大人の発達障害の人にとって仕事を選択するときには、定型発達の人より難しい課題があることが多くあります。ここでは、発達障害のある人が、自分に合った仕事を見つけるために活用できる方法を紹介していきます。
発達障害のある人の仕事の選択
発達障害という診断を受けたケースでは、一般的な就職活動を行ったり、仕事につくこともできますが、障害があることを周囲の人に理解してもらった上で、就職や仕事を選ぶことをも選択肢としてあります。
発達障害の人でも障害を周囲の人に知らせないで活躍している人もいますが、定型発達の人と同じ条件で仕事を探すことや働くことには、次のような難しさがあります。
・発達障害の特徴による苦手な部分が、定型発達と比較されると不利である。
・仕事や人間関係などのストレスによる二次障害などの発症の可能性が高い。
発達障害のある人の中には、就職活動をする上で難しさを感じることも多いようです。また、就職してからも難しさを感じたりして、ストレスを感じる人も少なくありません。そのため発達障害の人の仕事に関する悩みや相談にのってくれたり、をサポートする機関や支援がたくさんあります。そのいくつかを見ていきましょう。
発達障害のある人への就労サポート、支援
2005年の発達障害の自立と社会参加を目指す発達障害者支援法が施行されてから、発達障害を対象としたさまざまな就労サポートや支援が行われるようになってきました。
専門窓口を持った発達障害者支援センターや地域障害者職業センターといった支援機関に加えて、ハローワークや地域若者サポートステーションなどの一般就労関連の機関にも役に立つ情報があります。
地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)とは、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っています。 もちろんこの若者には発達障害の方も含まれます。
サポステは、厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウがあるNPO法人、株式会社などが実施しており、「身近に相談できる機関」として、全国の方が利用しやすいよう全ての都道府県に必ず設置されています。
働くことに踏み出したい若者たちとじっくりと向き合い、 本人やご家族の方々だけでは解決が難しい働き出す力を引き出したり、職場定着するまでを全面的にバックアップする厚生労働省委託の事業になりますので、安心して活用することができます。
サポステのホームページはこちらから
→ 地域若者サポートステーション(サポステ)
また、NPOなどの民間機関・団体も独自の支援情報を発信しています。しかし、これには地域差や団体によっても異なるところがあり、システムとしてはあるものの情報量が少なかったり、現実的な制度としてのサポートが少ないなどの状況も見られます。
他の方法としては、障害雇用率制度を利用した就職を検討することができます。企業には障害者の法定雇用率達成が義務付けられていて、福祉手帳(精神障害者保健福祉手帳)の保有者を採用することが法律で定められているからです。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は発達障害を含む精神障害ある方が取得できる障害者手帳です。持っていることによって受けられるサービスや支援がたくさんあります。手帳の申請方法やどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。制度から判定基準、メリットや申請方法までくわしくご紹介します!福祉手帳の取得は、発達障害やその二次障害などの関連で可能です。ただし都道府県ごとに対応にばらつきがあることもあります。とはいえ、二次障害等との関連で福祉手帳を取得することができます。これにより障害者を対象とした支援が利用可能となります。
精神障害者保健福祉手帳の取得の手順
地域によって若干異なる場合もありますが、ここでは東京都をイメージして書いています。
1.担当窓口の区市町村の市民課・保険福祉係、支援課・生涯福祉係などに相談し、以下の書類をもらう。
・障害者手帳申請書
・診断書の様式
担当窓口は、住んでいる区市町村によって名称が異なります。
2.医師に診断書を記入してもらう。
3.区市町村の担当窓口に、以下の必要書類を提出する。
・障害者手帳申請書
・診断書(初診日から6ヶ月経過後で申請日から3ヶ月以内作成のもの)または年金証書等の写し
・本人の写真(縦4センチ×横3センチ)
・印鑑
4.申請時の診断書等に基づいて審査、障害等級決定後に手帳交付される。
手帳の更新は2年ごとで、有効期限の3ヶ月前から更新申請することができる。
精神障害者保健福祉手帳の障害等級
1級:生活日常の用を弁ずることを不可能ならしめる程度
2級:日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度
3級:日常生活または社会生活が制限を受けるか、日常生活または社会生活に制限を加えることを必要とする程度
精神障害者保健福祉手帳のメリット
・税金の減額、免除
・生活保護の障害者加算(1級及び2級)
・自治体運営交通機関の交通乗車証発行、交通運賃の割引
・携帯電話利用料金割引
・公共施設等の利用料減免
・NHK受信料減免
・自治体運営住宅への優先入居等
活用できる公的支援・支援団体など
発達障害者支援センター
発達障害の当事者やその家族からの相談に応じ、専門的な指導やアドバイスを行い、医療、就労等に関連する事業の従事者に情報提供等を行う。
地域障害者職業センター
ハローワークと協力して、障害者の就職に向けての相談、職業能力等の評価、就職前の支援から、就職後の職場適応のための援助を行う。
地域若者サポートステーション
ニートや引きこもりなど、働くことの悩みを抱える若年層が就労に向かえるよう、コンサルタントやスキルアッププログラムなどの支援サービスを行う。
障害者就業・生活支援センター
公益法人や社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO)等が運営し、障害者の暮らしや仕事について、総合的な支援を行う。
発達障害者情報・支援センター
発達障害の当事者、家族、支援者等に対し、信頼できる情報をわかりやすく提供する。
ハローワーク
一部のハローワークでは、若年支援の専任者として就職チュータを配置している。
学生職業総合支援センター、学生職業相談室等
ハローワークの出先機関として各都道府県に1ヶ所ずつ設置され、大学等新卒者対象就職情報の提供と職業相談を行う。
人材紹介会社
障害者枠で働くときには、ハローワークで就職先を見つけることもできますが、人材紹介会社を通して就職先を紹介してもらうこともできます。人材紹介では、雇用する企業側が人材紹介会社に人材の報酬を支払うことはありますが、障害者本人には費用はかかりません。仕事先を見つけたいという場合には、紹介会社を通して就職活動することもできます。
人気のある人材紹介会社
・障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】
ジョブカフェ
地域の実情に合った若者の能力向上と就職促進を図るための雇用関連サービスを1ヶ所にまとめたワンストップサービスセンターとして情報提供、相談を行う。
まとめ
発達障害のある人は、一般的な就職活動もできますが、障害があることを周囲の人に理解してもらった上で、就職や仕事を選択することを考えることも選択肢としてあります。
発達障害として理解してもらった上で就職することによって、発達障害の特徴による苦手な部分を理解してもらったり、サポートをしてもらいやすくなるので、仕事や人間関係などのストレスによる二次障害などを発症するリスクが軽減されます。
また、2005年に発達障害者支援法が施行されてから、発達障害を対象としたさまざまな就労サポートや支援が行われるようになっていまので、いろいろな機関の中で自分に合うところや相談に行きやすい機関を探してみることができるでしょう。
参考
発達障害と二次障害の関係性と治療や予防に役立つ、知っておくべきこととは
発達障害のある人が相談できる発達障害者支援センターの役割と支援内容
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