障害者雇用で働きたいと考えているのであれば、就職活動をサポートする機関やサービスを活用するとよいでしょう。自分で情報収集するよりも多くの情報を入手することができますし、履歴書や職務経歴書の書き方のアドバイスや面接のポイントなどを教えてもらうこともできます。
とはいっても、自分の目指す就職先や実力に合っていないものを選んでしまうと、紹介してもらえる情報がとても少なかったり、時には登録することさえもできないことがあります。
ここでは、どのような機関やサービスがあるのかについてや、就職活動を進めていくためのポイントについて見ていきます。
障害者枠で働くことをサポートする機関はたくさんある
企業では、従業員の人数に合わせて障害者雇用を進める必要があります。そのため障害者雇用をしたいと考えている企業はたくさんあります。
また、国としても障害者雇用を推進するために法律改正や助成金、就労の準備のための機関などを整備してきました。このような状況もあり、障害者雇用をサポートする公的機関やサービスが増えています。
いろいろな機関やサービスがあってどこに登録や相談したらよいかと迷ってしまうかもしれませんが、どのような就職を目指すのか、また今までのキャリアや実績などを検討しながら、活用できる方法を検討するとよいでしょう。
まず、大きくわけると、企業の求人情報を提供する機関やサービスと、就労を準備するための訓練機関の2つに分けることができます。
企業の求人情報を提供する機関やサービスとしては、ハローワークや転職エージェント、求人情報サイトなどを活用することができます。
就労準備訓練機関は、公的なものと民間のものがあります。公的なものとしては、障害者職業能力開発校、国立リハビリテーションセンター、障害者職業センター、民間のものとしては、就労移行支援事業所などがあります。
障害者職業能力開発校は、国立が13校(国立リハビリテーションセンター含む)、都道府県立が6校で、全国に19校が設置されています。
訓練科目は、それぞれの学校によって異なります。専門的な技術を取得することもでき、CAD技術、Webデザインを修得するコースや、事務職を目指す人には、OA事務、経営事務、医療事務を学べるコースがあります。また、パン・お菓子作りや園芸、機械・建築関係などを学べるコースを設置している学校もあります。
就労移行支援事業所は、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスのひとつです。地域の福祉機関やNPO、株式会社等が運営しており、最大2年まで在籍することができます。
訓練期間中には、働くために必要な知識や能力を身につける職業訓練や企業実習等を行います。就職するための生活リズムの確立や、身だしなみ、挨拶、報告・連絡・相談などをはじめとしたビジネスマナーの習得、履歴書・職務経歴書の作成および面接対策は、多くの就労移行支援事業所が取り組んでいます。この職業訓練および実習の内容は、運営する事業所ごとにカラーがありますので、自分にあったものを選ぶことが大切です。
現在、一定の期間働いており、転職やキャリアアップを望む場合には、求人情報から就職する準備ができるかもしれません。もし、就労していなかったり、働くためのスキルがないと感じているのであれば、就労訓練機関に通うことが望ましいでしょう。
次に具体的に活用できそうな機関やサービスについて見ていきます。
既に就職していて、転職を考えている人が活用できるところ
ある程度の期間、安定的に就職している実績がある人や、企業が求めるスキルを持っている人は、転職エージェントや求人情報サイト、ハローワークなどを活用するとよいでしょう。直接企業の求人情報を入手することができます。
転職エージェント
障害者に特化した転職エージェントでは、事前に転職エージェントで面談などを通して、転職の理由や希望する業種や職種などを確認し、履歴書、職務経歴書などについてもアドバイスをもらうことができます。
転職エージェントを活用する場合には、一般的に就職が決まると、求人を依頼している企業がフィーを払うビジネスモデルをとっています。登録者本人は、登録するときも、就職するときも費用が発生することはありませんが、採用する企業には費用が発生しています。
転職エージェントもビジネスとして売上をあげるために、サービスを手厚くして、就職できるようにサポートしてくれます。そのため、個人で応募するよりも、選考の通過の可能性が高くなったり、入社や入社後までていねいなサポートをしてくれるところもあります。
メリットもありますが、転職エージェントもビジネスとして行っているので、求職者が依頼してくる企業のレベルに達していないと登録ができなかったり、登録できても企業を紹介してもらえないこともあります。
