発達障害のある人の社会生活や治療を援助する目的で、いろいろな公的制度が定められています。どのような制度があるのか見ていきましょう。
発達障害の公的支援制度の経緯
平成17年に発達障害者に対する支援は国や地方自治体の責務であるとした「発達障害者支援法」が施行され、発達障害の人もさまざまな公的支援制度を利用できるようになりました。
その中には、福祉サービスや医療費軽減、就労支援などがあります。具体的に手帳制度、障害者雇用促進法、自立支援医療制度について見ていきます。
手帳制度
障害のある人が援助を受けやすくするために制定されたもので、次の3種類があります。それぞれの手帳の公布対象が異なります。
精神障害者保健福祉手帳・・・精神疾患を有し、精神障害のため長期にわたり日常・社会生活に制約がある人が対象。
身体障害者手帳・・・体の不自由な人が対象。
発達障害は、3種類の障害者手帳の中で精神障害者保健福祉手帳が該当します。
精神障害者保健福祉手帳とは
この精神障害者保健福祉手帳を取得することで、さまざまな福祉サービスや障害者雇用の適用を受けることができます。精神障害者保健福祉手帳には、障害の程度が重いものから順に1から3級の等級があります。国税・地方税の控除及び減免税、公営住宅の優先入居、鉄道運賃の割引、生活福祉資金の貸付等の福祉サービスを受けることができます。
ただし、サービス内容は等級や各自治体により異なります。どのようなサービスが受けられるのかは、居住地の市区町村の担当窓口に問い合わせてください。
精神障害者保健福祉手帳の申請方法
精神障害者保健福祉手帳の申請は、市区町村の担当窓口で行います。
【申請に必要なもの】
・申請書(各自治体備え付けのもの)
・診断書または精神障害による障害年金を受給している場合はその証書等の写し(診断書は初診日から6ヶ月以上経ってから精神保健指定医(または精神障害の診断または治療に従事する医師)が記載したもの。各自治体備えつけのものを使用。
・本人の写真(サイズは縦4センチ×横3センチ。1年以内に撮影したもの。上半身脱帽で1人で写っているもの)
・印鑑
申請に必要な書類等は自治体によって異なる場合があるため、事前に問い合わせましょう。申請後、各都道府県、政令指定都市の精神保健福祉センターにおいて審査が行われ、認定されると手帳が交付されます。
障害者雇用促進法
障害になる人が就労し、自立した生活を送れるよう、障害者雇用促進法が制定されています。就労を希望する障害のある人に対して、それぞれの障害特性に応じたきめ細やかな支援ができるように配慮された障害者枠での雇用があります。
障害者枠での就労を希望するときには、障害者手帳が必要になります。発達障害のある人は、精神障害者保健福祉手帳を取得する必要があります。
自立支援医療制度
障害のある人の医療費を援助する目的で制定された制度です。この制度を利用すれば、発達障害で受診した医療費の9割が給付され、原則自己負担は1割で済みます。また、所得の低い人は規定に応じて、月当たりの自己負担額の上限額が低くなります。
受給できるのは通院による精神医療を継続して必要とする場合です。また、病状が改善していても、その状態を維持し再発を予防するために、通院医療を継続する必要がある場合も対象となります。
自立支援医療制度の申請方法
自立支援医療制度の申請は、市区町村の担当窓口で行います。
【申請に必要なもの】
・申請書(各自治体備え付けのもの)
・診断書(申請日から3ヶ月以内に作成されたもの)
・受診者の加入する医療保険の保険証
・世帯の所得状況等が確認できる書類(市区町村民税課税・非課税証明書等)
・印鑑
申請後、精神保健福祉センターで審査し、支給認定が通るまで通常1ヵ月程度かかります。
障害者雇用の種類
発達障害の人には、一般枠以外に障害者としての支援を受けながら働く障害者枠での就職の方法があります。
一般枠(一般雇用)
通常の雇用形態です。発達障害がある人でも、発達障害のない人と同等の仕事量と能力が要求されます。発達特性による仕事上のトラブルに自分の力で対処できるかどうかが、一般枠で就職するかどうかを決める目安となります。
障害者枠(障害者雇用)
障害者手帳の取得が必要です。勤務時間の短縮など、能力や特性に応じた雇用となりますが、一般枠よりも給料が低くなることが多いです。障害者雇用促進法で、一定の割合の障害者を雇用することが義務付けられています。
特例子会社
障害者手帳の取得が必要です。企業が障害者雇用のために特別に設立した子会社で、障害のある人にとっては、障害者の雇用管理を選任する職員が配置されているほか、障害者に配慮した職場環境が整えられているため、個人の能力を発揮しやすくなります。
