企業の担当者が知っておきたい障害者差別解消法と障害者虐待防止法

企業の担当者が知っておきたい障害者差別解消法と障害者虐待防止法

2017年12月29日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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障害者の差別や虐待に関する法律の中には、民間事業主が法的義務を負うものもあります。「障害者に関係する障害を理由とする差別解消の促進に関する法律」(以下、障害者差別解消法)と「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下、障害者虐待の防止)についての理解を深めておくことは大切です。

ここでは、障害者差別解消法と障害者虐待防止法の概要について説明していきます。

障害を理由とする差別解消の促進に関する法律(障害者差別解消法)

障害者差別解消法の概要

施行日

平成28年4月1日(平成25年6月制定)

目的

国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法整備の一環として制定された、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的とした法律。

障害者差別解消法の主な内容

・不当な差別的取り扱いの禁止
・合理的配慮の不提供の禁止
・国及び地方公共団体による啓発や知識の普及

「差別的取扱い」とは、どのようなこと?

障害があるというだけで、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件をつけたりすることを指します。

障害者から何らかの配慮を求める意思表示があった場合、負担になり過ぎない範囲で、社 会的障壁を取り除くための合理的な配慮を行なうことが求められます。行わないことで障害者が不利益を被った場合は「不当な差別的取扱い」に該当します。

「合理的配慮」とは、どのようなこと?

社会的障壁を取り除くために、障害者に対し、個別の状況に応じて行われる配慮のことです。 具体的には、車椅子の人が乗り物に乗る際には職員等が手伝いをしたり、窓口等で障害者に応じたコミュニケーション手段(筆談、読み上 げ等)で対応することなどが挙げられます。

「社会的障壁」とは、どのようなこと?

障害者にとって、日常・社会生活を送る うえで障壁となるような社会における事物(通行、 利用しにくい設備等)、制度、慣行(慣習、文化等)、 観念(偏見等)その他一切のものを指します。

法律を守らないとどうなる?

「差別的取扱いの禁止」については、国・地方公共 団体、民間事業主にかかわらず、法的義務を負います。一方、「合理的配慮の不提供の禁止」については、 国・地方公共団体は法的義務を負いますが、民間 事業者は努力義務となります。

民間事業者がこの法律を守らなかった場合には、事業を担当する大臣は、報告徴収、助言・指導、勧告を行うことができます。

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)

障害者虐待防止法の概要

施行日

平成24年10月1日

目的

虐待は障害者の自立や社会参加にとって大きな妨げとなります。障害者への虐待の防止、早期発見、養護者に対する支援等を行うことで障害者の尊厳を守ります。

障害者虐待防止法の対象

身体・知的・精神障害(発達障害を含む)、その他心身の機能に障害者で、障害および社会 的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当 な制限を受ける状態にある人が対象となります。

虐待の種類

養護者による虐待

障害者の身の周りの世話や金銭管理などを行っている家族親族、同居人等による虐待を指します。

虐待を受けている人が18歳未満の場合は、児童虐待防止法の対象となります。市町が通報を受け、相談援助、避難・居住の場 所確保、関係者との連携等の責務を負います。

障害者福祉施設従事者による虐待

障害者福祉施設で働く職員による虐待を指します。

虐待を受けている人が、高齢者施設等に入所している場合は高齢者虐待防止法、障害児入所施設等に入所している場合は児童福祉法の対象となります。事業者が当該施設における虐待防止の策を講じる責務を負います。

使用者による虐待

障害者を雇用している事業主、またはその事業の労働者による虐待を指します。事業主が当該事業所における虐待防止の策を講じる責務を負います。

虐待とみなされる行為

身体的虐待

・障害者の身体に外傷を負わせる暴行を加えること。
・正当な理由なく身体を拘束すること。

【身体的虐待の事例や気がつくためのサイン】
事例:たたく、つねる、なぐる、熱湯を飲ませる、異物を食べさせる、監禁するなど
被害者のサイン:身体にやけどや小さな傷がみられる、急におびえたり、怖がったりするなど

性的虐待

・障害者にわいせつな行為をすること。
・わいせつな行為をさせること。

【性的虐待の事例や気がつくためのサイン】
事例:裸にする、理由もなく身体に触る、性的暴力をふるう、性行為を強要するなど
被害者のサイン:人目を避ける、部屋に一人でいたがる、陰部に出血や傷がみられるなど

心理的虐待

・障害者に著しい暴言、著しく拒絶的な対応、不当な差別的言動その他、著しい心理  的外傷を与えること

【心理的虐待の事例や気がつくためのサイン】
事例:脅迫する、怒鳴る、悪口を言う、拒絶的な反応を示す、意図的に恥をかかせるなど。 被害者のサイン:おびえる、泣く、叫ぶなどパニックを起こす、攻撃的な態度がみられるなど

放棄・放任

・障害者を衰弱させるような著しい減食または長時間の放置のほか、第三者による上記の虐待行為の放置などを行うこと

【放棄・放任の事例や気がつくためのサイン】
事例:食事を与えない、意図的に無視する、放置することで健康・安全への配慮を怠るなど被害者のサイン:身体から異臭がするなど衛生状態が悪い、空腹を訴え栄養失調がみられるなど

経済的虐待

・障害者の財産を不当に処分すること、障害者から不当に財産上の利益を得ることなど
事例:本人の了解を得ずに現金を引き出す、収入を没収する、賃金等を支払わないなど
被害者のサイン:お金を使っている様子がみられない、日常生活に必要な金銭が渡されていないなど

虐待を発見したときの義務

虐待を発見したら通報の義務があります。また、虐待を受けた障害者は届出することができます。

養護者による虐待の場合は、最寄りの市町に通報届出をします。
障害者福祉施設従事者等による虐待の場合は、最寄りの市町に通報届出をします。
使用者による虐待の場合は、最寄りの市町または地域にある障害者虐待防止支援センターに通報届出をします。

まとめ

障害者差別解消法と障害者虐待防止法の概要について説明してきました。障害者の差別や虐待に関する法律の中には、民間事業主が法的義務を負うものもあります。企業の中で障害者雇用を進めるときには、雇用する障害者の生活に関わることも少なくありません。

雇用した障害者が落ち着いて、安心して仕事できるようにするためにも、障害者差別解消法と障害者虐待の防止の基本的な理解を深めておくことは大切です。また、気になる点があれば、就労支援機関や生活支援機関と連携を取り、早めに対処していきましょう。

参考

企業における障害者差別の禁止と合理的配慮の対応方法

障害者雇用で一般社員や他の部署との関わり方をどうしたらよいか

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