【障害福祉】就労継続事業A型とB型の違いとは?対象者、工賃を比較

【障害福祉】就労継続事業A型とB型の違いとは?対象者、工賃を比較

2020年02月7日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスの中には、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業、就労定着支援事業がありますが、これらの中の就労継続支援A型事業と就労継続支援B型事業を中心に、対象者やサービス内容の違いについて見ていきます。

また、就労系障害福祉サービス全体を見るために、就労支援施策の対象となる障害者数や就労系障害福祉サービスから一般就労へ移行する流れや人数、平均工賃(賃金)についても見ていきたいと思います。

障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス

障害者自立支援法から、障害者が地域生活の中で自立する、働くということに重点がおかれて、さまざまな施策がおこなわれてきました。障害者総合支援法は、基本的な考えは障害者自立支援法と同じスタンスで、さらに障害者が社会で働けるための施策に取り組んでいます。

障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスは、次のようなサービスがあります。

・就労移行支援事業
・就労継続支援A型事業
・就労継続支援B型事業
・就労定着支援事業

就労移行支援事業は一般就労を目指すための訓練を受けることができ、就労継続支援A型とB型は、一般就労が難しいものの、就労することに備えて必要な知識やスキルを向上するために必要な訓練を受けることができます。就労定着支援事業は、就労移行支援や就労継続支援などの利用後に一般就労したときの職場定着の支援を受けることができます。

出典:障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス(厚生労働省)

ここでは、就労継続支援A型とB型について中心に見ていきますが、その前に就労支援施策の対象となる障害者数や一般就労への移行者数・移行率の推移について簡単に見ていきたいと思います。

就労支援施策の対象となる障害者数

就労支援施策の対象となる障害者数は、障害者総数約964万人中、18歳~64歳の在宅者数約377万人 (内訳:身体101.3万人、知的 58万人、精神217.2万人)となっています。

出典:就労系福祉サービスの現状等(厚生労働省)

一般就労への移行者数・移行率の推移

就労系障害福祉サービスから一般就労への移行者数は、毎年増加しており、平成29年度では約1.5万人の 障害者が一般企業へ就職しています。就労系障害福祉サービスの内訳をみると、一般就労への移行の多くは就労移行支援事業所からのものとなっており、就労継続支援A型では微増、就労継続支援B型では横ばいとなっています。

出典:就労系福祉サービスの現状等(厚生労働省)

このような背景もあり、2021年から3年間の障害福祉の基本指針について、社会保障審議会障害者部会で検討されてきた際には、一般就労への移行者数に関する目標にA型B型事業所も対象にすることが盛り込まれることになります。

就労継続事業A型とは

一般企業での就労が困難な人であって、雇用契約に基づく就労が可能な障害のある人に対し、就労の機会を提供するとともに、生産活動の機会の提供、一般就労に必要な知識や能力の向上のために 必要な訓練などのサービスを提供します。一般就労に必要な知識・能力がある人に対しては、一般就労への移行に向けた支援を行います。

対象者

就労継続事業A型事業所を利用できる人は、一般就労が難しいものの、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能な障害者となります。

具体的な要件は、次のとおりです。
① 移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
② 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
③ 就労経験のある者で、現に雇用 関係の状態にない者
※平成30年4月から、65歳以上の者も 要件を満たせば利用可能。

サービス内容

サービス内容については、次のように定められています。
・通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援
・一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能
・多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能
・利用期間の制限なし

就労継続事業B型とは

訓練やリハビリが主な目的とされるのがB型事業です。年齢や体力面で雇用契約に基づく就労が難しい障害のある人に対し、生産活動の機会やその他就労を提供するとともに知識や能力向上のために必要な支援を行います。就労に必要な知識や能力を身につければ、就労継続A型事業所や一般就労への移行を目指します。利用期間についての制限はありません。

対象者

就労継続事業B型事業所を利用できる人は、就労移行支援事業等を利用したものの一般就労に結びつかなかった人や、一定年齢に達している人で、就労の機会等を通して、生産活動にかかる知識及び能力の向上などが期待される障害者となっています。

具体的な要件は、次のとおりです。
① 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
② 50歳に達している者又は障害基礎 年金1級受給者
③ ①及び②に該当しない者で、就労 移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握 が行われている者

サービス内容

サービス内容については、次のように定められています。
・通所により、就労や生産活動の機会を提供(雇用契約は結ばない)するとともに、一般就労に必要な知識、 能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援
・平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする
・事業者は、平均工賃の目標水準を設定し、実績と併せて都道府県知事へ報告、公表
・利用期間の制限なし

A型事業所とB型事業所の平均工賃(賃金)はどれくらい?

A型事業所とB型事業所では働いた対価として工賃(賃金)が支払われます。その平均工賃は、次の表の通りです。

出典:平成30年度工賃(賃金)の実績について(厚生労働省)

毎年、厚生労働省が工賃の実績を公開していますが、障害者が地域で経済的にも自立して生活するためには十分とはとても言えず、「工賃倍増5か年計画」や「工賃向上計画」などの施策を平成19年から取り組んできていますが、B型事業所の工賃は微増しているものの、A型事業所の工賃は経営事態が厳しい事業所も増えており工賃が増加しているとは言い難く、課題の一つとなっています。

工賃倍増計画では、経営コンサルタントの事業所への派遣によるコンサルティング として、 会計管理 、製品開発、マーケティング等や、各分野の専門家の事業所への派遣による技術支援として、クッキー、パン等の技術指導、ラッピング等包装指導、事業所の職員に対する研修としてPDCA実施に向けた研修、管理者対象のマネジメント研修、新商品開発研修などがおこなわれていますが、少しずつ改善はおこなわれてはいると思いますが、現状では大きな成果をあげているとは言えない状況が見られています。

動画の解説はこちらから

まとめ

障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスの中には、さまざまなサービスがありますが、ここでは就労継続支援A型事業と就労継続支援B型事業を中心に見てきました。また、就労系障害福祉サービス全体の流れや人数、平均工賃(賃金)についても概観してきました。

平均工賃については、以前から「工賃倍増5か年計画」や「工賃向上計画」などの施策が取り組まれてきてはいるものの抜本的な改善は見られていません。また、近年ではA型事業所自体の運営が厳しい事業所も増えており、課題の一つとなっています。福祉の分野でも経営や運営に関する知識や実践が求められています。

参考

2021年からの障害福祉計画の基本指針~A型B型からの一般就労移行、就労定着支援~

障害者採用に活用できる就労移行支援事業所とは?

【障害者総合支援法】就労継続支援事業と就労移行支援事業の概要と対象者

2018年からスタートした就労定着支援サービスとは?

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