統合失調症のある社員への職場対応|仕事・配慮・関わり方

統合失調症のある社員への職場対応|仕事の任せ方・配慮・関わり方

2017年07月28日 | 障害別の特性・配慮

担当者が頑張るほど、 組織が止まる

 

障害者雇用を組織の力に変える5日間

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「障害者雇用は、配慮の話ではなく、設計の話だ。」

2026年8月29日更新

統合失調症のある社員を採用するとき、「どのような仕事なら任せられるのか」「急な変更の少ない仕事にした方がよいのか」「どこまで配慮すればよいのか」「本人への接し方で気をつけることはあるのか」と迷う企業は少なくありません。

統合失調症について基本的な知識を持つことは必要です。

しかし、「統合失調症だから、この仕事は難しい」「統合失調症だから、短時間勤務にする」「統合失調症だから、対人業務は任せない」と診断名から仕事内容や配慮を決めることはできません。

同じ診断名でも、症状の現れ方、現在の状態、職務経験、得意なこと、仕事への影響は一人ひとり異なります。

企業が確認したいのは、「統合失調症の人には何が向いているか」ではなく、「この社員が、この仕事をするときに、どこで支障が生じるのか」です。

この記事では、統合失調症のある社員と働くときに、企業・管理職が確認しておきたい仕事の任せ方、配慮、職場での関わり方を整理します。

この記事でわかること
  • 企業が知っておきたい統合失調症の基本
  • 診断名だけで仕事内容を決めない方がよい理由
  • 仕事の進め方や指示で確認したいこと
  • 職場でのコミュニケーションや関わり方
  • 管理職・人事・支援機関等の役割をどう考えるか

統合失調症とは|企業が知っておきたい基本

統合失調症は、考えや気持ちをまとめにくくなり、気分や行動、人間関係などに影響が生じることがある精神疾患です。

症状としては、大きく「陽性症状」「陰性症状」などが知られています。

陽性症状では、実際にはない声が聞こえる幻聴や、事実とは異なることを強く確信する妄想などが見られることがあります。陰性症状では、意欲の低下や感情表現の減少、人との関わりが少なくなるなどの変化が見られることがあります。また、理解、記憶、集中、物事を整理することなどに影響が出る場合もあります。

ただし、すべての人に同じ症状が現れるわけではありません。治療を続けながら症状が安定し、仕事を続けている人もいます。

そのため企業では、統合失調症についての一般的な特徴を、「この人はこういう人だ」と決める材料ではなく、本人の状態を理解するための参考情報として扱うことが重要です。

「統合失調症に向いている仕事」から考えない

統合失調症について調べると、「手順が決まった仕事がよい」「臨機応変な対応が少ない仕事がよい」「接客は避けた方がよい」「短時間勤務から始めた方がよい」といった情報を見ることがあります。

実際に、仕事の変更が多いことや、複数の情報を同時に整理することが負担になる人もいます。一方で、接客業務を経験してきた人もいれば、複数業務を問題なく進められる人もいます。

手順が決まった作業だからといって、本人に合うとも限りません。

重要なのは、診断名から「できる仕事・できない仕事」を決めるのではなく、本人の経験や得意なことと、実際の職務要件を照らし合わせることです。

まず仕事そのものを整理する

本人の障害特性を見る前に、会社側の仕事も確認します。

何を担当する仕事なのか。何をどこまでできればよいのか。期限はどの程度あるのか。優先順位は明確か。本人が判断する範囲はどこまでか。困った場合は誰へ確認するのか。

こうした仕事の条件が曖昧なままでは、本人が仕事を進めにくい理由が、「障害の影響なのか」「仕事の設計の問題なのか」分からなくなります。

仕事が止まったときは、「何が難しいのか」を具体的に見る

例えば、仕事が思うように進んでいないとします。

このとき、

「統合失調症だから変化に対応できない」

と結論づけるのではなく、実際に何が起きているのかを確認します。

例えば、

  • 複数の指示が同時に出ている
  • 優先順位が頻繁に変更される
  • 指示する人によって内容が違う
  • 「適宜」「状況に応じて」など判断範囲が曖昧になっている
  • 本人がどこまで自分で判断してよいか分からない

