障害者社員が金銭問題や消費者トラブルに巻き込まれたときに会社で行う対応とは

消費者庁が障害者の消費者トラブルに関する調査を行い、障害者の消費者トラブルをまとめた事例集をつくりました。イラストや4コマ漫画を使ってトラブルの内容や解決策を紹介しています。

企業で障害者を雇用しているときに、障害者社員がこのような金銭トラブルや消費者トラブルに巻き込まれたときには、どのように対処したらよいのでしょうか。

ここでは、いくつかの具体的な事例を紹介してどのようなトラブルがあるのかを知るとともに、障害者が消費者トラブルに巻き込まれる理由や障害者社員が消費者被害にあったときの対応方法について見ていきます。

調査の背景

障害者の消費生活相談件数は年々増加傾向にあり、平成 28 年度では 9,187 件と過去 10 年間で倍増しています。一方で、障害者が直面する消費者トラブルの実態についてはあまり知られておらず、障害者の消費行動の実態についても、具体的な調査の蓄積はされていません。

このような背景から、消費者庁では、障害者の消費行動及び消費者被害実態等を把握するため、「障害者の消費行動と消費者トラブルに関する調査」を平成 29 年度から実施してきました。また、平成 30 年度は、障害者本人が直面している消費者トラブルについて、ヒアリングによる調査を実施しており、これをもとに障害者の消費者トラブルをまとめた事例集を作っています。

障害者の消費者トラブルをまとめた事例集は、イラストや4コマ漫画を使ってトラブルの内容や解決策を紹介されており、具体的な事例を知ることによってトラブルに気づく機会になることが期待されています。

消費者トラブル事例を紹介

障害者の消費者トラブルをまとめた事例集には、「知らない人から届いたもうけ話を持ちかけるメールを信じてしまった」「訪問販売で必要のない布団を買った」などの14例が4コマ漫画で紹介されています。

事例には、障害者本人の属性、トラブルが4コマ漫画で表現され、事例の概要と解決策とアドバイスが紹介されています。訪問販売、電話勧誘販売、インターネットに関するトラブルなど、対応・解決策もアドバイスされています。

迷惑メールや詐欺メールを信じてしまった

知的障害の人は、人を信じやすい、疑うことを知らない特性を持った人が多く、それが悪用されてしまうことがあります。この例では、迷惑メールや詐欺メールを真に受けてしまったようです。

ある日、春子さんの携帯電話に知らない人からメールが届きました。「お金 がたくさんあるご主人様が1850万円を誰かに譲りたいと言っていて、その相手にあなたが選ばれました。手続をするのにお金が少し必要なので、指定の口座にお金を 振り込んでください」という内容でした。

春子さんはそのメールを信じ込み、そのとき 持っていた2千円を振り込みました。すると「お金が足りないので追加の料金が必要です」と更に1万円を要求するメールが届きました。

春子さんは1万円は手元に持っていなかったので、お金を管理してくれているB型事業所職員に「1万円を振り込まないとお金がもらえない」と相談をしました。相談を受けたB型事業所職員は、そのメールが詐欺のメールであること、だまされていることを春子さんに説明しました。しかし、春子さんは「1万円振り込まないと、 1850万円をふいにしてしまう」と言い張って聞きませんでした。

B型事業所職員は何度も根気よく春子さんに説明し、相手と連絡を取るのをやめさせました。春子さんはなかなか聞き入れることができませんでしたが、何度も説明されるうちに、段々と理解してくれました。

「あなただけ」「今だけ」「お得」「無料」「あげる」「バーゲン」「値引き」などの言葉につられ、トラブルにつながった事例が見受けられたそうです。

また、世の中には、いろいろな手口でだまそうとする人がいることや、知らない人からの電話やメールは、無視してもよいこと、逆に無視すべきということを伝えて行く必要があります。

お金がかかる認識なしに、スマホゲームの課金が高額に!

スマートフォンのゲーム課金によるトラブルは、障害の種類や年齢にかかわらず、数多く見られたようです。

スマートフォンのゲームには、有料のものや無料のもの、ダウンロードは無料でもゲーム内で課金が発生するものなど、様々な種類があります。この事例は、ゲームに熱中しているうちに、一つ一つのアイテムがさほど高価でなかったこともあり、有料アイテムを
次々購入してしまったところ、高額の請求がされています。

次郎さんはインターネットゲームが大好きです。最近はスマートフォンでゲームを楽しむようになりました。

ある日、ゲームをしていると、有料アイテムの画面が表示されました。ゲームを続けているとポイントが貯まりいつかは手に入るアイテムですが、次郎さんは早くゲームを進めたくて、アイテム購入のボタンを押しました。

1個300円だったので、大した金額ではないと思ったのです。それから次郎さんは有料アイテムの画面が出るたびに購入し、どんどんゲームを進めていきました。翌月、次郎さんは携帯電話の請求書を見てびっくり。2万5000円もの金額になっていました。

携帯電話の料金はお父さんが支払ってくれています。お父さんは次郎さんがもうゲームをしないよう、携帯電話の料金プランを変更しました。

今はスマートフォンを持つことやそのゲームで遊ぶことは、一般的なことです。危ないからもたせないのではなく、どのようにしたら危険なのか、どんな遊び方であれば問題がないのかを確認しておくことのほうが大切でしょう。

ゲームの課金については、様々なものがあり、無料か有料か、最初は無料でも途中から有料になるなど、一見すぐにわからないものもあります。有料サービスを利用するときには、課金状況を確認することが必要です。また、クレジットカードやプリペイドカードを使って支払う場合には、お金を使った感覚がなくなりがちになってしまうことも注意しておきたい点です。

