障害者雇用の給与等の雇用条件をどのように決めたらよいか

障害者雇用の給与等の雇用条件をどのように決めたらよいか

2017年02月15日 | 企業の障害者雇用

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障害者雇用をはじめる企業の担当者の方からよく聞かれるのが、障害者の賃金体系や勤務形態に関する雇用の条件面に関することです。しかし、「給与はいくらです」とは、なかなか答えられる質問ではありません。これらの雇用条件は、雇用するそれぞれの企業によって変わるからです。

障害者雇用をスタートするときによく薦められるのが、障害者雇用をすでに行っている他の企業を見学することです。実際に障害者雇用をしている企業やハローワーク、労働局などの行政からも薦められることがあります。

これはメリットがある一方、気をつけなくてはならない点もあります。給与などの働く条件は、それぞれの企業によって異なるからです。一見すると同じような業務に見えたとしても、どれくらい判断や決定に関係しているか、責任をもっているかなどによっても異なります。

とは言え、初めて障害者雇用を行う企業の方が障害者雇用の条件面を決めるときに、目安になるものがほしいと言われる企業の方が多いので、障害者雇用を行う上で知っておきたい障害別雇用形態、給与の金額についての例などを、見ていきたいと思います。

障害者雇用と一般採用との給料の差について

現実的に給料をみると、障害者雇用と一般採用では差がある企業が多く見られます。その差は、企業側が障害者を雇用するときに、どのような業務内容を行うか、何を求めているかによります。

企業が障害者を雇用するにあたり、障害のない人と同じスキルや能力、アウトプットを求めるのであれば、それに見合う給料が支払われるでしょう。しかし、限定された業務や仕事を覚えるまでにそれなりの配慮や、非常に時間がかかったりするのであれば、採用する側もそれなりの負担がかかりますので、最低賃金に近い給料の場合もあります。

また、業態や業界によっても違います。これは、障害者、一般と同じです。例えば、アルバイトやパートであれば、どんなにスキルがあったとしても、時給いくらという形で支払われるのと同じです。逆に、管理職や専門職であるならば、それに見合う給料を受け取ることになるでしょう。

障害者雇用の人材確保するために、一般的にそれなりのスキルや経験を求めて障害者を雇用することを考えているのであれば、障害者向けの人材紹介会社を使うとよいでしょうし、一般職やパート等で採用することを考えているのであれば、ハローワークや障害者就労支援機関に問い合わせるとよいでしょう。

企業が障害者を雇用するとき、多くの場合、障害者雇用促進法にもとづき、企業は従業員の2.3%にあたる障害者を雇用する義務を果たすために、障害者雇用を行おうと考えています。法律に定められた障害者雇用ができないと、企業名公表や障害者雇用納付金を納めることが求められるからです。

この障害者雇用納付金を納めることを企業にとって一大事のようにいう人もいますが、障害者雇用納付金は1人あたり月5万円ですので、年にして60万円。対して雇用すると、それ以上のコストがかかりますから、企業にとっては雇用しなければならない人数が大人数でないと、とりあえず障害者雇用納付金を納めていれば・・・という雰囲気になってしまいがちです。

障害者雇用納付金よりも企業が恐れているのは、行政から社名公表されることです。企業名公表は、厚生労働省から発表され、広く情報が社会に広がってしまいますし、企業のイメージにも大きく関わってしまうからです。

障害者雇用の条件

知的障害、精神障害を雇用するときの待遇の目安

知的障害や精神障害を雇用するときの待遇についての質問をよく受けます。賃金、待遇については、経営に直接結びつくことですし、本人の能力、生計、世間相場、そして成長を適切に評価するなど、さまざまな側面から検討が必要になってきます。基本的には今までお伝えしてきたように、企業によって仕事内容も雇用形態も異なりますので、それぞれの企業で検討していただくことが必要になります。

雇用形態をみても、正規従業員として雇用する、あるいは嘱託、期間雇い、パートタイム雇用など、企業によって異なります。また、賃金も、それぞれの企業の考え方が反映されています。

それでも、初めての障害者雇用であったり、何かを決済するときに目安になるものがほしいと言われる企業が多いので、厚生労働省が5年に1度調査している結果を参考にしていただければと思います。