事業主にとっては、雇用管理のしやすさ、障害者の職場定着率の向上、法定雇用率雇用率の遵守等のメリットがあります。
障害者雇用と一言で言っても、いろいろな雇用形態があります。どのような雇用形態を選ぶかの判断は、ハローワークや地域障害者職業センターなどで相談すると、アドバイスを受けることできます。ハローワークでは、障害者の就労支援の相談による応じる専門援助部門という窓口を設置しているところがあります。利用には精神障害者保健福祉手帳の取得や主治医の意見書等が必要な場合がありますので、事前に電話などで確認するとよいでしょう。
就労サポートするための公的機関
発達障害のある人が自分に適応した仕事を探すのが難しい場合、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、発達障害者支援センターなどを利用すると、有益にアドバイスやサポートを受けることができます。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターが障害のある人の就労支援を行う機関で各都道府県に設立されています就職に向けての基礎訓練や職場実習を受けることができます就職先の選択はハローワークと連携し情報提供行います就労希望する人だけでなく雇用する事業主のサポートを行っています地域障害者職業センターでは職業相談や職業評価を実施しており障害の特性や程度に合わせた仕上げることができます支援内容は地域によって異なる場合がありますどのような支援を受けられるから最寄りのセンターに問い合わせてください
地域障害者支援センターの主な支援内容
職業相談・職業評価
職業的性を評価し、就職して職場に適応するためにその人に合わせた支援計画(職業リハビリテーション計画)を策定します。
職業準備支援
職業リハビリテーション計画に基づいて個別のカリキュラムを組み、就労に必要な知識や技能の習得を支援します。
個別カリキュラムはその人に合わせて作成された、3つの個別カリキュラムを受講しながら就労に向けた準備を進めます。
・自立心カリキュラム…社会生活や集団生活をスムーズに送るための対人関係のスキルやマナーなどの習得を行います。
・就労支援カリキュラム…履歴書の書き方や面接の受け方を学んだり、センター内での作業訓練などを通じて職場で必要とされる技能や作業遂行力の向上を図ります。
受講中は定期的に専門スタッフが個別相談を行い、カリキュラムの取り組み状況を確認します。
ジョブコーチによる支援
必要に応じて、障害のある人が職場で能力を発揮できるように、また、事業主に障害の特性や支援方法などを理解してもらうために、ジョブコーチを派遣し、就職先の支援を行います。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、職業支援と生活支援を対象にした支援機関です。就労支援に関しては、地域障害者職業センターと同様のサポートを受けることができますが、職業評価等のサービスは独自に持っていない場合があります。
生活面では、生活習慣や健康管理、金銭管理等の生活設計の助言、住居、年金、余暇活動など地域生活の助言など、障害のある人が生活する地域に密着した支援を受けることができます。
就労で困ったときの相談する機関
就労就職活動で何をすればいいかわからない
障害者就業・生活支援センターへ行きましょう。就労準備や就職活動等、就労に関する様々な相談支援を行っています。
自分に合った仕事を知りたい
地域障害者生職業センターへ行きましょう。職業評価、職業カウンセリングなどで職業の適性がわかります。
すぐに就職は活動始めたい
ハローワークへ行きましょう。求職登録すると、求職者の能力と職務の条件に合った職業紹介を受けることができます。
継続して働けるかが不安
就労移行支援事業所で就職活動するための準備をしましょう。2年間の訓練期間の間で就職活動の準備や企業で働くために必要なことを学ぶことができます。
まとめ
発達障害の人が利用できる公的支援制度と就労相談窓口について説明してきました。
発達障害のある人の社会生活や治療を援助する目的で、いろいろな公的制度が定められています。障害者手帳制度や障害者雇用促進法、自立支援医療制度などがあります。
また、就労窓口には、発達障害のある人が自分に適応した仕事を探すのが難しい場合、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、発達障害者支援センター、就労移行支援事業所などを利用すると、有益にアドバイスやサポートを受けることができます。
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