企業における障害者雇用の取り組みが進む中、精神障害および発達障害者の雇用が進んでいます。しかし、精神・発達障害者の職場定着は、他の障害種別の障害者よりも職場定着が難しいと言われています。
職場定着に至らない要因はいろいろなものがありますが、障害があっても、その特性を踏まえ、希望や能力、適性に応じて活躍できることを職場でも目指していくことが望まれています。そのため職場での精神・発達障害者の理解を促進することを目的として、【精神・発達障害者しごとサポーター養成講座】が全国各地で開催されています。
しかし、職場の外へ行って研修を受講することが難しいという人もいるでしょう。そのような人のためにも、eラーニングが準備されており、学べるようになっています。ここでは、eラーニングでどのようなことが学べるのか、また、養成講座を受講した人が活用できるサポーター意思表示グッズについて見ていきたいと思います。
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企業向け「精神・発達障害者しごとサポーター」研修で基礎知識・配慮を学ぶ
「精神・発達障害者しごとサポーター」とは
「精神・発達障害者しごとサポーター」は、職場において同僚や上司がその人の障害特性について理解し、共に働く上での配慮することを推進して、精神障害や発達障害の人が職場で働きやすくするものを推進していくものです。
そのため、この「サポーター」は、特定の誰かを専門的に支援するものや、特別な資格制度とはなっていません。つまり、障害者職業生活相談員やジョブコーチのような障害者に関する特別な資格制度とは異なり、講座を受講したことにより、職場の中で障害者に対する特別な役割を求めるものではありません。
特別な「専門的支援者」というよりも、サッカーチームのサポーターなどのようなイメージで、この応援者が職場に増えることで、障害の有無に関わらず、職場の雰囲気や人間関係が良くなり、精神障害、発達障害者を含め、働きやすい職場環境が広がることを期待するものとなっています。
受講資格としては、障害のある方と一緒に働いているかどうか等は問われず、企業に雇用されている人であれば誰でも受講可能となっています。
eラーニングで学べる内容とは
精神障害・発達障害者と一緒に働くポイントがわかる
精神障害にはいろいろな病気があり、また、個人差も大きいものです。そのため同じ疾患でも症状やその程度は一人ひとり異なります。しかし、ここでは、その中でも比較的多くの人に共通する例が、時系列ごとに示されています。
例えば、出勤時に想定されるケースとして、次のようなときにどのような声掛けや対応をしたらよいのかの例が載せられています。
通勤途中、昨日、体調不良を理由に休んだ○○さんを見かけたけど、どう声をかけたらよいのだろう・・・。
また、休憩時間のときに、一人で食事をしている人にどのように接したらよいかと迷うようなときがあるかもしれません。
○○さん、いつも独りで食事しているけど、声をかけた方がよいのかな・・・。
このようなケースの望ましい接し方や想定される状況などについての解説が載せられています。
精神障害や発達障害の障害特性がわかる
精神障害と発達障害の下記の障害について、主な特性と配慮のポイントが載せられています。
精神障害
・統合失調症
・気分障害
・てんかん
・依存症
・高次脳機能障害
発達障害
・自閉症、アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)
・学習障害(限局性学習障害)
・注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害)
・その他の発達障害
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「精神・発達障害者しごとサポーター 養成講座」e-ラーニング版
サポーター意思表示グッズ
養成講座を受講すると、職場内において「精神・発達障害に関して一定の知識、理解がある」ということを意思表示するためのグッズがプレゼントされます。
グッズとしては、次の3つが準備されています。
・ネックストラップ
・小型シール(名刺等に貼って使用)
・大型シール(パソコンのフレーム等に貼って使用)
出典:精神・発達障害者しごとサポーター意思表示グッズ(厚生労働省)
このようなグッズを職場内で活用することによって、サポートの輪を広げやすくなるかもしれません。
動画の解説はこちらから
まとめ
精神・発達障害者しごとサポーターがeラーニングで学べること、また、その内容について見てきました。もともと、精神・発達障害者しごとサポーター講座は、集合研修が各地域でおこなわれてきましたが、その後、企業に出向いて講座を行なう出前研修も整備され、さらにeラーニングで学べるようにもなってきました。
集合研修や出前研修といっても、2時間程度の短時間の講座ですし、大勢で学ぶことによるメリットも大きいと思いますが、さまざまな事情でこのような学ぶ場に行くことや機会を持つ場が難しい場合には、eラーニングを活用することができます。
講座を受講をすることで、障害の特性や同じ職場の仲間としての日常的な配慮のポイントを学ぶことができ、誰もが働きやすい職場づくりを進めることにつながっていくでしょう。また、グッズなどを上手に活用すると、職場でも取り組みやすくなるかもしれません。
参考
知的障害、発達障害にSNSやLINEの使い方をどのように教えればよいのか
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