精神障害をオープンにして働くことのメリット・デメリットとは?

精神障害をオープンにするとは?

精神障害は、身体障害や知的障害のように周りから障害があるとわからないことがあるので、就職するときに精神障害があることを働く職場に伝えて就職する人と伝えないで就職する人がいます。

精神障害であることを会社に伝えて就職すること、障害者雇用枠の雇用を「オープン」、逆に障害があることを伝えないで、就職することを「クローズ」といいます。

障害者雇用枠で採用する場合は、障害者手帳や医師の意見書が必要になるので、必然的に「オープン」になりますが、中には「オープン」にしないで応募してくる場合もあります。そして、採用時点で応募者に障害があることをわからないまま採用するケースもあります。

精神障害を隠しながら一般社員の求人に応募する人は少なくありません。なぜ、障害を「オープン」にしないで働く精神障害者がいるのでしょうか。精神障害者にとって、企業に障害者であることを伝えて「オープン」で働くことのメリットやデメリットを見ていきましょう。

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当事者にとって精神障害をオープンすることのメリット

会社に苦手さや辛さを理解してもらいやすい

障害者として雇用するので、業務や勤務状況に関して、障害によってできないことに配慮してもらいやすくなります。

例えば、業務が一般事務の場合には、多くの場合、電話対応が求められることがあります。でも、障害者の中には、この電話応対が苦手だという人が少なくありません。相手が見えませんし、臨機応変な態度や判断を求められることがあるからです。特に、仕事に慣れるまでには、このような苦手な業務を外してもらいたいと希望する精神障害の方は多くいます。

このような場合には、電話応対の業務は仕事に含めないことや、十分仕事に慣れてから行なう、または限定されたもの(例えば、内線のみ受け継ぎ、外線は出ないなど)などの配慮の方法をとることもできます。

そして、このような業務に関する配慮は、障害者であることをオープンにしているので、職場で一緒に働く社員にとっても理解しやすく、サポートしやすくなります。逆にクローズにしていると、周囲の社員は、できないことに対しての不満が増えたり、注意や指摘することは多くなったとしても、サポートしようという気持ちになることはほとんどないでしょう。

オープンにしていれば、残業の免除、時短勤務なども同じように、障害者症状に合わせて会社も配慮しやすくなるでしょうし、一緒に働く周囲の人にとっても受け入れやすくなるです。

ちなみに障害者から会社に行なってほしい配慮の要望があった場合の対応ですが、もちろん、本人の申し出をすべて会社側が認める必要はありませんが、会社にとって過度の負担にならないことであれば、配慮したほうが、当事者にとって働きやすくなります。そして、当事者が活躍できる体制が整うと、一緒に働く仲間にとっても会社にとっても、精神障害のある仲間を受け入れやすくなることが多いです。

どの程度の配慮が必要なのかについては、下記の記事を参考にしてください。
 ↓  ↓  ↓
企業における障害者差別の禁止と合理的配慮の対応方法

支援機関のサポートを受けられる

障害があることをオープンにすると、ジョブコーチや就労移行支援事業所などのサポート機関の定着支援や職場への訪問によって、相談を受けたり、社内以外の人から仕事ぶりを評価してもらうことができます。

多くの場合、支援機関のサポートを受けている当事者は、就職前の面接や実習段階からフォーローしてもらっていますので、会社に勤務する前の状況を知っています。無理をしていないか、会社に相談したいが迷っていることなどあったときには、支援機関を通して、会社へ本人の様子や情報が得られることもあります。

就労後の支援については、会社の方針で決めるべきことですが、会社対当事者だけの関係よりも、支援機関が第三者的に関わることによって、入ってくる情報の幅が広がったり、仕事の様子をある意味客観的に見てくれる支援機関が関わることによって、当事者への実質的なサポートとともに会社にとってもメリットがあることが多いと思います。

就労移行支援事業所については、下記の記事を参考にして下さい。
 ↓  ↓  ↓
障害者採用に活用できる就労移行支援事業所とは?

職場定着しやすい

前の2つで見てきた、「会社に苦手さや辛さを理解してもらいやすい」、「支援機関のサポートを受けられる」というシナジー効果もあり、結果的に職場定着しやすい状況をつくることにつながります。

職場定着できない理由はいろいろありますが、多くの場合は、職場の人間関係や仕事のマッチングが大きな原因です。

職場の人間関係については、職場の身近な人たち理解していなければ配慮やサポートすることが難しくなります。前述したように、どのような配慮が必要なのかを理解すると、周囲の人も配慮を示しやすくなり、結果的に働きやすい環境をつくることになります。

仕事内容については、多くの場合、当事者の希望にそって支援機関が就職できて働けるだろうという判断をして応募してくる場合が多いですので、仮にちょっとうまくいかないことがあったとしても、支援機関がアドバイスしたり、話を聞いたりすることによって解決することも少なくありません。

