自閉症スペクトラムとは?特性や、一緒に働くときの配慮について解説

自閉症スペクトラムとは?特性や、一緒に働くときの配慮について解説

2017年11月12日 | 障害別の特性・配慮

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発達障害にはいくつかの種類がありますが、その1つである自閉症スペクトラムは先天的な脳機能障害として、自閉症やアスペルガー症候群のカテゴリーの中に含まれています。

ここでは、自閉症スペクトラムの特性や雇用について、職場で行える配慮について説明しています。

発達障害(自閉症スペクトラム)とは

発達障害の自閉症スペクトラムASDは”Autism Spectrum Disorder (Disability)” の略で、日本語では自閉症スペクトラムと訳されています。以前の診断基準では、広汎性発達障害と呼ばれており、さらに自閉症、アスペルガー症候群 (AS)、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)など細かなカテゴリー分けがありました。現在ではそれらを全てまとめて自閉症スペクトラムと呼んでいます。

ASDの人は、社会の様々な場面で人とのコミュニケーションや関わりに難しさが生じることが多くあり、職場においてもコミュニケーションに関する影響が見られます。また、興味や関心が狭い範囲に限られやすく、独特のこだわり行動や振る舞いが見られることもあります。他にも五感などの感覚が人よりとても敏感に感じたり、逆にほとんど感じない分野がある人もいます。

このような特性は、個人個人によってどの特徴が強く出るか、またどの程度の強さなのかは異なります。たとえ同じ障害が診断されていても、個別差があります。一般的にこれらの特徴は人生において持ち続けるものですが、発達障害と診断される人の中には、大人になり求められる行動基準が高くなってから初めて困難さが明らかになることもあります。また、対処方法を学ぶことによって特徴が目立たなくなることもあります。

イギリスの児童精神科医ローナ・ウィングは、アスペルガー症候群を含む自閉症の人が持つ特徴として「ウィングの3つ組」を提唱しました。この3つ組は、「社会性」「コミュニケーション」「想像力」が含まれます。ここでは、その3つに加え、「感覚過敏」について説明していきます。これらの特徴について知ることは、自閉症スペクトラムを理解する上で参考になります。

発達障害(自閉症スペクトラム)の特性

社会性の難しさ

周囲の人に合わせて行動することに困難さが見られることがあるので、周囲の人とかかわる時に適切にふるまうことができず、相手との関係を築いたり、築いた関係を維持していくことが難しいことがあります。

コミュニケーションのとり方はいろいろですが、相手との距離感をつかむことが苦手です。例えば、人と交流することや話すこと自体が苦手な人もいれば、他人との交流は好きで自ら近づこうとしていきますが、話す内容は自分の関心事だけで、一方通行のように話すこともあります。

また、過度に礼儀正しかったり、本人なりのルールがありそれにこだわったりします。礼儀に関することは、本当は理解していなくても厳格にこだわりとしている場合もあります。こちらから一見するとできているので、理解していると判断して接していると、理解できていなこともあるので、時には確認することも大切です。

言葉の使い方に関しては、「あれ」「これ」などの指示語や助詞が使いづらかったり、わかりにくかったり、繰り返しが多く同じ質問するなどの状況が見られます。このような特徴から、以下のような難しさが見られることがあります。

・特定のものへのこだわりが強く、興味あるものや順番、位置へのこだわりが強い。
・突然の予定変更に対応することが難しい。決まったやり方にこだわり、少しでも自分の思っていることからズレると受け入れられない。
・1つのことに集中できるが、複数の道仕事を同時にこなすのが困難である。
・好きなことを始めるとやめられなくなる。納得のいかないことはやらないことがある。

コミュニケーションの難しさ

その場に応じた表情や態度、言葉を使って他の人と関わることが苦手な場合が多くあります。そのため相手が言っていることや感じていることを理解したり、気づくのが難しいことがあります。また自分が言いたいことや感じていることを相手にわかりやすく伝えたり、表現するのが難しいこともあります。このような特徴から、以下のような状況が見られることがあります。