この調査は、企業の障害者の雇用の実態を把握し、今後の障害者の雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、事業所調査と個人調査の2種類の調査を、5年ごとに実施されています。少し内容をみていきましょう。

出所:平成25年度障害者雇用実態調査結果(厚生労働省)

知的障害の雇用

仕事内容

仕事内容をみると、生産工程従事者が 25.6%と最も多く、次いで運輸・清掃・ 包装等従事者が 21.9%と多くなっています。
知的の仕事内容

賃金

1 か月の平均賃金は、108,000円(超過勤務手当を除く所定内、給与額は106,000円)となっています。週所定労働時間別にみると、通常(30 時間以上)の者が 130,000円、20 時間以上 30 時間未満の者が87,000円、20 時間未満の者が 35,000円となっています。

賃金の支払形態は、月給制が28.3%、日給制が4.9%、時給制が65.9%、その他が 0.4%、無回答が 0.4%となっています。

知的の賃金

精神障害の雇用

仕事内容

仕事内容別にみると、事務的職業が 32.5%と最も多く、次いでサービスの職業(15.1%)、生産工程従事者(12.9%)の順に多くなっています。

精神の仕事内容

賃金

1 か月の平均賃金は、159,000円(超過勤務手当を除く所定内、給与額は154,000円)となっています。週所定労働時間別にみると、通常(30 時間以上)の者が 196,000円、20 時間以上 30 時間未満の者が 83,000円、20 時間未満の者が47,000円となっています。

賃金の支払形態は、月給制が44.0%、日給制が3.2%、時給制が51.7%、その他が 0.5%、無回答が 0.6%となっています。

精神の賃金

この他にも知的障害者の賃金に関しての調査結果があります。平成7年にNHK厚生文化事業団が知的障害者本人573人に直接聞き取り調査した結果では、半分以上(56%)がボーナス抜きの平均月額給料10万円未満でした。10万円以上15万円未満が38%、そして15万円以上が5%という結果でした。働いている知的障害者の多くは、最低賃金に非常に近い賃金を得ているのが実態といえるでしょう。

最低賃金とは

障害者雇用を行うときには、よく「最低賃金」という言葉を耳にします。障害者雇用を行う上で、この「最低賃金」をぜひ押さえておいていただきたいと思います。

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、雇用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、雇用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

この最低賃金は、労働に対する対価として最低限支払わなければならない賃金の下限額が地域によって定められています。ですから、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者に、最低賃金以上の地域別最低賃金が適用されます。

パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態や呼称を問わず、すべての労働者に適用されます。ですから、障害者雇用を行うときにも、基本的には最低賃金以上の賃金を支払うことになります。

しかし、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれなどがあるときには、都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。障害者雇用を行うときに、この申請を行うことによって、最低賃金の減額特例を受けることもできます。

出所:最低賃金の適用される労働者の範囲(厚生労働省)

各地域の最低賃金とは

それぞれの地域の最低賃金は、以下のとおりです。

最低賃金

出所:最低賃金全国一覧(厚生労働省)

動画での解説はこちらから

まとめ

障害者雇用をはじめる企業の担当者の方からよく聞かれるのが、障害者の賃金体系や勤務形態に関する雇用の条件面に関することです。給与などの働く条件は、それぞれの企業によって異なるため、一見すると同じような業務に見えたとしても、どれくらい判断や決定に関係しているか、責任をもっているかなどによっても異なります。ですから、雇用条件は、雇用するそれぞれの企業でよく検討してから決めていただきたい点です。

とは言え、初めて障害者雇用を行う企業の方が障害者雇用の条件面を決めるときに、目安になるものがほしいと言われる企業の方が多いので、障害者雇用を行う上で知っておきたい障害別雇用形態、給与の金額についての例などをご紹介してきました。

障害者雇用を行うときには、他社の事例を参考にすることも大事です。でも、雇用するのはあなたの会社です。あくまでも参考として、あなたの企業で障害者雇用を進めていくのにあった勤務体系や賃金体系を考えていただきたいと思います。

参考

企業が障害者雇用を行う理由~担当者がおそれる社名公表とは~

障害者雇用の雇用条件、平均給与や雇用形態はどうなっている?

障害者雇用の給与は、なぜ安いのか~特例子会社のストから考える~

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