2026年7月30日更新
毎年、障害者雇用状況報告の時期が近づくと、「自社は報告の対象になるのか」「いつの時点の人数を、いつまでに報告するのか」「休職中の社員や短時間勤務の社員は、どのように数えるのか」と迷う企業がいます。
障害者雇用状況報告は、対象となる事業主が、障害者の雇用状況を国へ報告するための制度です。報告対象となる事業主は、毎年6月1日現在の常用雇用労働者数と障害者の雇用状況を確認し、その年度に指定された期限と方法で報告します。
ただし、報告対象となる企業規模、法定雇用率、算定方法、提出期限、使用する様式などは、制度改正や年度によって変わることがあります。
この記事では、障害者雇用状況報告の基本的な考え方を整理します。実際に提出するときは、必ずその年度の厚生労働省の案内、記入要領、管轄ハローワークの情報を確認してください。
- 障害者雇用状況報告の目的
- 報告の対象となる企業の考え方
- いつの時点の情報を報告するのか
- 報告書に記載する主な内容
- 提出前に確認しておく情報
- 雇用率の算定、手帳確認、納付金申告との違い
障害者雇用状況報告とは
障害者雇用状況報告とは、対象となる事業主が、毎年6月1日現在の障害者の雇用状況を厚生労働大臣へ報告する制度です。
障害者雇用促進法に基づく報告義務であり、管轄の公共職業安定所、いわゆるハローワークを経由して提出します。
報告された情報は、国が企業の障害者雇用状況や法定雇用率の達成状況を把握し、今後の施策を検討するために用いられます。
また、必要に応じて、ハローワーク等が企業へ助言や指導を行う際の基礎情報にもなります。単なる統計調査ではなく、対象事業主に法律上求められている報告です。
障害者雇用状況報告の対象となる企業
報告義務の対象となるのは、その年度の基準で定められた規模以上の常用雇用労働者を雇用する事業主です。
対象となる企業規模は、民間企業の法定雇用率と関係しています。法定雇用率が改定されると、障害者を雇用する義務や障害者雇用状況報告の対象となる企業の範囲も変わります。
そのため、過去の記事や以前の報告書に書かれている人数を、そのまま使うのではなく、必ず最新の情報を確認します。
障害者雇用状況報告の対象となる企業規模は、法定雇用率の改定等によって変わることがあります。
実際に報告する際は、厚生労働省がその年度に公開している報告書、記入要領、提出案内で、自社が対象になるかを確認してください。
複数の支店や事業所がある場合、企業全体でどのように労働者数を集計し、どの単位で報告するかについても、年度の記入要領を確認します。
特例子会社や関係会社特例などの認定を受けている企業では、通常と異なる様式や集計方法が用いられる場合があります。
いつの雇用状況を報告するのか
障害者雇用状況報告では、毎年6月1日現在の雇用状況を確認します。報告書を作成する時点の人数ではなく、基準日である6月1日に在籍していた常用雇用労働者や障害者の状況を基に記載します。
提出期限は、毎年度の厚生労働省や労働局の案内に示されます。例年、6月1日以降に受付が始まり、7月中旬ごろまでの提出が案内されることが多いですが、期限を固定的に判断せず、必ず提出年度の案内を確認してください。
| 確認する項目 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 雇用状況の基準日 | 毎年6月1日現在 |
| 提出期限 | その年度の公式案内で確認 |
| 提出先 | 管轄のハローワーク等 |
| 提出方法 | その年度に案内された電子申請、郵送、来所等 |
障害者雇用状況報告で報告する内容
報告書には、企業や事業所の情報に加え、障害者雇用率を算定するために必要な情報を記載します。
主な内容は、次のとおりです。
- 事業主や事業所に関する情報
- 常用雇用労働者数
- 週所定労働時間に応じた労働者の区分
- 身体・知的・精神障害者の雇用人数
- 重度障害者や短時間労働者等の区分
- 算定後の障害者数
- 実雇用率や不足人数
- 除外率の適用がある場合の情報
実際の報告項目や様式は、年度によって改定される可能性があります。
以前に保存した様式を繰り返し使用するのではなく、その年度に公開された最新の様式と記入要領を使用してください。
報告前に準備しておく情報
