精神障害者と一緒に気持ちよく働くためにできる職場づくりとは?

精神障害者と一緒に気持ちよく働くためにできる職場づくりとは?

2017年08月17日 | 障害別の特性・配慮

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障害者雇用が進んで、障害者と一緒に働く機会が増えています。しかし、事前に障害者のことをよく知らないと、一緒に働く人は戸惑うことが多いようです。

ある職場で、障害者と一緒に働いている人の声です。

現在、職場で障害者(知的・身体・精神)と一緒に働いています。知的障害者の方は軽作業、身体・精神障害者の方は、基本的には健常者と同じ事務仕事をしています。

知的・身体障害者の方とは、仕事の仕方を色々工夫しながら、上手く協力して仕事をしていますが、精神障害者の方だけ、上手く協力体制が築けません・・・。

というのも、必要としているサポートがわかりにくいこと、また鬱などにより体調や気持ちに波があることを、本を読んだり、ネットで調べたりして理解はしていますが、それが他の人の仕事に影響が出ている現実に不満があり、納得いかないからです。

出所:Yahoo知恵袋

実際にどのような不満があったのでしょうか。

一緒に働く職場の仲間からの不満

例えば、毎月忙しい時期に3日くらい休んで、一緒に働いている同僚がフォローする状況が続いていました。一緒に働く同僚の仕事量の方が多いので、その負担が長期間に渡るにつれ不満が増大していったようです。

しかし、同僚からのフォローに、本人からはお礼がなく、そのことが不満を、さらに増大させる理由になっていきました。

本人は手が空いた時に、周りに「何かあったら声をかけて」というだけで、自ら「手伝いましょうか」とは言わず、声をかけられるまで新聞を読んだり、ネットサーフィンをしたり、たまに寝たりして、一緒に働いているのに協力しようとする姿勢が見られないということもあったそうです。

他にも、ミスを指摘されるとその場では謝まるものの、後でブツブツ文句を言っていたり、自分の意見や話はよくするが、他の人の話は聞かない態度などが気になるとのことでした。

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このような場合に考えられるのは、本人が意図してそのような行動をとっていないということです。「一般的には、こういう場合には・・・◯◯する」ということが、わからなかったり、気づかなかったりするのは、障害の特性の可能性があります。

そのような場合には、「こういう場合には、◯◯します」と教えると、素直に行動できるケースもあります。

ある程度の年齢になると、周囲の状況から察知しながら学んだり、習得していくものですが、障害のある人の中には、それに気づかないことがあります。ですから教えると、「はじめて知りました」ということも多いのです。

一人ひとりを知る

同じ診断がついていても、個人によって症状が様々に違います。精神障害の人は、障害の特性が目に見えにくいので、「一人ひとりを知ること」、「得意なこと」、「苦手なこと」をしっかり把握することが大切です。

その上で、「できること」や「強み」をいかせるような役割・作業を任せてみることができるかもしれません。

例えば、電話応対は緊張するものの、パソコンが得意なAさんがいます。緊張してうまく話せないことが気になって、他の仕事にも集中できず、電話がなる度に、ビクッとしています。そんなときには、自分のペースで作業を行えて、何をするのかが明確なデータの入力作業を任せてみることができるかもしれません。

しかし、現時点でできないからといって、これからずっと電話対応ができないわけでもありません。もしかしたら、1年後には職場の雰囲気や業務にも慣れて、新しく電話応対にも挑戦できるようになるかもしれません。今すぐに電話対応することは難しいかもしれませんが、少し長い目でみて、人材育成をしていくことも大切です。

Bさんは、臨機応変な対応は難しいですが、集中力があります。ですから一度にたくさんのことを同時に行なったり、考えたりするような業務ではなく、1つの作業に集中できるような清掃や書類の整理などを任せてみることができるかもしれません。

こちらも1つ1つの業務ができるようになってくると、自信がでてきて、今は難しいいくつかの業務も複数できるようになってくるでしょう。

精神障害者が働きやすい職場づくりのポイント

雰囲気作り

身構えず自然に接する

障害者としてではなく、1人の同僚や仲間として受け入れてください。過度の配慮は逆に居づらくさせてしまうこともあります。

困った時に相談しやすい雰囲気がある

あたたかく見守り穏やかに話しましょう。とはいっても、忙しいときに声をかけられると、ついこちらも厳しい口調で応えてしまったりしがちです。そのようなときには、「忙しい」ということをはっきり伝え、別の時間に聞くことを提案しましょう。

仕事の環境作り

できること・できないことをヒアリングする

精神障害は、目に見えない障害ゆえに誤解されることが多くあります。だからこそ、事前にどのようなことができるのか、できないのかをきちんと把握することが大切です。

最近は、当事者たちも就労移行支援事業所等の就職準備の中で、自己理解を深めたり、自分の取扱説明書を作ったりして、自己理解を深めていることが見られます。

指示を出す人は1人に決める

複数の人が指示を出すと混乱することがあります。特に慣れるまでは、1人の人から指示を受けたり、相談できる体制を作ることができると、当事者にとっても質問や相談がしやすくなります。

