障害者雇用納付金とは?対象企業・計算方法を解説

障害者雇用納付金とは?対象企業・計算方法と月5万円の理由

2025年11月17日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2026年7月24日更新
「障害者雇用率が未達成だと、必ず納付金が発生するのでしょうか」「月5万円を支払えば、障害者を雇用しなくてもよいのでしょうか」障害者雇用納付金については、このような疑問や誤解が少なくありません。

結論から言えば、障害者雇用納付金は、雇用率未達成に対する罰金でも、障害者を雇用しないことを選ぶための費用でもありません。

障害者を雇用する企業が負担する設備整備、雇用管理、業務調整などの費用を事業主間で調整し、障害者雇用を促進するための制度です。

また、法定雇用率が未達成であっても、すべての企業に納付金が発生するわけではありません。納付金制度の対象企業と、障害者を雇用する義務がある企業の範囲は異なります。

この記事でわかること

  • 障害者雇用納付金制度の目的
  • 納付金の対象となる企業
  • 納付金が月5万円に設定されている理由
  • 納付金の基本的な計算方法
  • 調整金・報奨金との違い
  • 納付金を支払っても雇用義務がなくならない理由

障害者雇用納付金制度とは

障害者雇用納付金制度は、障害者を雇用する事業主と、法定雇用率を達成していない事業主との間で、障害者雇用に伴う経済的負担を調整する制度です。

障害者を雇用する場合、企業では状況に応じて、次のような対応が必要になります。

  • 作業施設や設備の整備
  • 職場環境の改善
  • 業務内容や仕事の進め方の調整
  • 合理的配慮の検討
  • 上司や人事による雇用管理
  • 採用後の定着や見直し

一方、障害者を雇用していない企業では、こうした費用や工数が発生しません。

そこで、法定雇用率を達成していない一定規模以上の事業主から納付金を徴収し、障害者を多く雇用する事業主への調整金や報奨金、設備整備などに関する助成金の財源として活用しています。

つまり、納付金制度の目的は、未達成企業への制裁ではなく、事業主間の負担を調整しながら、障害者雇用を促進することにあります。

納付金の対象となる企業

障害者雇用納付金の対象となるのは、原則として、常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主です。現時点では、法定雇用率が未達成であっても、常用雇用労働者が100人以下の事業主には、納付金は発生しません。

ただし、ここで注意したいのは、納付金の対象にならないことと、障害者を雇用する義務がないことは同じではないという点です。

民間企業の法定雇用率は、2026年7月1日から2.7%です。これにより、常用雇用労働者が37.5人以上の事業主には、原則として障害者を1人以上雇用する義務があります。

制度 対象となる企業の目安
障害者の雇用義務 常用雇用労働者37.5人以上
障害者雇用納付金 常用雇用労働者100人超で法定雇用率未達成

例えば、従業員が50人の企業は納付金制度の対象外ですが、法定雇用率に基づく雇用義務はあります。

「100人以下だから対応しなくてよい」という意味ではありません。

納付金が月5万円に設定されている理由

納付金の月額5万円は、罰則として任意に決められた金額ではありません。

制度上は、障害者を雇用することに伴って通常必要となる「特別費用」を基礎として、納付金額が設定されています。

厚生労働省の制度資料では、実態調査をもとに、障害者1人を雇用する際の1か月当たりの特別費用の平均額を4万2千円とし、法定雇用率を達成している企業と未達成企業の負担差を反映して、次のように調整基礎額が算出されています。

4万2千円 × 1.282 = 5万3,840円
これをおおむね5万円として設定

ここでいう特別費用には、作業設備、職場環境、雇用管理などにかかる費用が含まれます。

したがって、月5万円は「雇用しなかったことへの罰金」ではなく、障害者を雇用する企業と未達成企業との経済的負担を調整するための基礎額です。

障害者雇用納付金の基本的な計算方法

障害者雇用納付金は、各月の法定雇用障害者数に対する不足人数をもとに計算します。

納付金額=各月の不足人数の合計×5万円

例えば、年間を通して毎月2人不足していた場合は、次のようになります。

2人 × 12か月 × 5万円 = 120万円

ただし、「年度末時点で2人不足しているから、必ず120万円になる」とは限りません。

常用雇用労働者数や雇用障害者数は月ごとに確認されるため、途中で従業員数や障害者の雇用人数が変われば、納付金額も変わります。

従業員300人の企業で計算する場合

除外率の適用がない企業で、常用雇用労働者数が300人の場合を簡略化して考えます。

法定雇用率は2.7%なので、法定雇用障害者数は次のようになります。

300人 × 2.7% = 8.1人

法定雇用障害者数を算定するときは、原則として1人未満の端数を切り捨てるため、必要人数は8人です。

実際の雇用障害者数が6人であれば、不足人数は2人です。

年間を通して毎月同じ状況だった場合は、

2人 × 12か月 × 5万円 = 120万円

となります。

ただし、実際の計算では、短時間労働者の扱い、障害の程度、労働時間、除外率の適用などによって、人数の数え方が異なる場合があります。

最終的な申告額は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の申告申請書や電子申告申請システムで確認する必要があります。

調整金・報奨金との関係

障害者雇用納付金制度には、未達成企業が支払う納付金だけでなく、障害者を一定数以上雇用する事業主へ支給する制度もあります。

区分 対象の考え方 基本額
納付金 100人超で法定雇用率未達成 不足1人月5万円
調整金 100人超で法定雇用率を超えて雇用 超過1人月2万9千円
報奨金 100人以下で一定数を超えて雇用 超過1人月2万1千円

