【精神障害】活用できる福祉サービスと就労のためのサポート

【精神障害】活用できる福祉サービス(平成30年改正)と就労のためのサポート

2018年04月4日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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障害者総合支援法が平成30年4月から改正されました。今回の改正では、地域での自立生活を目指す障害者への対応として、自立生活援助の創設と就労定着支援の創設が行われています。

ここでは、従来からの福祉サービスに加え、平成30年4月から加わった自立生活援助の創設と就労定着支援の創設、また就労のためのサポートについてみていきます。

障害者総合支援法の福祉サービス

障害者総合支援法とは、障害を持つ人が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、障害を持つ人の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律です。障害者総合支援法による福祉サービスは、「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つに大きく分けられます。

自立支援給付

自立支援給付とは、障害になる人が福祉サービスを利用した際に、行政が費用の一部を負担するものです。基本的には全体費用の9割が給付されますが(本人負担は1割)、住民税が非課税の世帯であれば全額給付(本人負担はゼロ)されます。

自立支援給付には、大きく分けて障害福祉サービス(介護給付、訓練等給付)、自立支援医療、補装具の3つの給付があります。例えば、自立支援医療の精神通院医療を利用すれば、精神科の通院医療にかかる医療費の自己負担が、通常3割から1割に軽減されます。

地域生活支援事業

一方、地域生活支援事業とは、各地域の実情に応じて実施される事業や、相談支援やコミュニケーション支援など個別の給付には当たらない事業をまとめたものです。障害のある人に創作的活動や生産活動の機会を提供する地域活動支援センターや、自立度の高い人に低額の料金で居室を提供する福祉ホームなどの運営も、地域生活支援事業に含まれます。

中でも、相談支援では生活上相談のほか、住んでいる地域ではどんなサービスが提供されているのか、自立支援給付を受けるためにはどうすればよいのかなどといった、福祉サービスの利用に関することも相談できます。

障害者総合支援法に基づく福祉サービスについて、詳しい情報やサービスの受給を希望する場合は、市区町村の障害福祉担当窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

障害者総合支援法の福祉サービスの内容

自立支援給付・介護給付

・居宅介護(ホームヘルパー)
ホームヘルパーが家庭を訪問し、入浴、排泄、食事の介護や、調理、洗濯、掃除などの家事の援助等を行います。

・重度訪問介護
ホームヘルパーが家庭を訪問し、重度の肢体不自由があって常時介護の必要な人に、自宅での介護から外出時の移動支援までを総合的に行います。

・同行援護
視覚障害がある人に、外出時に必要な視覚的情報の提供や移動の援護を行います。

・行動援護
知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する人で常時介護の必要な人に、外出時の移動の支援や行動の際に生じる危険回避のための援護を行います。

・重度障害者等包括支援
常時介護が必要で意思疎通を図ることが著しく困難な人に、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、共同生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を包括的に提供します。

・短期入所(ショートステイ)
自宅で介護を行う人が病気の場合などに、障害者支援施設等に短期間入所することで、入浴、排泄、食事の介護、その他の必要な保護を行います。

・療養介護
病院などの施設において、機能訓練や療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護、日常生活上の世話などを行います。

・生活介護
常時介護を必要とする人に、おもに日中において、障害者支援施設などで行われる介護サービスや、創作的活動の機会の提供などを行います。

・施設入所支援
介護が必要な人や通所が困難な人で、生活介護、自立訓練又は就労移行支援のサービスを利用している人に対して居住の場を提供し、夜間における日常生活上の支援を行います。

自立支援給付・訓練等給付

・自立訓練(機能訓練・生活訓練)
機能訓練では、障害者支援施設等に通い、一定期間の支援計画に基づき、身体機能・生活能力の維持・向上のため、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション等を行います。

生活訓練では、障害者支援施設等に通い、一定期間の支援計画に基づき、自立した日常生活を営むために必要な訓練等を行います。

・就労移行支援
就労を希望する65歳未満の人で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる人に、一定期間の支援計画に基づき、生産活動や職場体験の機会の提供、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援などを行います。

・就労継続支援(A型=雇用型、B型=非雇用型)
一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。

・共同生活援助(グループホーム)
日中に就労又は就労継続支援等のサービスを利用している障害者に対し、共同生活の場において、相談や介護や日常生活上の援助を行います。

・就労定着支援(平成30年4月から)
就職している人で、生活リズムや金銭管理などに課題のある人を対象に、課題解決の調整などを行うサービスになります。利用期間は最大3年です。ただし、就職している人が誰でも対象になるかというと、そうではなく、福祉障害福祉サービス経由で就職した人が対象となります。

具体的には、福祉障害福祉サービスのうち生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を利用して企業等へ就職した人が対象となり、働き始めたことで生じる生活上の課題を解決できるような助言や援助を行います。

例えば、朝起きるのが苦手で遅刻を繰り返してしまうような場合に、家族の協力をえながら起床習慣を身につけることや、給料が出ると欲しいものを一気に買ってしまいお金の管理ができない場合に、社会福祉協議会の金銭管理サービスへつなげていく、身だしなみがなかなか改善されないときに、支援機関や会社と連携して定期的な自己チェックを導入するといった内容が考えられます。

働くための力は十分にあっても、生活上の課題が原因で安定して働き続けることができなくなってしまう障害者も多いため、就職に向けて生活面の不安がある場合には心強いサービスとなると思われます。

