障害者雇用促進法改正案が可決、どのような変化があるのか

中央省庁の障害者雇用水増し問題を受け、厚生労働省の行政機関への監督機能強化を柱とする障害者雇用促進法改正案は衆院本会議で、全会一致により可決されて、衆院を通過しました。今国会で成立する見通しとなっています。

障害者雇用促進法改正案の中では、公的機関に対するチェック機能を強化させることや、中央省庁が法定雇用率を下回った場合に民間企業に義務付けている納付金と同じように不足障害者1人について年60万円を減額すること、週10~20時間しか働けない精神障害者(発達障害を含む)向けの給付金の新設などが盛り込まれる予定です。

障害者雇用促進法の改正案では、どのような点に変更があるのかを見ていきたいと思います。

中央省庁の障害者雇用水増し問題とは

中央省庁の障害者雇用水増し問題とは、障害者雇用を率先して行う立場にある国の行政機関が、障害者手帳を持たない職員を障害者としてカウントすることなどによって、法定雇用率が達成されているように見せかけていた問題のことです。

政府の検証委員会の調べでは、このような不適切な行為が、国の33行政機関のうち8割にあたる28機関で行われていたことが確認されています。今回の障害者雇用促進法改正案では、このような障害者雇用水増しの問題の要因がチェックの不備にあるとみて、いくつかの改善策を盛り込む予定です。

障害者雇用促進法改正案のポイント

法定雇用率未達成で予算を減額

障害者の法定雇用率を満たしていない民間企業には障害者雇用納付金の支払いが義務づけられています。このことを踏まえ、中央省庁についても、法定雇用率を達成できない場合には、それぞれに割り当てられる人件費などの予算から、障害者1人当たり年間60万円を減額する方針が設けられることになります。

この減額措置は、今年の採用状況を検証し、2021年度予算に反映される予定になっています。

障害者手帳などの確認を義務づけ

障害者を採用する際、障害者手帳などの確認を義務づけることが盛り込まれました。これは、視力が悪い人を障害者にカウントしたり、退職者を含めたりといった例がいくつも見られており、中央省庁や自治体による恣意的な判断を防ぐためです。

今後は、採用する際に、障害者手帳などの書類による確認を義務づけることになります。このような手順が守られていない場合は、厚生労働省が勧告を行うことができる権限を付与します。

また、雇用した障害者の名簿や確認に用いた障害者手帳の写しなどを保存することや、障害者の雇用状況を公表することも義務づけています。

働きやすい職場づくりの推進

障害者雇用の質を担保したり、離職を防ぐために、国の機関や自治体に対し、働きやすい職場づくりに向けた「障害者活躍推進計画」を策定することや、障害者を解雇するときのハローワークへの届け出を義務づけることになります。

法定雇用率が未達成の事業主に対する行政措置を猶予

中央省庁による障害者雇用の水増し問題を受けて、政府は法定雇用率を達成するため、年内に4,000人余りの障害者を採用する方針で、新たな採用試験を導入したほか、各省庁でも個別に採用活動を進めています。しかし、この影響を受けて、民間企業から中央省庁に人材が移る状況が見られています。

中央省庁が4月末までに新たに採用した障害者は計約2,755人で、このうち民間企業を辞めた人が337人に上っています。

このような結果を受けて、根本厚生労働大臣は、

「法定雇用率が未達成の事業主に対する行政措置は猶予し、各地のハローワークに特別な窓口を設置して、事業者からの相談に応じるなど対応していきたい」

と述べて、法定雇用率を達成していない企業名の公表などの措置は猶予したうえで、障害者雇用を支援していく考えを示しました。

まとめ

中央省庁の障害者雇用水増し問題を受けて検討されていた障害者雇用促進法改正案が衆院本会議で全会一致により可決されました。今国会で成立する見通しとなりそうです。

政府は法定雇用率を達成するため、年内に4,000人余りの障害者を採用する方針を示していますが、この影響を受けて、民間企業から中央省庁に人材が移る状況が見られています。すでに4月末までに新たに採用した障害者は計約2,755人のうち民間企業を辞めた人が337人に上っています。このような結果を受けて、根本厚生労働大臣は、当面法定雇用率が未達成の事業主に対する行政措置を猶予して、障害者雇用を支援していく考えを示しています。

障害者雇用で大切なのは、障害者が働きやすい職場の環境づくりをすることです。官公庁であっても、企業であっても、障害者雇用が単なる数合わせにならないようにしてほしいと思います。

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