障害者雇用は企業の義務?対象企業と取り組む意味

障害者雇用は企業の義務?対象企業と取り組む意味・価値

2024年10月30日 | 企業の障害者雇用

担当者が頑張るほど、 組織が止まる

 

障害者雇用を組織の力に変える5日間

登録者限定レポート
「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2026年7月30日更新
「障害者雇用は、企業が行わなければならない義務なのでしょうか」「障害者を雇用するのは、大企業だけではないのでしょうか」障害者雇用について、このように感じる経営者や管理職、現場社員は少なくありません。

一定規模以上の企業には、法律に基づく障害者の雇用義務があります。しかし、社内で共有されている理由が「法律で決まっているから」「雇用率を達成しなければならないから」だけでは、経営や現場が自分たちの課題として捉えにくくなります。

障害者雇用は法律上の義務です。一方で、企業としてどのような意味や価値を持つ取組にできるかは、企業ごとに異なります。雇用率を満たすことだけでなく、自社が障害者雇用に取り組む意味を問い直すことが重要です。

この記事でわかること

  • 障害者雇用が企業の義務とされている理由
  • 障害者雇用が大企業だけのものではない理由
  • 雇用率の対象外でも企業に求められる対応
  • 法律上の義務だけでは社内が動きにくい理由
  • 障害者雇用を企業の意味や価値につなげる考え方

障害者雇用は企業の義務なのか

一定規模以上の民間企業には、障害者雇用促進法に基づき、法定雇用率以上の障害者を雇用する義務があります。

2026年7月現在、民間企業の法定雇用率は2.7%です。常用労働者数37.5人以上の事業主は、原則として少なくとも1人以上の障害者を雇用する対象になります。

ただし、対象になるかどうかは、単純な社員数だけでは判断できません。短時間労働者の扱いや除外率などによって、法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数が変わる場合があります。

自社の対象範囲や必要人数については、次の記事で詳しく解説しています。

障害者雇用率とは?2.7%の対象企業・計算方法・未達成時の対応

障害者雇用は大企業だけの義務ではない

障害者雇用というと、従業員が数百人、数千人いる大企業が取り組むものだと思われることがあります。

しかし、対象となるのは大企業だけではありません。常用労働者数が一定以上であれば、中小企業も法定雇用率制度の対象になります。

企業規模が拡大したことによって、初めて障害者雇用に取り組む必要が生じる企業もあります。

このときに、「対象になったので、まず1人採用しなければならない」と人数だけで考えると、採用後の仕事や受入れ体制が追いつかないことがあります。

障害者雇用では、必要人数の確認と同時に、どのような役割を担ってもらうのか、どの部署で受け入れるのかを考える必要があります。

雇用率の対象外なら、障害者雇用は関係ないのか

法定雇用率に基づく雇用義務には、企業規模による対象範囲があります。

一方、雇用分野における障害者への差別禁止や合理的配慮の提供は、企業規模を問わず、すべての事業主に求められます。

そのため、法定雇用率の対象になっていない企業であっても、

  • 障害のある人から求人への応募があった
  • 雇用している社員から障害について相談を受けた
  • 働き方や職場環境について配慮を求められた

という場合には、会社として対応を検討する必要があります。

「雇用率の対象ではないから、障害者雇用とは関係がない」ということではありません。

法律上の義務だけでは、経営や現場は動きにくい

障害者雇用を始める理由として、法律や法定雇用率を理解することは必要です。

しかし、社内への説明が、

  • 法律で決まっているから
  • 雇用率を達成しなければならないから
  • 納付金や行政指導を避けたいから

だけでは、人事以外の部門が自分たちの取組として捉えにくくなります。

その結果、人事が受入れ部署を探し続けたり、現場から「なぜ自分たちが受け入れるのか」と問われたりすることがあります。

法律上の義務は、障害者雇用に取り組む必要性を示します。

一方で、実際に雇用を進めるには、「なぜ当社が取り組むのか」「どのような雇用を目指すのか」という企業としての位置づけが必要です。

障害者雇用は企業にメリットがあるのか

障害者を雇用すれば、自動的に企業へメリットが生まれるわけではありません。

採用人数だけを優先し、任せる仕事や受入れ体制が整っていなければ、現場の負担や早期離職につながることもあります。

一方で、障害者雇用への取組は、これまで見えにくかった組織の課題を考えるきっかけになることがあります。

例えば、

  • 業務の進め方を見直す機会になる
  • 指示や役割の曖昧さが見えやすくなる
  • 管理職だけに判断を集中させない体制を考えるきっかけになる
  • 多様な人が働くための職場運用を見直せる
  • 人材を「できないこと」ではなく、役割との関係で見る視点が育つ

といった可能性があります。

ただし、これらは障害者を採用すれば自然に得られる効果ではありません。

障害者雇用を、採用人数だけの問題ではなく、業務、役割、判断、マネジメントの問題として捉えたときに、企業にとっての意味が見えてきます。

障害者雇用の意味や価値は、企業によって異なる

障害者雇用の意義に、すべての企業に共通する一つの答えがあるわけではありません。

人材確保の一つとして考える企業もあれば、業務の見直し、管理職育成、地域との関係、事業の社会的役割などと結びつける企業もあります。

重要なのは、一般的なメリットを並べて社内を説得することではありません。

自社の事業や組織課題と照らし合わせ、

  • 自社はなぜ障害者雇用に取り組むのか
  • 障害者雇用を通して、どのような職場をつくりたいのか
  • どのような役割を担う人材を必要としているのか
  • 経営、人事、管理職、現場がそれぞれ何を担うのか