障害者雇用状況報告を作成するには、人事部門が把握している在籍人数だけでなく、労働時間や障害者手帳の状況など、複数の情報を整理する必要があります。
提出時期になってから慌てないよう、次の情報を確認しておきます。
- 6月1日時点の常用雇用労働者数
- 各労働者の週所定労働時間
- 障害者雇用率の算定対象となる社員
- 身体・知的・精神障害の区分
- 重度区分に関する情報
- 障害者手帳の有効期限や更新状況
- 休職中の社員の雇用関係
- 退職、入社、労働時間変更の時期
- 除外率の適用対象となる事業か
- 複数事業所の情報を集約する方法
障害者雇用状況報告では、単純に「障害者が何人在籍しているか」を記載するわけではありません。
障害の種類、重度区分、週所定労働時間などに応じて、制度上の算定を行います。
障害者数のカウント方法を確認する
障害者雇用率の算定では、障害者である社員を一律に1人として数えるわけではありません。
身体・知的・精神障害の区分、重度区分、週所定労働時間などによって、算定方法が異なります。
また、制度改正によって、短時間勤務者などの取扱いが変わることもあります。
この記事では、細かな計算方法までは扱いません。
詳しい算定方法と、その時点の法定雇用率については、次の記事と、提出年度の公式な記入要領を確認してください。
休職中の精神障害者の取扱いについては、次の記事で解説しています。
休職中の精神障害者は障害者雇用率にカウントできる?手帳と算定の考え方
障害者手帳の情報を確認するときの注意点
障害者雇用状況報告に必要な情報を確認する場合でも、障害に関する情報を自由に収集してよいわけではありません。
障害に関する情報は、本人のプライバシーに深く関わる情報です。企業は、障害者雇用状況報告などに利用する目的を本人へ説明し、必要な情報だけを、必要最小限の担当者が確認・管理します。
障害者手帳の種類、有効期限、確認項目、保存方法については、次の記事で解説しています。
障害者雇用で手帳を確認する方法|身体・知的・精神障害別に解説
すでに働いている社員の中に、障害者手帳を持つ人がいるか確認したい場合には、対象となりそうな社員を選んで尋ねるのではなく、厚生労働省のガイドラインに沿った手続きが必要です。
社内の障害者を把握・確認する方法|手帳情報とプライバシーへの配慮
報告書の提出方法と提出先
障害者雇用状況報告は、管轄のハローワーク等を通じて提出します。
提出方法としては、年度の案内に応じて、次のような方法があります。
- e-Govを利用した電子申請
- 管轄のハローワーク等への郵送
- 管轄のハローワーク等への来所
電子申請では、アカウントや認証手続きの準備に時間がかかる場合があります。
電子申請を予定している企業は、提出期限の直前ではなく、余裕をもってその年度の申請方法を確認してください。
会社へ報告用紙が届いていない場合でも、自社が報告対象に該当するかを確認する必要があります。書類が届いたかどうかだけで、報告義務の有無を判断しないようにします。
法定雇用率が未達成でも報告は必要
障害者雇用状況報告は、障害者を雇用している企業だけが提出するものではありません。
報告対象となる事業主であれば、法定雇用率が未達成の場合や、雇用する障害者がいない場合でも、6月1日時点の状況を報告します。
「障害者を雇用していないから記載することがない」と判断して、提出しないものではありません。
報告結果から未達成であることが分かった場合は、不足人数だけを見るのではなく、
- 採用計画が現実的に立てられているか
- 障害者へ任せる業務を整理できているか
- 配属先との役割分担ができているか
- 採用後の配慮や相談体制があるか
といった、雇用を継続するための体制も確認する必要があります。
障害者雇用状況報告と納付金申告の違い
障害者雇用状況報告と障害者雇用納付金の申告は、同じものではありません。
| 確認項目 | 障害者雇用状況報告 | 障害者雇用納付金の申告 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 一定時点の障害者雇用状況を報告する | 年度中の不足人数等を基に納付金を申告する |
| 確認する期間 | 毎年6月1日現在 | 対象年度の各月 |
| 対象となる企業 | その年度の報告対象規模以上の事業主 | 納付金制度の対象となる事業主 |
