障害者の採用をしているものの障害者からの応募がなく、障害者雇用が進まないという企業の相談を受けることがあります。
働きたい障害者は多いと聞くのに、なぜうちの会社には応募がないのかと感じたのであれば、ぜひこの先を読み進めてください。
求人を出しても応募がないときはどうしたらよい?
毎年、障害者の法定雇用率を報告し、その結果が発表され、企業では障害者雇用を進める必要性に迫られています。しかし、肝心の障害者雇用の求人を出しても応募が全くない・・・、このような状況があるときには、障害者採用の方法を見直す必要があります。
どのような点を見直すとよいのか、また解決方法についてお伝えしていきます。
仕事のイメージがつく求人票を作成しよう
まず、求人票を見直してみましょう。障害者が業務内容として多いものは、事務、事務補助、軽作業が多くの割合を占めます。しかし、事務や事務補助といっても、それぞれの企業で求める事務業務はかなり違いがあります。データ-入力や資料整理などが中心のところもあれば、総務などでいろいろな対応を都度行うことを求められるところもありますし、電話応対が必須のところもあります。
求人票を出す側としては、いろいろな業務に対応してほしいと考えて、大きな枠で出すほうが都合がよいと考えがちですが、これは応募する側からすると、どんな業務をするのかがわかりにくく、自分が応募してもよいのかと思わせてしまうことになります。そのため業務内容については、事務や事務補助でもよいですが、補足として主にどんな業務を担当してもらうつもりなのかを記載しておきましょう。
パソコンはどのような業務で、使用するソフトなどを明記したり、電話対応があるのかどうか、電話対応をする場合にはどの程度のことを求めるのか、はじめはできないことがあっても慣れてからできるすることが可能かどうかなども伝えると、グッと具体的なイメージが応募者側にも伝わります。
また、これは障害者求人に限りませんが、どうしても大手企業の求人や有名な企業の応募と比較すると、中小企業の求人は埋もれがちになってしまいます。福利厚生などを比較すると、たしかに大手企業のほうが待遇はいいことが多いですが、自社の強みや雰囲気なども可能な限り伝えて、この会社に興味があると思ってもらえる求人票を作成することが大切です。
求人票は、働きたい障害者のもとに届くようにする
続いて求人票を作成したら、それを働きたい障害者がいる学校や訓練機関などに周知していきます。障害者の訓練機関としては、就労移行支援事業所や特別支援学校、障害者職業能力開発校、障害者職業センターなどがあります。これらの機関や学校では、働きたい障害者が職業訓練を受けたり、就職活動を行っており、卒業や終了時には就職することが目標となっています。
これらの機関や学校に求人票や会社案内などを持っていったり、送付して、希望する人がいれば紹介してもらうように声掛けをしましょう。マッチングできそうな人がいれば、会社見学や実習などを通して、会社を知ってもらうようにします。
ただ、気をつけなければならないのは、障害者が訓練している機関や学校は、障害当事者に対する情報や、障害そのものの知識はあっても、企業の障害者雇用の状況や組織での仕事内容を知っているわけではありません。また、卒業や終了時期があると、その先の進路を決めるために、働くにはまだ難しい人を「大丈夫です」と推してしまうこともあります。また、企業では対応が難しい配慮を求めてきたりすることもありますので、企業側で受け入れられる基準を決めておくことも大切です。
障害者雇用率に達していないと、企業で受け入れられるかどうかを迷ってしまう人材を採用してしまう企業がありますが、これはおすすめしません。一旦雇用すると、法律や行政では、雇用された人を守ることに重きがおかれ、雇用した企業側がその対応に追われることが少なくないからです。求める業務ができるスキルや実力があるのか、また、そもそも仕事ができる体力や精神力があるのかなどは、事前に実習などを通して確認しておくと良いでしょう。
動画での解説はこちらから
まとめ
障害者の採用をしているものの障害者からの応募がなく、障害者雇用が進まない場合に、どのような対策をとればよいのかについて考えてきました。
まず、求人票を見直してください。業務内容については、できるだけ具体的に記載したほうが、仕事内容のイメージが応募者にもしやすくなります。また、自社の強みや会社の社風などを伝えて、会社に興味や関心を持ってもらえる工夫をしてください。
求人票ができたら、働きたい障害者がいる学校や訓練機関などに周知していきます。気をつけてほしいのは、障害者が訓練している機関や学校は、障害当事者に対する情報や、障害そのものの知識はあっても、会社で働くことを理解しているところは少ないということです。また、卒業や終了時期があると、その先の進路を決めるために、働くにはまだ難しい人を「大丈夫です」と薦めてくることもあります。
雇用してしまうと、その責任は企業側にあります。企業側で受け入れても大丈夫だと思える人材でない場合には、慎重に検討していくことが大切です。また、面接からすぐに採用するのではなく、実習やトライアル雇用などを通して、安定的に働ける状態なのか、求めている業務内容ができる実力やスキルが有るのかを確認してください。
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