政府は、障害者雇用水増し問題の発覚を受けて、再発防止や採用方針をまとめた基本方針を明らかにしました。2019年までに約4,000人の障害者を採用する目標を掲げており、その一環で人事院が実施を決めています。対象は、障害者手帳や知的障害の判定書を持っていることが条件となります。
ここでは、国家公務員の障害者選考のスケジュールや応募対象者、試験の内容について説明していきます。
国家公務員で初の障害者選考試験
今年の8月から中央省庁の障害者雇用水増しが問題となっており、8割を超える28機関で3700人が不適切に計上されていたことが明らかになりました。国としては、来年までに4,000人を採用予定と発表していましたが、その国家公務員の障害者選考試験の概要が発表されました。
国家公務員の障害者選考を2019年2月に実施
国家公務員の採用を担当している人事院が障害者を国家公務員の常勤職員として採用する統一選考試験を2019年2月3日に実施することを発表しました。
人事院は、日本の行政機関の一つであり、国家公務員の「中央人事行政機関」となっています。国家公務員の人事管理の公正中立と統一を確保することや、労働基本権制約の代償機能を果たす行政委員会として人事院規則の制定改廃や不利益処分審査の判定、給与に関する勧告など、人事行政に広汎な権限を持っています。
障害者限定の公務員採用試験は自治体では例がありますが、国として実施するのはこれが初めてとなります。今までの試験は健常者との区別がなく、受けるのをためらう人もいたようですが、今回は障害者のみが受験できるということで、受験者を掘り起こして法定雇用率達成につながるのか注目されるものと思われます。
試験の概要
試験の対象者
試験の対象者は、障害を示す手帳や診断書を持っており、1959年4月2日以降に生まれた人となります。試験会場は札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、高松市、福岡市、那覇市の9都市が予定されています。
試験のスケジュール
申し込みは12月3日~14日まで郵送で受け付けます。試験は2019年2月3日に実施し、2019年2月22日に通過者を発表し、各省庁が2月27日~3月13日に面接し、3月22日に合格発表する予定です。
試験内容
試験内容は、公務員に必要な教養や、基礎知識を選択肢方式で尋ねる問題と、作文の2つから構成されます。視覚、聴覚障害者などには、点字による出題などの対応や、腕に障害がある人にはパソコンでの解答を認めるといった採用試験の合理的配慮を申し出ることができます。
1次試験
・日程 2019年2月3日
・場所 全国9カ所で高卒程度の知識を問う筆記試験
2次試験
・日程 2019年2月27日
・場所 各省庁にて実施されます。1次試験通過者は、自分が希望する業務内容を提示した省庁の面接を選ぶことができます。
1次試験は障害の種類や程度にかかわらず同じ内容になるため、人事院は「知的障害者には通過が難しい試験になる」と説明しています。今回の統一選考試験とは別に各省庁が実施する個別の採用を通して対応する考えを示しています。
仕事内容
各省庁の採用数や勤務地などは11月中旬に公表します。一般的な行政事務を担うことが前提となっており、詳しい業務内容は今後示されることになっています。
障害枠で就職を希望されている方向の障害者雇用に関する情報をお届けしています。
国家公務員試験の概要
障害者選考試験の日程
受験申込受付期間2018(平成30)年12月3日(月)~12月14日(金)
第1次選考日2019(平成31)年2月3日(日)
第1次選考通過者発表日2019(平成31)年2月22日(金)
第2次選考日2019(平成31)年2月27日(水)~ 3月13日(水)
合格者発表日2019(平成31)年3月22日(金)
受験資格
次の要件(1)及び(2)を満たす者
(1)次に掲げる手帳等の交付を受けている者
※ 下記の手帳等は受験申込日及び受験日当日において有効であることが必要です。
ア 身体障害者手帳又は都道府県知事の定める医師(以下「指定医」という。)若しくは産業医による障害者の雇用の促進等に関する法律別表に掲げる身体障害を有する旨の診断書・意見書(心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう若しくは直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫又は肝臓の機能の障害については、指定医によるものに限る。)
イ 都道府県知事若しくは政令指定都市市長が交付する療育手帳又は児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医若しくは障害者職業センターによる知的障害者であることの判定書
ウ 精神障害者保健福祉手帳
(2)1959(昭和34)年4月2日以降に生まれた者(2018(平成30)年4月1日において、学校教育法に定める義務教育を終了した日から起算して2年以上の者に
限る。)
ただし、次のいずれかに該当する者は受験できません。
(1)日本の国籍を有しない者※
(2)国家公務員法第38条の規定により国家公務員となることができない者
○ 成年被後見人、被保佐人(準禁治産者を含む。)
○ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者又はその刑の執行猶予の期間中の者その他その執行を受けることがなくなるまでの者
○ 一般職の国家公務員として懲戒免職の処分を受け、その処分の日から2年を経過しない者
○ 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
※ 日本国籍を有する者であっても外国の国籍を有する者は、外務公務員になることができません。
試験種目
第1次選考
基礎能力試験(多肢選択式):30題、1時間30分
公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験
知能分野15題、知識分野15題、
作文試験1題:50分、文章による表現力、課題に対する理解力などについての筆記試験
第1次選考の試験問題は、高等学校卒業程度の問題が出題されます。
第2次選考
採用面接各府省の採用予定機関における個別面接等
受験案内等の入手方法
人事院ホームページ「国家公務員試験採用情報NAVI」の「障害者選考試験」のページから11月1日(木)以降にダウンロードできます。
※ 郵送で請求する場合は、「140円の切手を貼った宛先を明記した返信用封筒(角形2号・A4判)」を同封した上で、問合せ先に請求してください。
国家公務員試験採用情報NAVI: http://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo.htm
受験案内等の入手方法人事院ホームページ「国家公務員試験採用情報NAVI」の「障害者選考試験」のページから11月1日(木)以降にダウンロードできます。
※ 郵送で請求する場合は、「140円の切手を貼った宛先を明記した返信用封筒(角形2号・A4判)」を同封した上で、問合せ先に請求してください。
【問合せ先】
人事院人材局試験課〒100-8913 千代田区霞が関1-2-3 電話(03) 3581-5311(内線2331)
【試験の概要はこちらから】
http://www.jinji.go.jp/kisya/1810/30senkoushiken_gaiyou.pdf
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