「ペアレンタルコントロール」と呼ばれる映像ソフトやゲームソフト、インターネット上のウェブサイトやコンテンツに対し、利用や閲覧の制限を設ける機能を活用することも一つの方法です。

訪問販売や通信販売で高額購入

訪問販売や通信販売は、顧客に商品を買わせるプロです。最近では、継続購入を促すためによくできたビジネスモデルになっていることも少なくなく、初回は無料だけど、1年以上契約をしなければならないものなどが増えています。

三郎さんの自宅に、知らない業者から健康食品(お茶)について電話が掛かってきました。内容は、「飲んだら痩せる、元気になる」といったもので、1時間余り話をしました。数日後、「サンプルが届いていませんか」と再び電話が入り、確認するとポストにサンプルが届いていました。

その後、どんどん宅配便で商品が届くようになりました。1回目は、代金を現金で払いましたが、2回目以降は引き落としになっていました。後から分かったことですが、支払は24回で、総額は15万4880円の契約をしていたのです。

ある日、掃除や調理を手伝っているヘルパーが、三郎さんの自宅に荷物がたくさん届いていることに気付きました。中身はお茶でしたが、ほとんど開封されていません。ヘルパーは業者に電話をしましたが、返品・解約に応じてもらうことができませんでした。

その後、ヘルパーから話を聞いた相談員が無料相談会を利用し、弁護士に相談して、クーリング・オフによって、2回目以降の商品を全て返品することができました。

契約内容をしっかり確認しないまま購入してしまい、消費者トラブルに巻き込まれることも多くあります。そのような時には、クーリング・オフ制度を活用しましょう。

クーリング・オフは、消費者が訪問販売などの不意打ち的な取引で契約したり、エステなどの高額で長期間にわたる取引の契約をしたりした場合に、法律で定められた書面を受け取った日から一定期間であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。

クーリング・オフの対象は次のとおりです。
・訪問販売(8日間)
・電話勧誘販売(8日間)
・特定継続的役務提供(8日間)
・連鎖販売取引(20日間)
・業務提供誘引販売取引(20日間)
・訪問購入(8日間)

出所:障がい者の消費行動と消費者トラブル事例集(消費者庁)

消費者トラブルに巻き込まれる理由

消費者トラブルに巻き込まれるのは、障害の有無に関わらずありますが、特に障害者が気をつける必要があるのはなぜでしょうか。

それは、特性として素直であったり、そのまま言われたことを信じやすい、疑うことを知らないことが影響していると考えられます。それは、よい特性ではあるものの、時によってはそのためにトラブルに巻き込まれてしまいやすくなってしまいます。

また、そもそも典型的な消費者トラブルや詐欺の手口等への知識が不足していることもあるようです。ニュースや話の中で耳にしても、自分のこととして捉えていなかったり、内容自体を理解できないということもあるでしょう。そして、過去の経験を目の前の事態に関連付けたり、応用したりすることが苦手なために、繰り返し同じようなトラブルにあってしまうことも少なくないようです。

今回の調査の中では、トラブルに巻き込まれても、自身のトラブルを「消費者トラブル」ではなく、単に「困ったこと」と認識してしまい、どこにも相談しなかったという例も見られたようです。調査がなければ、そのまま見過ごされていた可能性があります。おそらくこのようなケースはきっと多く、消費者トラブルとして表面化していない問題も多いと思われます。

周囲にいる人たちが障害者本人の様子を少しでもおかしいと感じたときや、障害者本人が不安を感じたり困ったりしたとき、気軽に相談できる人が身近にいることや、消費生活センター等、必要な機関につなげることが必要になっています。

障害者社員が消費者被害にあったときの対応方法

消費生活センターに相談する

消費生活センターや消費生活相談窓口では、消費生活に関する様々な相談や苦情を受け付けています。ここにアクセスするようにアドバイスすることができるでしょう。

消費生活センターは、全国の都道府県・市町村に約850か所あり、各地方公共団体が設置しています。国家資格を持った消費生活相談員やそれに準じた専門知識・技術をもつスタッフが対応し、消費者関連の法律に基づき、解決のためのアドバイスをしたり、必要に応じて事業者との間に入ったりします。消費生活の相談は「消費者ホットライン」(188)で行うことができ、相談は無料です。

出所:消費生活センターに相談しましょう!

支援機関につなげる

全てのケースに活用できるわけではありませんが、採用の時に支援機関が関わっている場合には支援機関にも連絡をとり、情報共有しておくとよいでしょう。

就労支援機関は、基本は就労に関することや職場定着等がメインになりますので、このようなトラブルには直接関わることは難しいと思いますが、生活支援に関する役割を担っている障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)等と連携がとれているようであれば、そちらにつないで、サポートしてもらうことができるでしょう。

障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)については、こちらから
↓  ↓  ↓
障害者職業センターと障害者就業・生活支援センターの違いとは?

まとめ

消費者庁が障害者の消費者トラブルに関する調査を行い、障害者の消費者トラブルをまとめた事例集をつくりました。イラストや4コマ漫画を使ってトラブルの内容や解決策を紹
介しています。

消費者トラブルは、障害の有無に関わらずありますが、特に障害者が気をつける必要があるのは、素直で人をすぐに信じる特性や、消費者トラブルや詐欺の手口等への知識が不足している、トラブルに巻き込まれても単に「困ったこと」と認識してしまい、どこにも相談しないなどが見られることが多いからです。

そのため周囲にいる人たちが障害者本人の様子を少しでもおかしいと感じたときや、障害者本人が不安を感じたり困ったりしたとき、気軽に相談できる人が身近にいることや、消費生活センター等、必要な機関につなげることが必要になっています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です