を考えることです。

同じ障害者雇用でも、企業が置かれている状況によって、最初に考えるべきテーマは異なります。

「義務だから採用する」だけでは雇用が続かない

法定雇用率の対象になった企業では、不足人数を確認し、採用活動を始めることが必要です。

しかし、採用前の整理がないまま人数だけを増やそうとすると、

  • 採用した後に任せる仕事が決まらない
  • 受入れ部署の理解を得られない
  • 管理職が個別対応を抱え込む
  • 本人と職場の認識が合わない
  • 採用しても定着しない

といった問題が起こりやすくなります。

障害者雇用を継続するには、雇用率への対応と、実際に職場で雇用を運用する仕組みの両方が必要です。

制度上の義務を果たすことと、自社にとって意味のある雇用をつくることは、別々の取組ではありません。

障害者雇用の位置づけを確認する5つの質問

自社の障害者雇用について、次の点を確認してみてください。

  • 障害者雇用に取り組む理由が、雇用率だけになっていないか
  • 経営、人事、管理職、現場で取組の目的を共有できているか
  • 障害者に担ってもらう役割を、組織の業務と結びつけて考えているか
  • 受入れや合理的配慮の判断を、一部の担当者だけに任せていないか
  • 自社にとって、どのような意味や価値を持つ取組にするのか話し合っているか

当てはまらない項目が多い場合、制度や採用方法を学ぶだけでなく、障害者雇用の位置づけそのものを社内で問い直す必要があります。

障害者雇用の意義を、社内で共有できていますか

法律上の義務や雇用率だけを説明しても、経営や現場が自分たちの課題として捉えられないことがあります。

障害者雇用を継続していくためには、「なぜ当社が取り組むのか」「どのような雇用を目指すのか」を問い直し、経営、人事、管理職、現場で共通の前提を持つことが必要です。

障害者雇用ドットコムの研修では、一般的な制度や成功事例を伝えるだけでなく、企業の事業内容、現在の雇用状況、組織課題を踏まえて内容を設計します。

障害者雇用を「人数を満たすための取組」だけでなく、自社の業務、役割、判断、マネジメントを異なる視点から見直す機会へとつなげます。

よくある質問

Q:障害者雇用はすべての企業に義務付けられていますか

法定雇用率に基づく雇用義務は、一定規模以上の企業が対象です。

ただし、障害者への差別禁止や合理的配慮の提供は、企業規模を問わず、すべての事業主に求められます。

Q:障害者雇用は大企業だけが行うものですか

大企業だけではありません。常用労働者数が一定以上であれば、中小企業も法定雇用率制度の対象になります。

企業規模が拡大したことで、新たに対象となる企業もあります。

Q:障害者雇用納付金を払えば、障害者を雇用しなくてもよいですか

障害者雇用納付金を支払っても、法定雇用率に基づく雇用義務がなくなるわけではありません。

納付金は、障害者雇用に伴う事業主間の経済的負担を調整するための制度です。

詳しくは、次の記事をご覧ください。

障害者雇用納付金とは?対象企業・計算方法と月5万円の理由

Q:社内で障害者雇用の意義が理解されず、人事だけが動いています

障害者雇用が雇用率や法令対応の話だけになっていると、経営や現場が自分たちの取組として捉えにくくなります。

一般的なメリットを説明するだけでなく、自社の事業、組織課題、必要な人材、目指す職場と障害者雇用を結びつけて考えることが必要です。

障害者雇用ドットコムの研修では、企業の実態を踏まえ、「なぜ自社が取り組むのか」を問い直し、経営、人事、管理職、現場が異なる視点から障害者雇用を考えられる内容を設計しています。

Q:研修では企業ごとに内容を変えられますか

企業によって、障害者雇用の経験、事業内容、組織課題、社内の理解度は異なります。

そのため、一般的な制度説明だけでなく、現在の雇用状況や社内で起きている課題を確認し、企業にとってどのような意味や価値を持つ取組にできるかを考えられるよう、研修内容を設計します。

まとめ

障害者雇用は、一定規模以上の企業に法律で課されている義務です。対象となるのは大企業だけではなく、中小企業も含まれます。

一方、法律上の義務や雇用率だけでは、経営や現場が自分たちの取組として捉えにくいことがあります。

障害者雇用を進めるには、

  • なぜ自社が取り組むのか
  • どのような雇用を目指すのか
  • 障害者にどのような役割を担ってもらうのか
  • 経営、人事、管理職、現場が何を担うのか

を考える必要があります。

障害者雇用は、企業が抱えている業務、役割、判断、マネジメントの課題を、異なる視点から見直す機会にもなります。

ただし、企業にとっての意味や価値は、自動的に生まれるものでも、すべての企業で同じでもありません。

自社にとってどのような取組にするのかを問い直し、社内で共通の前提を持つことが、雇用率の達成だけで終わらない障害者雇用につながります。

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