生活を送ることを目的に、関係機関と連携をとりながら支援を行います。療養上の問題、年金等の経済的な問題、社会復帰、地域活動など、さまざまな問題の相談、助言、指導、援助などを行います。

作業療法士(OT)

デイケアや医療施設などで、作業療法の指導を行ないます。

作業療法とは

作業療法とは、日常生活や社会生活の適用を取り戻すためのリハビリの一部です。心身に障害のある人に対して、様々な作業を通して機能回復を図ったり、精神状態の安定や対人関係の改善などを目指す療法をいいます。

統合失調症の場合、作業に集中することで幻聴に気を取られる時間を少なくすることができます。具体的な作業としては、絵画、習字、手芸、陶芸、木工、折り紙、コラージュ、料理、ダンス、室内ゲームなどのレクリエーション、袋詰め、折箱作り、造花作りなどの室内で行う簡単な作業、園芸や農作業など屋外での作業があります。

これらの中から、統合失調症の方の状態や興味・関心、目的等に応じて作業選び、作業療法士の指導のもとで作業を行います。こうしてみると、中には就労を意識した作業もあるように思いますが、作業療法の目的は特定の職業技能を身につけることではありません。

あくまでも楽しみながら、そして充実感や達成感を味わいながら、よりよい生活を送るための方法を習得することが目的です。そのため仕事をこなすような感覚で無理に取り組むのではなく、統合失調症の方自身が自主的に参加し楽しめることが何よりも大切になります。

もし、作業していてつまらない、苦痛に感じる、こんなことをして意味があるのかなどと思うようであれば、担当の作業療法士や医師に相談して、作業内容を見直すことも必要です。強制的な作業はかえってストレスとなり、治療効果を得られないだけでなく、症状を悪化させてしまうことがあります。統合失調症の方、本人が興味を持てそうなことをやってみたいことから始めるとよいでしょう。

作業療法の効果

作業療法の効果として、以下のことが期待できます。
・毎日決められた時間に参加することで、生活のリズムを整えることができます。
・1つの作業続けることで集中力や持続力を養い、まとまりにくい思考や行動を調整することができます。
・他の統合失調症の方との交流や共同作業を通じて、対人関係や協調性を学ぶことができます。
・作業に熱中することで、幻聴や妄想に気を取られる時間を少なくします。

認知行動療法士

認知行動療法の訓練を受けた医療者、精神保健福祉士、臨床心理士など。

認知行動療法とは

認知行動療法は、うつ病や不安障害などの治療によく用いられる精神療法です。近年は統合失調症にも有効であると注目されています。

物事の捉え方や考え方のことを認知といいますが、私たちの気分や行動は認知のあり方に大きく影響されていることが知られています。同じ出来事に直面していても、認知のあり方によって気分や行動が変わってきます。

認知行動療法では、その人の思考パターン(認知)に焦点をあて、バランスのよい思考や行動に修正していくことで症状の回復を目指します。認知行動療法は、様々な症状が治療の対象となり、症状別のアプローチが開発されていますが、幻覚や妄想などの陽性症状に対して、どのように対処するのか見てみましょう。

幻覚や妄想のある統合失調症の方は、幻覚や妄想を現実のものと認識してしまいます。しかし、これは病気によって認知が歪められた結果、生じた非現実です。まずはそのことを理解するために統合失調症という病気について正しく知り、理解することが大切です。

次に、認知が歪められそうになったとき、それを修正することが必要です。例えば、黒いコートを着た人とすれ違った時に、自分を監視している組織の一員ではないかという考えが浮かぶとします。

認知行動療法では、その考えをその通りだと認知してしまう前に、別の考え方ができないかを探る訓練を行ないます。自分を監視している組織だという証拠はあるのか、黒いコートなどありふれている、自分とは無関係の人かもしれないなど、さまざまな角度から認知の可能性を検討できるように訓練していきます。

このような訓練を繰り返すことで思考バランスを養い、適切な行動につながるようにしていきます。認知行動療法をうまく実践できるようになると、幻覚や妄想があっても、それほど気にせず過ごせるようになり、再発防止にも役立つとされています。

ケアマネージャー

さまざまな分野の専門スタッフがチームで援助行う場合に、チームが効率的に機能するよう全体をマネジメントする精神保健福祉士がこの役割を担うことが多くあります。

障害者職業カウンセラー

心理学や社会福祉の専門知識を持ち、地域の障害者職業センターで障害を持つ人の就労支援にあたる専門家です。障害者の職業相談を受けて、その人に最も適したリハビリのプログラムを作ります。

動画の解説はこちらから

まとめ

統合失調症にかかわる専門スタッフと支援の内容について見てきました。

統合失調症は、幻覚や妄想という特徴的な症状があり、およそ100人に1人がかかる頻度の高い病気です。新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、統合失調症の方のほぼ半数は、完全かつ長期的な回復を期待できるようになっています。

回復した後には、さまざまな専門スタッフとかかわりながら、地域生活や社会生活に復帰していくことになります。専門スタッフには、社会福祉士(ソーシャルワーカー)、保健師、精神保健福祉士(PSW、精神科ソーシャルワーカー)、作業療法士(OT)、認知行動療法士、ケアマネージャー、障害者職業カウンセラーなどがいます。

参考

【統合失調症】症状や発症から回復までの経緯、働くことの大切さについて

統合失調症の障害者と一緒に働くときに知っておきたいポイントとは?

【統合失調症】職場や人事担当者が知っておきたい症状と経過

障害者職業センターと障害者就業・生活支援センターの違いとは?

ハローワークにおける障害者雇用における役割とは?

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