身体障害者手帳とは?対象となる障害・等級・申請方法を解説

身体障害者手帳とは|対象となる障害・等級・申請方法を解説

2024年05月3日 | 障害関連の情報

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2026年8月8日更新
身体障害者手帳というと、「身体に障害があれば取得できる」「等級が重いほど仕事も難しい」と考えられることがあります。

しかし、身体障害者手帳は、病名だけで交付が決まるものではありません。

身体障害者福祉法で定められた障害について、身体機能の状態が一定の基準に該当するかを確認して認定されます。

また、企業の障害者雇用では、身体障害者手帳の等級を目にする機会がありますが、手帳の等級は、仕事の能力を評価するための基準ではありません。

制度上の認定と、企業が採用・配置・配慮について判断することは、分けて考える必要があります。

この記事では、身体障害者手帳の対象となる障害、等級、申請、再認定、障害者雇用との関係について、企業担当者が理解しておきたいポイントを整理します。

この記事でわかること

  • 身体障害者手帳とはどのような制度なのか
  • 身体障害者手帳の対象となる障害
  • 1級~6級と7級の基本的な考え方
  • 再認定が行われる場合
  • 企業が等級と仕事の能力を分けて考える必要がある理由

身体障害者手帳とは

身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、身体の機能に一定以上の障害があると認められた人に交付される手帳です。

障害の認定や手帳の交付は、都道府県、指定都市、中核市などで行われています。

身体障害者手帳を取得すると、障害の種類や程度、自治体などの条件に応じて、福祉サービスや税制上の制度、補装具、公共交通機関などの各種制度・サービスを利用できる場合があります。

また、企業の障害者雇用では、障害者雇用率制度における身体障害者の確認にも関係します。

ただし、身体に病気や障害がある人が、すべて身体障害者手帳の対象になるわけではありません。

重要なのは、病名ではなく、身体障害者福祉法で定められた障害の種類と、その機能障害の程度が認定基準に該当するかという点です。

身体障害者手帳の対象となる障害

身体障害者手帳の対象となる障害は、身体障害者福祉法で定められています。

主なものは次のとおりです。

  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 平衡機能障害
  • 音声機能・言語機能・そしゃく機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓機能障害
  • じん臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • ぼうこう・直腸機能障害
  • 小腸機能障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
  • 肝臓機能障害

この中でも、障害の現れ方や仕事への影響は大きく異なります。

例えば、同じ「身体障害」であっても、移動に支障がある場合と、視覚・聴覚に支障がある場合、内部障害によって疲労や通院などへの配慮が必要な場合では、職場で確認すべきことは同じではありません。

そのため、企業では「身体障害者」という一つのカテゴリーだけで、その人に必要な対応を判断しないことが重要です。

病名だけでは身体障害者手帳の対象か判断できない

身体障害者手帳について、「○○という病気なら、身体障害者手帳を取得できますか」という質問があります。

しかし、基本的には病名だけで判断することはできません。身体障害者手帳では、病気やけがそのものではなく、その結果として生じている身体機能の障害が、法律で定められた基準に該当しているかが確認されます。

同じ病気であっても、身体機能への影響が異なれば、手帳の取得状況や等級が異なる場合があります。

また、身体障害者福祉法の対象となる障害では、一定以上の障害があり、それが永続すると考えられることが基本となります。

ここでいう「永続する」とは、将来にわたって障害の状態が全く変わらないという意味ではありません。将来的に回復する可能性が極めて少ないと考えられる状態を含みます。

そのため、治療によって回復する可能性がある一時的な状態と、身体障害者手帳制度で認定される障害とは、分けて考える必要があります。

身体障害者手帳の等級は1級~6級が基本

身体障害者手帳には、障害の種類と程度に応じた等級があります。

身体障害者障害程度等級表では1級から7級まで区分が設けられていますが、実際に身体障害者手帳として交付される等級は、原則として1級から6級です。

1級に近いほど、制度上は障害の程度が重い区分になります。一方、7級に相当する障害が一つだけの場合は、身体障害者手帳の交付対象にはなりません。

ただし、7級相当の障害が複数ある場合や、6級以上の障害と重複している場合などには、手帳交付の対象となることがあります。

また、すべての障害について1級から6級が同じように設定されているわけではありません。

障害の種類によって、該当する等級や認定基準は異なります。

そのため、単純に、「1級ならこの状態」「4級ならこの程度」と一律に説明することはできません。

手帳の等級と仕事の能力は同じではない

企業にとって特に重要なのが、この点です。

身体障害者手帳の等級を見て、

「1級だから仕事を任せるのは難しいのではないか」

「6級なら、それほど配慮はいらないのではないか」

と考えてしまうことがあります。

しかし、身体障害者手帳の等級は、企業が職務遂行能力を評価するためにつくられたものではありません。

認定では、障害の種類に応じて、身体機能の状態などが制度上の基準に基づいて確認されます。

一方、企業が仕事を任せるために確認したいのは、

  • 担当する仕事に必要な能力があるか
  • どの業務で支障が生じる可能性があるか
  • 本人自身がどのように対処できるか
  • 設備や環境の調整が必要か
  • 勤務時間や通院などへの配慮が必要か
  • 企業として、その配慮を実施できるか