業務はできることから始めてもらう

新しい環境の中で、とても緊張していると思います。まずは、職場に慣れて、自信をつけてもらうことが大切です。

一度にたくさん任せず、1つずつ任せる

同時にたくさんのことをするのは苦手な人が多くいます。一度にあれもこれもと任せるのではなく、「今、行っている業務が1つ終わったら、次にこれをやる」というように、1つずつ行なっていくと、焦らずに仕事を進められるかもしれません。

そのときに、ある程度のスケジュールを伝えるとよいかもしれません。例えば、今やっている業務は、「◯時間くらいで行なってほしい」などのようにです。

ある企業で、精神障害者の実習生を受け入れたときに、本人が張り切って、実力の120%くらいの頑張りで作業したことがありました。一方で、企業の方としては、業務の切り出しが、まだ十分にできていないけれど、手を空かせるわけにもいかないと、なんとか捻出した作業だったそうです。業務の目安などを伝えておくと、お互いにとっても安心して仕事がしやすくなります。

適度な休憩を取れるスケジュール

無理のない勤務スケジュールを組みましょう。また、休憩時間は、事前に何時からと決めておいたほうが、休憩時間を取りやすいようです。

企業の担当者からすると、休憩時間はその時の状況に合わせて柔軟に取れるようにしてあげようと思われることが多いですが、当事者たちからすると、その休憩のタイミングを決めるのが難しかったりするのです。また、自分だけ休憩に行くと声をかけるのが苦手な人もいます。

すぐに結果を求めない・追い込まない

新しい職場、新しい業務と、当事者にとっては緊張の連続です。その中で、落ち着いていつものパフォーマンスをだせばできる業務が、できないこともあるかもしれません。すぐにできて結果がだせないこともあるかもしれませんが、長い目で教育することを心がけてください。

関係づくり

ちょっとした声かけ・気遣いを忘れない

いつもと様子が違うと感じたときには、こちらからちょっと声をかけたりしてみましょう。「自分は職場の人に気にかけてもらっている」と、本人の存在を気にかけていることを示すことも大切です。

良い面は評価し、きちんと言葉で伝える

こちらは評価しているつもりでも、状況を読み取ることが苦手な特性をもっている人たちの中には、ニュアンスや表情では伝わりにくいことがあります。具体的に何がよくできていたのかを言葉で伝えると、本人たちにとって理解しやすくなるでしょう。

メモやメールでのやりとりを取り入れる

相手の話を聞き取るのが苦手なことがあります。口頭で伝えると指示が伝わりにくいと感じるのであれば、口頭で説明するのと同時にメモを渡したり、メールで内容を確認できるようにしておくと、わかりやすくなります。

定期的に面談したり、業務日誌を活用する

自分から相談を持ちかけるのが苦手なことがあります。また、いざ時間をとって、面と向かうとうまく話せないということもあります。

時間を決めておいて面談することを提示しておけば、当事者も伝えておきたいことを事前に整理することができるかもしれません。また、業務日誌を活用することによって、自分の状況を把握しやくなったり、振り返りがしやすくなることもあります。

特性に合わせた配慮の例

特性:感覚が過敏である

発達障害のある人の中には、音、におい、気温の変化、照明、特定の接触物などの刺激に対して過敏な人がいます。

また、てんかん発作は、予期しない突然の音や光刺激により、引き起こされることがあります。人によっては発作の前触れとして、不快感や吐き気がある場合もあります。

特性を理解し、座る位置、担当業務の調整などをすることで、刺激を減らしたり、和らげる工夫ができるかもしれません。

特性:見通しの持ちにくさ

発達障害等の特性により、時間の流れや仕事の全体像が見えにくいことがあります。また、精神障害のある人の中には、その時々の調子により、ペース配分、段取り、作業内容の理解などが難しくなることがあります。

スケジュール表、具体的な作業指示書、手本など、見てわかりやすく、本人がいつでも見直すことができる工夫をするとわかりやすくなります。

精神障害の人は自分から断ることができず、どちらかと言うと自分で抱え込んでしまって、ギリギリまで頑張ってしまう人が多くいます。本人がキツそうだなと感じたりした場合には、声をかけたり、紙にかいたりして、頭の中を一緒に整理をするとよいかもしれません。

まとめ

精神障害者と一緒に気持ちよく働くためにできる職場づくりについて考えてきました。

精神障害は、特に障害が見えにくい障害です。事前に障害者のことをよく知らないと、一緒に働く人は戸惑うことが多いようです。精神障害の特徴や当事者の特性などを事前に理解しておくことは大切です。

精神障害者が働きやすい職場づくりのポイントとして、雰囲気作り、仕事の環境作り、人間関係づくりの点をあげましたので、参考にしてください。

参考

精神障害者と一緒に働くストレスを感じたら、考えてみてほしいこと

精神障害者保健福祉手帳の取得方法や判断基準とは?

職場における精神障害者との接し方のポイントQ&A

障害者雇用における精神障害とされる主な症状とは?

精神障害者の就職の現状と働き続けるためにできること

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コメント1件

  1. 及川 礼子

    就労移行支援事業所で働いています。
    参考にさせていただきたいです。
    有難うございます。

    返信する

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