障害者を雇用をするとき、多くの企業が悩むことの一つに、どのような仕事を障害者に担当してもらうのかという点があります。
障害者雇用するときにどのような業務を担当してもらうことが多いのか、「平成30年度障害者雇用実態調査」(厚生労働省)から解説していきます。
雇用するに当たっての課題
障害者雇用に取り組む企業が障害者を雇用するときに、課題に感じている点はどのようなことがあるのでしょうか。
「平成30年度障害者雇用実態調査」(厚生労働省)を見ると、雇用するに当たっての課題としてあげられた中には、「会社内に適当な仕事があるか」「障害者を雇用するイメージやノウハウがない」という課題が高くなっています。
この他にも上位にあげられている点は、次の点です。
・職場の安全面の配慮が適切にできるか
・採用時に適性、能力を十分把握できるか
・従業員が障害特性について理解することができるか
これらの項目を見ても、どのような業務を担当してもらうのかが、一番懸念点となっていることがわかります。
【障害者雇用に取り組む企業が課題に感じる点】
出典:平成30年度障害者雇用実態調査(厚生労働省)
障害者の業務、どんなものが多い?
それでは実際に雇用している企業では、どのような業務をしていることが多いのでしょうか。障害別に業務内容を見ていきましょう。
身体障害者の職業
身体障害者の職業として多いものは、次のとおりです。
・事務的職業(32.7%)
・生産工程の職業(20.4%)
・専門的 、技術的職業(13.4%)
・サービスの職業(10.3%)
・販売の職業(9.6%)
出典:平成30年度障害者雇用実態調査(厚生労働省)
知的障害者の職業
知的障害者の職業として多いものは、次のとおりです。
・生産工程の職業(37.8%)
・サービスの職業(22.4%)
・運搬・清掃・包装等の職業(16.3%)
・販売の職業(12.2%)
・事務的職業(7.5%)
出典:平成30年度障害者雇用実態調査(厚生労働省)
精神障害者の職業
精神障害者の職業として多いものは、次のとおりです。
・サービスの職業(30.6%)
・事務的職業(25.0%)
・販売の職業(19.2%)
・生産工程の職業(12.0%)
・運搬・清掃・包装等の職業(7.6%)
出典:平成30年度障害者雇用実態調査(厚生労働省)
発達障害者の職業
発達障害者の職業として多いものは、次のとおりです。
・販売の職業(39.1%)
・事務的職業(29.2%)
・専門的 、技術的職業(12.0%)
・サービスの職業(10.5%)
・運搬・清掃・包装等の職業(5.5%)
出典:平成30年度障害者雇用実態調査(厚生労働省)
仕事内容を具体的に見ると・・・
実際の障害者雇用の働いている職場では、障害者雇用として業務を切り分けて作られているケースが多く、定型的な業務が多くなっています。
一番多く見られるのが、事務や事務補助の業務です。パソコンを使ったデータ入力や、書類の管理、PDF化、メール等の仕分けや配達などを担当することが多いです。
職場によって仕事内容は異なりますが、次のような業務を組み合わせて事務や軽作業的なものも含めて担当することが多くなっています。
・荷物や郵便物の仕分け、配達
・書類のスキャン、PDF化
・書類ファイルの整理、管理
・資料の発送
・書類やデータの正誤チェック
・Excelや社内システムへのデータ入力
・資料作成
・会議で使用する資料の作成、印刷
・業務に関する分析データ等の情報収集や資料作成
・各種データの集計や統計
・電話応対
・物品確認や倉庫内の整理
・社内清掃
・WEBサイト、SNS等の更新、管理
清掃の業務も多く、社内のオフィスや工場内、福利厚生の施設等の清掃を手掛けるところもあります。本格的な清掃機器を使って清掃するところから、掃除機や床のモップ掛け、ほうきで掃くなどの身近な清掃、窓ふき、ごみの収集なども含めて、職場に合わせて行われています。
作業がマニュアル化されていて手順がわかりやすくなっていたり、対人関係をあまり求められない環境で働くことができるのも特徴となっています。
運搬、包装等の仕事では、簡単な箱詰め作業や製品の組み立て、仕分けなどの軽作業があります。毎日定型的な業務をおこなうので、変化に対応しづらい人に向いています。
また、最近では、発達障害や精神障害の雇用では、IT適性やスキルを持つ人を対象にIT関連の業務、WEBやセキュリティ関係の仕事も多くなっています。
社内の中で必要とされる業務にはどのようなものがあるのかを検討し、それに合わせた仕事を切り出していくことができます。
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