障害者雇用率とは?2.7%の対象企業・計算方法を解説

障害者雇用率とは?2.7%の対象企業・計算方法・未達成時の対応

2024年06月13日 | 障害者雇用に関する法律・制度

担当者が頑張るほど、 組織が止まる

 

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「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2027年7月更新
「障害者雇用率2.7%とは、何人雇用すればよいのか」「自社は障害者雇用義務の対象になるのか」「法定雇用率を達成できない場合、どうなるのか」と疑問を感じている企業担当者も多いでしょう。

障害者雇用率の計算には、従業員の雇用形態や週所定労働時間、障害の種類や程度などが関係します。そのため、単純に全従業員数へ2.7%を掛けるだけでは、正確な人数を確認できない場合があります。

障害者雇用率は、企業に求められる障害者雇用の最低基準です。ただし、雇用率を満たすことと、障害のある社員が職場に定着し、組織の中で能力を発揮することは別の課題です。

この記事でわかること
  • 障害者雇用率と法定雇用率の基本的な意味
  • 法定雇用率2.7%の対象となる企業
  • 障害者雇用率を計算するときの基本ルール
  • 法定雇用率を達成していない場合の対応
  • 雇用率を達成した後に企業が確認すべきこと

障害者雇用率とは

法律によって企業などに求められている障害者の雇用割合を「法定雇用率」といいます。

企業がまず確認しなければならないのは、自社が障害者雇用義務の対象になるのか、何人の障害者を雇用する必要があるのかという点です。

2026年7月から民間企業の法定雇用率は2.7%

2026年7月1日から、民間企業の法定雇用率は2.5%から2.7%へ引き上げられました。

現在の法定雇用率は、次のとおりです。

区分 法定雇用率
民間企業 2.7%
国・地方公共団体・一定の特殊法人 3.0%
都道府県などの教育委員会 2.9%

民間企業では、雇用率制度上の常用労働者数が37.5人以上の事業主が、障害者雇用義務の対象になります。

「37.5人」という人数に違和感をもつかもしれませんが、これは実際に37人と半分の人がいるという意味ではありません。

週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者は、労働者数を計算するときに原則として1人を0.5人として数えます。そのため、雇用率制度上の労働者数に小数が生じることがあります。

障害者雇用率の対象となる企業

障害者雇用率の対象になるかどうかは、会社全体の正社員数だけでは判断できません。

雇用率制度では、正社員、契約社員、パートタイマーなどの名称ではなく、雇用期間や週所定労働時間などをもとに、常用労働者に該当するかを確認します。

基本的には、1年を超えて雇用されている、または1年を超えて雇用される見込みがあり、週所定労働時間が20時間以上の労働者が算定の対象になります。

週所定労働時間が30時間以上の常用労働者は1人、20時間以上30時間未満の短時間労働者は原則として0.5人で算定します。

また、一部の業種には除外率制度が適用される場合があります。正確な対象人数を確認するときは、正社員数だけではなく、雇用契約、週所定労働時間、除外率の適用などを含めて確認することが必要です。

障害者の就業が一般的に困難とされる一部の業種には、法定雇用障害者数を計算するときに、一定割合の労働者数を控除する「除外率制度」が適用されます。

除外率が適用される企業では、単純に常用労働者数へ2.7%を掛けた人数と、実際に雇用が求められる人数が異なる場合があります。

障害者雇用の除外率制度と対象業種については、こちらの記事で解説しています。

障害者雇用率の計算方法

企業が雇用しなければならない障害者数は、基本的に次の考え方で計算します。
なお、除外率設定業種では、除外率に相当する労働者数を控除してから法定雇用障害者数を計算します。以下は、除外率が適用されない企業の基本的な計算例です。

