障害者採用で配慮が後づけになる理由|採用前に見直すこと

障害者採用で配慮が後づけになる理由|採用前に見直すこと

2025年11月9日 | 採用活動

担当者が頑張るほど、 組織が止まる

 

障害者雇用を組織の力に変える5日間

登録者限定レポート
「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2026年7月14日更新
ある企業から、「現場での合理的配慮の対応」をテーマに研修をしてほしいと相談を受けたことがあります。ところが、詳しく状況を伺っていくと、問題の中心は現場での配慮ではありませんでした。

「採用したが、任せられる仕事が見つからない」「本人から希望された配慮を、現場では実施できない」「面接では問題ないと思ったのに、配属後に現場から困っていると言われた」一見すると、現場の理解不足や配慮スキルの問題に見えます。

しかし、原因をたどっていくと、採用を決める前に、任せる仕事や配慮の実施可能性が十分に確認されていませんでした。

採用後に起きる合理的配慮の問題は、入社後に突然生まれるとは限りません。採用前に仕事と配慮を結びつけて考えていないことが、入社後のすれ違いとして表面化している場合があります。

この記事でわかること
  • 現場の合理的配慮の問題が、採用前から始まっている理由
  • 配慮が後づけになる企業に共通する状態
  • 面接で配慮事項を聞くだけでは不十分な理由
  • 実習や職場体験をしてもミスマッチが起きる背景
  • 採用プロセスを見直すときの考え方

現場の合理的配慮の問題は、採用前から始まっている

障害者雇用では、先に採用する人を決め、その後で担当する仕事や配慮を考えることがあります。

採用担当者は、本人の経歴や人柄、働く意欲を確認し、「採用できそうだ」と判断します。採用が決まった後で配属先
を探し、現場に対して必要な配慮を伝えます。
この順番で進めると、現場には、「採用が決まったので、あとは受け入れてください」という状況になります。一方で現場から見ると、任せる仕事が決まっていない状態で、配慮事項だけが追加されることになります。

そのため、配慮そのものよりも、「何を任せればよいのかわからない」「この対応を誰が担うのかわからない」「通常業務と両立できるのかわからない」という戸惑いが生まれます。

現場の合理的配慮研修を増やしても、採用前の仕事設計が曖昧なままであれば、同じ問題が繰り返される可能性があります。

配慮が後づけになる企業に見られる3つの状態

配慮が後づけになりやすい企業には、いくつか共通する状態があります。

1.採用してから仕事を探している

「障害者を採用すること」が先に決まり、入社後にできそうな仕事を探す状態です。

本人の経験や強みを確認していても、それをどの仕事に活かすかが決まっていなければ、現場は役割を設定できません。その結果、補助的な仕事だけを任せる、業務量を増やせない、評価の基準がつくれないといった問題につながります。

これは、本人の能力不足というより、採用前に仕事が定義されていなかったことから起きています。

2.配慮事項を聞いているが、業務と結びついていない

面接で、「必要な配慮はありますか」「通院への対応は必要ですか」「体調面で注意することはありますか」と確認している企業は多くあります。しかし、配慮事項を聞いただけでは、実際の仕事でどのような対応が必要になるかまでは判断できません。

同じ「複数の指示が苦手」という話でも、担当する仕事や指示の出し方によって、必要な対応は変わります。

予定している仕事が明確でなければ、本人の希望する配慮が必要なのか、別の方法があるのか、現場で実施可能なのかを検討できません。

3.現場で実施できるかを確認していない

採用担当者が本人から配慮事項を聞き、「対応可能」と考えていても、実際に対応するのは配属先の管理職や現場社員です。

現場が採用判断に関わっていない場合、入社後になってから、「その対応は継続できない」「その仕事では難しい」「誰が担当するのか決まっていない」という話が出てくることがあります。反対に、現場が漠然と負担を心配し、実施可能な配慮まで難しいと判断している場合もあります。

重要なのは、採用担当か現場のどちらか一方に任せることではありません。採用を決める前に、仕事、配慮、現場での実施可能性を同じ流れの中で確認できているかということです。

面接で「必要な配慮」を聞くだけでは足りない

障害者採用の面接では、配慮事項を確認することが重視されます。もちろん、本人の希望を確認することは必要です。

しかし、「どのような配慮が必要ですか」と聞くだけでは、採用後のミスマッチを十分に防ぐことはできません。本人が伝える配慮は、これまでの経験をもとにしたものです。

一方、企業側が予定している仕事や職場環境が具体的に示されていなければ、本人も何を伝えるべきか判断できません。

たとえば、同じ事務職でも、
– 一人で進める仕事が多いのか
– 頻繁に優先順位が変わるのか
– 電話や来客対応があるのか
– 複数の担当者から指示を受けるのか
によって、困る場面は変わります。

