特例子会社とは?設立することの企業のメリットをわかりやすく解説

特例子会社とは?設立することの企業のメリットをわかりやすく解説

2024年08月13日 | 障害者雇用に関する法律・制度

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特例子会社は、企業が障害者の雇用を促進するために設立する子会社で、障害者の雇用率を達成する一つの方法です。企業がこの義務を果たしながら、同時に障害者に適切な支援を提供し、企業全体の多様性と包摂性を向上させるために機能しています。

今回は特例子会社制度やその活用方法、全国でどれくらいの特例子会社があるのかを解説していきます。

令和5年度の特例子会社は全国で約600社

令和5年度の「障害者雇用状況の集計結果」を見ると、全国の特例子会社は598社あります。そして、特例子会社で雇用されている人数は46,848.0人です。

出典:令和5年度障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

障害種別ごとに見ると、身体障害 12,134.0人、知的障害24,062.0人、精神障害10,652.0人となっています。特例子会社では、障害種別で見ると知的障害の割合が最も高くなっています。また、精神障害の雇用が増えるに従い、特例子会社でも精神障害の割合が高くなっています。

出典:令和5年度障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

特例子会社制度とは?

障害者雇用率制度では、それぞれの企業に障害者法定雇用率が義務付けられています。そのためその雇用率に基づいて、障害者雇用を進めていく必要があります。令和6年度現在は、この法定雇用率は2.5%となっています。

しかし、企業が雇用するのが難しい場合に「特例子会社」をつくることができます。この「特例子会社」制度は、障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合に、その子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できるものです。

この制度は企業が障害者の雇用を促進するために設立する子会社で、障害者の雇用率を達成する一つの有効な手段として活用されています。一般の企業の中で障害者を受け入れるのが難しい場合でも、特例子会社をつくることにより、障害者にとって働きやすい環境を整えたり、サポートするスタッフを厚めにすることにより、能力を発揮しやすい職場をつくることができます。

日本において、企業は一定の障害者雇用率を達成する法的義務を負っていますが、その達成は必ずしも容易ではありません。特例子会社は、企業がこの義務を果たしながら、同時に障害者に適切な支援を提供し、企業全体の多様性と包摂性を向上させるための手段として機能します。

企業が特例子会社制度を理解し、適切に活用することは、法令遵守だけでなく、CSR(企業の社会的責任)活動の一環としても重要です。また、特例子会社を通じて障害者が活躍できる環境を整備することは、企業のブランディングや、社会全体への貢献にもつながります。

なお、特例子会社制度では一定の要件を満たす場合に、関係する他の子会社(関係会社)についても、この特例子会社と同様の実雇用率の算定が可能となっています。

また、2009年4月から、一定の要件を満たす企業グループとして厚生労働大臣の認定を受けたものについては、特例子会社がない場合であっても企業グループ全体で実雇用率を通算できる「企業グループ算定特例」ができました。

そして、「事業協同組合等算定特例」も2009年4月に適用となりました。これは、中小企業が事業協同組合等を活用して協同事業を行い、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の認定を受けたものについては、事業協同組合(特定組合)等とその組合員である中小企業(特定事業主)で実雇用率を通算できる制度となっています。

「事業協同組合等算定特例」は、有限責任事業組合(LLP)については、2023年以前は国家戦略特区内において対象とされていましたが、これ以降は全国で活用できるようになっています。

参考:事業協同組合等算定特例のご案内(厚生労働省)

特例子会社は何時からはじまった?

特例子会社制度は、1987年に障害者雇用促進法の改定により導入されました。制度の背景には、企業が障害者の雇用を促進する際に直面するさまざまな課題がありました。多くの企業が、障害者を一般の職場環境において適切にサポートするためのリソースやノウハウを持たず、結果的に障害者の雇用が進まない状況が続いていました。そこで、障害者専用の雇用環境を提供する特例子会社の制度が生まれました。
この1987年の改正時には大きな変化がありました。それは、これまで障害者雇用では「身体障害」が義務化されており、「身体障害者雇用促進法」という法律名でしたが、この対象に知的障害者(当時は精神薄弱者)が加わることになり、法律名が「障害者雇用促進法」へ変わりました。

特例子会社を設立することのメリットとは?

企業名公表の回避ができる

まず、大きなメリットとなるのは、特例子会社を設立することで「企業名公表」の猶予が得られるということです。障害者雇用では定められた法定雇用率を達成できないまま一定の基準を超えると、障害者を雇い入れるための「障害者雇入れ計画作成命令」が出され、障害者雇入れ計画書を提出する必要があります。これは、2年間のうちに雇用しなければならない障害者をどの時期に、何人雇用するかについての計画書を作成するものです。企業の事業担当者が事業計画をたてるように、障害者を雇用する計画を立てることになります。

しかし、予定通りに進んでいない場合には「雇入れ計画の適正実施勧告」や「特別指導」が行われ、それでも障害者雇用が進まない場合には、企業名が公表されることになります。

この企業名公表を回避する方法の一つが、特例子会社を設立することです。本来であれば企業名公表がされるべきところを1年以内に特例子会社を作る計画があれば、企業名公表は猶予されることになります。

業務やコストなどを集中化させ効率化できる

その他のメリットとしては、業務やコストなどを集中化させることにより効率化を図れるということです。一般企業で障害のある人を複数名雇用する際に、ひとつの部署で全員分の業務量を確保することは難しいため、いくつかの部署に分散させて雇用する場合があります。こういったケースでは、障害者に対するスタッフの人数が多くなり、雇用管理に関するコストが大きくなります。

一方で、特例子会社に業務を集約させることによりスケールメリットを活かすことができ、集中的に雇用管理することができます。また、障害者へのさまざまな配慮やサポートが行いやすくなることもあります。

独自の制度設計ができる

また、親会社と切り離して独自制度の設計と運用が可能となることもあげられます。一般の企業で雇用するとなると、就業規則や賃金形態の面で対応が難しい場合があります。しかし、特例子会社では別会社ですので、障害者を雇用することを前提として就業規則で障害に配慮した施策をいれたり、業務に合った賃金体系にすることができます。

会社のイメージ向上につながる

障害者雇用会社のイメージが向上することなどがあげられます。特例子会社は、設立の目的が「障害者の雇用の促進及び安定を図り、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立すること」と認知されているので、特例子会社があると「障害者雇用をしている企業」とわかりやすくなります。また、当事者も特例子会社がどのようなものかを理解しているので、採用においても「障害者に配慮している企業」というイメージを持たれやすくなります。

まとめ

特例子会社とは、企業が障害者の雇用促進を目的として設立する子会社であり、障害者の雇用率を達成するための有効な手段です。特例子会社を設立することで、企業は法定雇用率を満たしつつ、障害者に適切な支援を提供し、企業全体の多様性と包摂性を高めることができます。

令和5年度には全国で598社の特例子会社が存在し、約46,848人の障害者が雇用されています。特例子会社制度は、企業が障害者の雇用を円滑に進めるための重要な制度であり、企業のCSR活動やブランド価値の向上にもつながります。

特例子会社を設立することのメリットは多岐にわたります。企業名公表の回避や業務の効率化、独自の制度設計が可能になる点など、企業にとって重要な利点があります。さらに、企業のイメージ向上や、障害者にとって働きやすい環境を整備することで、社会全体に対しても大きな貢献を果たします。

特例子会社の設立に関心のある方は、「特例子会社の設立を考えたら必ず読む本」を参考にしてください。特例子会社設立に関する流れを解説しています。また、実際の特例子会社の業務内容や人材育成の状況も知ることができます。

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