・口調や声の大きさの調整が苦手。場にそぐわない大きな声で話たりすることがある。
・「調子どう?」などのあいまいだったり、いろいろな意味に捉えられる表現にとまどうことがある。雑談や休憩時間の何気ない会話や話する内容について、不安や何を話してよいかなどを、過度に考えすぎることがある。
・言葉を文字通りに受け取ることが多く、例えや比喩などをそのまま文字通りに受けとってしまうことがある。お世辞や皮肉など理解しづらかったり、ユーモアがわからない、遠回しな言い方が理解できないこともある。
・話言葉を使うことに困難を伴うことがあったり、古風で杓子定規的な話し方をする。また、立場によって言葉が変化する場合に、(例えば、他人に話すときでも「母」といえずに「お母さん」など表現する)ことがある。
・他人の関心や状況を考えることなく、自分のペースで話し続ける。

想像の難しさ

自分が見たり予想していた以外の出来事や成り行きを想像したり、納得することが難しいことがあります。自分の興味のあることや心地よいパターンの行動にこだわりが強い場合には、想定外の行動を取ることに抵抗を示すこともあります。このような特徴から、以下のような状況が見られることがあります。す。

・「空気が読めない」と言われたり、不適切な発言をしたと受け止められる。
・組織の暗黙の了解やマナーが理解しにくい。相手の表情から気持ちを察することができない。
・視線を合わせられない。
・身だしなみや服装に関することで注意を受けることがある。

感覚過敏

特定の音、光、色、ニオイ、模様、味などについて、五感の感じ方が独特なことがあり、以下のような状況が見られることがあります。

・聴覚過敏のため、周りの音や会話が過剰に気になり、作業に集中できなくなる。
・嗅覚過敏のため、特定の花や香水のニオイをかぐと、気分が悪くなる。
・視覚過敏のため、視界に入るものの情報がすべて目に入り、目的のものを探しにくい、見つけにくい。
・触覚過敏のため、人に触れられるのを嫌がる。
・光に敏感で、蛍光灯の光やちらつきが気になる。
・皮膚感覚が極端に鋭かったり、鈍かったりすることがある。温度の変化に気づきにくい場合には、真冬に半袖を着たり、夏に真冬の服装をしていることがある。ケガをしても痛みを感じにくく、ケガをしてもそのまま放置しておくことがある。
・味覚過敏のため、特定の味や食感のものが苦手な場合がある。

発達障害(自閉症スペクトラム)の人に、このような特性が全て当てはまるわけではありませんし、個人差もあります。しかし、社会生活を行なう上で行動や態度などで困難さを伴うことがあることを知っておくと、反抗心があったり、わざとしているのではないと理解することにより、一緒にいる人たちは、そのことを受け入れやすくなることがあります。

発達障害(自閉症スペクトラム)の雇用

発達障害(自閉症スペクトラム)のあるなしに限らず、誰でも得意なことと苦手なことがあります。発達障害(自閉症スペクトラム)の人は、それがわかりやすく見えるので、これらを検討して仕事内容や配置を検討するとよいでしょう。

難しさのところを中心にお伝えしてきましたが、中には、緻密さや正確さにこだわり、手先の器用さなどの特性を仕事で発揮する人も多くいます。

例えば、精密機器の検品は、非常に高度な観察力や違いを見抜く力が要求されます。発達障害(自閉症スペクトラム)の人の中には、普通の人が一見しても気づいたり、わからないような細かなキズ、汚れを見つけることができる人もいます。数字にこだわりが強い人の中には、経理や数字を扱う仕事で活躍している人もいます。

とは言え、いろいろな難しさがあるので、職場における配慮を検討することは大切です。職場において、どのような配慮ができるのかを見ていきたいと思います。

職場における配慮

業務指導や相談する担当者を決める

発達障害(自閉症スペクトラム)にかぎらず、障害者雇用を行って、仕事がスムーズに行えるようにするために、業務指導や相談する担当者を決めることが多くの職場で行われています。

障害者にとっては、仕事でわからなくなったときにどうすればよいのかを聞く担当者が決まっていると、安心してその人に聞くことができますし、同じ人が業務指導を行なうことによって、一貫した指導をすることができるからです。

