【障害者総合支援法】就労継続支援事業と就労移行支援事業の概要と対象者

企業で障害者を雇用するときの就労支援機関の1つとして活用されるのが就労移行支援事業所です。障害者総合支援法のサービスの1つとなっている就労継続支援事業と就労移行支援事業はどのようなものなのでしょうか。

ちなみに、障害者総合支援法は、誰もが住み慣れた地域での生活を実現するために、障害者に対して総合的な支援を行う法律です。障害者自立支援法を改正・改称し、基本理念やサービス対象者の拡大などを盛り込んだ法律です。

ここでは障害者総合支援法の概要と、就労継続支援事業と就労移行支援事業を説明していきます。

障害者総合支援法とは

障害者総合支援法とは、障害のある人もない人も住み慣れた地域で生活するために、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした法律です。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」ですが、略して「障害者総合支援法」と呼ばれています。

この法律に基づき、障害のある子どもから大人を対象に、必要と認められた福祉サービスや福祉用具の給付や支援を受けることができます。実施主体は、主に市区町村、都道府県などの地方公共団体です。

障害者総合支援法が施行されるまでには、障害のある人が利用する福祉サービスの利用方法や負担額の決定方法を改正・改善してきた歴史があります。

2003年3月まで、障害のある人が利用する福祉サービスの利用内容や利用できる量はすべて行政(都道府県や市区町村)が決定していました。これを措置制度といいます。しかし障害のある人の暮らしぶりを何から何まで行政が決定する仕組みには批判も多くありました。

2000年には、高齢者が利用する福祉サービスについては原則として措置制度をやめて「介護保険制度」へ移行したことも受けて、支援費制度が導入されました。これは市区町村から福祉サービスの支給決定を受けた障害のある人が、サービスを提供する事業所を選択し、事業所との契約によって福祉サービスを利用する仕組み(利用契約制度)を取り入れるもので、画期的な制度となりました。

しかし、支援費制度の導入によりサービスの利用者が増加したこともあり、財源の確保が困難になったほか、地域ごとのサービス提供格差や障害種別(身体障害、知的障害、精神障害)間の格差が生じる問題が発生しました(支援費制度は精神障害が対象外)。

そのため、これらの問題を解決するために、2005年11月に「障害者自立支援法」が公布されました。しかし法律の理念がないことや、サービスの必要性を図る基準(障害程度区分)が障害特性を十分に反映していないなど、施行当初から問題が指摘されていました。

それまでは障害年金が収入の中心であれば、自己負担がなくてもサービスを受けられていましたが、自立支援法では、サービス利用者に原則として1割の自己負担が設定されました。そのため、収入よりも自己負担額の方が多くなる人も出てしまい、サービスの利用を減らしたり控えたりするケースも発生しました。

そこで2010年には自立支援法を改正し、1割の自己負担額を改め、以前のように利用者の収入に見合った自己負担(障害年金が収入の中心であれば自己負担なし)としました。

さらに、その後2013年には、「共生社会の実現」や「可能な限り身近な地域で必要な支援を受けられる」といった法の基本理念を定め、福祉サービスを利用できる障害者の範囲を見直して、難病がある方も対象にするなどの改正が行われ、現在の「障害者総合支援法」が成立しました。

障害者総合支援法については、こちらをご覧ください。
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障害者総合支援法の概要(厚生労働省)

障害者総合支援法のサービス

障害者総合支援法のサービスは、大きく自立支援給付と地域生活支援事業2種類があります。どちらも市区町村または都道府県が実施主体となっていますが、位置づけには違いがあります。

自立支援給付は、国がサービスの類型や運用ルールを定めるもので、障害のある人が福祉サービスを利用した際に、行政が費用の一部を負担するものです。法律上は全体費用の「9割」を給付しますが(本人は1割負担)、住民税が非課税の世帯であれば全額(10割)を給付します(本人の負担はなし)。

