うつ病やメンタル的な疾患のある社員を抱える企業は少なくありません。一方、障害者雇用率は、まだ不足している・・・。このような場合、障害者雇用にカウントすることができるのでしょうか。
精神障害をはじめとしたカウントに関するQ&Aに答えました。
休職者を精神障害として障害者雇用率にカウントすることができるか
Q:うつ病やメンタル的な疾患のある社員を抱えているものの、障害者雇用率は、まだ不足している。このような場合、障害者雇用率にカウントできないものか・・・と考えていますが、実際にカウントすることはできるのでしょうか。
A:障害者雇用としてカウントするためには、障害者手帳を持っていることが必須条件となります。つまり、うつ病やメンタル疾患によって休職していても、その社員がそれによって障害者と認定されるものではありません。
また、取得に際しては、十分に本人の意思を尊重し、企業側が説得したり、勧めるものでもありません。
手帳を取得することで受けられる税制上の優遇措置や公共施設の利用料金の減免等などのメリットや、支援を受けやすくなるということもありますが、一方で、自身で障害があるということを認めることになり、抵抗を感じる人もいます。
あくまでも決めるのは本人ですので、場合によっては、第三者に入ってもらうなどして、慎重に話を進めることがよいかもしれません。
精神障害手帳の申請には、精神疾患の診察をしている主治医・専門医の診断書が必要となります。しかし、診断書は初診日から6ヶ月を経過した日以後に作成されることになっているので、早くても診断されてから6ヶ月経過しないと精神障害者手帳を申請することができません。
精神障害者手帳の申請には、医師の診断書、障害年金の年金証書等の写しを添付して、都道府県知事(指定都市市長)宛に提出します。医師の診断書は、精神保健福祉センターにて判定されます。(実際の提出先や相談先は、住んでいる市区町村の障害福祉担当窓口になります。)
休職中の障害者社員のカウントすることができるのか
Q:障害者の法定雇用率のカウントに、現在雇用契約を結んでいる社員が休職中の場合にも含むことができますか。
A:休職中の精神障害者である労働者についても実雇用率に算定されます。
これは、疾病などの理由によって休職中の場合でも、事業主との雇用契約は維持さ れていることから、雇用義務の対象となる常用労働者数に算入されるからです。また、精神障害だけでなく、身体障害者、知的障害者である労働者も、同様に各企業の実雇用率に算定されます。
社内の障害者の把握はどのように行えばよいか
Q:社内に障害者と認定されていないものの、障害者と思われる社員がいた場合には、どのように把握することができるでしょうか。
A:企業が採用後に障害者を把握する場合には、厚生労働省から出されている「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」にそって、把握・確認することが必要です。
ガイドラインでは、各事業主が、障害者雇用状況の報告、障害者雇用納付金の申告、 障害者雇用調整金又は報奨金の申請にあたって、障害者である労働者の人数や障害種別等を把握・確認するときに、障害者本人の意に反した把握・確認が行われないよう、各事業主の把握・確認の望ましいあり方を示したものとなっています。
採用後に把握・確認を行う場合には、雇用する労働者全員に対して、画一的な手段で申告を呼びかけることが原則とされています。
はじめて障害に関する情報を取得する時には、今後障害の状態に変更がない限り、把握・確認した情報を毎年使うことを、あらかじめ本人の同意を得ておくとよいでしょう。ただ、当初把握・確認した情報の内容にその後変更があった場合には、本人からその旨を申し出てもらうか、事業主側から、確認を行う理由や契機(例えば、精神障害者保健福祉手帳の有効期限の到来等) についての説明を行った上で、障害に関する情報を確認し、情報の内容を更新するとよいでしょう。
特定の社員に障害者であることを照会できる場合はあるのか
Q:個人を特定して障害者かを照会することができるケースはありますか。
A:基本的には、採用後に把握・確認を行う場合には、雇用する労働者全員に対して、画一的な手段で申告を呼びかけることが原則とされていますが、例外的に、個人を特定して照会を行うことができる場合があります。
例えば、障害者である労働者本人が、職場において障害者の雇用を支援するための公的制度や社内制度の活用を求めて、企業に対し自発的に提供した情報を根拠を示す場合です。
次のようなケースが想定されています。
・公的な職業リハビリテーションサービスを利用したい旨の申出
・企業が行う障害者就労支援策を利用したい旨の申出
照会を行うときには、障害者雇用状況の報告等のために用いるという利用目的を明示した上で、障害者手帳等の所持の確認を行うようにします。なぜ、特定して尋ねるのかについて根拠となる情報を明らかにし、本人に対して経緯を明確にすることが求められています。
また、次のような照会は、不適切な例としてあげられています。
・健康等について、部下が上司に対して個人的に相談した内容
・上司や職場の同僚の受けた印象や職場における風評
・企業内診療所における診療の結果
・健康診断の結果
・健康保険組合のレセプト
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参考
精神障害者保健福祉手帳の取得方法や判断基準とは?
精神障害者を雇用するときに知っておきたい主治医の意見書の取扱い方法
【令和5年までの時限措置】精神障がい者かつ短時間労働者の雇用算定が0.5から1カウントに
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