法定雇用障害者数の基本的な考え方

雇用率制度上の常用労働者数 × 法定雇用率2.7%

計算結果に1人未満の端数がある場合、その端数は切り捨てます。

例えば、除外率の適用がなく、雇用率制度上の常用労働者数が75人の場合は、次のようになります。

75人 × 2.7% = 2.025人

1人未満の端数を切り捨てるため、法定雇用障害者数は2人です。

ただし、実際の計算では、短時間労働者の人数や除外率などを確認する必要があります。

雇用している障害者の数え方

雇用している障害者についても、実際の在籍人数がそのまま雇用率上の人数になるとは限りません。

週所定労働時間や障害の種類・程度によって、次のように算定方法が異なります。

区分 30時間以上 20時間以上
30時間未満
10時間以上
20時間未満
身体障害者 1人 0.5人 算定対象外
重度身体障害者 2人 1人 0.5人
知的障害者 1人 0.5人 算定対象外
重度知的障害者 2人 1人 0.5人
精神障害者 1人 1人 0.5人

週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者は、当分の間、雇入れからの期間などにかかわらず1人として算定されます。

また、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者は、0.5人として算定されます。

障害者手帳を持つ人が算定対象となる

障害者雇用率制度では、原則として次の手帳などを持つ人が実雇用率の算定対象になります。

  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳など、知的障害があることを判定する書類
  • 精神障害者保健福祉手帳

障害や病気がある社員を雇用していても、必ずしも障害者雇用率へ算定できるとは限りません。

一方で、手帳を持っていなければ、会社が配慮や支援を行わなくてよいという意味ではありません。雇用率上の算定と、職場で必要な配慮や雇用管理は分けて考える必要があります。

法定雇用率を達成していない場合はどうなるのか

法定雇用率を達成していないからといって、すべての企業が直ちに企業名を公表されたりするわけではありません。雇用状況などに応じて、ハローワークによる雇用率達成指導が行われます。改善が必要な企業には、障害者雇入れ計画の作成命令や、計画を適切に実施するための勧告などが行われることがあります。

ただし、一連の指導を受けても改善が見られない場合には、企業名が公表される可能性があります。

また、法定雇用率を達成していない企業のうち、常用労働者が100人を超える企業は、障害者雇用納付金の対象になります。

注意点は、障害者雇用納付金を支払えば、障害者を雇用しなくてもよいわけではないことです。納付金を支払っても、法定雇用率以上の障害者を雇用する義務は残ります。

障害者雇用率を達成すれば、障害者雇用は成功なのか

法定雇用率は、企業が雇用すべき人数を示す重要な基準です。しかし、法定雇用率を達成したことだけで、障害者雇用がうまくいっているとは判断できません。

法定雇用率は人数の基準であり、採用した社員の定着、仕事の成立、能力の発揮、現場のマネジメントまでを示す数字ではないからです。

雇用率の達成を急ぐあまり、採用人数を確保することが先行すると、次のような状態が起こることがあります。

  • 採用後に担当してもらう仕事を探している
  • 本人に期待する役割や成果が決まっていない
  • 配慮事項だけが配属先へ伝えられている
  • 本人対応と業務調整が管理職に集中している
  • 問題が起きるたびに人事や担当者が個別対応している
  • 在籍は続いているが、担当業務やキャリアが広がらない