といったことが仕事を難しくしている場合があります。

この場合、対応は単純に「仕事を簡単にする」ことではありません。

優先順位を明確にする。変更があったら何を優先するか伝える。判断に迷ったときの確認先を決める。必要に応じて手順や目的を整理する。といった仕事側の調整によって進めやすくなることがあります。

勤務時間や業務量も、一律に決めない

精神障害のある社員について、「最初は短時間勤務にした方が安全だろう」「疲れないよう仕事を少なくしておこう」と考えることがあります。

実際に、勤務時間や業務量の調整が必要な場合もあります。しかし、統合失調症だから短時間勤務が必要とは限りません。

本人によって、勤務時間が長いことが負担になる場合もあれば、仕事量ではなく、急な変更や判断の多さが負担になる場合もあります。また、入社当初に必要だった調整が、その後も必要とは限りません。

勤務時間や仕事量は「診断名」ではなく、本人の現在の状態と仕事への影響を確認しながら決め、必要に応じて見直します。

相談担当者は「何でも相談する人」にしない

統合失調症のある社員の受け入れでは、「相談できる担当者を決めましょう」と言われることがあります。担当者を決めること自体は有効な場合があります。

ただし、ここで注意したいのは、担当者一人に、仕事・体調・人間関係・生活・医療まで集めないことです。

例えば、仕事の指示や日常的な相談は直属の上司。勤務条件や会社としての配慮判断は人事。健康や医学的な判断は産業保健・医療。必要に応じた職場定着支援は就労支援機関。というように、役割を分けて考えます。

「本人のことをよく理解している担当者だから」とすべての相談を集中させると、担当者が抱え込みやすくなります。本人にとっても、担当者が不在になると何も決められない状態になりかねません。

人間関係は「距離を取らせる」「交流させる」で決めない

従来の統合失調症に関する職場対応では、「人間関係が負担になりやすい」「一人で過ごせるようにした方がよい」と説明されることがあります。

しかし、これも本人によって異なります。休憩時間を一人で過ごしたい人もいれば、同僚と話すことを楽しむ人もいます。

周囲との交流が多いこと自体が問題なのではありません。本人がどのような関わり方を望んでいるのか。仕事上必要なコミュニケーションが取れているか。職場側が善意から過度に関わっていないか。逆に、障害があることを理由に必要な情報から外していないか。といった点を確認します。

「統合失調症だから人間関係はほどほどに」と決めるのではなく、仕事に必要な関係と本人が働きやすい距離を確認することが大切です。

本人の話を否定する・同意するだけでは対応にならない

本人から、「周囲が自分の悪口を言っている」「誰かに監視されている気がする」など、職場側では事実として確認できない話が出る場合があります。

このようなとき、管理職が医学的に症状かどうかを判断する必要はありません。

また、「そんなことは絶対にない」と説得することだけでも、本人の話にそのまま同意することだけでも、職場としての対応は決まりません。

まず、本人が何に困っているのか。仕事にどのような影響が出ているのか。職場として確認できる事実は何か。現在、仕事を続けるうえでどのような調整が必要なのか。を整理します。

健康状態について専門的な確認が必要な場合は、人事・産業保健等へつなぎます。

配慮は「特別扱い」ではなく、仕事を成立させるために考える

統合失調症のある社員を受け入れるとき、「どこまで特別扱いすればよいのか」と悩むことがあります。しかし、合理的配慮は、本人を仕事から外すことでも、何でも希望どおりにすることでもありません。

例えば、指示を分かりやすくする。優先順位を整理する。相談先を明確にする。勤務時間を調整する。休憩の取り方を検討する。業務の進め方を見直す。といった方法があります。

