障害者雇用で企業が求められている義務とは?配慮と手続きを解説

障害者雇用で企業が求められている義務とは?配慮と手続きを解説

2024年08月19日 | 企業の障害者雇用

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障害者雇用を行うことは、障害者雇用促進法で定められていますが、単に雇用すればよいというものではありません。雇用に際しては、採用から職場環境の整備、合理的配慮の提供に至るまで、さまざまな側面での配慮が求められます。

今回は、障害者雇用を行っていくときに、企業が求められている具体的な義務について解説します。企業が障害者を採用し、働きやすい環境を整えるためには、どのような配慮や手続きが必要かを見ていきましょう。

障害者雇用を行うときに企業が求められている義務

企業が障害者雇用を進めていくときに求められる義務について見ていきましょう。

採用プロセスにおける配慮

障害者の採用において、企業は特別な配慮を行うことが求められています。採用プロセスは、障害者にとって公平かつ負担の少ない形で行われるべきです。例えば、面接会場へのアクセスが難しい場合、オンライン面接の導入や、必要な支援機器の提供を考慮することが重要です。また、応募書類の提出形式についても、障害の特性に応じた対応を柔軟に行うことが求められます。

さらに、公平な採用選考を実施するためには、評価基準を明確にし、偏見や先入観にとらわれない評価方法を確立することが必要です。企業は、障害者の能力や適性を正しく評価し、公正な選考を行うことで、障害者が自信を持って働ける環境を提供する責任があります。

職場環境の整備

企業は、障害者が働きやすい職場環境を整備する義務があります。これは、単に障害者を雇用するだけでなく、彼らが実際に能力を発揮できるような環境を提供することを意味します。

・バリアフリーな職場づくり
バリアフリーな職場環境を整えることは、障害者が日常的に業務を遂行する上で不可欠です。例えば、車椅子使用者のためにエレベーターやスロープを設置する、視覚障害者のために点字案内を設置する、聴覚障害者のために音声案内に加えて視覚的な情報を提供するなど、物理的な環境整備が求められます。

・必要な設備やツールの提供
障害者が効果的に業務を行うためには、必要な設備やツールを提供することが重要です。例えば、視覚障害者にはスクリーンリーダーを、聴覚障害者にはテキストベースのコミュニケーションツールを提供するなど、個々のニーズに応じた対応が求められます。これにより、障害者が自分の能力を最大限に発揮できる環境を整えることが可能となります。

労働条件の整備

障害者雇用においては、適正な労働条件を整備することも企業の重要な義務です。

・適正な労働時間と休暇の設定
障害者の健康状態や障害の特性に応じた労働時間や休暇の設定が必要です。例えば、通院が必要な場合には、柔軟な勤務時間を設定したり、障害者の体調に合わせた休暇制度を導入することが考えられます。これにより、障害者が安心して働ける環境を提供できます。

・障害者特有のニーズに対応する労働条件の設計
障害者には、それぞれ特有のニーズがあります。これに応じた労働条件を設計することで、彼らが働きやすい環境を整えることができます。例えば、業務内容の調整や、職場でのサポート体制の強化など、柔軟な対応が求められます。

雇用する障害者に求められる合理的配慮

「合理的配慮」とは、障害者が職場で働く上で何らかの支障がある場合に、その支障を改善するための措置を講ずることです。障害者社員は、会社の中にあるなんらかの障壁(バリア)によって働きづらさを感じることがあります。その障壁を取り除くよう、障害者社員から何らかの希望や要望などの意思が表示された時に、企業は過度の負担にならない範囲で対応することが求められています。

雇用している障害者や採用予定の障害者への合理的配慮は、2016年の「障害者雇用促進法」の改正から適用となっており、全ての企業において「雇用する障害者への合理的配慮提供」が義務化されています。

具体的に合理的配慮とは、どんなことをすればよいのでしょうか。これには、障害者が他の従業員と同じ条件で働けるようにするために、業務内容や職場環境を適切に調整することです。これには、業務内容の調整、勤務時間の柔軟化、物理的な職場環境の改善などが含まれます。

企業が提供すべき合理的配慮には、例えば次のようなものがあります。視覚障害者には音声案内やスクリーンリーダーを提供すること、聴覚障害者には手話通訳やテキストベースの連絡手段を用意すること、精神障害者には勤務時間の調整や業務内容の軽減などが挙げられます。これらの配慮を提供することで、障害者が職場での不安を軽減し、業務に集中できる環境を整えることができます。

障害の種類によっては、就業にどのような支障があり、どのような配慮が必要なのかが、見た目だけではわからない場合があります。また、障害の種類や障害者手帳の等級が同じ場合であっても、一人ひとりの状態や考え方は違ったり、職場環境などによって求められる配慮も異なります。

合理的配慮は個別性が高いものとなっていることを認識しておく必要があります。そのため具体的な措置については、障害者と事業主とでよく話しあった上で決めることが必要です。なお、合理的配慮は「過重な負担」にならない範囲で事業主が行うものとされています。

