障害者雇用で優良な中小事業主を認定するもにす制度を解説

障害者雇用で優良な中小事業主を認定するもにす制度を解説

2020年01月28日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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中小企業の障害者雇用はなかなか進んでおらず、障害者が0人と全く雇用していない企業も多く、障害者雇用が停滞している状況が見られます。このような現状を打破しようと、2020年4月施行の障害者雇用促進法改正の内容には、障害者雇用に関する優良な中小事業主認定制度の創設が盛り込まれました。

労働政策審議会で議論されてきた障害者雇用の取組が優良な中小事業主を認定する制度とはどのようなものなのか、その背景や認定基準について見ていきたいと思います。

障害者雇用の優良な中小事業主の認定制度の背景

障害者雇用の優良な中小事業主の認定制度の背景には、中小企業の障害者雇用の取組が大企業に比べて停滞しているという現状があります。実際に「平成30年障害者雇用状況の集計結果」から見ていきましょう。

まず、実雇用率を見てみると、従業員が300人以上の企業における障害者雇用率は2.16%であるのに、従業員が300人未満の企業においては1.82%となっています。

また、雇用率未達成企業に占める障害者の雇用がゼロとなっている企業割合は、45.5人以上100人未満の企業が93.7%、100人以上300人未満30.8%となっています。

業種別の実雇用率のばらつきを比較すると、従業員が300人以上の企業は1.8%~2.4%であるのに対して、従業員が300人未満の企業では0.9%~3.1%となっており、障害者雇用に取り組んでいる企業とそうでない企業に大きな差が見られています。

出所:中小事業主の認定基準について(厚生労働省)

なお、これらの資料は、労働政策審議会障害者雇用分科会で討議されたときの資料で「平成30年障害者雇用状況の集計結果」を基準に出されているものです。

事業主側の課題としては、資本力や人的体制などのリソース不足やノウハウの不足、また、100人以下の企業では納付金・調整金が対象外となっているこよのインセンティブ不足、法令遵守、CSRの意識のばらつきなどがあげられています。

現状では、ハローワーク支援やジョブコーチ支援、独立行政法人高齢・障害者・求職者支援機構の実施する職場好事例集などの表彰や助成金などがありますが、これらに加えて、認定制度をつくることによって、身近なロールモデルが業種別にわかるようにすることや、自社の商品、広告などに認定マークの使用することによって、ダイバーシティ・働き方改革等の広報効果につなげたり、地方公共団体の公共調達等における加点の評価を進めるなどに役立てていきたいというねらいがあります。

認定制度のグランドデザインとしては、次のようなイメージがあるようです。

出所:中小事業主の認定基準について(厚生労働省)

具体的な中小事業主の認定基準とは

評価項目は、大きく次の3つの点にわけられています。
・取組(アウトプット)
・成果 (アウトカム)
・情報開示(ディスクロージャー)

それぞれの点数は、取組(アウトプット)が満点だと20点、成果 (アウトカム)は満点で24点、情報開示(ディスクロージャー)は満点で6点となっており、合計で50満点となっています。比重的にみると、成果(アウトカム)に大きな配点があり、情報開示は(ディスクロージャー)少なめになっています。

そして、以下の要件を満たす必要があります。
①以下の評価基準に基づき、20点(特例子会社は35点)以上を得ること。(取組関係で5点以上、成果関係で6点以上、情報開示関係で2点以上を得ること。)
②実雇用率が法定雇用率を下回るものでないこと。(雇用不足数が0であること)
※雇用率カウント後に45.5人未満となる事業主は要件を満たす。
※特例子会社が申請する場合にあっては、グループ全体で法定雇用率を満たした(雇用不足数が0)事業主を対象とする。
③障害者(A型事業所の利用者は含まない。)を雇用していること。
※A型事業所の利用者以外の障害者に関する取組状況を評価。
④障害者雇用促進法及び同法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。

評価項目:取組(アウトプット)

この項目では、障害者雇用を行なうにあたって企業が取り組むべき枠組みの中項目として体制づくり、仕事づくり、環境づくりがあげられています。体制づくりとしては、組織面 、人材面の小項目があり、仕事づくりとしては、事業創出、職務選定・創出、障害者就労 施設等への発注の小項目、環境づくりとしては、職務環境、募集・採用、働き方、キャリア形成、その他の雇用管理の小項目から構成されています。

今までの障害者雇用の取り組みとしては、障害への配慮や人材面の育成などの環境づくりに注目されていた感じが強かったように思いますが、今回は、組織づくりや事業創出など企業としての立ち位置をかなり意識したものとなっていることがわかります。

事業創出の評価項目としては、経常利益や売上高対経常利益、障害者雇用による新事業の創出などを評価要素として入れています。また、組織面では、 社長自ら、障害者雇用の方針や理解促進のメッセージを職員に発信しているか、部署を横断し、障害者雇用を推進するチーム・会議体等を設置しているか、当事者参画の組織がつくられているかなどの点が含まれています。

評価項目:成果 (アウトカム)

この項目では、中項目として数的側面、質的側面があげられています。数的側面としては、雇用状況、定着状況の小項目があり、質的側面としては、満足度、ワーク・エンゲージメント、キャリア形成の小項目があります。

障害者雇用の状況については、企業の中では雇用率の達成に重きがおかれてきましたが、この評価では定着状況も評価の対象となります。また、仕事に対する満足度やキャリア形成についての項目が含まれています。

評価項目:情報開示(ディスクロージャー)

この項目では、中項目として取組(アウトプット)と成果(アウトカム)があげられています。取組(アウトプット)としては、体制・仕事・環境づくりの小項目があり、成果(アウトカム)としては、数的側面、質的側面の小項目があります。

評価要素として、厚生労働省・労働局HPや自社HPにおいて加点要素(認定申請内容)に関する情報が記載されたページのリンクの掲載を許可することが含まれ、情報を公にすることに重きがおかれていることがわかります。

それぞれの細かな評価基準については、中小事業主の認定基準について(厚生労働省)を参照ください。

まとめ

2020年4月施行の障害者雇用促進法改正の内容には、障害者雇用に関する優良な中小事業主認定制度の創設が盛り込まれています。この背景には、中小企業の障害者雇用はなかなか進んでおらず、障害者雇用している企業とそうでない企業に大きな差が見られることがあげられます。

では、具体的に障害者雇用の取組が優良な中小事業主をどのように認定するか、ここでは制度の内容について見てきました。従来の障害者雇用についての評価は、障害への配慮や人材面の育成などの環境づくりに注目されていた感じが強かったように思います。しかし、今回新たに創設された評価項目には、組織づくりや事業創出など企業としての立ち位置を意識しており、企業を経営、運営していくことに注目していることがわかります。障害者を雇用率の面だけ達成すればいいという時代から、障害者を一人の人材として活躍することを本当に考える企業の取り組みが必要となってきていることがわかります。

しかし、このような厳しい評価項目を中小企業がクリアしていくのは、ハードルも高いことでしょう。障害の有無に関わらず、会社の経営や運営について社員がどのようにコミットできるような組織づくりをしていくのか、そして体制をつくるのかなど、事業運営を考えられる人材を育成していくことが求められているように感じます。

参考

週20時間以下の障害者雇用のための助成金 特例給付金制度とは

令和元年障害者雇用状況の集計結果からみた今後の障害者雇用とは

改正障害者雇用促進法(2020年4月)の新制度とは?

もにす認定制度のメリットと中小企業の障害者雇用の関係

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