令和5年障害者雇用状況の集計結果からみた今後の障害者雇用とは

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2024年01月4日 | 障害関連の情報

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厚生労働省が、民間企業で働く障害者が6月1日時点で64万21788.0人となり、過去最多を更新したことを発表しました。前年比4.6%(2万8,220.0人)増加し、実雇用率 2.33%、対前年比 0.08ポイント上昇しています。また、法定雇用率達成企業の割合は50.1%となっており、前年比 1.8ポイント上昇しています。

令和5年度の障害者雇用率についての状況について見ていきます。

令和5年の障害者雇用状況について

厚生労働省が、民間企業で働く障害者の6月1日時点の雇用状況について発表しました。

令和5年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新しており、雇用障害者数は64万2,178.0人、対前年4.6%で、2万8,220.0人増加しています。20年連続で雇用者数は過去最高となっています。また、実雇用率は 2.33%となり、対前年比1.8ポイント上昇しています。


出典:厚生労働省

障害別にみると、身体障害者は360,157.5人(対前年比0.7%増)、知的障害者は 151,722.5人(対前年比3.6%増)、精神障害者は130,298.0人(対前年比18.7%増)と、いずれも前年より増加しています。特に、精神障害の雇用数の伸びに関しては、例年と同じように伸び率が大きくなっています。また、昨年は身体障害の雇用数は対前年比0.4%減でしたが、今回はプラスとなっています。

雇用率の全体的な増加傾向には、令和6年度から障害者雇用率が2.5%、令和8年度からは2.7%に引き上がることが決まっており、これに向けて企業が準備していることが大きな理由となっています。多くの企業では障害者雇用を進めるときに、雇用率アップに備えて採用を何年かをかけて計画的に進めており、今回の数字はこれを示しているものと言えるでしょう。

障害者雇用が義務付けられる対象は、従業員43.5人(短時間労働者は0.5人で計算)以上の企業となっており、法定雇用率達成企業の割合は50.1%(前年48.3%)でした。法定率を未達成の企業は5万3,963社で、このうち障害者を一人も雇用していない企業は3万1,643社でした。

企業規模別の状況

雇用されている障害者の数は、43.5~100人未満規模企業 で70,302.5人(前年は66,001.0人)。100~300人未満で122,195.0人(同117,790.0人)、300~500人未満で54,084.5人(同52,239.5人)、500~1,000人未満で73, 435.5人(同69, 375.5人)、1,000人以上で322,160.5人(同308,552.0人)と、全ての企業規模で前年より増加しています。

民間企業全体の実雇用率は2.33%(同2.25%)となっていますが、企業別の実雇用率は、43.5~100人未満で1.95%(前年は1.84%)、100~300人未満で2. 15%(同2. 08%)、300~500人未満で2.18%(同2.11%)、500~1,000人未満で2.36%(同2. 26%)、1,000人以上で2.55%(同2.48%)となっています。全ての企業規模で前年よりも雇用率は増加しています。一方で、法定雇用率を上回っているのは、500~1,000人未満、1,000人以上規模企業の企業となっています。

法定雇用率を達成している企業の割合については、43.5~100人未満が47.2%(前年は45.8%)、100~300人未満が53.3%(同51.7%)、300~500人未満が46.9%(同43.9%)、500~1,000人未満が52.4%(同47.2%)、1,000人以上が67.5%(同62.1%)とな り、全ての規模の区分で前年より増加しています。

【企業規模別実雇用率】

【企業規模別達成企業割合】

出典:厚生労働省

産業別の状況

雇用されている障害者の数は、「農、林、漁業」「鉱業、採石業、砂利採取業」「金融業、保険業」以外の業種で前年よりも増加しています。

産業別の実雇用率では、「医療,福祉」(3.09%)、「生活関連サービス業,娯楽 業」(2.46%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2.41%)、「運輸業,郵便 業」(2.39%)、「農、林、漁業」(2.38%)、「製造業」(2.32%)が法定雇用率を上回っていました。