また、合理的配慮の提供義務とともに、雇用の分野での障害者差別が禁止されています。雇用のうえで差別となること、障害者であることを理由として、そのほかの人と不当な差別的取扱いをすることが禁止されています。 例えば、募集・採用や賃金、配置や昇進、教育訓練など雇用に関するあらゆる局面で、障害者であることを理由に排除することや不利な条件を設けること、反対に障害のない人を優先することなどは、障害者であることを理由とする差別に該当します。

障害者雇用を行う企業で求められる3つの手続き

障害者雇用を進めていく時には、ハローワークと連携を取ることが大切です。なお、障害者雇用を行う中で、ハローワークに届け出をする必要のあることが3つあります。それは、障害者職業生活相談員の選任、障害者雇用推進者の選任、障害者の解雇です。

障害者職業生活相談員の選任

常時雇用する障害者が5人以上の事業所では、障害者の実人員が5人以上となってから3か月以内に、職場内で障害者の職業生活全般の相談に乗る「障害者職業生活相談員」を選任する必要があります。

これは、障害者が職場に適応し、また、その能力を最大限に発揮できるよう、障害特性に十分配慮した適切な雇用管理を行うことを目的としています。そして選任後は、遅滞なくその事業所を管轄するハローワークに「障害者職業生活相談員選任報告書」を届け出る必要があります。

障害者職業生活相談員とは、どのようなものなのでしょうか。

障害者職業生活相談員は、障害者の職業生活全般についての相談、指導を行う企業内の担当者です。具体的に求められることとしては、次のようなものがあります。

・障害者の適切な職務の選定、能力の開発向上等障害者が従事する職務の内容に関すること
・障害者の障害に応じた施設設備の改善など作業環境の整備に関すること
・労働条件や職場の人間関係等障害者の職場生活に関すること
・障害者の余暇活動に関すること
・その他障害者の職場適応の向上に関すること

障害者職業生活相談員になるためには、いずれかの要件を満たす必要があります。
・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する「障害者職業生活相談員資格認定講習」を修了する必要があります。研修の日程は、機構のHPから確認することができます。
・大学等卒業後、1年以上障害者である労働者の職業生活に関する相談及び指導の実務に従事した経験がある。
・3年以上、障害者である労働者の職業生活に関する相談及び指導の実務に従事した経験がある。

相談員を選任(変更を含む)した場合は、「障害者職業生活相談員選任報告書」の提出をしてください。届出様式は厚生労働省ホームページでダウンロードできるほか、電子申請も可能となっています。

障害者雇用推進者の選任

障害者の雇用義務のある事業主は、企業内で障害者雇用の取組体制を整備する「障害者雇用推進者」を選任するよう努める必要があります。これは、人事労務担当の部長クラスを想定しています。毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況をハローワークに報告する様式内に、障害者雇用推進者の役職・氏名を記入する欄がありますので、そこに記入してください。

障害者の解雇の届出

障害者の再就職は一般の求職者と比べて困難であるとされています。そのためハローワークでは、解雇される障害者に対して、早期再就職の実現に向けて的確かつ迅速な支援を行えるように、事業主が障害者を解雇する場合、管轄するハローワークに「解雇届」を届け出る必要があります。

障害者の解雇の届け出を出す必要がない場合は、「労働者の責めに帰すべき理由による解雇」や「天災事変その他やむを得ない理由のために事業の継続が不可能となったことによる解雇」です。それ以外では、障害者を1人でも解雇する場合、解雇届の提出が必要です。週所定労働時間20時間未満の常時雇用する障害者を解雇する場合も、届出が必要となります。

なお、届出様式は厚生労働省ホームページでダウンロードできるほか、電子申請からもできます。

参考:障害者を雇用する上で必要な3つの手続き(厚生労働書)

まとめ

障害者雇用を進める企業には、さまざまな義務が課されています。採用プロセスにおいては、障害者に対する特別な配慮が求められ、公平で公正な採用選考が行われることが重要です。また、職場環境の整備や労働条件の適切な設定を通じて、障害者が安心して働ける環境を提供することが求められます。

さらに、合理的配慮の提供義務や、障害者差別の禁止も企業の重要な責務です。これらの義務を果たすことで、企業は障害者が働きやすい環境を整え、彼らの能力を最大限に引き出すことが可能となります。また、これらの取り組みは、企業の社会的評価を高め、持続可能な発展に寄与するものです。
今後も、企業が障害者雇用を進める中で求められる義務を理解し、適切に対応していくことが、障害者とともに働く社会の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。

まとめ

参考

障害者職業生活相談員とは?~役割と資格取得方法~

職場における障害者雇用の合理的配慮、どこまで何をすべきなの?

プロが教える、障がい者雇用に役立つ「無料研修」2選(HRプロ)

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