これは、本人や管理職、人事担当者の能力や意欲だけの問題ではありません。

人数を満たすための採用計画と、採用後に仕事や役割を成立させるための組織設計が、つながっていないことが原因になっている場合があります。

雇用率の次に企業が確認したい4つの視点

法定雇用率と必要人数を確認した後は、採用後の雇用をどのように成立させるのかも確認する必要があります。

採用後に任せる仕事が決まっているか

採用してから仕事を探す状態では、本人の能力や適性に合う仕事が見つからず、補助的な仕事だけが集められることがあります。

採用前に、必要な業務、求める成果、仕事量、周囲との分担を確認できているかが重要です。

本人に期待する役割を説明できるか

配慮事項を確認するだけでは、職場での役割は明確になりません。

何を担当してもらうのか、どのような貢献を期待するのか、どこまで本人が判断するのかを、本人と現場の双方が理解できる状態にする必要があります。

配慮を誰がどの基準で判断するか決まっているか

本人から要望を聞くことと、会社としてどのような配慮を実施するかを判断することは同じではありません。

判断する人や確認する基準が決まっていないと、担当者や管理職によって対応が変わり、現場に迷いが生じます。

管理職や現場だけに対応を任せていないか

本人との面談、業務調整、周囲への説明、配慮の判断が、配属先の管理職だけに集中することがあります。

障害者雇用を継続するには、現場だけに任せるのではなく、人事や関係部署を含め、どこで何を判断するのかを整理することが必要です。

自社の障害者雇用を確認する

次の項目に当てはまるものがないか、確認してみてください。

  • 法定雇用率の不足人数を中心に採用計画を立てている
  • 採用後に担当業務を探すことがある
  • 障害のある社員に期待する役割を説明できない
  • 配慮事項は確認しているが、仕事との関係は整理していない
  • 本人対応や業務調整を配属先の管理職に任せている
  • 担当者によって配慮や業務変更の判断が変わる
  • 雇用率達成後の定着や育成方針が決まっていない

複数当てはまる場合、課題は採用人数の不足だけではなく、採用後に仕事、役割、配慮の判断を成立させる組織の進め方にあるかもしれません。

雇用率を満たす採用から、組織で活躍する雇用へ
必要人数を採用しても、採用後に仕事が決まらない、管理職に対応が集中する、配慮の判断が担当者によって変わるなど、企業によって問題が起きる場所は異なります。
30分相談では、仕事、役割、配慮、管理職支援、組織の判断体制のどこを見直す必要があるのかを整理します。無理にサービスをご案内することはありません。まず、自社で確認すべき場所を知りたい方にご利用いただけます。

よくある質問

Q:障害者雇用率2.7%は、従業員何人から対象になりますか

民間企業では、雇用率制度上の常用労働者数が37.5人以上の事業主が、障害者雇用義務の対象になります。

ただし、正社員数だけで判断するものではありません。週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者は、原則として0.5人で算定するため、雇用形態や勤務時間を含めた確認が必要です。

Q:障害者手帳を持っていない社員も雇用率に算定できますか

障害者雇用率制度では、原則として身体障害者手帳、療育手帳など、精神障害者保健福祉手帳の所持者が算定対象です。

手帳を持っていない社員が職場で配慮を必要とする場合でも、雇用率上の算定と、必要な配慮や雇用管理は分けて考える必要があります。

Q:障害者雇用納付金を支払えば、障害者を雇用しなくてもよいですか

障害者雇用納付金を支払っても、障害者を雇用する義務はなくなりません。

納付金は、障害者雇用に伴う事業主間の経済的負担を調整するための制度であり、雇用義務の代わりとなる罰金や免除制度ではありません。

Q:法定雇用率を達成していれば、障害者雇用は問題ないといえますか

法定雇用率の達成は重要ですが、それだけで障害者雇用がうまくいっているとは判断できません。採用した社員が担当する仕事、期待する役割、必要な配慮、管理職への支援、問題が起きたときの判断体制まで確認しておくことが大切です。

まとめ

2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.7%となり、雇用率制度上の常用労働者数が37.5人以上の事業主が対象になりました。

ただし、障害者雇用率の計算には、短時間労働者、障害の種類や程度、週所定労働時間、障害者手帳、除外率などが関係します。自社の法定雇用障害者数を確認するときは、単純な在籍人数だけで判断しないことが重要です。

また、障害者雇用率は、企業が雇用すべき人数を示す基準です。雇用率を達成しただけでは、採用した社員の定着、仕事の成立、能力の発揮、管理職の負担まで解決するわけではありません。

人数を確認すると同時に、採用した社員がどのような仕事を担い、何を期待され、誰が配慮や業務変更を判断するのかを整理することが、継続的な障害者雇用につながります。

参考資料
厚生労働省|障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について
法定雇用率の引き上げと、障害者の算定方法の変更を確認できます。
厚生労働省|事業主の方へ
障害者雇用率制度、納付金制度、算定対象となる障害者の範囲などが掲載されています。
厚生労働省|令和7年 障害者雇用状況の集計結果
2025年6月1日時点の雇用障害者数、実雇用率、達成企業割合を確認できます。
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