障害者のリモート採用|雇用管理で確認する7つのポイント

障害者のリモート採用・雇用管理|企業が確認する7つのポイント

2021年11月7日 | 採用活動

担当者が頑張るほど、 組織が止まる

 

障害者雇用を組織の力に変える5日間

登録者限定レポート
「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2026年8月5日更新
障害者採用でリモート勤務を活用したいと考える企業が増えています。

通勤が難しい人や、職場環境の影響を受けやすい人にとって、リモート勤務は働く選択肢を広げる可能性があります。企業にとっても、勤務地に限らず人材を探せるという利点があります。

一方で、「パソコンでできる仕事だから」「出社しなくてよいから」という理由だけでリモート採用を進めると、採用後に仕事の進め方や相談方法が曖昧になることがあります。

連絡が少なくても仕事が進んでいるのか、困っているけれど相談できずにいるのか、画面越しでは判断しにくい場合もあります。

障害者をリモートで採用するときに重要なのは、働く場所を決めることではありません。任せる仕事、期待する成果、進捗確認、相談方法、勤怠、情報管理、緊急時の対応まで、企業として運用を設計することです。

この記事でわかること

  • 障害者をリモート採用するときの基本的な考え方
  • 採用前に企業が確認したい7つのポイント
  • リモート勤務で仕事や困りごとが見えにくくなる理由
  • 本人の自己管理だけに任せてはいけない理由
  • 企業ごとに勤務・管理方法を設計する必要性

障害者をリモート採用するときに企業が考えること

リモート勤務は、通勤、音、光、人の多さ、移動などによる負担を減らせる場合があります。

しかし、職場に出社しないことによって、別の難しさが生じることもあります。

たとえば、

  • 仕事の進み具合が見えにくい
  • 本人が質問するタイミングをつかみにくい
  • 困っていても周囲が気づきにくい
  • 仕事と休憩の切り替えが難しくなる
  • 業務上の情報を自宅で扱う必要がある

といったことです。

リモート勤務そのものが、障害者雇用を安定させるわけではありません。

自社の仕事をリモートで行えるか、企業として管理・支援できるか、本人が継続できる働き方かを分けて確認する必要があります。

リモートで働けることと、雇用を続けられることは別

以前から社内で働いている社員がリモート勤務へ移行する場合、企業は本人の仕事の進め方や得意・不得意をある程度把握しています。

一方、最初からリモート勤務で採用する場合、対面で仕事をする場面が少ないまま雇用が始まります。

面接での受け答えだけでは、

  • 一人で仕事を進めるときの確認方法
  • 分からないことが起きたときの相談行動
  • 業務量や期限の管理方法
  • オンラインでの指示の受け取り方

までは十分に分からないことがあります。

リモート勤務の経験があるかどうかだけで判断するのではなく、自社で任せる仕事や管理方法との関係から確認します。

採用前に確認したい7つのポイント

1.リモートで任せる仕事が明確か

「パソコンでできる事務作業」だけでは、本人も管理者も仕事の範囲を判断できません。

確認したいのは、

  • 何を担当するのか
  • どの状態を業務完了とするのか
  • どこまで本人が判断するのか
  • 誰と連携する仕事なのか
  • 期限や業務量をどのように示すのか

という点です。

仕事内容や成果が曖昧なままでは、管理者が頻繁に進捗を確認する状態になったり、反対に本人が放置されたりします。

リモート勤務を決める前に、遠隔でも説明・確認できる仕事になっているかを整理する必要があります。

2.業務の指示と進捗をどう確認するか

リモート勤務では、同じ職場にいれば自然に行われていた確認がなくなります。

そのため、

  • 仕事の依頼をどの方法で伝えるか
  • 期限や優先順位をどう示すか
  • どの時点で進捗を確認するか
  • 遅れが生じたときに誰が判断するか

を決めておく必要があります。

常時監視するのではなく、仕事内容、成果物、期限、確認する時点を双方で共有します。

具体的な確認頻度は、業務内容や本人の経験、チームの体制によって異なります。

3.質問・相談できる方法が決まっているか

チャットやオンライン会議のツールを用意するだけでは、相談体制があるとはいえません。

本人にとっては、

  • 誰に質問すればよいのか
  • どの段階で相談してよいのか
  • すぐに返事がないときはどうするのか
  • 口頭と文字のどちらで伝えればよいのか

が分からないことがあります。

「困ったら相談してください」と伝えるだけでなく、定期的に確認する機会と、必要なときに相談できる方法の両方を設けます。

4.勤怠や体調変化をどう把握するか

リモート勤務では、出社時の様子や周囲との会話から変化に気づくことが難しくなります。

ただし、管理職が病状を細かく確認したり、本人へ体調報告を過度に求めたりすることが目的ではありません。

企業が確認したいのは、

  • 始業・終業が予定どおり行われているか
  • 業務の遅れや中断が生じていないか
  • 連絡方法や仕事の進め方に変化がないか
  • 仕事への影響や調整の必要性があるか