一方、地域生活支援事業は、都道府県、市区町村が主体となって実施するもので、大まかな枠組みは国から示されていますが、サービスの類型や運用ルールは都道府県、市町村が定めています。障害のある方がお住まいの地域で自立した生活を送るために必要な支援のうち、地域の特性に応じて実施するサービスが位置付けられています。

就労継続支援事業と就労移行支援事業は、障害者総合支援法の障害福祉サービスとして位置づけられています。

出所:障害福祉サービスの利用について(全国社会福祉協議会)

就労継続支援事業とは

一般の企業に雇用されることが困難な障害のある人に、就労の機会を提供すると共に、生産活動 及びその他の活動の機会を提供し、その知識や能力の向上のために必要な訓練を行うサービスを就労継続支援事業といいます。これには、雇用契約を結び利用する「A型事業所」と、雇用契約を結ばないで利用する「B型事業所」の2種類 があります。

就労継続支援A型事業(雇用型)

一般企業での就労が困難な人であって、雇用契約に基づく就労が可能な障害のある人に対し、就労の機会を提供するとともに、生産活動の機会の提供、一般就労に必要な知識や能力の向上のために 必要な訓練などのサービスを提供します。一般就労に必要な知識・能力がある人に対しては、一般就労への移行に向けた支援を行います。

A型事業所はサービス利用者(障害のある人) の定員が10人以上である必要があります。。また、雇用契約により障害のある人は労働基準法上の労働者、つまり社員となり、各都道府県ごとに決められている最低賃金以上の給与の支払いが必要となります。利用期間についての制限はありません。

就労継続支援A型事業所の対象者

・利用開始時に満65歳未満の障害のある者
・就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
・特別支援学校等を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
・企業等を離職した者等、就労経験はあるが現在は雇用関係がない者

就労継続支援B型事業(非雇用型)

どちらかといえば訓練やリハビリが主な目的とされるのがB型事業です。年齢や体力面で雇用契約に基づく就労が難しい障害のある人に対し、生産活動の機会やその他就労を提供するとともに知識や能力向上のために必要な支援を行います。就労に必要な知識や能力を身につければ、就労継続A型事業所や一般就労への移行を目指します。利用期間についての制限はありません。

就労継続支援B型事業所の対象者

・就労経験がある者で、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
・就労移行支援事業を利用した結果、B型の利用が適当と判断された者
・上記に該当しない者であって、50歳に達している者または障害基礎年金1級受給者

就労移行支援事業とは

就労を希望する65歳未満の障害のある人が対象となります。一般就労等に向けて、事業所内や企業における作業や実習等を通し、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援を行います。2年間の利用が可能となります。

就労移行支援事業所の対象者

・企業等への就労を希望する者
・利用開始時に満65歳未満の障害のある者

出所:特例子会社をつくる(静岡県経済産業部雇用推進課)

まとめ

障害者総合支援法のサービスの1つとなっている就労継続支援事業と就労移行支援事業について見てきました。

障害者総合支援法とは、障害のある人もない人も住み慣れた地域で生活するために、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした法律です。この法律に基いて、障害者総合支援法のサービスは、大きく自立支援給付と地域生活支援事業の2種類があります。どちらも市区町村または都道府県が実施主体となっています。

就労継続支援事業は、一般の企業に雇用されることが困難な障害のある人に、就労の機会を提供すると共に、生産活動 及びその他の活動の機会を提供し、その知識や能力の向上のために必要な訓練を行うサービスです。雇用型のA型と非雇用型のB型があります。

就労移行支援事業は、就労を希望する65歳未満の障害のある人が対象となります。一般就労等に向けて、事業所内や企業における作業や実習等を通し、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援を行います。2年間の利用が可能となります。

企業の障害者雇用担当の方は、就労移行支援事業所との関わることが多いかもしれません。就職を希望する障害者が訓練している機関となりますので、採用候補の1つとして検討されるとよいかもしれません。

就労移行支援事業所については、こちらをご覧ください。
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障害者採用に活用できる就労移行支援事業所とは?
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