調整金や報奨金は、法定雇用率を達成しただけで自動的に支給されるものではありません。支給要件を満たしたうえで、事業主が申請する必要があります。

また、支給対象となる人数が一定数を超えた部分については、支給単価が異なります。

納付金を支払っても雇用義務はなくならない

障害者雇用納付金について、最も注意したいのが、「納付金を支払えば、障害者を雇用しなくてもよい」という誤解です。

納付金を支払っても、法定雇用率を達成する義務はなくなりません。納付金は、雇用義務の代わりに支払う費用ではなく、法定雇用率が未達成の状態で発生する負担調整の仕組みです。

そのため、企業が選べるのは、

  • 納付金を支払う
  • 障害者を雇用する

のどちらか一方ではありません。

法定雇用率が未達成であれば、納付金を支払いながら、達成に向けて雇用を進める必要があります。

納付金と行政指導・企業名公表は別の仕組み

納付金を支払っていることと、行政指導や企業名公表は、同じ仕組みではありません。

法定雇用率が未達成だからといって、直ちに企業名が公表されるわけでもありません。

障害者雇用が著しく進んでいない企業に対しては、状況に応じて、障害者雇入れ計画の作成命令や計画の適正実施に関する勧告などが行われることがあります。

その後も雇用状況に改善が見られない場合には、法律に基づいて企業名が公表されることがあります。

つまり、

  • 納付金を納めれば行政指導を受けない
  • 納付金を支払えば企業名公表を避けられる

というものではありません。

納付金制度と、法定雇用率の達成を促す行政上の措置は、分けて理解する必要があります。

納付金が発生している企業が確認すべきこと

納付金が発生していると、「あと何人採用すれば達成できるか」に意識が向きがちです。

必要人数を確認することは重要ですが、人数だけを合わせるために採用を急ぐと、配属後に仕事が決まらない、現場の負担が増える、短期間で離職するといった問題につながることがあります。

確認すべきなのは、採用人数だけではありません。

  • 障害者雇用を何のために進めるのか
  • どの部署で、どのような仕事を任せるのか
  • 本人に期待する役割や成果は何か
  • 人事と配属先がどのように役割分担するのか
  • 配慮や業務変更を誰が判断するのか
  • 採用後に仕事や配慮を見直す仕組みがあるか

納付金を減らすために急いで採用するのではなく、採用した人が仕事を担い、現場が継続して運用できる状態をつくることが必要です。

自社の状況を確認する6つの質問

次の項目を確認してみてください。

  • 自社の法定雇用障害者数を月ごとに確認できているか
  • 納付金の対象となる企業規模か把握しているか
  • 法定雇用率の達成時期を中期的に計画しているか
  • 採用前に任せる仕事や配属先を整理しているか
  • 障害者雇用が人事担当者だけの課題になっていないか
  • 採用後の仕事、配慮、役割を見直す仕組みがあるか

複数の項目で判断に迷う場合は、納付金の計算だけでなく、障害者雇用を進めるための組織体制から確認する必要があります。

納付金への対応だけで、採用を急ごうとしていませんか

障害者雇用ドットコムでは、法定雇用率や不足人数だけでなく、方針、仕事、配属先、役割分担、判断方法まで含めて、自社の現在地を整理しています。

「何人採用するかは分かっているが、どのように雇用を成立させればよいか分からない」という場合は、まず現在の体制を確認するところから始められます。

よくある質問

Q:従業員100人以下なら、法定雇用率を達成しなくてもよいですか

いいえ。常用雇用労働者100人以下の事業主は、原則として納付金制度の対象外ですが、障害者の雇用義務がなくなるわけではありません。

2026年7月1日以降、民間企業では常用雇用労働者37.5人以上の事業主に、原則として障害者を1人以上雇用する義務があります。

Q:納付金を支払えば、障害者を雇用しなくてもよいですか

納付金を支払っても、法定雇用率を達成する義務はなくなりません。

納付金は雇用義務を免除するための費用ではなく、障害者雇用に伴う事業主間の経済的負担を調整する制度です。

Q:1人不足していたら、必ず年間60万円ですか

年間を通して毎月1人不足していた場合は、1人×12か月×5万円で60万円になります。

ただし、納付金は各月の常用雇用労働者数と雇用障害者数をもとに計算されます。年度途中で人数が変わった場合は、納付金額も変わります。

Q:法定雇用率を達成すれば、調整金を受け取れますか

達成しただけで、必ず調整金が支給されるわけではありません。

常用雇用労働者100人超の事業主が、法定雇用率を超えて障害者を雇用し、支給要件を満たしたうえで申請した場合に調整金が支給されます。

まとめ

障害者雇用納付金は、法定雇用率未達成に対する罰金ではありません。

障害者を雇用する企業が負担する設備整備、雇用管理、業務調整などの費用を事業主間で調整し、障害者雇用を促進するための制度です。

押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 納付金の対象は、原則として常用雇用労働者100人超の事業主
  • 納付金は各月の不足人数1人につき月額5万円
  • 月5万円は障害者雇用に伴う特別費用を基礎に設定されている
  • 納付金を支払っても、障害者を雇用する義務はなくならない
  • 納付金制度と行政指導・企業名公表は別の仕組み

納付金が発生している場合、必要なのは納付額を計算することだけではありません。

採用する人数、任せる仕事、配属先、人事と現場の役割分担、採用後の見直しまで含めて、障害者雇用が継続できる体制を整えることが重要です。

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