統合失調症と関連のある精神疾患や統合失調症に似ている症状の病気とは

統合失調症とうつ病や双極性障害は、同じような症状がみられることがあり、区別が難しいことがあります。また、知的障害とも何らかの関係があると考えられています。

また、脳や身体にはっきりした原因があり、統合失調症に似た精神症状が現れる場合があります。薬物による精神症状や脳の病気は統合失調症と治療方法が異なるので、区別することが大切です。

ここでは、統合失調症と関連のある精神疾患や統合失調症に似ている症状の病気について説明していきます。

うつ病や双極性障害と統合失調症との関連

統合失調症とうつ病や双極性障害(躁うつ病)などの気分障害は、症状に重なる部分があり、スペクトラム概念が当てはまることがあります。スペクトラム概念とは、症状や発症要因に重なる部分があるものについて、虹の七色の光が連続性をもっていることになぞらえてスペクトラム概念と呼んでいます。統合失調症、うつ病、双極性障害の一部については、このような関連性を認める考え方が主流になっています。

統合失調症か、それとも気分障害かの区分が難しい例は、実際によくあります。統合失調症の症状と、うつ病や双極性障害の症状の両方を示す場合は、統合失調感情障害と呼ぶことがあります。

例えば、幻覚・妄想などの統合失調症の症状があって、さらに抑うつ気分や興味・関心の低下、不眠、食欲低下、自殺を考えるなど、うつ病の症状がある場合、過度に気分が高揚して多弁になったり、異常に活動的になったりして、会話や思考のスピードが速くなるなどうつ病の症状がある場合などに、この病名がつくことがあります。

これらの精神疾患については、医師によって異なった病名に診断される場合もあります。それは診断時にどんな症状が目立っていたか、医師がどの症状に着目したかによります。病名が変わると、医師に対して不信感をもつかもしれませんが、不一致があるからといって、どちらかの診断がいい加減だとは限りませんし、病名がはっきりとしないと治療ができないわけでもありません。

治療方針を決める上で診断名は重要なのではと思う人もいるでしょう。しかし、統合失調症の治療では、統合失調症の治療薬である抗精神病薬だけでなく、抗不安薬や気分安定薬(抗てんかん薬)、睡眠薬なども使います。逆に抗精神病薬が、双極性障害やうつ病の治療に有効な場合も少なくありません。

そのため、これらの病気に関して、区別が難しい場合に診断名をはっきりさせることに重きをおくことは、治療を行なう上であまり意味がないといえます。診断名がどのようなものであっても、主治医とよく相談しながら、本人に合った薬物療法によって症状を改善し、社会生活に役立つリハビリテーションを行って、自立した生活ができるようにしていくことが大切です。

短期精神病性障害とは

幻覚や妄想などの陽性症状が現れても1ヵ月以内にすっかり消え、社会的機能の低下などの後遺症を残さない場合があり、これを短期精神病性障害といいます。発病までに、陰性症状や認知機能障害、うつ症状などが数年にわたって続くことが多い統合失調症と異なり、症状が急に始まるのが特徴で、薬物療法の有無に限らず経過はよく、短期間で治ります。

知的障害と統合失調症の関連

統合失調症を発症すると、一時的に知的能力が多少影響をうけることがあるため、知的障害が疑われることがあります。ただ、統合失調症は、一旦正常な知能(IQ80以上)まで発達するのに対して、知的障害の場合は、出生後一度も正常の知能まで達しない点が異なります。

また、統合失調症による知能低下では、知識が普通にあるのに記憶力が低下したり、知覚と動作の連携がうまくいかなくなったりするという特徴があります。知的障害と統合失調症の合併例がありますが、もともと知的障害があると統合失調症を発症しやすいことが知られています。IQの低下が統合失調症にともなうものなのか、もともとの知的障害によるものなのかは病前の仕事や学業成績などから、ある程度推測することができます。

統合失調症に似ている症状

薬物が原因のとき

薬物の作用によって、統合失調症に似た精神症状が現れることがあります。病気の治療のために一般的に用いられる薬にも、幻覚や妄想を引き起こすものが含まれます。例えば、大量のステロイド剤、抗パーキンソン薬などです。また、麻薬や覚醒剤のような違法な薬物の使用が原因で精神症状が起こることもあります。