一方で、就労定着支援を利用できる人は、特定の障害福祉サービスを利用して就職した人に限られます。そのため、特別支援学校を卒業してすぐに就職した人や、ハローワーク経由で就職した人は使うことができません。今後、就労までのルートによって、利用の可否が決まってしまう運用体制については検討していく必要があるかもしれません。

・自立生活援助(平成30年4月から)
独立生活をしていたり、施設入所支援や共同生活援助を利用していた人が一人暮らしへ移行する場合に、希望する人を対象として、生活課題解決のための定期巡回と随時対応サービスを行い、円滑な地域生活に向けた相談・助言等を行います。利用期間は原則として1年間となっています。

例えば、入所施設や精神科病院からの独立を目指す人、地域での自立生活を目指す人などを対象に、自ら生活課題を解決するための助言などを提供することが想定されています。基本的には、週1回程度の定期訪問を行い、暮らしぶりを確認します。その上で、例えば部屋を片付けられない、人間関係で悩んでいる、服薬の管理がうまくできないといった生活課題を自力で解決できるような助言や援助を行います。

従来のヘルパーサービスよりも、利用方法や援助内容の自由度が高く、精神障害の方などが地域で自立生活を目指すときには適したサービスと考えられます。しかし、利用対象の決定には、市町村の判断が大きく関与しており、利用の可否が地域によって異なることが懸念されています。また、利用期間が原則1年間となっており、継続的な利用が必要な場合の対応についてはどうなるのかは、現時点ではわかっていません。

地域生活支援事業

【市町村事業】
・理解促進研修・啓発
・自発的活動支援
・相談支援
・成年後見人制度利用支援
・意思疎通支援
・移動支援
・地域活動支援センター等

【都道府県事業】
・専門性の高い相談支援
・広域的な支援
・専門性の高い意思疎通支援を行う者の養成・派遣
・疎通を行う者の派遣に係る連絡調整等

就労のためのサポート

精神障害の人の就労をサポートするサービスや提供している事業所はたくさんあります。ここでは、主なものをいくつか見ていきます。まず、就労活動の中心的な窓口になるのが、ハローワークや地域障害者職業センターです。

ハローワーク

ハローワークには、障害者のための相談窓口があり、その人の希望や現在の状況に合った仕事を紹介してくれるとともに、就労に関するさまざまな相談を行っています。例えば、今すぐ働くのは不安だという人には、障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業所等の施設を紹介してくれます。

また、紹介された仕事先で作業訓練や環境に適応するための訓練を受ける職場適応訓練、試行期間を設けて働くことができるトライアル雇用等といった制度があります。

職業適応訓練

職業適応訓練では、紹介された事業所で、作業訓練や環境に適応するための訓練を受けます。訓練生には、失業給付(雇用保険受給資格者の場合)や訓練手当が支給されます。

トライアル雇用

トライアル雇用では、雇用主にトライアル雇用の申請をしてもらうことで、試し期間を設けて働くことができる制度です。企業が求める適性や能力、技術などを実際に把握することができ、認められると継続雇用が可能となります。

また、通勤する上での問題や職場の人との人間関係など、自分に合っているかどうかを確認することもできます。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、ハローワークや医療・福祉機関、就職先の事業所等と連携しながら、専門の障害者職業カウンセラーを配置し、職業相談・評価、専門的な職業リハビリテーションプログラム、就労準備支援、職場適応支援などを行っています。

職業能力の評価

希望する職種などを考慮した上で、職業能力などを評価し、就労に必要なサポート内容や方法等を含む支援計画書を作成します。

職業指導

職業選択を適切に行えるよう、また職場でしっかり働き続けられるように相談や助言を行います。また、就労に向けての職業準備支援では、職業センター内での作業体験、職業準備講習カリキュラム、グループミーティングなどを通して、就労に向けた準備を進めます。

ジョブコーチ(職場適応援助者)

ジョブコーチとは職場適応援助者のことで、企業へ実習に行くときや、就職したあとに、本人と一緒に企業に入り、本人の仕事をサポートします。企業に対しては、どのようにサポートすれば、本人が働きやすいのか、理解しやすいのかなどをアドバイスします。

リワーク支援

リワーク支援は、精神疾患によって休職している人が再び職場に復帰できるよう、医療スタッフや企業と連携しながらサポートをする制度です。

本人の希望する職種や現在の状況などを踏まえた上での職業能力の評価、就労に向けたさまざまな訓練やアドバイスを受けられるほか、ジョブコーチの派遣やリワーク支援なども行っています。

精神障害の人にとって、働くことは大きな目標であるとともに、大きな励みとなります。さまざまな制度やサービスを活用することによって、就労を目指すことができます。

まとめ

精神障害の人が活用できる福祉サービスと就労のためのサポートについて見てきました。

障害者総合支援法が平成30年4月から改正されました。今回の改正では、地域での自立生活を目指す障害者への対応として、自立生活援助の創設と就労定着支援の創設が行われています。従来からの福祉サービスに加え、平成30年4月から加わった自立生活援助の創設と就労定着支援の創設、また就労のためのサポートを中心に説明してきました。

参考

ハローワークにおける障害者雇用における役割とは?

障害者職業センターと障害者就業・生活支援センターの違いとは?

職場の中でジョブコーチを効果的に活用する時期と支援内容

職場におけるジョブコーチ(職場適応援助者)に関する助成金について

ジョブコーチ(職場適応援助者)の資格取得と求められる役割

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