次のような転職エージェントがあります。
プロと一緒にする転職活動!障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】
ハローワーク
地域に関係なく全国にある機関で、地域の企業の求職情報を収集することができます。初回は、ハローワークでの求職登録が必要になりますが、登録後は自宅からでもWEBを通して検索することもできます。
注意しておきたい点は、求職登録が無効となった場合、一部の機能(マイページ内での求人検索、検索条件やお気に入り求人の保存、紹介状の確認、メッセージ機能など)が利用できなくなることです。
これから就職を目指している人が活用できるところ
現時点で就労していなかったり、就労する準備ができていなくて不安と感じていたり、休職期間が長いという場合には、訓練機関に通うとよいでしょう。企業では、安定的に働ける人を雇用したいと考えています。
働いていない期間が長いと、企業は安定的に働けるかどうか不安に感じてしまうことが多いです。特に、一般的に精神障害の職場定着は低いと言われているので、精神の方を雇用するときには慎重になりがちです。
しかし、就労訓練機関に定期的に通えるという実績があると、それを元に安定的に働くことができるとアピールしやすくなります。
障害者職業能力開発校・国立リハビリテーションセンター
障害者職業能力開発校や国立リハビリテーションセンターは障害者の職業訓練の場として、全国各地に設置されています。訓練内容が豊富で、数ヶ月~1年の訓練期間に、それぞれの科で専門的な知識やスキルを学び、就職を目指すものとなっています。
障害者職業能力開発校では、職業訓練校に通いながら、訓練中の生活費として訓練手当を受給することができます。訓練手当は、居住地や年齢によって異なりますが、以下のような手当がつきます。
・基本手当
・技能習得手当
・通所手当(いわゆる通勤手当)
・寄宿手当(寄宿の場合のみ)
入学の時期は4月か10月が多く、選考試験の日程などが決まっていますので、早めに情報収集しておくことが大切です。
障害者職業センター(リワーク)
地域にある障害者職業センターでも職業訓練を行っています。職業センターでは、うつ病等の疾患により会社を休職しており、職場復帰を検討している人を対象としているので、リワークプログラムが中心となります。
利用料がかからないというメリットがある一方で、職業センターは、各都道府県に基本は1ヶ所のため、希望者が多いと、利用できるまでに時間がかかることがあります。活用を検討する場合には、早めに地域の障害者職業センターに問い合わせるとよいでしょう。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスのひとつで、2年間の訓練期間中に、働くために必要な知識や能力を身につける職業訓練や企業実習等を行っています。
就労移行支援事業所は、事業所ごとに訓練内容や特徴が異なります。また、その訓練内容を学びたいと集まってくる利用者(利用する障害者のスキルや能力、希望する仕事内容や職種)や、就労移行支援を運営している法人の方針などによっても、だいぶ雰囲気が異なります。
ホームページ等だけで判断するのではなく、実際に見学に行き、事業所の雰囲気やプログラム内容を確認してから決めるとよいでしょう。いくつかの就労移行支援事業所を見学したり、話を聞いてから判断することをおすすめします。
就労移行支援事業所には、次のようなところがあります。
そのひとりの「働きたい」にこたえる。【LITALICOワークス】
就労移行支援のCocorport(旧社名:Melk) | 首都圏38事業所展開
まとめ
障害者枠で働きたいと思ったときに活用できる機関やサービスについて、ここでは取り上げてみました。就職活動をサポートする機関やサービスについては、ある程度は情報提供してもらえることもありますが、基本は自分で調べることが必要です。
就職の状況や障害で必要な配慮、希望する業界や職種など、就職や転職の状況は、それぞれ異なります。自分にとって一番合うと思われる機関やサービスを活用することで、就職に近づくことができますので、受け身で情報を得るだけでなく、自らリサーチしてみてください。
ただし、基本的にWEBページでは良い点が書かれていることが多いので、それを鵜呑みにせず、実際に見学に行ったり、その職員やスタッフの方と話してみることも大切です。
障害者枠で働きたい、転職したい方向けに相談を受けています。
参考
合理的配慮をわがままに捉えられていると感じた時、どうしたらよい?
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