出典:厚生労働省

特例子会社の状況

令和5年6月1日現在で特例子会社の認定を受けている企業は598社(前年より19社増)で、雇用されている障害者の数は、46,848.0人(前年43,857.0人)でした。特例子会社とは、親会社の実雇用率に算入できる、障害者の雇用に特別の配慮をした子会社のことです。

特例子会社で雇用されている内訳をみると、身体障害者は12,134.0人(前年11,841.0人)、知的障害者は24,062.0人(前年22,9 41.0人)、精神障害者は10,652.0人(前年9,080.5人)でした。特例子会社は知的障害者を雇用する割合が高く、今年度もその傾向が見られています。

障害者雇用率達成指導の状況

障害者雇用の実雇用率の低い企業は、毎年6月1日の障害者雇用状況報告にもとづいて、雇入れ計画命令が出され、2年間で障害者雇用を達成できるように指導されます。この計画書は、2年で障害者雇用を達成するための計画書であり、ちょうど事業計画書を作成するように、障害者雇用を達成するための時期や方法を記載していきます。

そして、この雇入れ計画書にもとづき、ハローワークから指導が入ります。計画の1年目の終わり頃には雇入れ計画が計画通りに進捗しているか確認され、できていないと雇入入れ計画の適正実施勧告がなされます。また、雇用状況の改善が特に遅れている企業に対しては、計画期間終了後に9か月間、社名公表を前提として特別指導が実施されます。そして、改善が見られない場合には、企業名の公表となります。最近では、不足数の特に多いところでは厚生労働省からの直接指導されていることも明らかにされています。

出典:厚生労働省

令和4年度の実績としては、次のようになっています。

「障害者雇入れ計画作成命令」の発出 ・・・ 244社

障害者雇入れ計画の「適正実施勧告」 ・・・ 94社

「特別指導」の実施 ・・・ 55社

障害者雇入れ計画を実施中の企業 ・・・ 528社(令和4年度)

まとめ

厚生労働省が、令和5年の障害者雇用状況について発表しました。民間企業で働く障害者は、6月1日時点で64万 2,178.0 人となり、20年連続で過去最多を更新しました。前年比4.6 %(2万8,220.0 人)増となっており、対象企業の従業員に占める割合である雇用率は2.33%と過去最高を更新しています。

一方で、民間企業全体の実雇用率を達成しているのは、500~1,000人未満、1,000人以上の企業でした。昨年度から比べると500~1,000人未満の企業も実雇用率を達成していることから、令和6年度からの雇用率アップに向けて企業規模の大きな企業ほど準備を進めてきていることがわかります。雇用率アップに向けて、各自治体では中小企業の障害者雇用に対する啓発活動を進めてきていますが、企業の取り組む意義やモチベーションにはつながっていない様子が見られます。

国は大企業以外の企業が障害者雇用に取り組むように、制度や助成金、ノウハウの提供、サポート体制の充実を図っていますが、該当する企業にとってはあまりメリットを感じられていないようであまり進展は見られていません。障害者を雇用することを目的にするのではなく、どのように業務と障害特性をマッチさせるかや、仕事の組み立て方などを考えていく必要があるでしょう。

今回の雇用者数や雇用率のアップは、障害者雇用率が上がることに対しての準備をしている数字と言えるでしょう。令和6年度からの雇用率アップに向けた準備はとりあえずできたものの、2年後の令和8年度にまた雇用率が0.2%上がります。各企業では、これからさらにどのように雇用者数を増やしていくのかを検討する必要が求められています。

このように定期的に雇用者数が上がっていく中では、サポート的な役割での雇用だけを考えていたのでは障害者を雇用することがとても難しくなっています。いかに本業の中で、障害者雇用ができるのかを経営戦略と合わせて人的資本という視点から考えることが必要となっています。

参考

企業が障害者雇用を行う理由~担当者がおそれる企業名公表とは~

障害者雇用の企業名公表はどのようにリスクになるのか

【初めての人でもわかる】障害者雇用促進法の概要をわかりやすく解説

障害者雇用の除外率制度とは~除外率設定の業種での障害者雇用~

特例子会社とはどんな会社?概要をわかりやすく解説

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