配慮を確認する前に、企業側が「どのような仕事を任せる予定なのか」を説明できる状態にしておく必要があります。

面接で確認すべきことは、障害特性そのものではありません。予定している仕事と、本人が力を発揮できる条件が合っているかです。

実習や職場体験をしても、ミスマッチが起きることがある

面接だけでは判断しにくい場合、職場実習や職場体験、トライアル雇用などを活用する企業もあります。

実際の職場で仕事をしてもらうことで、本人と仕事、職場環境との相性を確認しやすくなります。ただし、実習を行えば自動的にミスマッチを防げるわけではありません。

実習の目的が曖昧なままだと、「真面目に取り組んでいた」「人柄に問題はなかった」「大きなトラブルは起きなかった」という印象だけで採用判断が行われます。

そして入社後に、業務量を増やしたとき、担当者が変わったとき、予定変更が重なったときに問題が表面化します。

実習をしているのに採用後のミスマッチが続く場合、実習制度がないことではなく、実習で何を確認するのかが設計されていない可能性があります。

どの仕事を試すのか、何を見て採用判断につなげるのかは、企業の業務や受け入れ体制によって異なります。一般的なチェックリストを追加するだけでは、自社に必要な確認が抜けることもあります。

採用担当と現場の認識差は、採用後に表面化する

採用担当者は、本人との面接を通して、経歴や希望、必要な配慮を理解しています。しかし、配属先の管理職や現場社員は、採用決定後に初めて本人について知ることがあります。

採用担当は、「この配慮があれば働ける」と考えている。一方で現場は、「どの仕事を任せるのか決まっていない」「その対応を続けられるかわからない」と感じている。

この認識差を採用前に調整する場がないまま採用が進むと、入社後に本人と現場の双方が困ることになります。

また、採用面接で確認した内容が配属先へ十分に伝わっていない場合には、さらにすれ違いが大きくなります。

現場の配慮研修を行う前に確認したいこと

現場から、「どこまで配慮すればよいかわからない」「本人への対応が難しい」「周囲の負担が大きくなっている」という声が出ると、障害理解や合理的配慮の研修を検討する企業があります。

研修が必要な場合もあります。ただし、問題の原因が採用前の設計にある場合、現場の知識を増やすだけでは解決しません。

次のような状態がある場合は、現場対応だけでなく、採用プロセスから見直す必要があります。

  • 採用後に担当業務を探している
  • 配慮事項と予定業務が結びついていない
  • 現場が採用判断に関わっていない
  • 実習をしているが、確認する目的が曖昧
  • 入社後に「聞いていた話と違う」という声が出る
  • 同じようなミスマッチや離職が繰り返されている

複数当てはまる場合、問題は個人の対応力だけではない可能性があります。

採用、業務設計、配慮確認、現場判断のどこでつながりが切れているのかは、企業によって異なります。質問項目や制度を追加する前に、自社ではどこから見直す必要があるのかを整理することが重要です。

採用前の仕事・配慮・現場確認を整理しませんか

面接で必要な配慮を確認していても、採用後に「任せる仕事がない」「現場では対応できない」「聞いていた話と違う」という問題が起きることがあります。

その場合、質問の仕方だけではなく、任せる仕事、配慮の実施可能性、人事と配属先の役割分担を採用前から見直す必要があります。

30分相談では、現在の採用プロセスや受け入れ状況を伺い、仕事・配慮・現場確認のどこで認識が分かれている可能性があるのかを一緒に整理します。

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よくある質問

Q:採用面接で配慮事項を確認していれば十分ですか

配慮事項を確認するだけでは十分とは限りません。

任せる予定の仕事が明確でなければ、その配慮が必要になる場面や、現場で実施できるかどうかを判断できないためです。

配慮だけでなく、予定業務と働き方を結びつけて確認する必要があります。

Q:職場実習を行えば、採用後のミスマッチを防げますか

実習を行うこと自体が目的になると、必要な情報を得られないことがあります。

何を確認する実習なのか、採用判断へどのように反映するのかが決まっていることが重要です。

Q:現場から合理的配慮の研修を求められた場合、まず研修を行うべきですか

現場の知識不足が原因であれば、研修は有効です。

一方で、任せる仕事が曖昧、採用時の確認が不足している、現場が採用判断に関わっていない場合には、研修だけで同じ問題を防ぐことは難しくなります。

研修を行う前に、問題がどの段階から始まっているのかを確認することが必要です。

まとめ

障害者雇用で合理的配慮が後づけになる原因は、現場の理解不足だけではありません。

採用を決める前に、

  • 何を任せるのか
  • その仕事でどのような配慮が必要になるのか
  • 現場でその対応を実施できるのか

が十分に確認されていないことがあります。

この状態で採用が進むと、入社後に現場が仕事を探し、配慮の方法を考え、本人との認識差を調整することになります。

その結果、現場には「配慮が後から追加された」と映り、本人には「面接で伝えた話が反映されていない」と映ります。

現場で合理的配慮の問題が起きているときは、現場の対応だけを変える前に、採用前の流れを振り返ってみてください。問題がどこから始まっているのかによって、必要な対策は変わります。

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