身体障害者の採用が難しい理由|障害種別ではなく仕事で考える

身体障害者の採用が難しい理由|障害種別ではなく仕事から考える

2024年09月23日 | 採用活動

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障害者雇用を組織の力に変える5日間

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「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2026年8月4日更新
障害者採用を進める企業から、「身体障害者を採用したいが、求人を出しても応募が来ない」という相談を受けることがあります。

その背景には、身体障害者であれば、設備面を整えることで受け入れやすいという考えがあるかもしれません。

一方、精神障害者や知的障害者の採用については、「現場で対応できるか分からない」「どのような配慮が必要なのか不安」と感じ、採用対象から外している企業もあります。

しかし、身体障害者に限定して求人を出し続けても、自社に合う人材と出会えるとは限りません。

障害者採用で先に決めるべきなのは、採用したい障害種別ではなく、任せる仕事、必要な能力、企業側で調整できる働き方や環境です。

障害種別から人を探すのではなく、仕事から採用対象を考え直すことで、これまで接点を持てなかった人材も候補に入る可能性があります。

この記事でわかること

  • 身体障害者の採用が進みにくい背景
  • 現在の障害者の求職・就職市場の変化
  • 障害種別で採用対象を限定する問題
  • 仕事内容から採用対象を考える必要性
  • 採用対象を広げる前に企業が確認すること

身体障害者を採用したいのに応募が来ないのはなぜか

身体障害者の求人に応募が来ない理由は、一つではありません。地域の求職者数、仕事内容、勤務条件、勤務地、採用ルートなど、複数の要因が関係します。

また、身体障害者を採用したい企業が同じような職種や条件で求人を出している場合、自社の求人が選ばれにくくなることもあります。

応募が来ないときに確認したいのは、求人票の表現だけではありません。

  • なぜ身体障害者を採用対象としているのか
  • その仕事は身体障害者でなければ難しいのか
  • 実際に仕事で必要となる能力は何か
  • ほかの障害のある人も対象にできないか

を、採用前に整理する必要があります。

「身体障害者なら受け入れやすそう」というイメージだけで対象を決めている場合、自社に合う人材との接点を狭めている可能性があります。

障害者の求職・就職市場は変化している

厚生労働省が公表した令和7年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は、全体で115,178件でした。

障害種別では、身体障害者が21,463件、知的障害者が22,215件、精神障害者が66,580件となっています。

現在の障害者雇用の採用において、精神障害者の就職件数は、身体障害者の就職件数を大きく上回っています。

この数字だけで、どの障害のある人を採用すべきか決めることはできません。しかし、身体障害者だけを採用対象にすると、現在の求職・就職市場の中で、接点を持てる人材の範囲が限定されることは理解しておく必要があります。

また、精神障害者の就職件数が多いからといって、「身体障害者の代わりに精神障害者を採用すればよい」ということでもありません。重要なのは、障害種別を置き換えることではなく、障害種別を起点にした採用そのものを見直すことです。

「身体障害者なら雇いやすい」という前提を見直す

身体障害者の採用を希望する理由として、次のような考えが聞かれることがあります。

  • 設備を整えれば仕事を任せやすい
  • 必要な配慮を想像しやすい
  • 現場の理解を得やすい
  • これまで身体障害者を雇用してきた経験がある

これらが、すべて誤っているわけではありません。しかし、身体障害といっても、障害の部位や程度、仕事への影響、必要な配慮は一人ひとり異なります。

移動に配慮が必要な人もいれば、通院や疲労への対応が必要な人もいます。外見からは分かりにくい内部障害のある人もいます。

同じ身体障害者という分類でも、企業側が必要とする対応は同じではありません。

障害種別だけで「雇いやすい」「対応しやすい」と判断すると、実際の仕事との関係を十分に確認できないことがあります。

障害種別で採用対象を決めると、選択肢が狭くなる

「身体障害者を募集しています」と対象を限定すれば、それ以外の障害のある求職者は、自分が応募できる求人ではないと判断します。

しかし、企業が任せたい仕事を詳しく見ていくと、身体障害者に限定する必要がないこともあります。

たとえば、企業が求めているのが、

  • 決められた手順で正確に作業する力
  • パソコンを使って情報を入力する力
  • 一定の品質を保ちながら仕事を続ける力
  • 分からないときに確認する力

であれば、必要なのは特定の障害種別ではなく、その仕事を行うための能力です。

仕事の進め方や環境を調整することで、身体障害者以外の人も候補になる可能性があります。

一方で、採用対象を広げることは、「誰でも応募可能」と書くだけではありません。

仕事内容、必要な能力、企業が調整できる範囲を明確にしたうえで、どのような人が対象になり得るのかを考える必要があります。

先に決めるのは、障害種別ではなく仕事内容

障害者採用を進めるときは、最初に「どの障害の人を採用するか」を決めるのではなく、任せる仕事を整理します。

確認するのは、職種名だけではありません。

同じ事務職でも、データ入力を中心とする仕事、社内外との調整が必要な仕事、自分で優先順位を判断する仕事では、求められる能力が異なります。

仕事を整理するときは、少なくとも次のような視点が必要です。

  • どのような作業を担当するのか
  • どの程度の正確性や速度が必要か
  • どのような判断や連携が発生するか
  • 仕事をどのように教えるのか
  • 企業側で何を調整できるのか

