2020年4月施行の障害者雇用促進法改正の内容とは

2019年6 月7 日、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」(障害者雇用促進法)が、参院本会議において全会一致で可決・成立し、同年6 月14 日に公布されました。

今回の改正では、中央省庁などで、雇用する障害者数が正確に計上されていなかった障害者水増し問題を受けて、行政機関に対して再発防止策を盛り込まれています。また、短時間労働の雇用支援や障害者雇用に関する優良な中小事業主の認定制度の創設なども含まれる事になっています。

ここでは、2020年4月に改正される障害者雇用促進法について見ていきます。

改正の概要

今回の改正では、障害者の活躍の場の拡大に関する措置として、短時間労働の障害者の雇入れ継続雇用の支援や害者雇用に関する優良な中小事業主の認定制度の創設、国及び地方公共団体の障害者雇用が適切に行われるための措置について定められています。2020(令和2)年4 月公布日から段階的に施行されます。

障害者の活躍の場の拡大に関する措置

国及び地方公共団体

①国及び地方公共団体の 責務 と して 、自ら率先 して障害者を雇用するように努めなければならないこととする。
②厚生労働大臣は、障害者雇用対策基本方針に基づき、 障害者活躍推進計画作成指針 を定めるものとし、国及び地方公共団体は 、同指針 に即し
て、 障害者活躍推進計画 を作成し、公表しなければならないこととする。
③国及び地方公共団体は、 障害者雇用推進者 (障害者雇用の促進等の業務を担当する者 )及び 障害者職業生活相談員 各障害者の職業 生活に
関する相談及び指導を行う者)を選任しなければならないこととする。
④国及び地方公共団体は、厚生労働大臣に通報した 障害者の任免状況を公表 しなければならないこととする。
⑤国及び地方公共団体 は、 障害者である職員を免職する 場合には、 公共職業安定所長に届け出 なければ ならないこととする。

民間の事業主

①短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機会を確保するため、短時間労働者のうち週所定労働時間が一定の範囲内にある者(特定短時間労働者)を雇用する事業主に対して、障害者雇用納付金制度に基づく特例給付金を支給する仕組みを創設する。
②障害者の雇用の促進等に関する取組に関し、その実施状況が優良なものであること等の基準に適合する中小事業主(常用労働者300人以下)を認定することとする。

国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての把握等に関する措置

⑴厚生労働大臣又は公共職業安定所長による国及び地方公共団体に対する報告徴収の規定を設ける。
⑵国及び地方公共 団体並びに民間の事業主は、障害者雇用率の算定対象となる障害者の確認に関する書類を保存しなければならないこととする 。
⑶障害者雇用率の算定対象となる障害者であるかどうかの確認方法を明確化するとともに、厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、国及び地方公共団体に対して、確認の適正な実施に関し、勧告をすることができることとする。

国及び地方公共団体の機関における障害者活躍推進計画の作成・公表

法定雇用率を達成していない国及び地方公共団体の機関は、法定雇用率の達成に向けた取組を進めることとともに、障害者が活躍しやすい職場づくりや人事管理を進める等、雇用の質を確保するための取組を確実に推進することが求められます。

そのため、法定雇用率未達成の国及び地方公共団体の機関では、障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画(障害者活躍推進計画)を作成・公表することが求められることになります。

この障害者活躍推進計画は、障害者活躍推進計画指針に基づいたもので2~5年間で、次のような内容をイメージしているようです。

(1)障害者の活躍推進に関する基礎的事項
①組織内の体制整備のための取組
②障害者雇用に関する理解促進のための取組
③職務の選定・創出のための取組
(2)障害者の採用に関する事項
①募集・採用に関する取組
②職員の任用上の 措置
(3)障害者が職場定着し活躍できる職場づくりに関する事項
①職場環境整備のための取組
②人事労務管理に関する取組

短時間労働者の雇用支援

現行の障害者雇用率制度では、職業的自立を促す観点から、週所定労働時間 20 時間未満での働き方は支援の枠組みの対象となっていません。しかし、就労希望を有する精神障害者等の中には、障害の特性から週所定労働時間 20 時間未満を希望する人も少なくありません。

そこで、短時間就労を希望する障害者の雇用機会の確保を支援するために、短時間労働者のうち週所定労働時間が一定の範囲内にある特定短時間労働者を雇用する事業主に対して、特例的な給付金を支給する仕組みを創設することになりました。この内容については、労働政策審議会障害者雇用分科会意見書においてさまざまな提言が行われましたが、具体的な要件や単価については、今後省令で規定される予定となっています。

現時点での各制度の対象者のイメージは、次のように示されています。

出所:障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(厚生労働省)

障害者雇用に関する優良な中小事業主認定制度の創設

中小企業の障害者雇用はなかなか進んでおらず、障害者が0人とを全く雇用していない企業も多く、障害者雇用が停滞している状況が見られます。

企業規模別の障害者雇用状況は、次のような状況です。

出所:障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(厚生労働省)

このような状況から、中小企業の障害者雇用の進展に対する社会的な関心を喚起し、障害者雇用に対する経営者の理解を促進するとともに、先進的な取組を進めている事業主が社会的なメリットを受けることができるよう、障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度を創設することになりました。

具体的な評価項目については、今後検討されることになりますが、検討項目としては、次のような点があげられていました。

・障害者雇用の推進体制の整備
・障害者雇用に関する理解浸透
・職務の選定・創出
・職場環境の整備
・雇用管理の充実
・障害者を採用し、活躍を推進するための計画立案
・募集、採用の取組
・職場定着の取組
・関係機関との連携

まとめ

「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」(障害者雇用促進法)が、可決・成立し、6 月14 日に公布されました。そして、2020年4月に施行させることになっています。

今回の改正では、中央省庁の障害者水増し問題を受けて、行政機関に対して再発防止策を盛り込まれた部分が大きく取り上げられました。そして、企業に対しては、短時間労働の雇用支援や障害者雇用に関する優良な中小事業主の認定制度の創設などが含まれることになりました。

企業の障害者雇用の状況における課題は審議会で検討された通りだと思いますが、一方で今回の改正案で出されたもので、本当に短時間労働者の増加や、中小企業の障害者雇用促進につながるのかは疑問が残ります。

5年ほど前にある自治体での未達成の中小企業のヒアリングを行いましたが、大企業での障害者雇用の業務切り出しとは違ったアプローチが必要だと感じました。認定制度もいいですが、もっと実情にそくしたサポートが求められているように感じます。

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