どの方法を選ぶかは、その人の仕事上の困りごとによって異なります。

「統合失調症にはこの配慮」と決めるのではなく、何が仕事の支障になっていて、何を変えれば仕事が成立するのかから考えます。

企業だけで病気や生活まで支えようとしない

統合失調症のある社員について、管理職や障害者雇用担当者が、「本人を支えなければならない」と考え、仕事以外の問題まで抱え込むことがあります。

しかし、企業の中心的な役割は、医療や生活支援ではありません。

企業が確認するのは、仕事。勤務。職場環境。就業上必要な配慮。です。

医療については医療機関や産業保健。生活上の支援については、必要に応じて支援機関。それぞれの役割があります。

外部の就労支援機関等と連携する場合も、「支援機関に任せる」のではなく、会社が判断することと、支援機関から情報や支援を得ることを分けて考えます。

統合失調症のある社員への対応で確認したい4つの視点

対応に迷ったときは、本人の障害特性だけではなく、会社側についても確認します。

1.仕事|何を任せ、何を期待するのか

仕事内容、役割、期限、優先順位、本人が判断する範囲が明確になっているか確認します。

2.情報共有|仕事に必要な情報が届いているか

診断名や個人的な健康情報を広く共有するのではなく、仕事や配慮を判断するために必要な情報が、必要な人へ届いているかを確認します。

3.判断基準|何を見て配慮を変えるのか

勤務時間や仕事量、担当業務を変えるときに、「心配だから」「本人が希望したから」だけでなく、実際の仕事への影響を確認します。

4.役割・権限|誰がどこまで対応するのか

直属の上司、人事、障害者雇用担当、産業保健、支援機関など、それぞれが何を担い、どこから次の判断者へつなぐのかを整理します。

統合失調症のある社員への対応、自社ではどうでしょうか
  • 診断名から仕事内容を決めていませんか
  • 仕事が止まったとき、実際に何が難しいのか確認していますか
  • 担当者一人に相談や判断を集中させていませんか
  • 本人への配慮を、一度決めたままにしていませんか
  • 管理職・人事・産業保健・支援機関の役割が整理されていますか
迷う項目が多い場合は、障害特性の知識だけでなく、会社側の仕事・情報共有・判断基準・役割を確認する必要があるかもしれません。
「統合失調症だからどう対応するか」だけで、管理職が判断していませんか
実際の職場では、障害特性の知識を持っていても、「仕事をどこまで任せるか」「配慮を変えるか」「誰が判断するか」で迷うことがあります。
障害者雇用のマネジメント研修では、障害特性だけでなく、仕事の任せ方、現場で判断できる範囲、人事へつなぐ場面、役割分担などを職場ケースから整理します。