| 提出時期 | その年度の提出案内で確認 | 翌年度の申告案内で確認 |
対象企業、申告期間、金額などは、それぞれの制度で確認する必要があります。
障害者雇用納付金については、次の記事で解説しています。
年度による変更を前提に確認する
障害者雇用状況報告では、次の内容が年度や制度改正によって変わる可能性があります。
- 報告対象となる企業規模
- 法定雇用率
- 障害者数の算定方法
- 報告書の様式
- 記入項目
- 提出期限
- 電子申請の方法
そのため、前年度の報告書をそのまま複製して提出することは避けます。
この記事で制度の全体像を確認したうえで、実際の提出では、厚生労働省がその年度に公開している最新情報を確認してください。
障害者雇用状況報告を提出する前に確認したい7つの質問
次の項目を確認してみてください。
- 自社がその年度の報告対象企業に該当するか確認したか
- 6月1日時点の常用雇用労働者数を確認したか
- 週所定労働時間に応じた区分を確認したか
- 障害種別や重度区分を適切に算定しているか
- 手帳の有効期限や更新状況を確認したか
- 複数事業所の情報を正しく集約しているか
- 最新の様式、提出期限、提出方法を確認したか
判断に迷う項目がある場合は、過去の報告内容だけを基に決めず、最新の記入要領を確認したうえで、管轄のハローワーク等へ問い合わせます。
障害者雇用状況報告は、企業の現在地を確認するための重要な手続きです。
一方、未達成の人数を埋めるために採用を急ぐだけでは、配属後に現場が対応できず、定着につながらないことがあります。
障害者雇用ドットコムでは、制度上の対応だけでなく、業務設計、人事と現場の役割分担、配慮の判断、採用後の運用まで含めて、障害者雇用が継続できる体制づくりを支援しています。
よくある質問
Q:障害者を雇用していない企業も報告が必要ですか
その年度の報告対象となる規模以上の事業主であれば、障害者の雇用人数が0人であっても報告が必要です。
法定雇用率を達成しているかどうかではなく、報告対象となる事業主かどうかで判断します。
Q:障害者雇用状況報告は何人以上の企業が対象ですか
対象となる常用雇用労働者数は、法定雇用率の変更等に伴って変わることがあります。
固定的な人数で判断せず、提出する年度の厚生労働省の記入要領で確認してください。
Q:報告の基準日と提出期限はいつですか
報告するのは、毎年6月1日現在の障害者雇用状況です。
具体的な提出期限は、年度ごとに公表される厚生労働省や労働局の案内で確認します。
Q:休職中の障害者も報告人数に含めますか
休職中であっても、雇用関係が継続し、常用雇用労働者として計上される場合は、算定対象になることがあります。
障害者手帳の有効性、雇用契約、週所定労働時間なども含め、最新の記入要領で確認してください。
Q:会社に報告書が届いていない場合は、提出しなくてもよいですか
報告書が届いたかどうかだけで、報告義務は決まりません。
自社がその年度の報告対象に該当するかを確認し、対象であれば、公式サイトから最新の様式や電子申請方法を確認して提出します。
Q:障害者雇用状況報告と納付金申告は同じですか
別の制度です。障害者雇用状況報告は、毎年6月1日時点の雇用状況を報告するものです。
納付金申告は、対象年度の各月の雇用状況を基に、障害者雇用納付金等を申告するものです。
まとめ
障害者雇用状況報告は、対象となる事業主が、毎年6月1日現在の障害者の雇用状況を報告する制度です。
報告に当たっては、次の情報を整理します。
- 常用雇用労働者数
- 週所定労働時間
- 障害者の雇用人数
- 障害種別や重度区分
- 障害者手帳の有効期限
- 休職者や複数事業所の取扱い
ただし、報告対象となる企業規模、算定方法、様式、提出期限、提出方法などは、年度や制度改正によって変わることがあります。
過去の報告書や以前の記事だけを基に判断せず、実際に提出するときは、その年度の厚生労働省の案内と記入要領を確認してください。
また、障害者雇用状況報告は、現在地を把握するための手続きです。
未達成人数を確認するだけでなく、採用、業務、配属、配慮、相談、見直しまで、障害者雇用を継続するための体制が整っているかを確認することが重要です。
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