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当事者にとって精神障害をオープンすることのデメリット

周囲に配慮されすぎるのがつらい

周囲にある程度配慮してほしいけれど、配慮されしすぎるのもつらいと感じる当事者は少なくありません。

「休憩時間をとっていいよ」と声をかけられたけれど、自分だけ休憩をとりにくいとか、ことある度に「疲れていない、大丈夫?」と声をかけらたり、仕事の量や時間などを大幅に軽くしてもらうと、かえって働きにくいと感じることもあります。

この辺は、当事者によって受け取り方がだいぶ違いますので、よくコミュニケーションをとり、当事者と業務のマネジメントに当たっている担当者の間で、同じレベル感をもつことが大切です。また、たとえ、同じ障害名、病名であったとしても、症状や経験など状況は違いますので、個別に対応することをおすすめします。

障害者枠で働くので仕事が限定される

障害者雇用枠で出される求人票の多くは、障害者ができる仕事という観点から業務を切り出されていることが多く、能力や経験を活かせる仕事が少ないのが実情です。

それは、企業が求人をだすときに、あるレベルの仕事をしてもらいたいと思ってはいるものの、どれくらいの仕事量や能力、スキルのレベルがあるのかわからない、欠勤が多ければ周囲の社員の負担にもなってしまうなどの不安があるからです。

このような理由で、仕事が限定されてしまうため、障害者の中には、障害枠の業務を物足りなく感じる人もいます。

給与が低い

仕事が限定されているものが多いため、結局、仕事に対する賃金が低くおさえられることになり、結果的に給与が低くなります。そのため、一般的な求人の仕事と比較すると、給与が低いと感じることになります。

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当事者にとってクローズにすることの影響

給料が一般枠で就職したのと同等の金額がもらえる、仕事の幅も広がる

障害者求人枠として出されたものではなく一般の求人になるので、仕事の幅が広がりますし、その業務に見合った給与をもらうことができます。

障害者枠で就職する場合には、契約社員やパートなどからスタートすることも多くありますが、一般枠は、正社員として就職することが多くなります。給与や待遇の安定などの点だけを考えると、クローズで就職したいと思う当事者も多いことでしょう。

無理をしすぎて体調を崩しやすい

会社にとっては、障害者という認識はありませんから、障害に対する配慮は行われません。業務や勤務時間についても特別な配慮がないので、どうしても無理が積み重なり、結果的に体調を崩したり、メンタル的なプレッシャーを受けたりすることがあります。

このような状況になってしまうと、仕事への集中力がなくなることが多いので、ミスが増えたり、業務をこなせなくなったりすることもあり、結果的に仕事に支障がでてくるだけでなく、体調にも影響がでやすくなります。

企業にとって精神障害者をオープンで採用することの影響

障害者雇用率にカウントできる

企業で障害者を雇用することが法律で義務づけられており、多くの企業では、法律を遵守するために障害者を雇用しようとしていますから、精神障害をオープンにしている人を採用することは、障害者雇用率にカウントすることにつながります。

助成金を受けることができる

障害者を雇用すると、いろいろな助成金を受給することができます。障害者雇用をして助成金を受ける企業が増えていることもあり、助成金の変更は頻繁に行われています。申請するにあたって、事業所ごとの制約などもありますので、助成金を検討する場合には、必ず事前にハローワークや労働局、高齢・障害・求職者雇用支援機構等に問合せてください。

助成金や、助成金の出処となっている障害者雇用納付金については、下記の記事を参考にしてください。
 ↓  ↓  ↓
障害者雇用するときに助成金はいくらもらえる?

徴収された障害者雇用納付金の活用方法とは?

社内の協力体制や理解が得やすい

精神障害者を雇用することに対して、どのように対処したらよいのかと不安に思っている社員の方も多いことでしょう。しかし、事前にどのような配慮が必要なのかについて、社内や部内で情報共有されているのであれば、受け入れ体制は作りやすくなります。

いろいろな障害者雇用を受け入れた企業を見てきて感じることは、事前に情報共有されているのであれば、たとえ、何かできない業務があったり、勤務時間が短かったり、休憩が他の社員よりも多かったとしても、ほとんどの職場や同僚の方は理解を示してもらえているということです。

もちろん当事者の情報については、本人の意思を確認して、どのような情報をどの範囲の職場の人に伝えるかについて、十分にコミュニケーションを図る必要はあります。

社内の協力体制を構築するために何が大切かについては、下記の記事を参考にしてください。
 ↓  ↓  ↓
精神障害者と一緒に気持ちよく働くためにできる職場づくりとは?

社内における障害者雇用の理解を深める方法とは
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まとめ

精神障害をオープンにして働くことのメリット・デメリットについて見てきました。精神障害者が障害をオープンにして働くか、クローズにして働くかということは、当事者本人が大きな決断をして行っている場合が少なくありません。

企業の障害者雇用担当者として雇用率を達成するということも大切ですが、オープンやクローズによって起こる影響について知ることは、精神障害者の立場や思いを知る上で役立つでしょう。

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