障害者を採用したもののすぐに退職してしまった、職場の中の雰囲気がギクシャクしている・・・など、障害者雇用に取り組んでみたものの、障害者雇用がうまくいっているとは言えない企業が多くあります。このような状況を生み出してしまう理由は、どのような点なのでしょうか。
障害者雇用がうまくいかない原因や状況には、どんなことがよく見られるのかについて、解決策をお伝えしていきます。
障害者雇用は人事部や管理部がおこなうものと社員が思っている
障害者雇用を進めていくには、社内の協力が欠かせません。しかし、社内で障害者雇用の重要性や取り組み方を伝えていないと、多くの社員は、障害者雇用は人事部や管理部がおこなうものであり、自分たちには関係ないと思っている場合が少なくありません。
このような雰囲気があると、障害者雇用しても、サポートや配慮が十分におこなわれないために、せっかく障害者を雇用できても、すぐに退職に至ってしまいがちです。障害者雇用は、人事や管理部だけがおこなうものではなく、組織全体で取り組むべきことを伝えることが大事です。
全社的に集まるキックオフや朝礼などのときには、経営層からも障害者雇用について、話をしてもらう機会を作るとよいでしょう。
また、社内が障害者雇用に協力的でないという話もよく聞きます。しかし、実際に話しをよく聞いてみると、年に1回か2回の案内をしているだけとのこと。これでは、直接担当していない社員にとっては、全く記憶に残りません。どのようにしたら、社員に自分ごととして捉えてもらうのかを考えることも大切です。
障害に配慮しすぎて、業務マネジメントができていない
障害に関して配慮することは大切なことですが、そのことばかりに注意が行き過ぎて、業務マネジメントができていないと、障害者雇用はうまくいきません。障害者雇用の大前提は「雇用」です。仕事ができるまでには、少し時間がかかることはあるかもしれませんが、教育でも訓練の場でもありませんので、まずは業務マネジメントをすることを意識することが必要です。
障害者への合理的配慮と、わがままの差がわかりにくいという声を聞くことがありますが、この基準は職場や仕事内容によっても変わってきます。事前に障害者雇用の業務を切り出したり、業務設計した時に想定していることと大幅に業務手順が異なるような状況や配慮が必要な時には、採用を考えている障害当事者がその業務に適していない可能性があります。
また、「注意しても大丈夫ですか」と聞かれることがありますが、業務の中で、必要な時には、当然伝えるべきです。間違ったことや指摘が必要な時にはしっかり伝えないと、障害当事者が間違っていると認識できずに、同じミスや失敗を繰り返します。そして、一緒に働いている社員にリカバリするための負担がかかると、その社員のほうが疲れ果ててしまうことがあります。障害特性などにより、伝え方などは配慮が必要かもしれませんが、業務遂行できるようにマネジメントすることを意識するようにしてください。
会社、組織に合った障害者雇用ができていない
障害者雇用は、すでに取り組んでいる会社を見学させてもらい、それを参考にしながら社内で業務や体制づくりをしていくことがよくあります。これは、すでに取り組んでいる企業でうまくいっていることなので役立つことも多くあります。しかし、同じ業種、同じくらいの従業員数であっても、組織の文化や社風、社員の雰囲気などは、かなり異なります。どこかの企業でうまくいったからと言って同じことをうまくしても、あなたの会社、組織でうまくいくとは限らないことを、まず知っておいてください。
では、どのようにすればよいのでしょうか。まず、自社の特徴、雰囲気、社員の受け止め方を分析し、どのような障害者雇用の取り組み方であれば、社内に受け入れてもらいやすいのかを考えてください。これを考えると、自然に業務内容や、どのような部門での障害者雇用をしていくかが見えてくるでしょう。
もし、組織として、障害者には定型的な業務をして欲しいと考えている企業に、どんどんスキルアップをしたいと考えている障害者が入社したとしたら、仕事に物足りなさを感じるでしょう。また、反対に、組織では障害の有無に関係なくスキルアップを望んでいるのに、障害者が現状の仕事で満足している、業務量を増やしたり、新しい仕事でストレスを感じたくないと思っているのであれば、新しいことへの挑戦はストレスになってしまうことでしょう。ミスマッチを減らすためには、会社、組織としての障害者雇用のスタンスを決めることが大切です。
動画の解説はこちらから
まとめ
障害者を採用したもののすぐに退職してしまった、職場の中の雰囲気がギクシャクしている・・・など、障害者雇用に取り組んでみたものの、障害者雇用がうまくいかない原因や状況について見てきました。
障害者雇用がうまくいかない原因や状況としてよく見られることは、次のことです。
・障害者雇用は人事部や管理部がおこなうものと社員が思っている
・障害に配慮しすぎて、業務マネジメントができていない
・会社、組織に合った障害者雇用ができていない
このような問題を解決するためには、自社の特徴、雰囲気、社員の受け止め方を分析し、障害者雇用の業務内容や、どのような部門で進めていくのかを考えていきます。また、関わるスタッフで業務マネジメントについての方向性を確認してください。直接関わるスタッフだけでなく、社内全体でも障害者雇用に取り組んでいることを機会あるごとに伝えていくことも有効的です。
なお、障害者雇用ドットコムでは、具体的な事例を交えながら、障害者雇用の進め方や障害特性に合ったマネジメントの方法を学べるオンライン講座とコミュニティを準備しています。関心のある方は、以下の案内をご覧ください。
参考
【初めての人でもわかる】障害者雇用促進法の概要をわかりやすく解説
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