統合失調症は10代から20代で発症することが多く、またこの年代は違法な薬物に手を伸ばしてしまう人もいます。統合失調症による症状の辛さから逃れようとして、違法な薬物を試すケースも見られるそうです。大量のアルコールを毎日飲むようになり、依存症気味になることもあります。

そのため幻覚や妄想が現れたときに、薬物が原因なのか、統合失調症を発症したのか区別が難しい場合があります。ただし薬物が原因の場合は、社会的機能の障害などが残りにくいという点が統合失調症とは異なります。

薬物が原因と考えられる場合には、副作用を引き起こしている薬の投与を中止したり、違法な薬物への依存をやめることにより、症状が消えたり、良くなったりします。ただし、麻薬や覚醒剤を何度も使用していると、薬を止めても幻覚や妄想が生じやすい体質が残ってしまうことが多く、このような薬物の使用は非常に危険なものになります。

脳の病気や外傷などで似た症状が現れる

脳の炎症や腫瘍、変性などの病気によって、統合失調症に似た精神症状が現れることがあります。これらの病気は明らかに治療方針が異なるため、診察と詳しい検査によって区別をつけることが大切になります。

そのような病気の1つが側頭葉てんかんです。側頭葉てんかんでは、脳に異常な電気活動が発生して、意識障害、自動症(意識がないのに歩いたり、しゃべったりする)が起きます。幻覚・妄想、うつ状態が見られることもあります。

病歴や脳波検査を行うことで、多くは統合失調症と区別することができます。ウィルス性脳炎による症状は、統合失調症の急性期の興奮状態ととてもよく似ている場合があります。何らかのウィルスによって脳に炎症が起き、意識障害、錯乱状態、けいれん、幻覚などが起こります。こちらも神経学的徴候や脳脊髄液検査、脳波検査などによって診断することができます。脳炎は重い後遺症残すことが多いので、早期に診断して治療を開始することが大切になります。

また、エイズによる脳の障害でも、統合失調症と似た精神症状を示すことがありますが、血液検査や病歴の聞き取りで診断できます。その他に発症初期に統合失調症と誤診されることの多い脳や神経の疾患としては、多発性硬化症やハンチントン舞踏病をあげることができます。

多発性硬化症は、脳や脊髄などの神経細胞に病変が起こり、運動麻痺、視力障害、疲労など、さまざまな症状が現れます。ハンチントン舞踏病は、脳の線条体という部分の神経細胞が変性する遺伝病で、踊っているかのような不随意運動(自分の意識とは無関係に身体が動く)や知能低下、うつ状態、幻覚・妄想などの精神症状が現れます。

しかし、これらの脳の病気による幻覚、幻聴はほとんどの場合、統合失調症に特徴的な本人に直接話しかけてくるようなものではありませんないことや、発症後の経過やその他の身体症状が異なることからも、統合失調症と区別しやすいものとなっています。

脳に腫瘍ができたり、血管障害(梗塞や出血)が起こったり、事故などによる外傷で脳が損傷したりすると、幻覚や妄想などの陽性症状に限らず、陰性症状である意欲低下や認知機能障害などの症状も現れることがあります。どのような症状が現れるかは、脳のどの部分への影響によって異なってきます。脳腫瘍や脳血管障害などであれば、CTやMRIなどの脳画像検査で診断することができます。

まとめ

統合失調症と関連のある精神疾患や統合失調症に似ている症状の病気について見てきました。統合失調症とうつ病や双極性障害は、同じような症状がみられることがあり、区別が難しいことがあります。診断名がどのようなものであっても、主治医とよく相談しながら、本人に合った薬物療法によって症状を改善し、社会生活に役立つリハビリテーションを行って、自立した生活ができるようにしていくことが大切です。

また、脳や身体にはっきりした原因があり、統合失調症に似た精神症状が現れる場合があります。薬物による精神症状や脳の病気は統合失調症と治療方法が異なるので、このような場合には統合失調症とは区別しましょう。

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