統合失調症のある社員への職場対応についてよくある質問

Q:統合失調症のある社員には、単純で決まった仕事を任せた方がよいですか

一律に決める必要はありません。

手順が明確な方が進めやすい人もいますが、本人の経験や得意なこと、現在の状態によって異なります。

まず、その仕事でどのような判断や変更が発生するのかを整理し、本人の経験や仕事上の困りごとと合わせて考えます。

Q:統合失調症のある社員には、接客を任せない方がよいですか

診断名だけを理由に接客業務から外す必要はありません。

対人対応の経験、仕事の内容、判断の複雑さ、本人が困っている場面などを確認します。

必要であれば手順や相談先を整理するなど、仕事の進め方を調整します。

Q:相談担当者は一人に決めた方がよいですか

日常的な相談先を明確にすることは有効です。

ただし、一人にすべての相談や判断を集中させる必要はありません。

仕事の指示、勤務条件、健康面などによって担当する役割を分け、担当者が不在でも対応が止まらないようにします。

Q:本人が「悪口を言われている」と話したとき、どう対応すればよいですか

管理職が、その発言が症状によるものかどうかを判断する必要はありません。

本人が何に困っているのかを聞き、職場で確認できる事実と仕事への影響を整理します。

健康状態について専門的な確認が必要であれば、人事・産業保健等へつなぎます。

Q:支援機関と連携していれば、職場対応を任せてもよいですか

支援機関から本人の特性や支援方法について情報を得たり、職場定着の支援を受けたりすることはできます。

ただし、仕事内容や職場のルール、配慮の実施、配置など、会社が決めることまで支援機関へ任せることはできません。

外部支援を活用しながらも、会社として判断する部分を明確にしておくことが必要です。

まとめ|統合失調症ではなく「この人と、この仕事」を見る

統合失調症について基本的な特徴を知ることは、職場での理解につながります。

しかし、「統合失調症だから単純な仕事」「統合失調症だから接客は難しい」「統合失調症だから短時間勤務」と診断名から対応を決めることはできません。

見る必要があるのは、この人がどのような経験や力を持っているのか。今の仕事のどこで支障が生じているのか。仕事の進め方を変えることで対応できるのか。勤務時間や業務量の調整が必要なのか。誰が何を判断するのか。ということです。

障害特性は、本人を決めつけるための情報ではなく、仕事との関係を理解するための一つの手がかりです。

本人への配慮だけを見るのではなく、会社側の仕事・情報・判断・役割も合わせて確認することが、管理職や担当者の抱え込みを防ぎ、働き続けられる職場づくりにつながります。

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統合失調症のある社員への対応では、疾患の特徴だけでなく、仕事の設計、受け入れ、コミュニケーション、会社としての判断を合わせて考えることが重要です。
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障害特性から仕事を探すのではなく、会社側が仕事・役割・期待水準をどのように整理するかを考える記事です。

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3 コメント

  1. けんちさ

    質問です。
    統合失調症の20代後半の男性と一緒に事務仕事をしています。
    女性3人、彼と4人で働いています。
    体臭がキツくて、吐き気がでるほどの時と、全く臭わない時があります。
    もう何年も我慢してますが、もう限界です。
    以前彼が通っていた障害者施設のスタッフにも相談しました。
    が、彼に直接臭いことを言わない方がいいと言われました。スタッフから遠回しにお風呂入った方がいい、汗かいたら着替えるように言いましたが、効果はありません。
    芳香剤を置いたり、扇風機を回したり、冬はマスクをしたり自己防衛は散々やってきました。
    昼ご飯も一緒に食べます。ご飯不味くなります。
    汗臭かったり、雑巾臭かったり、アンモニア臭かったり…。
    直接ガツンと言っても良いのでしょうか?

    ちなみに頭は良く、プライドは高いようです。コミュニケーションが苦手です。
    働くのはここが初めてです。(5年目に入ります)

    返信する
    • 障害者雇用ドットコム編集部

      ご質問いただきありがとうございます。
      なかなか難しい問題ですよね・・・。

      私が関わった社員でも同じようなケースがありましたが、
      そのときには就労支援センターのスタッフの方(同性)から
      注意してもらうとともに、職場でも毎日入浴するように指導しました。
      また、身だしなみのチェックを表などを使って、
      その社員だけでなく、社員全員で取り組むようにしました。
      入社されて5年くらいですと、なかなか就労支援のサポートを受けづらいかもしれませんね。

      直接ガツンと言ってよいかは、ご本人の性格や特性がわからないので、
      なんとも回答できなくて申し訳ないのですが、
      本人は意外とそのこと(ニオイや周りの方の迷惑になっていること)に気づいていないことがあります。
      ですから、ガツンとかはともかくとして、
      本人にわかるように伝えることは大切だと思われます。

      もし、業績評価や個人面談などをされる機会があれば、
      業務の評価とともに社会人として身だしなみについても
      大切であることを伝えてみてはいかがでしょうか。

      返信する
  2. にいな

    本人は気付いていると思います。統合失調症の症状に、自臭妄想というのがありますが、実際、気にして毎日風呂に入っていても体臭のキツイ人は、健常者、障害者に関係なく存在します。

    返信する

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