といった、具体的な仕事との関係です。

身体障害者手帳の等級を決めるための評価軸と、
企業が仕事を任せるための評価軸は、同じではありません。

例えば、制度上は重い等級であっても、仕事に必要な環境が整っていれば高い専門性を発揮できる場合があります。

反対に、比較的軽い等級であっても、仕事内容や職場環境との関係によっては、一定の調整が必要になることがあります。

企業では、等級を「仕事ができる・できない」の判断基準にするのではなく、必要な確認を始めるための情報の一つとして捉えることが大切です。

身体障害者手帳を申請する流れ

身体障害者手帳の申請では、身体障害者福祉法第15条に基づいて指定された医師の診断書・意見書が必要になります。

一般的には、次のような流れで進みます。

1.自治体の担当窓口で確認する

まず、居住している市区町村の障害福祉担当窓口などで、申請方法や必要書類を確認します。

具体的な手続きや書類は自治体によって異なる場合があるため、最初に確認しておくとよいでしょう。

2.指定医による診断書・意見書を準備する

身体障害者手帳の申請に使用する診断書・意見書は、一般の医師であれば誰でも作成できるものではありません。

身体障害者福祉法第15条に基づいて指定された医師が作成します。障害の種類によって、診断書を作成できる指定医の診療科や指定区分が関係することがあります。

かかりつけ医がいる場合でも、身体障害者手帳申請の診断書を作成できる指定医かどうかを確認する必要があります。

3.必要書類を提出する

診断書・意見書や申請書、写真など、自治体から指定された書類を準備して申請します。

必要書類や提出方法については自治体によって異なる場合があるため、実際に申請するときは居住地の担当窓口の最新案内を確認してください。

4.審査後、手帳が交付される

提出された診断書・意見書などをもとに、身体障害者福祉法の認定基準に該当するか、どの等級に該当するかが審査されます。

認定された場合には身体障害者手帳が交付されます。

なお、申請したから必ず希望する等級で認定されるというものではありません。

身体障害者手帳は原則として更新はない

身体障害者手帳は、原則として定期的な更新を行う制度ではありません。精神障害者保健福祉手帳のように、一定期間ごとに一律の更新が必要となる仕組みとは異なります。

ただし、身体障害者手帳でも、障害の状態が変化する可能性がある場合には「再認定」が行われることがあります。

例えば、

  • 成長や発達によって障害の状態が変化する可能性がある
  • 治療や機能回復によって障害程度が変わる可能性がある
  • 現在の状態と手帳に記載された障害程度が異なっている