です。

変化が見られたときは、本人の自己管理だけの問題とせず、仕事内容、業務量、期限、指示方法、相談体制との関係も確認します。

5.情報セキュリティを守れるか

情報セキュリティは、障害者雇用に限らず、リモート勤務者全体に必要な確認事項です。

企業として、

  • 会社支給端末を使用するか
  • データをどこに保存するか
  • 紙資料を自宅へ持ち出せるか
  • 家族や同居人から画面や資料が見えない環境か
  • 端末の紛失や故障時にどう連絡するか

などを決めます。

本人の注意だけに任せず、会社として利用する端末、権限、保存方法、連絡手順を整える必要があります。

6.出社が必要になる場面を伝えているか

求人で「フルリモート」と説明していても、実際には出社が必要になることがあります。

たとえば、

  • 採用時の研修
  • 端末や備品の受け渡し
  • 定期面談
  • 健康診断
  • 機器の故障や交換
  • 一部業務の実施

などです。

採用後に突然出社を求めると、本人が対応できない場合があります。

出社が必要となる可能性、頻度、場所、移動に必要な配慮について、採用前に確認します。

7.緊急時の連絡方法が決まっているか

通信障害、停電、端末の故障、体調不良などによって、通常の方法で連絡できなくなることがあります。

その場合に、

  • 誰へ連絡するのか
  • チャットが使えない場合は何を使うのか
  • 業務を中断する判断を誰が行うのか
  • 連絡が取れない場合に企業がどう対応するのか

を決めておきます。

緊急時の連絡先を示すだけでなく、どの状態になったら連絡するのかを共有することが重要です。

リモート勤務がうまくいかない原因は、働く場所だけとは限らない

リモート勤務で業務が進まないとき、「本人がリモート勤務に向いていない」と判断されることがあります。

しかし、原因は働く場所だけとは限りません。

  • 仕事の目的や成果が曖昧だった
  • 優先順位が共有されていなかった
  • 指示を出す人が複数いた
  • 質問する相手が決まっていなかった
  • チーム内の役割分担が不明確だった

という場合もあります。

出社している社員同士であれば、その場のやり取りで補われていた曖昧さが、リモート勤務によって見えるようになることがあります。

問題が起きたときは、本人の特性や自己管理だけでなく、仕事とチーム運営の仕組みを確認する必要があります。

リモート勤務を合理的配慮だけで決めない

通勤や職場環境による支障を減らすために、リモート勤務が合理的配慮として検討される場合があります。

ただし、本人から希望があったからといって、リモート勤務だけを決めればよいわけではありません。

予定している仕事を自宅で行えるか、必要な情報へアクセスできるか、指示や評価が可能か、出社が必要な業務はないかなどを確認します。

また、企業側から「障害があるのでリモートのほうがよいだろう」と一律に決めることも適切ではありません。

本人が希望する働き方、仕事上の支障、企業が実施できる方法を話し合って考えます。

本人の自己管理だけに任せない

リモート勤務では、時間、体調、仕事の進捗を本人がすべて管理できることが前提になりがちです。

しかし、自宅で働く場合も、企業には仕事を指示し、進捗を確認し、相談を受け、必要に応じて業務を調整する役割があります。

「連絡が来ないので問題はない」「成果物が届いているので無理なく働けている」とは限りません。

本人が困りごとを言葉にするまで待つのではなく、仕事と環境について定期的に確認する機会をつくります。

一方で、確認が過度な監視にならないよう、何を、いつ、何のために確認するのかを双方で共有することも必要です。

リモート採用を始める前に会社で決めること

リモート採用は、人事担当者と本人だけで決められるものではありません。

採用後に仕事を指示する管理職、業務上連携する社員、情報システム部門、労務担当などとの確認が必要になる場合があります。

企業として、少なくとも次の点を整理します。

  • リモートで任せる仕事と期待する成果
  • 指示・進捗確認・評価を行う人
  • 日常の質問・相談を受ける人
  • 勤怠や業務上の変化を人事へつなぐ条件
  • 情報セキュリティと端末管理
  • 出社が必要な場面と対応方法
  • 緊急時や連絡不能時の判断者

