障害者雇用義務を果たせない事業主への行政指導とは

障害者雇用義務を果たせない事業主への行政指導とは

2020年10月19日 | 企業の障害者雇用

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障害者の雇用は、障害者の自立・社会参加のための重要な柱となっています。

社会で働く、給料をもらう、誰かに必要とされる仕事をするということは、障害の有無に関わらず、誰にとっても必要なことであり、それを実現するために、障害者が能力を発揮して、適性に応じて働くことができるように、さまざまな制度や体制が、社会制度として整えられています。

ここでは、障害者雇用義務を果たせない事業所は、どのような行政指導を受けるのか、また、企業が知っておくべき障害者雇用の基本について見ていきます。

障害者雇用義務を果たせない事業主への行政指導

現在の民間企業の法定雇用率は2.2%、つまり社員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用する必要があります。この報告をおこなうのが、障害者雇用状況報告です。(※ 令和3年3月から法定雇用率は2.3%に引き上げられ、社員が43.5人以上の企業が対象となりました。)

これは、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があり(障害者雇用促進法43条第7項による)、毎年報告時期になりますと、従業員45.5人以上(※ 令和3年3月からは43.5人以上)規模の事業所に報告用紙が送付され、この必要事項を記載の上で7月15日までに報告する必要があります。(令和2年度は、新型コロナの影響で8月末までの締切に延期されています。)

各企業の障害者雇用率は、常時雇用している労働者と雇用している障害者の割合で出されます。「常時雇用している労働者」には、有期契約で雇用されている労働者のなかで事実上1年を超えて雇用されている、もしくは今後雇用されることが見込まれる労働者も含まれます。

支店、工場などの複数の事業所がある場合には、それぞれの事業所で法定雇用率を満たしている必要はありませんが、全事業所を合計して障害者雇用率が定められた割合を上回る必要があります。

雇用義務が達成できない企業に対しては、障害者雇用納付金、障害者1人不足につき、月5万円が徴収されます。この障害者雇用納付金は、障害者雇用義務の代替ではなく、納付金を収めたとしてもその企業は引き続き障害者を雇用して、法定雇用率を上回る努力をする必要があります。

また、法定雇用率に大幅に未達の場合には、その企業を管轄するハローワークから障害者の雇入計画書の作成命令が行われたり、それでも計画通りに進まない場合には、行政指導がおこなわれたり、社名公表になることもあります。行政指導の流れは、次のようになります。

出典:障害者雇用率達成指導の流れ(厚生労働省)

なお、障害者の雇用の促進を図ることが求められていますが、企業が障害者雇用の業務の切り出しなどが難しく、障害者雇用を特定の場所で効果的に進めたいと考える場合に活用できる特例子会社という制度があります。

この特例子会社制度は、企業が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できるものとなっています。

1つの企業の特例子会社だけでなく、グループ算定特例や、事業協同組合等算定特例といった制度もあり、企業の形体に応じて、障害者雇用率をカウントしやすくなる制度が設けられていますので、特例子会社についてもっと知りたいという方は、本記事の文末に示した【障害者雇用納付金制度の概要をわかりやすく解説、特例子会社とはどんな会社?概要をわかりやすく解説】を参考にしてください。

障害者法定雇用率はどのようにして決まっているのか

障害者雇用を行なうにあたり、知っておきたいことは、障害者雇用促進法です。この障害者雇用促進法は、障害者の雇用の促進や職業の安定を図ることを目的として定められた法律で、障害者雇用促進法に基づいて事業主は、法定雇用率に相当する人数の障害者の雇用が義務づけられています。

そして、障害者をその能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現を目指すために設けられているのが、障害者雇用率制度です。

現在の障害者雇用率は2.2%(※ 令和3年3月からは2.3%)ですが、この障害者雇用率は、次のような計算式に基づいて算出されています。

出典:労働政策審議会障害者雇用分科会資料(厚生労働省)

そして、令和3年3月には、さらに0.1%雇用率が引き上げられることが決まっています。

自社では、何人の障害者を雇用する必要があるのか

自社の雇用する必要のある障害者人数を算出するには、従業員数×法定雇用率(現在の民間企業では2.2%、令和3年3月からは2.3%)という計算式で求めます。

例えば、従業員数が100人の場合には、【 従業員数100人 ✕ 法定雇用率2.2% = 雇用障害者数 2.2人 】となり、2人の障害者を雇用する必要がでてきます。

ただ、障害者のカウントには、ルールがあります。一般的には、週30時間以上の労働時間がある場合には1カウント、重度障害者の場合には2カウントとなります。また、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満で雇用する場合は、0.5人としてカウントされます。

精神障害者の場合には、特例として、20時間以上の勤務で、1人とカウントされる場合もあります。詳細は、参考の【平成30年4月から精神障害者の短時間労働雇用率のカウントに特例措置】をご覧ください。

動画での解説はこちらから

まとめ

ここでは、障害者雇用義務を果たせない事業所は、どのような行政指導を受けるのか、また、企業が知っておくべき障害者雇用の基本について見てきました。

障害者の雇用は、障害者の自立・社会参加のための重要な柱となっています。これを実現するために、国としては、障害者雇用を推進するためのさまざまな施策を行ない、企業が障害者雇用を行えるような制度や体制づくりをしてきています。

特に最近では、新型コロナの影響を受けている企業に対しても、障害者雇用支援施策や取り組みの検討がされています。企業でも、障害者雇用率を達成するための施策を考えていく必要が求められています。

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参考

障害者雇用納付金制度の概要をわかりやすく解説

特例子会社とはどんな会社?概要をわかりやすく解説

平成30年4月から精神障害者の短時間労働雇用率のカウントに特例措置

新型コロナウイルス感染症や障害者雇用率0.1%引上げの影響を踏まえた 障害者雇用支援施策に関する主な意見と今後の取組 (労働政策審議会障害者雇用分科会資料、厚生労働省)

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