ただし、具体的な仕事の切り出し方や、採用対象の決め方は、企業の業務や配属体制によって異なります。

一般的な障害別の職種例をそのまま当てはめるのではなく、自社の仕事から考える必要があります。

同じ障害種別でも、経験や必要な配慮は異なる

身体障害者、精神障害者、知的障害者という分類は、採用判断に必要な情報のすべてではありません。

同じ障害名でも、これまでの経験、得意な仕事、仕事の覚え方、体調への影響、必要な配慮は異なります。

反対に、障害種別が異なっていても、同じ仕事に必要な能力を持っていることがあります。

採用時に確認すべきなのは、

  • どのような経験や能力があるのか
  • 予定している仕事で何が支障になるのか
  • 本人はどのように対処しているのか
  • 企業にどのような配慮を求めているのか
  • 企業としてその対応を継続できるのか

という、仕事との関係です。

障害種別を知らなくてもよいということではありません。

障害種別だけで採用できるかどうかを決めないことが重要です。

精神障害者の採用を「難しそう」で外さない

精神障害者の採用について、「体調が安定しないのではないか」「現場で対応できないのではないか」と不安を感じる企業もあります。

しかし、精神障害者という理由だけで、仕事を任せられないと判断することはできません。

必要な配慮や体調への影響は、本人、仕事内容、勤務時間、職場環境によって異なります。

一方で、「精神障害者の採用が増えているから、自社も採用すべき」と考えるだけでも不十分です。

採用対象を広げる前に、

  • 任せる仕事が明確になっているか
  • 仕事の指示や相談の方法が決まっているか
  • 配慮について誰が判断するのか
  • 配属先が受け入れ内容を理解しているか

を確認する必要があります。

対象とする障害種別だけを変えても、仕事や受け入れ体制が曖昧なままでは、採用後に現場の迷いが生じます。

採用対象を広げる前に、会社で確認すること

身体障害者だけに限定していた採用対象を広げる場合、求人票の表現を変えるだけでは十分ではありません。

人事、配属予定部署、採用責任者の間で、次の点を確認します。

  • 採用後に任せる仕事
  • 仕事に必要な能力と経験
  • 応募時点で必ず必要な条件
  • 入社後に習得できること
  • 企業側で調整できる働き方や環境
  • 配慮の実施可否を判断する人

配属先から「身体障害者なら受け入れられる」と言われている場合も、その理由を確認する必要があります。

現場が不安に感じているのは、障害種別そのものではなく、仕事の教え方、体調への対応、問題が起きたときの判断、相談先が分からないことかもしれません。

その場合に必要なのは、障害種別による限定ではなく、会社としての受け入れ条件と判断体制の整理です。

自社の採用条件を確認してみましょう

  • 身体障害者に限定する理由を説明できる
  • 採用後に任せる仕事が具体的になっている
  • 仕事に必要な能力と障害種別を分けて考えている
  • 企業側で調整できる働き方や環境を確認している
  • 人事と配属先で受け入れ条件を共有している

当てはまらない項目がある場合、対象とする障害種別を変える前に、自社で任せる仕事と受け入れ条件を整理する必要があります。

採用対象を広げる前に、任せる仕事を整理しませんか

身体障害者の応募を待ち続けている、精神障害者の採用に不安がある、配属先から受け入れられる障害種別を限定されている。

このような場合、対象とする障害種別だけを変えても、採用が進むとは限りません。

自社で任せる仕事、必要な能力、調整できる環境、配属先の受け入れ条件をつなげて整理する必要があります。

30分相談では、現在の求人や仕事内容、配属先の状況を伺い、採用対象を見直す前に何を確認すべきかを一緒に整理します。

求人・採用・配属・定着のどこに認識のズレがあるのかを全体から見直したい企業には、「採用・定着のズレ見える化マップ」をご案内しています。

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身体障害者の採用に関するよくある質問

Q:身体障害者だけを対象に求人を出してはいけませんか

仕事内容や職場環境との関係から、特定の条件が必要となる場合はあります。

ただし、「身体障害者なら受け入れやすそう」というイメージだけで対象を限定すると、仕事を行える人まで候補から外す可能性があります。

なぜ対象を限定する必要があるのかを、仕事内容と必要な能力から確認します。

Q:身体障害者の応募が少ない場合、精神障害者の採用に切り替えるべきですか

障害種別を置き換えるだけでは、採用の問題は解決しません。

まず、任せる仕事、必要な能力、指示方法、受け入れ体制を整理し、その仕事を行える人の範囲を考えます。

Q:精神障害者の採用は、身体障害者より難しいのでしょうか

障害種別だけで、採用や雇用管理の難しさを決めることはできません。

本人の経験、仕事内容、必要な配慮、職場の指示や相談体制によって異なります。

障害種別のイメージではなく、予定している仕事との関係から確認します。

Q:採用対象を広げると、現場の負担が増えませんか

対象を広げるだけで、受け入れ体制を変えなければ、現場の迷いが増える可能性があります。

仕事の教え方、配慮の判断者、相談ルートなどを会社として整理したうえで採用を進める必要があります。

Q:障害種別を限定しない場合、求人票にはどのように書けばよいですか

障害種別ではなく、仕事内容、必要な経験や能力、勤務条件、相談できる配慮などを具体的に示すことが基本です。

ただし、どの情報をどのように示すかは、企業の仕事や採用条件によって異なります。

まとめ

身体障害者を採用したいのに応募が来ない場合、求人媒体や待遇だけを見直しても、解決しないことがあります。

現在の障害者の求職・就職市場では、精神障害者の占める割合が大きくなっています。

身体障害者だけに採用対象を限定すると、自社の仕事を行える可能性のある人材との接点を狭めることがあります。

一方で、身体障害者から精神障害者へ対象を置き換えるだけでも十分ではありません。

先に整理するのは、

  • 任せる仕事
  • 仕事に必要な能力
  • 企業側で調整できる環境
  • 必要な配慮を判断する体制
  • 配属先の受け入れ条件

です。

障害種別から人を探すのではなく、仕事を基準に採用対象を考えることが、自社に合う人材と出会う第一歩になります。

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