業務指導に関しては、特にはじめは一貫した内容を教えることがとても大切になります。障害者も緊張していますし、ワーキングメモリーと呼ばれる記憶する部分が、そもそも限定されていることが多いので、ムダなことを極力省いて効率よく仕事内容を教えることが、仕事を習得しやすくなることにつながるからです。

また、業務担当者として、マネジメントや所属長を割り当てる企業も多いですが、できるだけ同じ業務を行なっていて、すぐに仕事内容を聞いても答えられる人に担当者になってもらうほうが適していることが多くあります。そもそもマネジメントや所属長は会議や出張が多く、いつも席にいて仕事をしていることは少ないことが多いですし、緊急対応などもあったりして、仕事の質問や確認があってもすぐに聞けないことも多いからです。

その間の仕事ができなかったり、何をすればよいのかわからなかったりすると、その待っている時間や空き時間が発達障害(自閉症スペクトラム)の人にとって苦痛である場合も少なくありません。

業務指示の内容や手順をわかりやすく提示する

業務指示やスケジュールを明確にし、指示を1つずつ出すことや、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うことができます。口頭で説明しても、一度にそれを把握することが難しい場合があるからです。そのため、1つずつ箇条書きにするなどして、1つの作業が終わったら次に何をすればよいのかがわかるように提示をしましょう。

はじめはとても手間がかかる、負担が大きいと感じるかもしれません。しかし、このように指示の内容を明確にし、マニュアルを一度作成しておくと、繰り返し使えることができますし、担当者の方が一度教えて、合格ラインになったときには、障害者が1人で業務をこなせるようになります。また、実習生や後輩が加わったときでも、業務を担当している障害者が先輩として、そのマニュアルを使いながら教えることもできます。

長い目で見ると、業務指示やスケジュールを作成し、業務内容をマニュアル化しておくことは、仕事の効率化を図る上でも、また障害者が自立して業務をこなす上でも役に立ちます。

特性に対応したツールや機器の使用を認める

感覚過敏がある人の中には、特性に対応したツールや機器の使用を認めることによって働きやすい環境をつくることができます。例えば、光に刺激を感じるような場合にはサングラスの着用や、音に敏感な場合には耳栓、ヘッドフォンの使用を認める、衝立を用意して周囲と遮断された空間を用意する等の使用を認める等ができるでしょう。

一緒に働く周りの社員に説明し、理解を図る

発達障害(自閉症スペクトラム)にはさまざまな特性があるので、一緒に働く社員、特に同じ部署内やグループ内の社員には、一緒に働く発達障害(自閉症スペクトラム)の社員がどのような特性があって、どのような配慮を行なうのかについて事前に説明し、理解を図っておくことをおすすめします。

説明があって受け入れるのと、説明が一切なく受け入れるのでは、一緒に働く社員の受け入れ態勢が全く異なってくるからです。もちろんその際には、本人の意志を確認し、プライバシーに配慮した上で説明してください。

多くの発達障害(自閉症スペクトラム)の方は、周囲に理解されてこなかったゆえに困難さを感じる経験をしていることが多いので、一緒に働く人に伝えて、理解を図ることを希望する人は多くいます。障害を強調するのではなく、どのような困難さがあり、それを和らげるための環境や配慮を伝えるとよいでしょう。

動画での解説はこちらから

まとめ

発達障害(自閉症スペクトラム)の障害者と一緒に働くときに知っておきたいポイントとして、特性や雇用について、職場で行える配慮について説明してきました。

発達障害(自閉症スペクトラム)の特性は大きく3つあり、社会性の難しさ、コミュニケーションの難しさ、想像の難しさがあります。加えて、感覚が過敏なところもあるので、それぞれの特性で見られる傾向についてお伝えしてきました。

また、職場で行える配慮としては、業務指導や相談する担当者を決めること、業務指示の内容や手順をわかりやすく提示すること、特性に対応したツールや機器の使用を認めること、一緒に働く周りの社員に説明し、理解を図ることがあります。

ここでは、発達障害(自閉症スペクトラム)の一般的な概要についてお伝えしてきました。とは言え、発達障害(自閉症スペクトラム)にかぎらず、障害に関しては、個別性が高いものです。まずは、発達障害(自閉症スペクトラム)だから・・・と決めつけずに、その人自身を見ることを大切にしていただきたいと思います。

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