具体的な勤務ルールや管理方法は、企業の仕事、使用するシステム、本人の経験、配属体制によって異なります。

一般的なリモート勤務ルールをそのまま当てはめるのではなく、自社の仕事に合わせて設計する必要があります。

自社のリモート採用を確認してみましょう

  • リモートで任せる仕事と成果が明確になっている
  • 指示・進捗確認・相談の方法が決まっている
  • 本人の自己管理だけに任せていない
  • 情報セキュリティと緊急時の対応を決めている
  • 人事と直属上司の役割が共有されている

当てはまらない項目がある場合、リモート勤務を開始する前に、仕事と雇用管理の方法を整理する必要があります。

リモートで採用する前に、仕事と管理方法を整理しませんか

リモート勤務を導入すれば、通勤や職場環境の問題がすべて解決するわけではありません。

任せる仕事、期待する成果、進捗確認、質問・相談、勤怠、情報管理、出社や緊急時の対応がつながっていなければ、採用後に本人と管理職の双方が迷うことになります。

30分相談では、予定している仕事内容や勤務方法、配属体制を伺い、リモート採用を始める前に何を決めておく必要があるのかを一緒に整理します。

求人・採用・配属・定着の流れ全体から見直したい企業には、「採用・定着のズレ見える化マップ」をご案内しています。

30分相談でリモート採用を整理する

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障害者のリモート採用に関するよくある質問

Q:障害のある人には、リモート勤務のほうが向いていますか

障害種別だけで、リモート勤務が向いているかどうかを決めることはできません。

本人の経験、仕事内容、自宅の環境、必要な配慮、企業側の管理体制との関係から確認します。

通勤の負担を減らせる一方、相談や仕事の切り替えが難しくなる場合もあります。

Q:最初からフルリモートで採用してもよいですか

仕事内容と雇用管理の方法が整っていれば、選択肢になります。

ただし、企業が本人の仕事の進め方を把握していない状態から始まるため、業務説明、進捗確認、相談方法、初期研修などを具体的に決める必要があります。

Q:リモートワークでは、どのように進捗を管理すればよいですか

常時監視するのではなく、仕事内容、成果物、期限、確認するタイミングを事前に共有します。

業務が遅れたときは、本人の自己管理だけを原因にせず、指示内容、業務量、期限、相談方法に曖昧さがなかったかも確認します。

具体的な確認頻度は、仕事内容やチームの体制に合わせて決めます。

Q:体調確認のため、毎日報告してもらったほうがよいですか

一律に細かな体調報告を求めるのではなく、仕事への影響や業務調整の必要性を確認します。

確認する内容や頻度は、本人と話し合い、何のために確認するのかを明確にすることが重要です。

Q:リモート勤務を合理的配慮として希望されたら、必ず認める必要がありますか

本人が困っている場面と、リモート勤務を希望する理由を確認します。

そのうえで、予定している仕事をリモートで実施できるか、別の方法で支障を減らせるか、企業として継続できるかを話し合います。

希望の有無だけで一律に判断するのではなく、仕事との関係から個別に検討します。

Q:リモート採用で利用できる助成金はありますか

採用方法、対象者、勤務条件、企業の状況によって、利用できる制度が異なる場合があります。

助成制度は要件や内容が変更されることがあるため、申請を検討するときは、ハローワーク、都道府県労働局、制度を所管する窓口の最新情報を確認してください。

まとめ

障害者のリモート採用は、通勤や職場環境による支障を減らし、採用できる人材の範囲を広げる可能性があります。

一方で、職場に出社しないことで、仕事の進み方や困りごとが見えにくくなることもあります。

採用前には、

  • リモートで任せる仕事
  • 期待する成果と進捗確認
  • 質問・相談方法
  • 勤怠や業務上の変化の確認
  • 情報セキュリティ
  • 出社が必要な場面
  • 緊急時の連絡と判断

を整理します。

リモート勤務がうまくいかないときも、本人の自己管理や障害特性だけが原因とは限りません。

仕事内容、指示、チーム内の役割、相談体制が曖昧になっていないかを確認する必要があります。

リモートで働ける環境を用意するだけでなく、リモートでも仕事と判断が流れる仕組みを企業ごとに設計することが重要です。

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