【統合失調症】仕事内容の選び方と職場における環境・人間関係

統合失調症は、かつて精神分裂病と呼ばれていたこともあり、「なんとなく危ない病気」という間違った認識が広がってしまったこともあり、「自分たちとは違う、普通ではない人たち」といった印象を抱かれることが多くあります。しかし、実際に統合失調症の人に会い、話してみると、自分たちと同じ普通の人だったと驚く方がほとんどです。

統合失調症の人の多くは働きたいと思っています。どのような病歴があるのかは個人差がありますが、多くの人は働くことや誰かに必要とされることが、誰にとっても大きな生きがいにつながっています。ここでは、どのような仕事や働き方が合っているのか、統合失調症の人を雇用する企業は、どのような準備をすればよいのかについて説明していきます。

統合失調症の症状、発症の時期や状況、発症から回復までの時期、なぜ働くことが大切なのかについては、こちらを参考にしてください。
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【統合失調症】症状や発症から回復までの経緯、働くことの大切さについて

統合失調症の人が働くときのポイント

統合失調症は、考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く障害で、その原因は脳の機能にあると考えられています。統合失調症の人が働く場合に、次のようなポイントをおさえておくと、働きやすくなると言われています。

それは、手順が決まっている、マイペースでできる、接客がない(または決まっている手順で接客ができる)、短時間の仕事からはじめるという点です。

臨機応変に対応する状況をなるべくつくらない

統合失調症の人は「とっさの対応」や「変化」に弱いという特性があります。仕事内容が能力的に、またスキル的にできるものであったとしても、急に言われたりすると、できないことがあります。しかし、あらかじめ手順が決まっている仕事であれば、急に指示されることがありませんし、マイペースでできるような仕組みになっていれば、こなせることも多いでしょう。

このような理由からも接客の仕事は、あまり向いていないケースが多いと言えます。接客が多ければ、どうしてもとっさの対応を迫られる場面が生じるからです。しかし、接客があるからできないというわけではありません。接客が多い職場の場合、どうしても臨機応変な対応や変化を前提とした仕事が多くなり、そうなったときの対応が難しい場面が生じやすいということです。中には接客が好きな人もいますので、その場合にはわかりやすい接客の手順やフォロー体制があると働きやすくなります。

短時間勤務からはじめる

そして、大切なのが「働く時間」です。統合失調症の人は疲れやすく、そして疲れても周囲にそれをうまく伝えることが苦手です。精神障害者ステップアップ雇用などを活用すると、短時間から少しずつ労働時間を増やしていく働き方を支援する制度がありますので、このような制度を活用し「1日何時間なら集中できる」など、働く側・雇用する側でよく話し合って調整をすることができます。

はじめに頑張りすぎると、あとになって続けられない状況が出てくることが多くあります。今までに、精神障害の方の実習、就労の場をたくさん見てきましたが、100%の力を出しながら仕事をスタートするよりも、少し余裕を持ってはじめるくらいがちょうどいいように感じています。(はじめはこのようなスタートでも3ヶ月後、半年後の定着には圧倒的に効果的です。)

これらは一般的な対応です。実際に「どのような仕事が向いているのか」となると、人それぞれです。手先を使うような手順が決まっている仕事だったとしても、「細かな仕事が苦手」という人なら向いていないでしょう。細かい仕事が得意、身体を使う仕事の方がいいなど、向き不向きに個人差が大きいのは、誰でも同じです。なるべく関心があること、好きなことを仕事にした方がよいのは言うまでもないでしょう。

職場環境はどのようにしたらよいか。心配や気遣いのし過ぎは逆効果

統合失調症の人がいるからといって、職場環境に特別なことを準備するは必要ありません。配慮や気遣いのし過ぎは、逆効果になることがあります。

特別な準備は必要ありませんが、配属先の職場に1人「専任担当者」を立てるとよいでしょう。この担当者の役割は、同じ職場にいて、本人の障害をよく理解し、仕事の指導や相談などを担うことです。誰でも新しい職場に行ったときは不安だと思いますが、統合失調症の人の場合その不安は大変強いものがあります。いつでも気軽に安心して相談できる人の存在は大きな支えとなります。

また、担当者が責任者や管理職などで、出張や会議などで席を外す場合が多いときには、サブの担当者を決めておくとよいでしょう。できるだけ業務の内容を理解している人、一緒の業務を行っている人が担当者であると、スムーズに行くケースが多いように思います。

企業の中には、専任担当者としてカウンセラーや経験者をあてているところもありますが、専門知識や経験の有無は必ずしも関係ありません。一般書やサイトなどで障害についての知識を得て、支援機関と連携してサポートができれば、それで十分です。また役割も、あくまでも仕事・職場に限ったものと割り切りましょう。

統合失調症の人は、自分の病気のことや人間関係など多くの悩みをもっています。そのすべてについて相談相手になっていたら、専任担当者が疲れてしまいます。担当者になる方の中には、とてもやさしくて面倒見のよい方が多いのですが、この点を公私混同すると、担当者の負担が大きくなりすぎたり、組織としての統制が取れなくなります。あくまでも職場での役割ということをお互いに認識しておくことが大切です。

また、心配や気遣いのし過ぎは、障害者本人にとっても負担になります。あくまでも【働く】ことで職場に来ていることを忘れないようにしてください。病気については医師、生活全般についてはセンターの担当者など、本人の周囲には多くの支援者がいます。役割を分担し、情報を共有してサポートしていく体制をとるようにしましょう。

職場における人間関係

気をつけたいのが、職場の人間関係です。対人関係については、大きく2つのタイプがあります。1つは、周囲と関わらず孤立するタイプ、もう1つが、周囲と交流するものの、被害的になりやすく、関係性が不安定なタイプです。

周囲と関わらず孤立するタイプは、職場の仲間が感情的な交流を持とうとすると、それが善意から来るものであっても、負担に感じる場合があります。昼食や雑談のときなど「一人ぼっちでかわいそうだな」と思っても、強く誘ったり、仲間入りを強要するのは禁物です。本人がどのようにしたいのか、落ち着くのかを確認しておくとよいでしょう。

周囲と交流するものの、被害的になりやすく、関係性が不安定なタイプも、周囲と同じような人づき合いを要求されることは苦手です。とくに注意したいのが、その場にいない人の悪口や噂話が非常に苦手だということです。「自分も同じように悪口をいわれているのではないか」などと想像してしまいます。

仕事上の役割がしっかりと与えられ、適切な指示を受け、何かあれば相談することができ、それ以上の人づき合いについては「ほどほど」、そしてギスギスした人間関係がない職場が、統合失調症の人にとって安心できる環境ということになります。これは統合失調症の人に限らず、誰にとっても働きやすい環境ということになるかもしれません。

 
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まとめ

統合失調症の人は、どのような仕事や働き方が合っているのか、統合失調症の人を雇用する企業は、どのような準備をすればよいのかについて説明してきました。

統合失調症の人は「とっさの対応」や「変化」に弱いという特性があるので、手順が決まっている、マイペースでできる、接客がない(または決まっている手順で接客ができる)仕事内容がよいでしょう。また、短時間の仕事からはじめることによって職場適応しやすくなります。

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