といった場合です。

再認定の対象となった場合には、指定された時期に改めて診断書・意見書を提出するなどの手続きが必要になります。

また、障害の程度が変わった場合や、新たな身体障害が加わった場合には、等級変更や障害追加などの手続きが必要になることがあります。

身体障害者手帳と障害者雇用率の関係

企業では、身体障害者手帳が障害者雇用率制度とも関係します。2026年7月1日から、民間企業の法定雇用率は2.7%となっています。

障害者を1人以上雇用する義務が生じる民間企業の対象範囲も、常時雇用する労働者37.5人以上となっています。

障害者雇用率の算定では、身体障害者、知的障害者、精神障害者が対象になります。

身体障害者については、身体障害者手帳が対象者を確認するための代表的な方法です。

なお、障害者雇用促進法上の身体障害者の確認では、一定の場合に指定医等の診断書・意見書によって確認する取扱いもあります。

また、重度身体障害者や週の所定労働時間などによって、雇用率上の算定方法が異なる場合があります。

そのため、企業では、「身体障害者手帳を持っているか」という確認と、「何人分として雇用率に算定するか」という確認を分けると整理しやすくなります。

企業では手帳の情報を何の判断に使うのか整理する

身体障害者手帳には、障害名や等級などの制度上の情報が記載されています。

しかし、それだけで、「どの仕事を任せるのか」「どのような配慮が必要なのか」「現在の職場で働けるのか」という結論を出すことはできません。

例えば、同じ肢体不自由でも、

  • 社内移動に支障があるのか
  • パソコン操作に影響があるのか
  • 通勤に調整が必要なのか
  • 設備面の変更が必要なのか

によって、企業で確認する内容は変わります。

視覚障害や聴覚障害、内部障害でも同じです。

重要なのは、障害名や等級だけを見ることではなく、担当する仕事と、実際に生じる支障をつなげて考えることです。

また、採用時だけではなく、在職中の社員が病気や事故などによって身体障害となることもあります。

その場合には、手帳の有無だけで復職や配置を判断するのではなく、現在の状態、業務内容、職場環境、必要な配慮などを整理したうえで会社として判断する必要があります。

社内で確認しておきたいポイント

身体障害者手帳の情報を扱うときの確認ポイント

  • 病名や等級だけから仕事の可否を決めていないか
  • 制度上の確認と、仕事上の判断を分けているか
  • 担当する業務で実際に生じる支障を確認しているか
  • 本人ができる対処と、会社が行う配慮を分けて整理しているか
  • 採用・配置・配慮を誰が判断するのか決まっているか

身体障害者手帳について詳しく知ることは大切です。

ただし、制度の知識を増やすだけでは、採用や配置、合理的配慮の判断が自動的にできるようになるわけではありません。

制度の情報を、会社としてどの判断に使うのか。

ここまで整理して初めて、手帳の情報を実務につなげることができます。

制度は分かった。でも、採用・配置・配慮の判断で迷っていませんか
障害者雇用では、障害や手帳について理解していても、実際の判断で迷うことがあります。

「この仕事を任せてよいのか」
「どこまで環境を調整するのか」
「本人の希望をどこまで配慮として受けるのか」
「現場、人事、管理職の誰が判断するのか」

こうした迷いが繰り返される場合は、個別の対応方法を増やす前に、組織のどこで判断が止まっているのかを整理することが重要です。

FAQ|身体障害者手帳について企業からよくある質問

Q:病名が分かれば、身体障害者手帳の対象か判断できますか

病名だけで判断することはできません。

身体障害者手帳では、身体障害者福祉法で定められた障害について、実際の身体機能の状態が認定基準に該当するかどうかが確認されます。

同じ病気であっても、障害の状態によって手帳の取得状況や等級が異なる場合があります。

Q:身体障害者手帳には7級もあるのでしょうか

身体障害者障害程度等級表には7級の区分がありますが、7級相当の障害が一つだけの場合は、身体障害者手帳の交付対象にはなりません。

7級相当の障害が複数ある場合や、6級以上の障害と重複している場合などには、交付対象となることがあります。

Q:身体障害者手帳は更新が必要ですか

原則として、一定期間ごとの更新はありません。

ただし、障害の状態が変化する可能性がある場合などには、一定期間後に再認定が行われることがあります。

再認定の対象となっている場合には、指定された時期に必要な手続きを行います。

Q:身体障害者手帳の診断書は、かかりつけ医なら誰でも作成できますか

身体障害者手帳の申請に用いる診断書・意見書は、身体障害者福祉法第15条に基づいて指定された医師が作成します。

かかりつけ医がいる場合でも、その障害について診断書を作成できる指定医であるかを確認する必要があります。

Q:身体障害者手帳の等級が重いほど、仕事も難しいのでしょうか

等級だけから仕事の難しさを判断することはできません。

身体障害者手帳の等級は、仕事の能力を評価するための基準ではありません。

企業では、担当する仕事、本人の能力や経験、実際に生じる支障、必要な環境調整や配慮などを確認して判断する必要があります。

Q:身体障害者手帳があれば、必要な配慮も分かりますか

手帳だけでは分かりません。

同じ障害名や等級でも、仕事内容や職場環境によって生じる支障は異なります。

企業では「○級だから○○を配慮する」と決めるのではなく、実際の仕事との関係で必要な配慮を確認することが重要です。

まとめ|身体障害者手帳の情報と、仕事の判断は分けて考える

身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、身体の機能に一定以上の障害があると認められた人に交付されます。

対象となる障害や等級には認定基準があり、病名だけで取得できるかどうかが決まるわけではありません。

申請では、身体障害者福祉法第15条に基づく指定医の診断書・意見書が必要です。

また、原則として定期的な更新はありませんが、障害の状態が変化する可能性がある場合などには再認定が行われることがあります。

企業にとって特に重要なのは、身体障害者手帳の等級と、仕事の能力を同じものとして扱わないことです。

手帳は制度上の情報です。

採用、配置、業務、合理的配慮について判断するときには、その情報を出発点にしながら、実際の仕事と本人の状況を結びつけて確認する必要があります。

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参考資料

※制度、認定基準、申請方法、必要書類等は変更される場合があります。実際の申請では居住地の自治体、障害者雇用率の算定では厚生労働省・ハローワーク等の最新情報をご確認ください。

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